2006年5月21日丹沢 四町四反ノ沢→キュウハ沢下降

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:フェルト
天気:晴れのち曇り
参考ガイド:東京周辺の沢

丹沢の本谷川は私にとって全くの未知。この流域でメジャーな沢といえばキュウハ沢とその支流である四町四反ノ沢。
どちらを登って、どちらを下るか。。。未決定のままとりあえず現地に赴く。

アプローチ(CB1000SF)
2:10自宅発→3:20新井宿→(首都高)3:50用賀→4:25厚木→5:30塩水橋着
6:05塩水橋出発→6:50キュウハ沢出合、7:00遡行開始→7:43四町四反ノ沢出合→9:05二俣
12:25稜線(竜ヶ馬場)着→12:55丹沢山(下降開始)→15:20四町四反ノ沢出合→15:40林道着
→16:20塩水橋
16:45同発→(首都高)19:20新井宿→20:50自宅着

丹沢アプローチの常套手段となったバイク。5月下旬になれば寒くも無くだいぶ快適になってきた。中津川の丹沢
とは思えないような奥深さを感じながら、塩水橋へ到着。
 駐車場はないが、道路わきに駐車スペースが設けられており、10台くらいまでなら何とかなりそう。
ここからキュウハ沢出合までは、ゲートがあり綺麗に舗装された本谷川林道をひたすら歩くことになる。
朝一の"エクササイズ"で一汗かくが、気合は入りすぎでキュウハ沢出合を見過ごしてしまった。

「さっきの水量の多い沢は何だろう?」

と地図を広げたのがラッキーだった。林道終点まで行くと思い込んでいたら大間違い。200m程度の行き過ぎで
済んだ。
キュウハ沢出合まで
塩水橋からの本谷川林道入り口
林道は全舗装できれいだったがゲートは閉まったまま
キュウハ沢出合
林道終点までいったら行き過ぎ道路右に看板有り

 キュウハ沢は巨大堰堤越えで始まる。各堰堤に梯子が付いているのでこれを利用して超える。
堰堤を越えるとまもなくゴルジュ帯。入り口にある4m滝は見た感じ水流左だが、いきなり釜が深く、微妙な
バランスで経つって取り付く。滝上で沢はすぐ左90度に屈曲し、そこに5m滝がすごい勢いで水を飛ばしている。
さらにまたもや釜が深い!
手前の壁はツルツルで取り付けそうもなく "増水理由でここで敗退・・・!?"と頭をよぎるが、釜の出来るだけ
浅いところ&落水を極力避けて水流奥に出れれば突破できそうに見えた。(メガネ掛けてると何だかよく判らん)
 カッパとザックカバーを取り出し、入水!  「どへぇ〜〜〜・・・」っとヘソまで浸かって飛沫も浴びて水流の奥に出て
そこからは狙い通り容易に突破。
 このゴルジュ内の釜はすべて足が付かないくらい深そう。ゴルジュ出口の滝だけは直登出来ず、微妙なバランス
で経つった後、ルンゼを登り右岸を小さく巻いた。
ガイドを見ると
"盛夏なら釜に落ちる覚悟で直登にチャレンジ"
とある・・・納得。。。
キュウハ沢最初のゴルジュに入る
最初の4m。左を経つって直登。
2つ目の5m滝。飛沫を浴び奥へ移動し

 ゴルジュを小さく巻き終わると、そこは四町四反ノ沢出合。ここで遡行図を見比べて今日の計画を
四町四反ノ沢遡上→キュウハ沢下降に決める。
一応、キュウハ沢の10m大滝を見に行く。まずガイドに紹介されている左ルンゼのルートを確認。残地シュリンゲ
が2箇所ぶら下がっており3級A0は妥当なところか。
 水流左ルンゼも登れそうで、こちらは4級はありそうな感じだ。
四町四反ノ沢出合
キュウハの大滝10m

四町四反ノ沢の遡行を開始。水量は多く、丹沢とは思えない感じ。最初の4m滝を左から難無く越えると、
早くもガイドに核心と書かれた"10m滝"。4級+と書かれてあるが、下から見る限り上部はスタンスは豊富で
容易に見えたので、フリーで水流左を直登。途中のテラスで残置ハーケン有り。
よーく見るとなんとクロモリではないか!!!
「1個700円!!!ゲット!!!」と回収回収!!!  ここからはスタンスはしっかりしているので、
実質3級+が良い所か。これが4級+で核心と言うなら、後はキュウハ沢も含め、癒し系遡行だ!!!

10m滝すぐ上から続くナメ滝帯を水流をなぞる様に進んでいく。8mナメ滝は2条になっており、右の水流が容易。
左の水流も登れそうなのでチャレンジングに登る。左もチャレンジングと言う程でもなかったが・・・
4m滝
10m滝(実質V+)
8mナメ滝

この後も、美しい流れの中で時折現れる5m前後の小滝を快適に越えていくと、顕著な二俣に出る。
最初ここがガイドに書かれている二俣と思って右に入ったが、実は二俣手前のガイドでは(1:3)と書かれた二俣
であった。すぐその先にも右から4m程の滝で出合う顕著な二俣があり、こちらが本当の二俣になる。
(1:3)二俣。右に入った先に本当の二俣がある

 左俣はナメが続いており、容易に稜線に出れるらしい。右俣は滝マークがビッチリ描かれている!
ただ、すでに核心を終えているという安心感もあり、当然右俣を選択する。右俣最初の4m滝は右の枝沢を
利用して超える。問題はその次の10m滝だ!ガイドには登攀不可能と書かれてあり右から高巻きしているが、
一見、左から落ち口に向かって斜上するバンドらしい物と、水流左から直登し、シャワーを浴びて右に斜上、
そこから落ち口に向かって今度は左に斜上というジグザグルートの2ルートが目に映った。
 まず左からのバンドを確認しに行くと、バンドと思われたラインはバンドになっておらず無理。ここから見る
ジグザグルートは、"シャワーを浴びて右に斜上"までは何とかなりそうだが、岩が脆そう。
"単独フリーで、そこまで頑張る必要もないかぁー"と思い。
定石通り左岸を巻く。
10m滝(カーソルを当てて)
10m滝を横から見る

 次の5m滝を左から容易に越えると、12m滝! 核心は終了したはずなのに、どー見てもこの滝の方が難しい
ように見える。早速ガイドを取り出すと。
"正面から登れる、グレード4−・・・"
「またぁー!!!」
最初の10m滝が4+だったら、これは5級はあるんじゃない? っテ感じ。
「正面って、どの事?まさか最初っから瀑心を登れっ!って事?ウッソォー・・・」

この滝は右手前から水流に向かって伸びるバンドを上がり、人間一人が立てそうなテラスに立ち、そこから右
にルートが延びていそうに見える。
 とりあえず、フリーでバンドに上がってみる・・・が、やはり恐怖感を覚え、一旦巻いて登って、トップロープで
登り返してみることにした。ガイドでは右岸巻きだが、左岸を小さく巻く。足場が悪いので、潅木をうまく利用するとよいだろう。
 適当な潅木にザイルを固定し懸垂下降の準備に入る。以前、伊勢沢で9mmシングルザイルの懸垂下降で妙〜〜
にザイルが伸びるので非常に怖い思いをしたが、今回は8mmシングル・・・体重を掛けると伸びる伸びる!!!
これで垂直に近い滝を懸垂下降するのは躊躇するが。度胸で降りる。その時、

「痛っったぁー!!!」

落石が左太腿を直撃!!右手でロープを握りながらうずくまってしまった。
ただラッキーな事に尖った所が当ったわけでなく出血も無く折れてもいない。膝直撃じゃなくて本当によかった。
取りあえず痛みをこらえて下まで降りる。。。  しばし足の様子を確認して。アッセンダーを装着。
トップロープで12m滝に取り付く。
 まずは手前左壁からバンドを水流に向かって斜上。テラスっぽい所から瀑芯を1m程登ってもう一段上がる。
ここは飛沫がかなりかかってメガネを掛けている私はかなり不利。右壁に移動すべきかどうかの確認を
メガネを指で吹きながら行う。右足を掛けたスタンスが崩れない事を祈って右壁に移動。そこからは乾いた所を
直登し終了する。
スタンス、ホールドは結構あったが、ビショ濡れになるし4級はしっかりある。核心はまさにこの滝だろう。
12m滝(カーソルを当てて)
トップロープで登る1
トップロープで登る2

この先、4、5m滝を容易に越えると、右からガレ沢(涸沢)が入るところに3段CS滝。この滝も中段段のCS部が
チョイト嫌らしく、CSを抱きかかえる感じで強引に突破。
この先も5m級の滝を3つほど越えるとゴーロ帯となり水が無くなる。
3段CS滝
3段CS滝の中段と上段
5m級の滝が連続

ガイドを見ると"2本目のルンゼを右に入る"と書かれてあるが、2本目を右に入らず本流と思しき所を進むと
8m涸滝が行く手を阻む。下部3mが逆層だが、その上はホールド豊富で容易そうに見えるので取り付くが、
なんとボロボロ。岩が取れる取れる! ここで諦めればよかったが、もう降りれない所まで頑張ってしまった。。。
 岩さえ脆くなければ容易なのだが、あまりにも脆いのでカナリ怖い。こういうのは何級なのだろう。
核心部分に途中にクロモリハーケンが打ち込んであった。これに長いシュリンゲを通し、セルフビレイを取る。
 「崩れないでね!」と念を掛け右足に体重を乗せ一歩這い上がる左手でガバをとり。左足を移動し一安心。
セルフビレイを解除してそのまま直登。
残置したシュリンゲは以前拾ったものだが、クロモリハーケンだったので、懸垂下降して
回収しに行く。
8m涸滝
8m涸滝(カーソルを当てて)

滝はこれで終了。目の前は大ガレとなっているがここを左、左と上がり崩壊地から抜け出す。そのまま直上すると
にぎわっている竜ヶ馬場に出た。
 
時間は12時半。思った以上に掛かってしまった。まぁ日は長いので問題は無いと思うが、長居せず丹沢山に向かう。
丹沢山山頂には『100名山』と書かれた看板があり、ここが100名山だと初めて知った。
ガレを詰めていく
竜ヶ馬場付近に出る
丹沢山山頂

さて、キュウハ沢の下降であるが、堂平への登山道を少し下ったところから降りるが、
鹿の防護柵が張りめぐらされて、抜け道を探すのにちょっと苦労する。
 沢筋に出ても水は流れて無く、延々ゴーロ帯。涸滝を巻いて降りたりもするが、この距離が結構長い。大ガラン沢
との出合で急に水が流れ始める。下りだから良いようなものの、登りだと結構カッタルイかも。

ガイドに書かれている2段10m滝であろうか、2回連続で懸垂下降するが、30mザイルで事足りる。
 (2:3)の二俣は特に左俣から幾筋も流れが入りとても美しい。2段8mは上から見ると左岸にルンゼがあり、
これがキュウハの大滝かと見間違うほど。右岸を若干巻いたところから懸垂下降で降りる。
ここも30mザイルで事足りた。
2段10m滝
(2:3)二俣
2段8m

キュウハの大滝10mは左岸側に1本"これを利用してください"とばかりに木が生えており、古い残地シュリンゲも
巻きつけられていた。ここも30mザイルでOK!
懸垂途中でまたまたクロモリハーケンを発見!やはりキュウハの大滝は左ルンゼだけでなく右ルンゼからも
登った人が居るわけだ! モチロン、ハーケンは回収して降りる。
キュウハの大滝10m
懸垂途中から

四町四反ノ沢出合に到着! 時間は3時半前。あとはゴルジュ帯なのだが、ここはザイルを掛ける潅木が無い
ので、右岸を大きく高巻く。けもの道らしきものが通っており、簡単に巻ける。あとは4つの堰堤を降りるだけ。
途中左岸に飛行機のエンジンを発見。そのすぐ隣に墓標らしい杭が立ててあった。「ここで墜落したの?」 
写真を撮ろうとしたが、変なものが写っていたら嫌なので足早に去る。

左足はまだ痛いが、下りの林道も怒涛の如く歩いてゲートにたどり着く。
あっ!そういえば、キュウハ沢にはヒルが多いと聞いてましたが、この時期は全く問題無しです!

P.S:キュウハ沢と四町4反ノ沢では四町4反ノ沢の方が面白い。キュウハ沢は
   詰が長いのが傷か・・・ガイドは『丹沢の谷110ルート』の四町4反ノ沢は遡行図に
   間違いが多いようで「東京周辺の沢」を薦めます。





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