2006年6月3日 泙川小田倉沢→津室沢下降

メンバー:単独
装備:ザイル9mm×45m、カム
参考ガイド:上信越の谷105、すうじいさんの遡行図

前日の天気予報で、奥多摩周辺が雨、関東北部は晴れと言うことで、急遽思い立った泙川流域。アプローチと下降に
難があるとは聞いていたが、小田倉沢→津室沢下降できむひろさんとかっきーさんが昨年日帰り遡行したので、
日帰り前提で遡行してみる。

アプローチ:CR-X
3:02自宅発→(一般道)4:42金精峠→5:35奈良(なろう)着、
6:05出発→6:30小田倉沢出合→9:30 8m2段滝上二俣→12:05 F7 10m滝上→
12:45二俣(小田倉沢終了点)13:15尾根から津室沢下降開始→14:30 45m大滝上
16:30泙川出合着→17:55奈良着
18:10出発→(日光宇都宮有料+食事)21:10自宅着

よくスキーで通るR120号だが、今回初めて、泙川(たにかわ)の位置を確認! 平川小学校を目指す。
平川小学校からはほぼ一本道だが、1箇所迷いやすいY字を左に入る。道は途中からダートとなり、『昭和土木』
の看板を右に入って50m左側に駐車スペースがある。私は間違ってその先の道路脇に車を止めた。
 
小田倉沢出合はほぼこの真下に位置する。"小屋脇のふみ跡を下る"とガイドに書かれてあるが見つからないので、
そのまま降りる。チョットでも上流側に下ると小田倉沢出合より上流に出てしまうので注意。
奈良:『昭和土木』の看板があるY字を右。
50m先左に駐車スペース
奈良:この小屋の脇から泙川に強引に下る

 広河原で出合う小田倉沢は"伏流"と聞いたが、今日はしっかり水が流れていた。河原が狭くなってくるとナメ滝
が現れ、小田倉沢スタートと言った印象。
泙川本流に出た
右が小田倉沢
広河原をしばらく進むとナメ

3m程度のナメを超えゴルジュを進んでいくと8m滝。右手にトラロープを発見。ガイドでも右巻きと書かれてあるが
水流左も見に行く。落ち口のワンポイントを超えられれば突破できそうなのでチョット取り付くとホールドは有り、
難なく超えられた。3級レベル。安易に巻くのはもったいない。。。  
8m滝上はちょっとしたゴルジュになっているが通過に問題無い
8m滝
8m滝は水流左を直登
8m滝上ゴルジュ

他の記録で読んだが、この辺りでもすでに魚影を目にする。沢が左90度に曲がるところにスダレ状の超美滝!!!
”20m大ゼン”とガイドには書かれてある。ここも右端にロープがぶら下がっていてこれを利用するらしいが、
それじゃぁつまらない。。。左端を見るとホールドが豊富そうなラインを発見。水に触れながら快適に直登!
せっかくの美滝にロープは目障りなので、お魚の気持ちを考慮し、引き上げちゃおうか・・・ と考えたが、それって
”イジワル?” という見方もあるので、そのままにしておく。。。
20m大ゼン
水流左を直登

スダレ状滝の上は広々としたナメ床になっており、さすが上信越、奥多摩/丹沢では見られない光景だ!
ナメ床を進んでいくとしばらくはゴーロ状。テントサイトはいたる所にあり不自由しない感じ。魚影もちょくちょく
見かけるので、ここで竿を出してみるが、センスが無いのか当り無し。。。
20m大ゼン上のナメ
ナメが終了するとゴーロ状
魚影多し!

4〜6mくらいの滝がいくつか出てくるが極力直登で頑張る。小さく巻ける滝ばかりなので、全く困難なところは無い。
そうしているうちに12m滝に出くわし、現在位置が確認できた。この滝は左右共にトラロープがぶら下がっており、
左の方が容易。3級―レベルでロープを掴むほどでもない。その先、沢が右に曲がった所にF4 6mが勢いよく
水を飛ばしている。ガイドは左を小さく巻きと書かれてあるが、直登ラインを探す。
"ハーケン打ってA0"なら直登可能と見たが、「まっ、そんなに頑張る必要ないか!」
と言うことで、左から巻く。巻き途中から見た6m滝は美しいので正解だ!
 次のF5 6mは釜が深く泳がないと取り付けないので、これも左から小さく巻いた。
12m滝 
F4 6m (右岸巻き)
F5 6m

8m2段滝は実際5m程しかなく、その上には(5:1)の二俣。 この先は、また小粒な滝を越え、5m3段滝手前の
ゴルジュ内二俣に出て、遡行図と見比べ自分の位置の確証を掴む。 
適当な所で竿を出そうとしたら、
「あれっ!竿が無い!!!」 まじでぇー・・・

一回目の竿だしの所で置いてきちゃったのだ。。。ガッカリ・・・まぁ安物だからよいか・・・
8m2段滝
8m2段滝上(5:1)二俣
5m3段滝手前ゴルジュ内二俣

F6 10mは、水流左を何無く直登可能。次のF7 10mはガイドには右巻きだが、落ち着いてみると水流右側から
取り付けば直登出来そうなので取り付く。

 右から取り付き凹角を直上。ここまでは3級レベル。"なんだぁ楽勝ジャン!"と思いきや、残り2m。下からは
バンド状に見えた落ち口への斜上ラインの岩が思いっきり外傾していてかなり難しい。
ここを通過するにはホールドがしっかりしたものが欲しい所だが、アンダーで取れるところしかなく、これをフリー
で超える勇気は無い。。。
ここまで上がるとハーケン打って懸垂か。それとも落ち口へのルートは諦め、右にラインを変えるかのいずれか
の選択となり、右ルートを選択。 そうはいっても、横に移動する1歩がチョット難しいので、ハーケンを一発打ち、
シュリンゲでセルフビレイ。さらにカムを利用しA0で右に移動。ここでビレイを解除。カムを一旦はずして違う
ポイントにセットし、A0で一歩上に上がった。ここからはホールドは豊富で、無事クリアー出来た。
 上から懸垂下降で残置したものを回収。折角なので、トップロープで先ほど諦めた落ち口へのルートにトライしてみ
る。

 やはり外傾した岩には足は置けず。アンダーホールドを取り、外傾岩に数箇所だけある凹凸に足を置く。
そこから落ち口すぐ右の凹角に上がれば終了なのだが、ここにいいホールドが無い。なんとかテンション掛けずに
越えたが、トップロープだから出来ただけで、5級に近い感じ。外傾した岩に乗ってからはビレイ点は
取れないので、このルートは無いと思ったほうが良いかも。。。
F6 10m
F7 10m(クリックしてください)
落ち口への斜上ラインの外形岩

これで、小田倉沢の滝場は終了。後は奥の二俣まで進み、尾根に上がるのだが、そこまでが結構距離がある。
ガイドの通りに細い流れが右から2本入る。さらに左からも1本。(途中インゼルもあり)。地図読み能力が問われる。
ただ、奥の二俣は(1:1)のしっかりした二俣になっているので、たぶん大丈夫でしょう!
ただしガイドに書かれた延間峠へのルートは全く見つけられず。これを利用する計画は立てない方が良いだろう。
この二俣含め、F7 10m以降も幕営適地は豊富。

奥の二俣で小田倉沢の遡行を終了し、磁石と地形図を見て、尾根に上がる方向を見定める。尾根までの登り
は10分足らずだ。
藪こぎも無く、獣道もあるので思った以上に楽勝。尾根には踏み跡らしきものがあったが、獣道なのかは不明。
F7の上の様相
(1:1)奥の二俣
小田倉沢/津室沢を分ける尾根

津室沢への下降だが、私が降りたところはしばらく水の流れが無く。右から出合った沢筋から水が流れて
いた。水が現れた後も全く滝場は無く。ガイドで確認してみるが、本当にしばらく滝は無いようだ。3mゴーロ滝は、
あまりに滝が無いためにあえてとって付けた印象で非常にショボイ。この沢は上まで詰めていくのは薦めない。

 やっと10m滝が姿を現す。左岸に巻き道が付いているのでこれを利用した。
右から降りてきました
小滝
津室沢10m滝

その先に沢の両岸が狭まったところがハイライトとなる45m3段滝の落ち口になる。事前情報の通り、右岸に古い
ボルトが3発打ってあるが1発は抜けそう。
滝上からは3段目の5m部分しか見えないが、4級レベルと書いてあったので、折角だから45mザイルシングル
で懸垂下降してトップロープで登ろうと考え、このボルトを支点に懸垂下降を開始・・・

 「あちゃぁ〜〜〜!!!」

2段目上から見えたのは斜度60度はあるツルツルのナメ。これは登れない!

仮にこの滝を登攀するとすれば、ルートは下から35mまでは右岸を巻いて登る感じになるだろう。
しかし、これは登り返してもつまらないと判断し。下を覗き込んだだけで引き返す。。。
ところが、この3段目・・・ツルツルでホールドスタンス一切無し!横の壁もホールド潅木一切無し。投げ縄やっても上で
引っかかるものは何も無し・・・。。。
この、45m3段滝。2段目まで上がれても3段目で敗退かも・・・   とりあえずここはゴボウで登り返した。
45m3段滝の上に出た
ザイルを固定し調査下降
2段目上から覗くが、ツルツルで登れない


改めてザイルをセットし直し、45m大滝の下降を開始。ルートは右岸なのでやはりボルトを支点にして下降。
このまま真直ぐ降りると左に移動できなくなるので、2段目上部は右岸壁際をなぞるように降りる必要がある。
ここには古いトラロープが張ってあり、右手でザイル、左手でトラロープを握って降りる。左に左に降りていくので、
振られないように、途中の細い潅木にうまくザイルを通すとよいでしょう。
さらに慎重に下って、大きな灌木のところまで降りた。 ここまで降りれればひと安心。この太い木を2ピッチ目の
支点にして2回目の懸垂。45mでギリギリ足りた。
ちなみに、この滝を巻いて降りようとするとかなりの大高巻きになるので注意。
 
改めて見る45m3段大滝はすばらしく、一見の価値は大いにある。
大滝2段目の下降(カーソルを当てて)
懸垂途中から2段目を見下ろす
45m3段大滝全景(クリックしてください)

これで終わりかなぁとガイドを見るとまだ25m3段滝が残っていた。。。
ナメ床を歩いていくと25m3段滝。3段と言うより3つの滝が連続する感じだ。
最初の8m滝の下降で、支点となる潅木が無いのかなぁと探すと。岩(コンクリート?)に鉄の支点が打ち込まれており、
これにシュリンゲが巻きつけられていた。 "こりゃ凄い支点だなぁー"と利用させてもらい懸垂下降。
25m3段滝上から覗き込む
変わった支点を利用
25m3段滝3段目8m

次の支点はなんと古いワイヤーロープに残置シュリンゲがつけられていた!  
引っ張ると伸びる伸びる!(笑)
シュリンゲの状態を確認して、まさか俺が下降するときにワイヤーは切れないだろう・・・と安易に判断して
これを利用して下降開始。2段目は傾斜の緩い斜瀑。ここから急降下する1段目にザイルを落とすとこれまた
ギリギリ届いていた。
2段目はこの支点で懸垂
2段目1段目をまとめて懸垂
25m3段滝を下から見る

25m3段滝下の大釜を回り込むと泙川本流が目に入る。

泙川到着16:30。大して釣もやっていないのに。。。結構時間がかかった。
ここから林道へは、三重泉沢に入らず、そこより泙川本流を少し下ったガレから上がる。
これが地図で見ると一番近道だ!

林道を早足で歩き通し、1時間かからず奈良に到着。途中ゲートがあったが、釣り人が勝手に開け閉めして
いる模様。林道の状態はよく、通常の車で通行可能だが注意。
津室沢出合
三重泉沢(右) 出合
林道。チャリンコ通行可能

P.S:このルートは長丁場なので1泊2日で行くのがお勧め。ザイルは45m以上を用意してください

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