2006年7月8日 奥鬼怒 オロオソロシ沢→手白沢下降

メンバー:単独
装備:ザイル9mm×45m 靴:フェルト
参考ガイド:足尾山塊の沢
遡行図、概念図はこちら

この週末、より天気の良い土曜日に出かける。先日、既に廃刊となっている『足尾山塊の沢』を地元図書館で発見。
そこで紹介されていたオロオソロシ沢→手白沢を選択。すっげぇオソロシイ沢かと思ったが、全然恐ろしくないらしい???
本当かどうか早速確認だ!

3:41自宅発→(有料道路)4:30今市→5:35女夫淵温泉着、
5:55女夫淵温泉発→(日光沢経由)7:40オロオソロシ沢出合→9:50(1:1)奥の二俣→10:45稜線登山道、11:00下降開始
14:00手白沢温泉→14:55車道横断点→15:57鬼怒川出合→16:40女夫淵温泉着
16:55女夫淵温泉発→(日光宇都宮有料)19:05自宅着

1,2年前から半額になった日光宇都宮道路を利用。あっという間に今市到着。コンビニは鬼怒川温泉で最後となるので買い物はそれまでに済ませたほうが
良い。携帯はVodafoneの場合。川俣湖まではバッチリつながる。基点となる女夫淵温泉までは舗装道路で、駐車場は50台程度で無料。
公衆電話、トイレあり。。。 ここから八丁の湯まで、車道があるが、一般車は通行止めとなっている。

準備を整え、早速出発。八丁の湯への車道を1km進んだところから、鬼怒川源流に下る遊歩道が整備されている。そのまま鬼怒川左岸の遊歩道を
日光沢温泉まで朝のエクササイズだ!日光沢温泉直前にある日光沢のF1が見えるので、ちょっと寄り道。両岸切り立ったドロ壁で左岸からトラロープ
がぶら下がっているが、かなりボロボロで利用したくない。F1の真下まで頑張って進むと。左岸にワイヤーがぶら下がっていた。F1を超えるには、
このワイヤーにプルージック掛けて腕力勝負であがるか、少し手前の右岸の斜度のゆるいところを(1ポイントしかない)を上がるかの選択になりそうだが。
かなり難しいという印象を持って日光沢を後にする。。。
 
日光沢温泉を過ぎて、鬼怒沼へとの登山道分岐にある橋を渡ったところから鬼怒川源流に降りる。少し進むと、左岸から10m級の2本の滝。これが
ヒナタオソロシ沢だ"向きが日が当たる方向にあるのでヒナタオソロシと言う。
ちなみにオロオソロシの”オロ”は日陰を意味する言葉で、北面の沢なのでこの名が付いているらしい。。
 この滝を見て、振り返ると、オロオソロシ沢も見えた!出合から10m滝が見えるので間違わないだろう。女夫淵からここまで1時間半見ておけばよいでしょう。
女夫淵温泉から鬼怒川に下る遊歩道へ(カーソルあてて)
日光沢出合と根名草沢入渓点(カーソルあてて)
オロオソロシ沢出合

早速オロオソロシ沢に入る。岩は全体に赤味を帯びていて、水を口にすると鉄分が含まれていることが判る。この成分が岩に付着しているのか、
結構岩は滑りやすい。出合から見える最初の10m滝は水流右を快適に直登出来る。すぐ上の4m滝を越えるとその先に見事な12m滝。これも水流右を
直登。沢はナメ床となり、この辺りで登山道が横断しているらしいが、ナメに気をとられてしまい気付かなかった。またすぐ先に極上を思わせるナメ滝が
見える。下から見ると3段15mくらいに見えるが、水流を登るとさらに奥まで続き15mナメ滝となっている。傾斜もそれ程でもなく、水流際を快適に直登
出来るのが嬉しい。この当たりくらいまでが鬼怒沼への登山道から見え、一連の滝をオロオソロシの滝と呼んでいるが、
明るい沢だし、どこがどこが!超〜快適ではないか!!!
最初の10m滝(カーソルあてて)
12m滝
15mナメ滝

さらに心を癒す8m3段ナメ滝を超えるとナメ床が続いて,またナメ滝。。。倒木がナメ床を隠すところから、ちょいと平凡に戻るが、またすぐにナメに戻る。
6m2段、5m2段上トイ状滝を過ぎると右岸から枝沢。その後5m滝、4m斜滝を越えると顕著な二俣にでる。顕著な割には水量比は(1:10)。。この二俣の
左岸には良いテン場がある。モチロンマイナー沢なので焚き火の跡等、人が入った形跡は皆無だ。
8m3段ナメ滝を超えてもナメ床が続く
5m2段上トイ状滝
4m斜滝を越えると顕著な二俣(カーソルあてて)

ここを右に入るとすぐに7m滝。そして10m滝と続く。どちらも快適に直登出来る。ナメ床はまだ続き、左岸に大ガレを見ると、(1:1)奥の二俣。左は暗く、
右は明るい。水も左は通常の沢水だが、右は鉄分を多く含んでいる。地図を見るとそろそろ左に入ったほうがいい感じがしたが、右の方が明るいので
右に入った。100mほど進むとまたもや二俣となっており、左俣の水は先程の(1:1)二俣の左俣へ流れており。チョット変わったインゼルになっていた
のだ。。。左岸は崩壊地となっており、間違うことは無い。ここを左に入る。
7m滝
10m滝(カーソルあてて)
この先に本当の奥の二俣がある(カーソルあてて)

水はこの上ですぐに涸れてしまう。この後が、割と長いので、水は沢を下降するとしても多目に汲んでおいたほうが良い。すぐ上にある二俣を右に入り
ゴーロを詰めていくと巨大な崩壊地に出る。この崩壊は稜線近くまで続いており、ハーハー言いながら詰めあがる。浮石も多いので注意。崩壊地を最後まで
つめるとコメツガの藪コギに入るが15mくらい進めば稜線に出る。登山道があるはずだが、赤テープなど無い。地図をよく見るとこの辺りは
若干稜線より西寄りに登山道があるらしいが、探しもしなかった。。。
左俣に入って振り返る
この二俣は右に入る
最後の詰めと稜線の様子(カーソルあてて)

さて、時間は11時。稜線に出たところを、そのまま反対側に下りれば下降する手白沢へ吸い込まれていくが、この辺りは傾斜が非常に強いので、
100m〜200m稜線を北に移動した所から下降する。。。とはいっても降りた斜面もかなり急で、潅木を掴みながら慎重に下る。左にガレが見えたので
「沢筋かな?」 と思い移動してみると かなり急。。。いくらなんでもこのガレは下れない、そのままガレを横断。地図上ではとにかく北方向に移動した
ほうが傾斜はゆるくなるので、降りながら北に移動。もうひとつガレを横断し、潅木のある尾根筋を急降下。最後は懸垂下降でようやく沢筋に降りる。
ザイルは45mは必要だ。
ここはまだ水は流れてなく、ガレを降りていくと、涸棚出現。左岸を巻いて降りる。下から見上げると。60mはあろう立派な涸棚だった!
手白沢に下降
60m涸滝を巻いて降りる
60m涸滝

さらにゴーロを下っていくとようやく水。右岸から枝沢(1:1)が入ると。ナメ床になる。沢は明るく快適だ。6m滝をクライムダウン。
(1:1)二俣。右から降りてくる
ナメ床が続きます
6m滝、写真右の枝沢側から下降

左岸に崩壊地を見ると。スパッ!と水の流れが切れる「10m級の滝かな?」と思い近づくと、なんと今までの様相からは想像も出来ない大滝だ!
45mザイルでも1回の懸垂では到底ムリ。左岸を5m程下り、そこから懸垂2ピッチで滝下に出た。見上げれば40m大滝! 地図には滝の記号も
無いのにこんなのがあるのねぇー。。。大滝に背を向けると。すぐにまた滝。下を覗くとこれがまたデカイ!。ここも左岸を懸垂で下降。振り返れば
20m滝だ。少し離れた所から見ると20m滝の奥に40m大滝が見え、まさに圧巻!!!これ、秋に来ると凄いんじゃない?!
何やら大滝が
振り返ると40m滝
20m滝(カーソルあてて)

この景観にお別れするのは残念だが先に進む。。。平凡な様相になり少し行くと左岸から沢が入り(1:1)の二俣となる。ここは良いテン場となるだろう。
ここからは平凡な様相で15分くらいで手白沢温泉に出る。沢を歩いていると露天風呂が見えるので、知らなかったフリして遠目でチェックしよう!(笑)
山奥にある温泉宿なので木造のボロ宿かと思ったらコンクリート製の立派なものでビックリ。
(1:1)の二俣
平凡な様相が続く
手白沢温泉

ここから加仁湯まで車道が続いているが、そのまま手白沢を下る。。。。が、今まで明るかった沢が急に暗い沢へと変貌。宿があるせいか、水もなんとなく
汚れた感じ。。。平凡でもあるので、右岸、左岸の獣道(?)を主に利用して下る。 新助沢と合流するとすぐに巨大堰堤。。。
もうひとつ巨大堰堤を越えると車道が頭上を横断。 ここも車道を利用して女夫淵まで戻れるが、手白沢完全遡行を決断。さらに巨大堰堤が2つ現れ共に
右岸から巻くと急にゴルジュに突入。釜をもった6m滝はクライムダウン不可能で左岸を少し登って、トラバース。懸垂支点となる木にたどり着くが、
6m滝下にある4m滝までは1回の懸垂では届きそうも無い。ゴルジュ内には懸垂支点となりそうな潅木は無かったが、最悪ハーケン/シュリンゲ残置覚悟
で降りていく。。。ゴルジュ内にはやはり支点になりそうな潅木は無い。こんなマイナーな沢では残置ハーケン類があるわけも無く
「クロモリ残置かぁー・・・」
と諦めかけたが、ちょいと上を見ると8m程上に潅木発見!
ちょいとルンゼを上がってトラバースすれば、たどり着けるかも!!! と思い実行に移す。 狙いは正解で、潅木に到着。あとは4m滝の釜をめがけて下降する
だけ。釜の深さが不安だったが、ラッキーな事に腰の深さくらいだった!
ゴルジュを抜けると小堰堤をひとつ巻けば鬼怒川と合流だ!!時間は16時。下り5時間は結構手ごたえがあった。女夫淵までテクテク歩き、今日の行動を
終了する。
車道を潜る
急にゴルジュになる(カーソルあてて)
ゴルジュを抜け、鬼怒川本流へ(カーソルあてて)

P.S:オロオソロシ沢は隠れた美渓で最後の詰めは疲れますが、滝の直登はすべて3級を越えず初級者も楽しめます。一方、手白沢下降は出だしが急なので注意。
   ただし手白沢の大滝は一見の価値はあります。手白沢温泉からは加仁湯まで車道を利用するのが無難かな。ザイルは30mでも何とかなるとは思いますが、
   40m以上持って行くと安心かも。
     
遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)




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