2006年7月23日 奥鬼怒 黒沢赤岩沢→魚沢下降

メンバー:moto.pさん、ひろた
装備:ザイル9mm×45m、カム
遡行図はこちら

当初、蔵王の八方沢を計画していたが梅雨明けせず、日帰りで、奥鬼怒の赤岩沢→魚沢下降に急遽変更した。

前夜移動女夫淵泊
5:12女夫淵出発→6:10赤岩沢出合→8:00 50m滝上→8:50 2段60m滝下→10:00 2段60m滝上
→10:30 赤岩沢遡行終了→10:45黒沼田代湿原10:50魚沢下降開始→11:30 三俣→
13:45 2条 15m美滝下→14:30黒沢出合→14:55女夫淵着

moto.pさんとは、自治医大駅で合流。基点となる女夫淵温泉に向かう。
2週間前にもここへ来たわけだが、やはり鬼怒川温泉から距離は結構ある。
土曜の夜ということもあってか、女夫淵の無料駐車場は多くの車が停めてあった。
 黒沢林道のゲートが開いていたので100m程入ったところにテントを張る。

"曇り、昼過ぎから雨" の天気予報は良い具合に外れたようで、夜は満点の星空で
放射冷却+標高1000mの寒さにシュラフカバーのみのmoto.pさんは殆ど寝れなかった
ようだ。。。

 身支度を整え、5時過ぎに出発。概ね青空の下、黒沢沿いの林道を進む。1/25000地図は正確に林道を
捉えているので、地図を見ながら進めばOK。1時間程歩くと巨大堰堤が見える。ちょうどそこで
林道がS字を描くので、そこから堰堤脇の踏み跡にはいるわけだが、
ここ数日間の大雨で沢はかなり増水。黒沢の巨大堰堤裏は大きなバックウォーターを抱え、
その末端が赤岩沢出合まで届きそうな感じだった。
黒沢沿いの林道(一応明瞭)
巨大堰堤バックウォーターと赤岩沢
赤岩沢出合

 赤岩沢に入るとすぐに2つの巨大堰堤が現れ、どちらも右岸から容易に巻く。(左岸巻きは大変らしい)
明るい沢だが平凡な様相が30分弱続く。ナメが現れ、6m滝を快適に越えると間もなく、大滝が遠くに見えてくる。
赤岩沢巨大堰堤上の様相
ナメが出てくる
6m滝

前衛の8mナメ滝を水流右を直登すると、2段50m大滝の全容が見える。明るいスラブ状に落ちるこの滝は実に美し い。

 下段は容易で、フリーで飛まつを浴びながら水流右を直登。1段目上から2段目を見ると
左右どちらも登れそうな感じ。左は濡れているので、ホールドは細かいが若干乾いた感じの右を選択。

m「これ、フリーで行けるんじゃん!?」
h「行けそうですねー!」

と言うことで、moto.p氏がフリーで取り付く。。。が、10m弱登ったところで、意外と難しいのか、
「う〜ん・・・やっぱザイル出そうか・・・」
といって、引き返してきた。
「ひろたさんトップやりたくて、目がギラギラしてますよ!」
「いえいえ、moto.pさんどうぞどうぞ!」
と切り返し、moto.pさんがリード。

残置ハーケン類は無い様で、ハーケン、カム、ハーケンで3箇所ランニングビレイを取って上に上がる。
滝の音が凄いので、相手が叫んだのは判ったが、何言っているのか判らず。ザイルの流れで判断して、
自分も上がっていく。スタンスは細かいが、慎重に上がれば問題無し。やっぱザイルは出した方が良いだろう。。。
途中moto.pさんが打ち込んだ変形クロモリを抜いたとき、歯が欠けるという現象が起こった。破断面を見ると、
既にクラックが入っていた様で、すでに破断面の一部が錆びていた。クロモリもこんな損傷の仕方をするのかと、
二人とも驚く。
前衛8m滝の奥に大滝が見える
2段50m滝(クリックして)
大滝上段(カーソルを当てて!赤ルートで登る)

大滝を越えると右岸から枝沢が入り、その先はナメ床帯となる、7mナメ滝は右から、6m滝は左から直登。
この先も延々にナメが続く感じで快適そのもの。晴れた事による感動も大きく、
「今シーズン晴れたの初めてじゃないかなぁー?」というmoto.pさんに
「オレの日ごろの行いが良いからだ!」と念を押しておく。(笑)

7mナメ滝
6m滝
ナメ床が随所に現れます


5m前後の小滝をいくつか超えると、第2のハイライトの2段50m滝が現れる。通常この滝は左岸枝沢の20m滝ごと
大きく巻くらしいが、直登可能かどうか見極める。1段目20mは水流左も行けそうだが、倒木のある水流右に
取り付く事にした。
倒木の右側にテラスがあり、「とりあえずそこまで登ってみよう!」とフリーで登る。
 問題はここからで、moto.pさんは「テラスから伸びる岩ルンゼを直登できる」というが、自分は沢靴では自信無し。。。
残るは水流側にトラバースして倒木をくぐった先にルートを見出すかだ。とりあえずザイルを取り出し。
クライマーmoto.p氏にトップを委ねる。
 ビレイ点としてハーケンを打ち込もうとしたが、岩が大きく剥がれ落ちそうだったので細い潅木をシュリンゲで
束ね支点を取った。この辺りは岩が脆いようだ。
 moto.p氏のリード。カムでランニングビレイを取り倒木をくぐってルートを探る。
「どう?」
「う〜ん・・・」
と浮石をいくつか投げ落とす。やはり岩は脆いのか。。。自分から見て"ヤバイんじゃない"という外傾スタンスに
足を置き1,2歩上がるとハーケンを打ち付ける音。。。しばらくしてザイルが引かれ、ビレイ解除の声!(めでたしめでた し)
続いて私がフォローするが、"ヤバイ"外傾スタンスは、倒木とのバックアンドフット気味で突破。一応ホールドも
あるのだが体重を掛けたとたん外れそうな感じがして不安だ。ハーケン回収後のもう1、2歩も岩が脆くチョット
運任せの感じ。"これだめだろうなぁー"と思って右足に体重をかけると、案の定右足のスタンスは崩れたが、
左足と両手に殆どの体重を分散させた直後だったため事無きを得、あとは潅木などを利用し、下段を終了!
 通常取り付かないルートは、丹沢などのメジャールートの"4級+"とは違って、不確定要素が多く、
違った意味での難易度が高い。"よくこんな所行けたね!"というのが正直なところだが、これが本来の
バリエーションルートというものか・・・さすがmoto.pさん!

大滝上段は階段状で、下段に比べると容易。ただ、岩は濡れているので、moto.pさん愛用の"よく出来たタワシ"
譲り受け、私がリードする。階段状とはいえ、しっかりしたホールドが取れないと結構不安。滑らないように
タワシで岩をこすって上がって行き。滝上の潅木でビレイを取り大滝終了。ザイルは45mでピッタリだった。
二つ目の2段50m(クリックして)
2段50m滝上段(カーソルを当てて)
上段の登攀

 2段大滝の上は、再びナメ床帯。大滝直登の"ご褒美"といった癒し系となる。快適に直登できる12m階段状滝
越えるとナメ床も終了、平凡な様相となっていく。
大滝上のナメ床帯
6mナメ滝 
12m階段状


沢筋はいくつか分岐するが、水流の多い沢筋を選び二俣は左に入る。平坦な地形になってくると黒沼田代は
近いので、地図を見て適当に沢筋から離れたほうがよいだろう。
我々は勢いに任せ、(勢いがあったのはmoto.pさんだけだが)さらに上まで詰めてしまった。
針葉樹林が茂る中、「いい加減この辺だろ!」と魚沢に向けてトラバースを開始するが、あるはずの黒沼田代は
見つからず、「もう少し上かな?それとも下かなぁ?」と下を選択して大正解!っていうか登る気無し。
黒沼田代に出た!!!
二俣にて
すぐ源頭って感じです
黒沼田代到着

これで、心置きなく魚沢の下降に入る。南に進めば良いだけ。最初の沢筋は藪っぽいので
それをまたいで次の沢筋に入る。すぐにナメ状になったと思いきや、傾斜が増し20mナメ滝となっている。
懸垂かと思ったが、水流脇の笹を掴んでのクライムダウンとなる。6m滝を巻いて下ると三俣に出る。
我々が降りてきたのは下から見て右側の沢筋で8m滝で出合う。左側の沢筋は見事な25mナメ滝で
出合っている。
魚沢20mナメ滝
左から降りてきました
三俣


 この8m滝の下降で使ったのか、残置シュリンゲを発見!古い物かと思いきや、水で洗うと比較的綺麗だった
のでいただく。我々は左岸を巻いて三俣下に下降。
ここから先も、ナメ床がひたすら続く・・・笛吹川釜ノ沢が"千畳のナメ"というなら、"5千畳のナメ"といっても良い
くらいだ!フリクションもしっかり有り、下りに恐怖感は無いのも好都合。途中10m、8mナメ滝があるが、
懸垂せずに下降可能。 まだまだナメは続き、12m滝はさすがに懸垂下降。そんでもってまたナメ。。。
ナメ好きは、あまりにも長く続くナメにもう感覚マヒ間違いなしだ!!!
5千畳のナメ 
ナメはひたすら続きます
12m滝

6m"ナメ"滝を降りると、なにやら大滝の予感。左岸から巻いて降りると、2段18m滝(勝手に名づけた)立派な滝だ。
 「修行にどうです!?」。。。というと
昨年、中津川"朱滝"で滝行に励んだにもかかわらず、この1年で様々な『行』を背負ってしまったのだろうか?
 彼は荷物を置き滝に向かっていったのだった。。。(笑)
6m滝
2段18m滝

2段18m滝を過ぎるとゴルジュ帯になる。4m滝は水流沿いに下れるが、(1:3)で右岸から支流が入った先の
ゴルジュは、3m程度の滝なのだが一見飛び込み覚悟に見える。
ルートを探ると。懸垂で水流左(左岸側)のバンドまで下れれば何とかなりそうと判断。ゴルジュ内に挟まる倒木に
支点をとりmot.p特攻隊長が下降を開始。幸いゴルジュ内の水深は深くなく&両足つっぱりで水流をまともに
浴びることなく意外と容易にバンドまでたどり着き見事クリヤー。
行ってらっしゃい! 
こんな感じで降りる

 ゴルジュを終了すると、またナメ床が延々と続き、その状態のまま20m美滝に出る。
滝は大きく2条の流れとなり右(右岸)の水流沿いを難なく下降できる。休憩がてら美滝を鑑賞。日本登山大系の
遡行図を見ると平凡な様相だが、見事な滝はあるは、ナメ床はメチャクチャ長いし、なぜ日の目を見ないのか
不思議だ。。。
ここから先はゴルジュっぽい様相になるが、下降に困難なところは無く、ようやく平凡な様相。釣り師が通るような
踏み跡を利用して一気に黒沢出合いに出た。魚沢出合は意外と貧弱で、下ってきた内容が嘘のよう。
20m美滝(左から降りてきました)
魚沢出合(左が魚沢)

林道に上がり、女夫淵に向かう。
女夫淵の温泉は1000円と高いので、川俣にある上人一休の湯(500円、シャンプー無し)に入る。

P.S:赤岩沢だけでなく、魚沢も非常によかったので、大変充実した遡行になった。
   魚沢を登っていくのもお勧めだ。
  "日本登山大系"には魚沢下流部左岸に林道が通っているように書かれてあるが
   全く気付くことは無かった。他の記録を見ると標高1550m〜1580mの左岸まで延びているとの事。
   林道の状態はよくないらしい。モチロン沢で下ることをお勧めする

遡行図






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