2006年9月16日 湯檜曽川 マチガ沢→東南稜

メンバー:現場監督さん、ひろた
装備:ザイル9mm×45m
参考ガイド:日本登山大系
遡行図はこちら

秋雨が続く予報となり3連休で計画していたAndoさん/現場監督さん達の山行は中止になった模様。。。
ただ、初日のみ1日天気が持ちそうな予報になった為、急遽Andoさん/現場監督さんに
お声をかける。Andoさんの都合はNGだったが、現場監督さんはOK。
偶々、監督さんが代替案として谷川岳の計画書も提出していた事もあり、マチガ沢を選択した。

アプローチ:CR-X
20:14自宅発(一般道)→22:47赤城IC通過→(一般道)23:25上毛高原駅着→湯檜曽で仮眠

6:45"厳剛新道"登山口出発→7:15第1見晴台→7:35遡行開始→10:10インゼル下
→(4ノ沢に誤って入る)→11:07 4ノ沢下降開始→11:43本流に戻る→12:00東南稜取付き
→14:35稜線着、15:05下山開始→5:00"厳剛新道"登山口着
18:35上毛高原駅→(月夜野~赤城まで高速)22:28自宅着


雨は降っていないが、山は雲に覆われていた・・・
時間が経てばガスが上がるだろうと、マチガ沢出合へ移動。マチガ沢は完全にガスっていて上部はほとんど
見えなかった。天気予報では新潟では晴れ間は出ると言っていたので、稜線は見えると思っていたのだが残念。
まぁ雨は降っていないので出発する。駐車スペースは15台くらい。(トイレ無し)

マチガ沢下流部は平凡との事で、マチガ沢と平行につけられた"厳剛新道"を第1見晴台まで利用するのが定石
らしい。下から遡行しても良かったのだが、天気も悪いので、定石どおり"厳剛新道"に入る。第1見晴台までは
約30分。ちゃんと『案内杭』も立っているので通り過ぎる事は無い。途中登山道に沢が流れ込んでいる箇所が
あるので最初から沢靴で登った方が良い。
起点駐車場とマチガ沢
第1見晴台

 第1見晴台からも展望は無く、霧雨交じりの中、明瞭な踏跡をたどりマチガ沢に下降。遡行開始。
やけに水が冷たいので、上に雪渓が多少残っていそうな感じだ。ゴーロ帯を少し歩くと3条のトイ状で水を落とす
30m多段大滝。一番左の水流は枝沢から流れ込んでいる模様。真ん中の水流に取り付く。特に難しい所も無く
最後まで水流を直登出きるので快適。さらにそのまま20mナメ滝へ続く。5m,6m,7mと連続するナメ滝を越えると、
釜を持った3段15m滝。これは釜を左から回り込んで直登。
30m多段大滝
5m,6m,7mと連続するナメ滝
3段15m滝

ここで沢は一旦ゴーロ状になるが、目の前に予想どうり巨大雪渓!!!ガスで最初良く見えなかったが、
近づくと完全にブリッジになっていた。。。ブリッジ部分の雪厚は非常に薄く。数箇所穴があいている。

「これ、相当ヤバイんじゃない?」

ただ、両岸からの巻きも難しく。雪渓の上もかなりヤバそう。ブリッジ幅は5〜60m。ここは守護霊さん頼みで
一人づつ雪渓の下をくぐる事にした。足早に進むが、踏んだ石が動く "この衝撃で・・・"と思うとゾッとする。
無事私がくぐり終え、声を出さず手で監督さんに合図を送り、監督さんも雪渓をくぐる。監督さんも無事突破しお互い
ホッとするが、くぐり終えたところは雪渓の巨大ブロック帯。これを縫うようにして右岸側に脱出。
 しかし、その先に2つ目の雪渓巨大ブリッジ出現。ここは右岸の壁に走るバンドを利用して通過を図る。
雪渓ブリッジの出口には10m程の滝があり、いづれにしろ、我々の歩いている右岸に巻きを強いられるようだ。
と、そのとき、後ろから

「アッ!ヤバイ!!!」 

"えっ滑落?!"と振り返ると。現場監督さんのデジカメが雪渓下へと落下していくではないか!!! 
落下方向は目で追う。。。デジカメは雪渓と岩の間の暗闇へ。。。
「どうします?」
「ヤフオクで買った物なんだけど。。。ちょっと見るだけ見てくる」

と言う事で、ハーケンを打ち懸垂下降。は雪渓と岩の間の暗闇へ。上から、落ちた方向を指示。。。
「アッタ!アッタ!!!」

いやぁ凄いラッキー!少しカメラのボディに傷がついた物の、無事故で救出!作動確認すると、液晶が一部
暗くなっていたが、何とか撮影できそうだった。
そのままザイルを伸ばして雪渓出口にある10m滝上にトラバースする。
                   
完全にブリッジ!!!  
2つ目のブリッジは右岸バンドでトラバース
カメラ救出へ!

そのすぐ上の6m滝は左端に残置シュリンゲがぶら下がっていたが支点のハーケンの利きが甘いので、水流右壁を
微妙なバランスで直登。10mCS、15mナメ、10mと続くゴルジュ内の滝は快適に直登。8m2条はかなり立っているので
左から巻く。その先も2段15mを含め快適に直登出来る滝が続くが、3mCSは左の斜上する壁がツルツルで、
取り付いてみたものの断念。監督さんは右壁から私は真ん中から強引に上がった。
6m滝の右壁を経つる 
この8m2条は左巻き
3mCSの左,斜上ツルツル壁

 その先の6m滝を越えると、沢筋が二俣になる。『日本登山大系』によるとインゼルがあるそうだが、ガスでこれが
インゼルなのか二俣なのかは良くわからない。通常は右に入る様だが、水量の多い左に入る。
左に入ってすぐの10m滝は容易だが6mCSは右から小さく巻いた。
インゼルと思われる二俣
インゼル左の最社の10m滝
インゼル左の6mCS


その先でまた二俣っぽくなる。稜線はガスで隠れており、見える範囲内で判断するしかなく、いかにも沢筋らしい左を
選んだ。水は殆ど流れておらず5mCSは右巻き。次の3mは両手両足ツッパリのかなりアクロバチックな体勢で何とか
突破。
監督さんもTRYしたのだが、なんとスタンスが崩れ落下!一瞬今月頭の事故がよぎったが、怪我も無くホッとした。。。
 この先は平凡で、右に見えるはずの東南稜の取り付き点を探しながら登る。"要の滝"と呼ばれる2m程度の小さい
滝があるとの事だが現れない。稜線は近くなって来た時、
「あれ人じゃない?!」
「えっ?どれどれ」
「岩かなぁ???」
と言ってると、手を振っているではないか!
「そこ稜線ですか?」と声を出すと、
「西黒尾根ですよー!」との返事。。。
遡行図を照らし合わせ確認すると、4ノ沢を詰めてしまったようだ。。。
時間は11時7分・・・
「戻りますか!」
と言う事で引き返す。 途中、草付小尾根を横断して40分弱で本流に戻れた。                  
4ノ沢 3m滝
4ノ沢を詰める
こちらが本流 右上が東南稜

ガスも一瞬消え、現在地も確認。詰めあがる。30m多段滝は3級レベルで快適に直登可能。
その上に4mトイ状滝がありそのすぐ右の岩峰の取り付きに残置シュリンゲを発見。
どうもここが東南稜らしい。東南稜取り付き点は2つあるらしく、ちょっとした岩トンネルをくぐってさらに右に回りこんだ
凹角が正規ルートの模様。 ここでフラットソールに履き替える。3ピッチらしいので1ピッチ目は監督さんにお願いする。
要の滝?
この岩トンネルの向こうから登る

1ピッチ目は凹角を7,8m登って凹角を脱出する所が核心らしい。

「岩が濡れているのでA0スルヨー!」との声。

ビレイ解除のコールが届き、1ピッチ目をフォロー。だが、フラットソールが滑るので
非常に怖い。スタンスは細かくないので沢靴の方が登り易い感じだ。足が滑る不安にさいなまれ、セカンドにも
関わらず核心部ではA0しまくりである。(4級A0)
東南稜 1ピッチ目(カーソルを当てるとルートが出ます) 
1ピッチ目スタート

 2ピッチ目。そのまま私がリード。1段上がったところから右にトラバースするが、濡れた石の上は滑るので慎重に
足を運ぶ。やはりスタンスは細かくないので沢靴のほうが良いかも。。。より易しいルートを選ぼうとしたら、残置が
全く無くルートを外した感じ。。。
突き出た岩を回り込んだら残置ハーケンが現れたので通常ルートに戻った感じ。(3+〜4級)
 下から「ザイル残り10m!」のコールを受けた所で上を見ると長いシュリンゲがぶら下がったヤバゲな垂直ルンゼと
それを左から巻くようなバンドの二通りのルートがある。垂直ルンゼのリードはゴメンなので、必死に残置支点を探す
と運良く残置ハーケンが2,3まとまって打ってある所があり、ここでピッチを切り難しそうな残りのピッチは監督さんに
委ねるとする(笑)
1ピッチ目終了点
1ピッチめ登り
2ピッチめ登り

監督さんが「いやー2ピッチ目も嫌らしいねー」なんて登ってくると、
「次、これなんですけどー」と私が指を指す。

「・・・」

どう見ても左のバンドから巻くのが良い感じだが、垂直ルンゼにぶら下がる長い残置シュリンゲが
"こっち来い。こっち来い"と呼び寄せている感じだ。 その誘いに引き込まれるかのように監督さんが3ピッチ目の
垂直ルンゼに取り付く。 シュリンゲには手が届くがスタンスが少ない。
「全体重シュリンゲにかけるしかないよー」と言っている監督さんの体勢はなんか尋常じゃない感じ。
「こりゃ100%腕力勝負だ」と一歩上がって残置シュリンゲの上にある残置ハーケンにヌンチャクをセットし
ランニングビレイ。さらに腕力勝負で垂直ルンゼを突破した!
これを越えると問題は無いようで、ビレイ解除のコールが届く。
 さて、私の番。。。監督と同じように残置シュリンゲを右手で掴んでスタンスに右足を置くと、体がハング気味になる。
ここで腕力勝負で体を引き付け左足を上げる。ここで左手側のホールドが見つかったので左足を軸に右足を上げ
安定姿勢。ここからはルンゼ出口の岩周辺を所構わず抱きつく感じで垂直ルンゼを脱出。核心を突破した。4+A0
3ピッチ目で出しの核心
3ピッチ目終了点

3ピッチで終了と聞いていたので4ピッチ目はズルズルロープを引くが、途中痩せ尾根が出て来て、長いシュリンゲで
ランニングビレイを取ってせ岩峰ピークで残置ハーケンが多数打ってあるのでここでピッチを切る。
5ピッチ目はV字に切れ込んだ尾根を跨いで越えてあとは草付。終了点となるオキの耳は
あと2ピッチ分の長さがあった。時間は14時過ぎ。デジカメ拾ったり、ルートミスもあって、結構時間を食ってしまった。
 展望も無く風が冷たいので、靴を履き替え早々と下山する。西黒尾根を降りていくと
ガスが切れマチガ沢の全体像が今頃になって見える。晴れたら最高にいい感じかも。。。

温泉は3連休もあってか湯檜曽の温泉宿では入れず湯テルメ谷川まで足を伸ばし、
上毛高原駅で監督さんと別れた。

P.S:とても明るい沢なので天気の良い時がヤハリお勧めでしょう。
   4ノ沢はエスケープルートとして使えます。要ノ滝から東南稜に取り付かなければ
   容易に稜線に出れる感じでした。雪が多い今年ですが、雪渓は遅くまで残っているので注意です。

遡行図(クリックして)





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