2006年10月21,22日 帝釈山塊 西根川細木沢→西根川本谷下降

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m、 靴:フェルト
参考ガイド:日本登山大系
遡行図はこちら

当初、西根川本谷を遡行して帝釈山を挟んで反対側の馬坂沢ジャグジ沢を下降、
次の日、馬坂沢支流のサル沢を遡行して細木沢を下降する計画だったのだが
西根川本谷の取り付きに迷い日程の大幅変更を余儀なくされた記録になりました。

am3:25自宅発→5:49木賊、西根川林道ゲート着
6:08出発→7:13細木沢出合着、7:30西根川本谷遡行開始→10:45敗退→1135細木沢出合
11:40細木沢遡行開始→12:20行動終了(幕営)

自宅から塩原経由で木賊温泉に向かう。コンビニは塩原から先は1,2箇所しかないので塩原に入る手前で
買い物は済ませておいた方が良い。木賊温泉を過ぎ、西根川沿いの林道が左岸から右岸に渡った先400m
くらいで早くもゲートで塞がれてしまった。ゲート手前60m位の所に5台くらいの駐車スペースあり。道は未舗装
だが通常の2WD車で問題は無い。

 仕方なくゲート手前から歩き出す。途中に番号札が不等間隔に立っており、この番号は"15"を過ぎると細木沢
出合になる。細木沢は明瞭で巨大堰堤が見えるので間違う事は無い。ここまでハイペースで歩いてもしっかり
1時間かかった。
西根川林道ゲート手前 
細木沢出合(林道を潜っている細木沢)


 日本登山大系の遡行図は"ヌマゴヤ沢出合から入渓"と書かれてあるが、地図にはヌマゴヤ沢が描かれて
無いので、細木沢出合から西根川本谷の遡行を開始する。林道から見えた西根川はナメが多かったが、
このあたりはいたって平凡。しばらく進むと(2:3)二俣この左から入るのがヌマゴヤ沢か!?ここを右に入る。

それにしても遡行図をみると西根川本谷は帝釈山山頂のやや東側に突き上げているように描かれているが、
地図を見ると2本の沢が帝釈山山頂に突き上げている。いったいどっちを遡行すれば良いのか良く判らない。
遡行図をみると左に入る手前にはナメがあるように描かれている。さらに地図によると左岸からは顕著な沢筋が
1本も入らないので顕著な二俣は右に入れば間違わないだろうと判断する。。。

 ヌマゴヤ沢出合と思われる二俣を右に入ってしばらくすると、再び(1:1)の二俣。地図で確認。これが帝釈山
山頂に突き上げる2本の沢の右俣と左俣か?! ここを右に入る。さらに数分進むと、またもや(1:1)の二俣
とにかく地図を見ると左岸から顕著な沢筋は無いので、ヤハリここも右か!?
 右に入ってみる。しかし、まだ序盤だというのに水量が大分少なくなってきた。なんか嫌な予感。。。
すると今度は(3:2)二俣。。。なんだか変。。。  とりあえず左に入ってみる。
最初の(2:3)二俣
2つ目の(1:1)二俣
3つ目の(1:1)二俣
どれが西根川本谷でしょう?!

遡行図には10m滝が現れるはずだが、出てきたのは20mのゴーロ滝。しかもこの滝の上で水が涸れてしまった。
沢筋は延々と上に伸びているようだが、これはおかしい。。。一旦(3:2)二俣まで引き返す。じゃぁここを今度は
右に入ってみる。6m滝が現れたがその上のガレでやはり水は消えてしまう。。。磁石で確認すると南に進むべき
なのに西に沢筋が延びている。。。
20mゴーロ滝
6m滝 これらの滝を見たらあなたは間違ってます


ここも違う・・・

再び(3:2)二俣まで引き返す。時間はすでに10時過ぎ。 さらに沢を下りその手前の(1:1)二俣に戻る。
この左俣もちょっと入って見たが、10m滝なんか無いし胡散臭い感じ。

「・・・・ったくどーなんてんだ?」

今日の予定は、西根川本谷を詰めて帝釈山を越え反対側の馬坂沢を下る予定だった。しかし、いまだに
どの沢を詰めれば良いか判らない状態・・・
元々、細木沢と思っていたのが違っていたりして???
             「あーもうヤメヤメ!」
という事で敗退を決め込む!

しかし、日帰りだったら温泉でも入って帰ろうかとも思うが、1泊2日の予定で来て明日の天気も良い。。。
 とにかく入渓点まで戻る事にした。
11時半過ぎ、細木沢出合(だよなぁー?)に戻る。
せっかく長い林道をここまで歩いてきたのだから、今日はのんびりして細木沢でも遡行してみるか。
と細木沢に入っていく。

最初の大堰堤は左から容易に巻ける。堰堤にプレートが付けられており、ちゃんと"ホソギ沢"と刻まれていた!!!

「やっぱりそうだよなぁー・・・」

この上にもうひとつ堰堤があり、これも左から巻く。この堰堤越えはチョイト嫌らしい。この上は広河原となっており
良いテン場となっている。時間が早いので、もう少し進んで見ると。3つ目の堰堤の工事現場となっていた。
そこに作業員が!!!
  チョイト話を聞いてみる。。。
この上は堰堤は無く、田代山までは3時間くらいとの事。
もう少し上に上がって、工事現場が完全に見えなくなった所で、今日は行動終了。
ここでは魚は居ないがキノコを探しに良く。一人分ではあったが運良く食用キノコをGET!明日のラーメンの具に
する。
 あとは延々焚き火。。。こんな事になるならもっと酒とつまみを大量に持ってくれば良かった。
2個目の堰堤上
3個目堰堤を越えて
          


7:15出発→(細木沢左俣遡行)8:12水涸れ→9:03田代山山頂→10:00帝釈山山頂
10:12西根川本谷下降開始→11:55(1:2)二俣→12:55(1:1)二俣(周辺探索)→
13:36細木沢出合着→14:37林道ゲート着
15:19木賊温泉発→18:51自宅着

7時過ぎに出発。沢巾は徐々に狭くなってくるが、ゴーロ帯が続く。両岸が門の様になった所に8m滝。階段状
なので直登に問題は無い。滝上で沢は左に大きく曲がる。
残念ながらゴーロ帯は続く。まぁ元々期待していないので昨日ほどの落胆は無い。少し進むと(1:1)二俣
右俣は樹林帯の中に入って行き、左俣は前方にゴルジュが見える。田代山に詰めるなら左俣。後で判った事だが、
細木沢を下降するならこの右俣を下る事を勧める。
8m滝
(1:1)二俣

左俣のゴルジュに入ると良い感じ10m滝。水流沿い左をフリーで直登可能。滝上に出ると50mくらい先で沢は左に
直角に折れ、そこに10m滝。のっぺりしており直登不可能かと思ったが正面(水流右)ルンゼから取り付き、
そこから水流すぐ右を直登出来た。
ゴルジュ内10m滝
ゴルジュ出口10m滝

この滝を越えるとゴルジュは終了、今度は沢筋は右に直角に折れる。。。と正面奥に大ガレが見える。左岸は
のっぺりとした土壁、右岸はガレの上部樹林帯と非対称の様相だ。沢床は一部ナメになっているが概ねゴーロ帯。
地図を見ると正面奥の大ガレの上が田代山となっている。
”あの正面の大ガレに取り付くのはヤバイよなぁー”
まぁ近くに行けば左右どちらかに逃げられるでしょ!。。。と期待しつつ進んでいく。
左岸の土壁は先に進むほどそそり立ってくる。右岸のガレも大きくなり取り付ける所は無い。しばらくすると水も
涸れる。結局両岸のガレの高さは100m近くにせり上がり、
どちらも逃げ道は無し。
「まぁ調査だから、このまま真直ぐ進んでみよう!」と進む。。。風で右岸のガレから砂がサラサラ落ちてくる中、最後の
正面ガレの壁に取り付く。20mくらいの登りだろか?ここで地震が来たら終わりだなぁーと登っていく。
思ったよりも安定して助かる。崩れなければ3級−の登りで大崩壊地の上に出た。
左右非対称の様相 
両岸がせりあがる
大崩壊地最後の詰め


ここから先は巨岩のゴーロ。20〜30分程詰めていくと殆ど藪漕ぎ無しで田代山山頂に出る。大崩壊地からは想像も
出来ないような湿原だ。
大崩壊地上の巨岩ゴーロ 
忠実に詰めるとまさにこの看板出る

さて、時間は9時。このまま木賊温泉に至る登山道を下って帰る事も出来るが、天気も良いし勿体無い。やはり、
ここは昨日サッパリ判らなかった西根川本谷を下って、『一体どーなってんのか』を確認することにする。
とりあえず、下降点を間違わないように帝釈山を目指す。

一般登山道で歩きやすいが意外と時間が帝釈山山頂に10時に到着。
山頂から西根川の方の地形を確認。地図に書かれてある通りに山頂付近から北に細尾根が
伸びている。問題は日本登山大系に描かれてある西根川本谷はこの尾根の西側の沢筋なのかそれとも
東側の沢なのかだ。
とりあえず、ここは尾根の西側の沢筋を本谷と判断し、山頂から少し田代山側に下った所から下降を開始する。
コメツガ系の藪を下っていくと獣道を発見。それを利用したらなんと『至帝釈山』と書かれた看板が落ちていた!
 昨日、堰堤工事のおじさんが、「昔登山道があった」と言っていたがこれの事か!?
日本登山大系の遡行図に描かれてある登山道もこれの事なのね!
・・・とすると、西根川本谷は尾根の西側の今まさに降りている所で正解な訳だ!

沢筋を見つけ下っていくが、しばらく水は現れない。山頂から標高で200m以上下ってようやく水が流れ出したと
思ったら左岸から入ってきた枝沢の方が水量が多かった。ただそちらの沢も様相は平凡。ただ、この先はナメ床
が現れる。トイ状の小滝を下ると7mV字滝。左岸の草付を容易に下降。ナメ床が続き6m滝→7mトイ状と続く。
 こんな感じでようやく水流が。。。
7mV字滝
6m滝と7mトイ状

この当りは確かにナメ床だが、両側が草付なので美しい!という印象は少ない。10m2段ナメ15m2条、10mと滝は
現れるが、クライムダウン、あるいは草付を小さく巻くことで下降が可能。 すると両岸が急に切り立ちゴルジュに
突入する。
10m2段ナメ  
15m2条滝

ゴルジュ入り口に5m滝。ここは潅木にザイルを掛け懸垂で降りる。狭いゴルジュの中には18mトイ状の滝
が現れる。これはちょっと厄介な感じ。支点となる潅木も無い。左岸水流沿いを少し下り草付斜面をトラバースして
左岸にある濡れたスラブに移動。スラブをクライムダウンして滝下に下りる。草付斜面をトラバースがチョット
嫌らしかった。次の2段10m滝は右岸草付を小さく巻く。次の6m滝はクライムダウンで降りれた。
ゴルジュ内5m滝 
18mトイ状と左岸スラブ

これでゴルジュが終了するが、ゴルジュ出口に左岸から25m3段滝で出合う立派な枝沢が入る。水量は(1:2)で
むしろ枝沢の方が多い感じ。遡行図を確認するとやはり降りてきた方が本流と書かれてあるが、この枝沢も
面白そうな予感がする。
ゴルジュ内6m
25m3段滝で出合う左岸枝沢

本流はココから先、一部倒木がうるさくなるが、基本的にナメ床が続く。5mトイ、5mと2つの滝を問題なく下ると10m
日本登山大系に『滝の右手にをハーケンにアブミを掛けて乗り越す』と書かれてある所だ!
確かに直登するにはそれしかないかもしれないが、右岸を小さく巻いて越えられると思う。。。
ふと、水流左に目をやると、綺麗な残置シュリンゲが掛かっていた。おそらく懸垂の支点にしたのだろうが、
自分と同じ様に、この沢を下った人が居ると思うと驚きだ!
もちろん、残置シュリンゲは頂き、違う木にザイルを掛けて懸垂下降する。
ココから先は、トイ状2m位の滝しかなく、ナメ床から平凡な様相に変化。両岸の木がうるさく、夏は暗く鬱蒼とした
様相になると思う。この沢の様相では上流にナメが広がるとは考えにくいかもしれない。
10m滝
下流部のナメ

残る楽しみは、昨日散々迷った何処の二俣に合流するかだ!!!
両岸に注意しながら下降するが、なかなか合流しない。結局、平凡な様相を15分位下降してようやく左岸
から枝沢が(1:1)の水量で合流!!!

”ここはどこだ!!!?”

ハッキリさせたかったので、左岸枝沢を登ってみる。数分歩いて、見覚えのある(1:1)二俣。
ここをさらに右の沢に入ると!昨日行ったり着たりした(3:2)二俣!!!

これで、ようやく西根川本谷の位置関係が明らかになった。西根川本流出合まで戻り、一応ケルンを作っておいたが、
地震が来たら壊れちゃうかな???
答えはこの二俣でした!左が西根川本谷

予定は大幅に狂ったが、多少なりともスッキリして戻る事が出来た。

帰りはの温泉は、もちろん木賊温泉。西根川沿いの公衆浴場(200円,石鹸使えず)に浸かり、引き上げた。


P.S:西根川本谷は泳ぎも無くシャワー登攀は少ないので、出だしの様相を考えると
   秋がお勧めでしょう。西根川本谷に入っても入渓してしばらくは、平凡なので
   注意。下の遡行図を参考にしてください。

遡行図(クリックして)




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