2006年11月4日 男鹿山塊 木ノ俣川 西俣沢左俣

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m
参考ガイド:日本登山大系
遡行図はこちら

遡行対象となる沢で自宅から一番近い西俣沢。遡行記録は雪田爺さんが途中まで行かれた
物しか見た事無い。日本登山大系によると40mにもなる大滝があるが、巻きが多く描かれている。
はたして、この沢は面白いのか???調査遡行する。

4:55自宅発→(一般道)6:28木ノ俣川林道ゲート着、
6:47出発→6:55木ノ俣川/西俣沢出合→7:43小屋ノ沢出合→8:55右俣/左俣出合
→9:32 40m大滝下→12:26黒滝山/西村山の鞍部着
13:15黒滝山/1588mピーク鞍部から下降開始→15:25 40m大滝下→15:45右俣/左俣出合
16:30木ノ俣川林道ゲート着

4時半に出発するつもりでいたが寝坊。急いで出発。矢板方向から板室温泉を目指して県道369号を進み
右手に消防署が見えた先200m行くと『東洋英和女学院那須山荘』の小さい看板がある小道を左に入っていく。
行き過ぎると県道369号が木ノ俣川を横断するのでまぁ迷う事は無いと思う。
 木ノ俣川沿いの林道は途中から未舗装だがかなり路面状態は良い。ゲート手前には40台近く停められるスペース
有り。

ここから西俣沢出合までは歩いて5分もかからない。最初の堰堤は左から容易に越え、入渓する。
平凡な様相からすぐにゴルジュの様相。そこに大きな釜を持った6m滝。いきなり難しそう。高巻きは
左だが、かなり巻き上げられそう。とりあえず釜の左からへつり気味に進み。水流左に取り付くと何とか
直登出来た。
 この6m滝上で沢は左に折れそこに見事な12m滝。直登は絶望的で左岸高巻きにルートを求めるしかない。
草付を20m弱登ってトラバース。潅木を支点に6m程度の懸垂下降で滝上に出る。ここから先もゴルジュっぽい
様相が続くが目だった滝は無い。
西俣沢出合奥は発電所
最初の6m滝
12m滝高巻き途中から

左から8m滝で出合う"小屋ノ沢"を見ると前方に2段20m滝が見えてくる。大滝に近づく上段の2条滝は見えなくなる。
泳いで取り付けば下段13mは直登出来そうだが、さすがに11月。そんな気は起きない。ルートは左岸に滝と平行に
ルンゼが走っていて、ここを利用する。ルンゼには枯葉は詰っており、払いよけたり、ルンゼ左のリッジに移動したり
して登っていく。。。ルンゼ上部には残置ハーケンがあり、割と綺麗なシュリンゲが掛かっていたので回収。
ルンゼを登り切ると既に2段目上の高さまで上がるが。下を覗くと。2段目はすべて岩がのっぺりしており、
1段目を直登してもとてもじゃないが2段目は登れない。。。
2段目の滝の右壁のバンド状をそのままトラバースして2段20m滝を終了する。(3級)
小屋ノ沢出合
2段20m カーソルを当てるとルートが出ます

この滝でゴルジュは終了、打って変って穏やかな様相。この辺りはテン場はいくらでもある。2段4mナメを越え
しばらく進むと丸太橋が掛かっていた。上に上がるとしっかり踏まれている道がある。

”雪田爺さんがアップしていた道はこの事か!”

するとまた丸太橋!西俣沢を縫う様に道が付けられているわけだ。さらに進むと水は少なくなり堰堤手前に
今度は立派な吊り橋!左岸を見ると建屋が。せっかくなので寄って見るとこれは取水所。取水した水に含まれる
枯葉などをここで除去している施設の様だ。。。
するとつり橋から見える堰堤は取水口なわけだ!

取水所から伸びる左岸踏み跡を利用し取水口上に出るとやはり水量豊富。かなり大きい岩魚も何匹か泳いでいた。
そうそう、この沢の水は物凄く綺麗という事を付け加えておく。
 
2段4mナメ
吊橋
取水所

 取水口から少し進むと二俣。 本流の右俣はちょうどここでインゼルとなって入るようだ。水量比は(1:3)
ここを水量の少ない左俣に入る。大岩がゴロゴロしているところに5mナメを始め5mクラスの滝が
2、3出てくる。雪田爺さんはここで引き返したようだが、西俣沢の醍醐味はココからだった。。。
ゴルジュっぽくなって来た所に5mナメさらにその奥に40mの垂瀑が現れる!とりあえず前衛5mナメを直登。
40m大滝を見上げる。

「すげぇーな、これは!」 としか言いようが無い。この大滝を左岸から高巻く。上手く巻けば落ち口のすぐ上に懸垂
無しで降りれる。
"落ち口まで行って見ようか!" とも考えたが、その手前の3m滝が難しそうだったので止めとく(笑)。 
5mナメと40m滝
40m滝にて
40m滝上

この先、100mくらい進むと釜を持った10mトイ状ナメ。下部5mを左から小さく巻いて後は直登可能。
この上で沢はゴルジュから平凡な様相に変化。左岸にはテン場も有り。倒木が折り重なった二俣は圧倒的水量の
ある右に入る。しばらく平凡な様相が続くと一瞬ゴルジュになり7m2条滝が行く手を阻む。直登は右水流だが
まともなシャワーを浴びながら細かいスタンスを拾う感じ。左壁クラックもフリーで4+か?
左壁クラックにチョットTRYもしてみたが"ここで一人で頑張ってもねー"と頭をよぎり左岸を小さく巻く。

10mトイ状ナメ
倒木有り二俣
7m2条滝のあるゴルジュ

 水量の多い沢筋を忠実に選び進むと5mトイ状で始まるゴルジュに入る"S字"に屈曲した所に見事な9m滝
ここは水流右を直登。すると3段15m滝に出くわす。高巻きは右だが、ココは直登してみる。下段は水流左。
2段目そのまま水流左も頑張れば行けそうだが、水流を横断し2段目は水流右。ただスタンスは良いのが無く
小さい凹角に足をねじ込んでなんとか右岩に体を持ち上げる。そこから少しグズグズな場所を2m程上がって
岩壁に突き当たる。通常ならココにハーケン打ちか?! この位置から右にバンドが伸びているので逃げる事も
出来そうだが足元がグズグズなのでチョイト微妙か。左の水流に向うトラバースは下から見ると簡単そうに見えた
のだが、スタンスが外傾気味でシッカリしたホールドが欲しい所。。。だがいろいろ手探りしてみるが今ひとつ
良いのが無い。

「う〜〜ん、やっぱこれしかないかなぁー」

というホールド選んで、慎重にカニ歩きで足を運んで2段目落ち口に足が届いた! 3段目は水流右しか選択肢は
無いが、ここも微妙なので、さらに右のルンゼを利用して小さく巻いた。ただ、すぐ上に深い釜をもった2m滝があり
これも厄介そうだったので、一緒に巻くことにする。
9m滝
15m3段滝 カーソルを当ててください
15m3段上の2m

 一瞬この上でナメ床が現れるが、平凡な様相から源頭部と変化。ただしなかなか水は涸れない。6mナメ、8m
快適に直登可能。もう稜線かなぁーと思うのだが沢筋は思った以上に奥に伸びている。時間は12時前。
日の短さを考えると12時には稜線に出たかったのだが・・・そもそも持ってきた古いデジカメは起動するのに
10秒くらい掛かり、書き込み時間に10秒くらい掛かる代物なので写真撮影に結構時間を食われてしまっているのだ。
”日本登山大系を見ると遡行時間7時間と書いてあったが、マジにこれくらい掛かるのか!”
と今更思ったと事でAFTER FESTIVAL!

 下降ルートも稜線に登山道が有るか無いか、藪の状態で判断しようなんて思っていたが藪藪だとちょっと困った
事になりそう。。。
 あれが稜線かな?と何度も思うが6mナメ6mトイ、5mと水の流れる滝がまだ現れる。ようやく水の涸れた
4m涸滝となり。その上少し進んだ所から沢から離れ斜上する。
ようやく稜線到着!時間は12時半。きっちり遡行に6時間掛かった。
8m滝
6mナメ
6mトイ

稜線は幸いにも藪は薄く。不明瞭ながら赤テープも見受けられたので下降ルートは小屋ノ沢を選択。黒滝山を過ぎ
ると道は明瞭になる。地図見て"ココだ!"と思った所を降りたのだが、どーも笹藪が続きパットしない。
もう一回地図を広げると黒滝山と1588ピークの鞍部の沢筋を降りた事が判ったがやはりAFTER FESTIVAL!
 
細流の7m2条滝、大岩からなる10m滝、そして伏流・・・

で出た所は倒木が折り重なった見覚えのある二俣!!!

"ゲゲッ!40m滝を降りないといけないのか・・・"

時間は14時半前。。。"こりゃーヘッデンだな"

40m大滝上までは特に難しい所も無く順調に降りれる。40m大滝は左岸から懸垂で降りようとするが、
持ってきたザイルは30m。3回の懸垂となった。2回目の懸垂の時ロープを掛けるつもりでいた潅木の強度確認の
意味で両手でぶら下がってみたら、根元の土ごと動いたのにはビックリした。。。
40m滝下からは左岸を小さく巻くように進む。二俣に到着したのが15時半。
雪田爺さんの記録をよく読んでなかったのだが

"取水所まで伸びていた巡視路を使えば早く戻れるだろう"
 
と思い、これを利用する事にした。これが大正解で、 『道』って凄いな! なんて思っちゃう程ペース良く下れる。
水量の多い小屋ノ沢を横断すると車道に変わる。道がS字状に屈曲する所はショートカットしながら
下って行き、おそらくこの真下が基点駐車場だろうという所をチョット下ってみたら予想通り車を発見!
ただ、ここは急斜面で懸垂下降を連続しなければ降りれないので一旦車道まで戻り、場所を変えて降りる。
駐車場到着は16時半。取水所から1時間で戻れた。予想以上に内容が良く充実遡行で満足・・・
ゲゲッ!この二俣は!!!
小屋ノ沢横断
この先から車道になる


P.S:意外と時間がかかるので10月上旬くらいまでに行くか1泊して右俣下降も良いかも知れません。
   魚影は左俣にはいると無し。滝の直登は4級レベルですが高巻き可能。

遡行図




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