2006年11月18,19日 奥秩父 大洞川 荒沢谷本谷→桂谷右俣下降
メンバー:安藤さん、小倉さん
装備:ザイル8mm×30m
参考ガイド:奥秩父の谷105
遡行図はこちら
沢登りも終わりを向え、締めに"焚き火会"と題して日帰りの沢をのんびり1泊2日
で遡行しようという企画を立てオヤジレンジャー隊に声を掛ける。安藤さんと彼の友人の
小倉さんが参加。行き先は大血川西谷を予定したが、短すぎる感じだったので、
大洞川荒沢谷を遡行する事に急遽変更した。
5:15自宅発→6:27太田→8:10秩父駅
9:54市ノ沢大洞川出合林道出発→10:40荒沢橋、1058荒沢谷入渓→11:33桂谷出合→
11:50アシ沢出合→12:50菅ノ平→14:00"通らず"ゴルジュ入り口→15:10テン場
秩父駅に8:30に集合。通常よりノンビリモードだ。小倉さんとは初顔合わせ。小倉さんは、4,5本の沢を遡行され、
泊まりは2回目との事らしい。「行き先どうしましょうか?」という話になり、急遽荒沢谷に変更となった。
1/25000地図は無いが、まぁ"昭文社の地図"があるのでこれで良しとする。ちなみに秩父駅から先はコンビニは2箇所のみ
大洞川沿いの舗装林道を進んでいくと、なんと土砂崩れで道が塞がれていた!すぐ手前に荷揚げ用の軌道が
林道脇にあったので、ここは市ノ沢出合・・・
早速地図を広げて見ると、入渓点となる荒沢橋まで4〜5km。これなら歩いて1時間掛からず荒沢橋まで行けるので、
ココから歩き出す事にした。
パワーショベルが置いてあったので、おそらく来シーズンには復旧作業が終了していると思われる。
昨年11月桂谷を遡行した時にこの道を通ったので土砂崩れが起きたのは長くても1年前だが、至る所に落石が
あり、車が通らなくなると荒れ方も早いんだと驚く。
狙い通り約45分で荒沢橋に到着。入渓準備を整え早速入渓する。アシ沢出合までは昨年遡行しているので
不安無し。昨年はキノコが取れたが、さすがに今回は時期が遅くキノコも終わった感じ。小倉さんは久しぶりの
沢という事もあり、慎重に足を進めている。
しばらく進むと
「あっ!これこれ!」
桂谷出合にある大岩は特徴的ですぐ判る。ここまでは3m滝と2段6mナメくらいが顕著で、あとは平凡だ。
アシ沢出合までも3m程度の滝が見受けられるが全く問題ない。アシ沢出合を超えて倒木がある4m滝は小倉君に
水流右壁をTRYしてもらい見事通過!安藤さんは何の問題無いだろうと思ってたら、ホールドが外れてそのまま
ウォ―タースライダーして釜に落ちてしまった!!! つい笑ってしまった私だが、手や腰をちょっと打ったとの事。
遡行に問題ない程度だったのでホッとする。
これを越えると8m滝。"ベンガラの滝"と名づけられている様で、確かに初めて現れる滝らしい滝だ。
巻きは左からで小倉さんには、巻きを勧める。私は右壁が直登出来そうだったので取り付いてみる。
1歩思い切りが必要な所があったが何とか登れた。(4級―)
左の巻きは沢へ降りるところがちょっと嫌らしそうだったが安藤さんも小倉さんも見事クリヤー。ベンガラの滝上
でゴルジュチックになり、多岩が詰まった滝を乗り越えると平凡な様相になる。進んでいくと右岸がテン場に持って
来いの台地となっており、遡行図を見るとココが菅ノ平という所らしい。当初ここで泊まる予定だったが、まだ13時前。
もう少し先に進んでみる。左岸から2本の枝沢(共に水量比4:1)が合流すると今度は右岸上方に10m近い滝を
持つ枝沢が見え、そこを右に曲がった所から"通らず"と呼ばれるゴルジュが始まる。
遡行図には入り口の滝が2mとあるので、意外と突破出来るんじゃないか! と思ってゴルジュに入ってみると、
確かに2m程度の滝なのだが、釜が深く泳がないと取り付けない滝だった。11月にココを突破するのは自殺行為
なので右岸を高巻く。グズグズルンゼで登りづらい。小倉さんは少し滑り落ちたようで、相当ビビッタとの事。
上から通らずのゴルジュ内を覗くと5m2条滝があり、これも直登する場合は、まともなシャワーになりそうでこの
ゴルジュの通過はかなり厳しい事が予想される。。。
通らずゴルジュの終了点で左岸から狼谷が出合う。ここは懸垂下降無しで左の本流に下りる。ここから先もゴルジュ
だが、行く手を阻む滝は無くナメ床状を快適に歩いていく。
ゴルジュが終了し開けてくると左岸にまずまずのテン場を発見! 時間は15時。前方にゴルジュが見えるが、
明日の下りを考えるともう少し先に進んでおいた方が良いと考え空身で偵察。ゴルジュを抜けた所により良いテン場
が見つかった為、ここまで進み今日の行動を終了する。
「さぁ焚き火だ焚き火!」と3人で大量の薪を集め、ビッグファイヤーで宴会がはじまった。。。
2日目
7:40出発→10:00稜線登山道着→10:30雲取山荘→11:00大ダワから下山開始→
13:25桂谷右俣/左俣出合→15:33荒沢谷出合→16:00荒沢橋→16:39市ノ沢大洞川出合着
小倉さんは沢の下降が始めてということもあり6時半くらいに出発しようか!と決めていたが、すっかり寝坊(^^ゞ
それでもしっかりファイヤリングしたので出発は7時半過ぎ。
小滝をいくつか越えていくと7m滝。これはさすがに直登はムリなので左から巻いた。この先で、(2:3)の二俣が
現れこれを右に100m程進むと(1:1)の北雲沢出合になる。ココを遡行図の通りに左に入る。最初に現れる8m滝
は小倉さんと安藤さんは左を巻き、私は水流左を直登。5m2条を越えた先の8mは水流左の直登も可能だが、
ちょっと脆いので断念して全員右側を小さく巻く。次の6mトイは私が頑張って中央突破。3m3条を越えると水流も
乏しくなる。
この先遡行図では、右の枝沢に入って詰める様に書かれてあったので、我々も2本目の二俣を右に入って詰め
上がったが "終了" と思われた尾根には登山道が無くさらに上に上がる。本流筋を行ける所まで進んだ方が
良いのかも知れない。
藪コギは無いが獣道が交錯する広い尾根をさらに上がる事25分ようやく登山道に到着!稜線は雨ではなく雹!
当初、アシ沢下降で下山する予定だったが、小倉さんの事を考え、ガイドに書かれているアシ沢と桂谷の中間尾根
の踏み後を利用して下山する事に決定。
とりあえず、雲取山荘に向って移動。10分弱で雲取山荘に到着。軽く腹ごしらえをしてアシ沢と桂谷の中間尾根基点
になる大ダワに移動。大ダワから桂谷方向に1、2分程歩き尾根をひとつ回りこんだ所で
「この辺りでとりあえず。。。」
と下降を開始。
とりあえず稜線に上がって下降する尾根を探すが踏み跡もなく、地図とも違うような??? そもそも1/40000の地図
では良く判らない。"ココの尾根かな"と細尾根を下降したが、懸垂はしなかった物の緊張感を伴うかなりの急斜面。
なんか違う気がするのでアシ沢側に出るつもりで200〜300m?降りた所で左に左にとトラバース。沢筋を2本越えて
違う尾根を下ったが、沢筋の方が歩きやすそうだったので、沢に下降する。しばらく歩きやすい平凡な様相を進むと
左から(1:1)で沢筋が合流。しかし見覚えの無い二俣だった。。。さらに平凡な様相を下っていくと、20m以上ある
大滝の上に出た。持ってきた30mザイルでは到底下降不可能。右にわずかな軌跡を残す獣道から巻いて
みると、右にも滝が!!!どうやら大滝で出合う二俣らしい。 アシ沢にはこんな光景無かった。。。
「ココはいったい何処?」
とりあえず右の沢の滝上に出る。こちらの滝はクライムダウンを交えながらの下降が可能。小倉さんにはルートを
指示しながら下りてもらった。
無事下降出来て、我々が下ってきた側の大滝を見上げると
「あー!!!ココは!!!桂谷じゃん!」
安藤さんもこの大滝は覚えていた! 昨年の桂谷の遡行ではこの二俣を左俣に進んだのだ。
今回我々が下降して来たのは"右俣"ということになる。。。
桂谷に下りる事は想定外。アシ沢より滝も多いしモチロン遡行図も持っていない。安藤さんと顔を見合わせ
「あとどれくらい滝が残っているんだっけ?」
「どーでしたっけ???」
時間は13時半。ザイルも30mなので少々不安になる。
案の定、この二俣からすぐに、下降出来ない滝が現れる。適当な潅木を見つけてザイルを落とすと途中のバンドまで
はザイルが届く。懸垂下降してバンドの先を偵察すると何とか先に進めそう。
もう一回懸垂下降してひとつ難所をクリヤー。後で調べたらココは30m6段滝だった。
この先も両岸絶壁のゴルジュだったが、幸い滝がなくホッとする。ゴルジュを抜けた先に5m滝。ここも良い潅木が
見つかり懸垂。その先で、昨年11月ムリヤリ瀑心突破した15m斜瀑の上に出た。ここは滝上から懸垂すると
その後が厄介なので、右岸を高巻き。トラロープが付いている所から懸垂下降。さの先の4m滝、6m滝は小さく
巻いて降りられるが次の6mは左岸を少し上がった所から懸垂下降。すべて30mザイルで下まで届いたので
ラッキーだった。
ここから10分ほど下るとようやく荒沢谷出合に出た。時間は15時半。これでヘッデンを付けての沢の下降はなく
なってホッとする。
荒沢橋16時到着。本来ならココでめでたく終了なのだが、崖崩れの為、車まで長い林道歩きが残っている。
雨も本降りになり、3人一緒にテールゲート下での着替えも大変なので二人を残し先に行かせてもらう。。。
といっても10分も差は無かったけど・・・
大滝温泉で体を温め、パソコンの話で盛り上がりながら秩父で食事。解散となる。
P.S:荒沢谷は概ね平凡。滝はすべて巻けるため初級者でも特に問題は無い。
ただし、大洞川側に下降する場合は日帰りではかなりの強行になるので注意。
今回間違えたアシ沢/桂谷を分ける尾根だが、1/25000地図では雲取山荘から
大ダワの分岐まで進んでしまうと既に行きすぎな事が判った。
桂谷も30mザイルで下降可能だが、やはり時間が掛かるので、自信がなければ
雲取山荘直下のアシ沢を下降した方が良いでしょう。
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