1989年 10月20〜24日 南ア北岳登頂ツーリング

単独、バイク:ヤマハビラーゴ750

昨年、日帰りで前穂高を往復し登山デビュー。ただ3000mから見る、朝焼け、夕焼けがどうしても見たくて、
今回山小屋に泊まる山行を計画!昨年は北アルプスだったので今年は南アルプスという、今にして思えば
安易な計画だった。

初日:晴れ(アプローチ)
AM3:45起床、4:45自宅(千葉県佐倉市)発→(蔵前通り、R20)
  7:30高尾山入り口通過→8:40大月交差点→
  9:48甲府→11:45広河原着

笹子トンネルを抜けると甲府盆地がひらけ、南アルプスが奥に薄っすらとその姿を現す。山頂の方で雪がかかって
いるのが日本で2番目に高い『北岳』であろうか?
 芦安ヘ入る道が解りづらい。。。ページをめくる様に南アルプスの奥へと進んでいく。
  夜叉神トンネルを抜けると北岳、間ノ岳が姿を現す。高い!はっきり言って高い!しかも山頂には雪がかかっていた。
  
 ”広河原”は上高地と違い観光地化されておらず、秘境である。山に登らなければ何の意味も無く、
ただ登山者だけ受け入れるといった感じのところだ。
今日は、広河原のキャンプ場にテントを張り泊まる。キャンプ場は40張り位の広さ。

2日目:曇り時々雨、稜線は吹雪き
 7:50広河原発→8:05白根御池/大樺沢コース分岐→9:44御池小屋着、10:20同発
 →12:00大樺沢コースからの合流点→12:40小太郎山分岐点(稜線)
 →13:15北岳肩の小屋着

バイクでアプローチ&小屋泊まりの為、テント、ヘルメット等は広河原の小屋に預かってもらった。
今回は昨年の前穂高と違い、小屋泊まりと言う事もあり、オヤジが学生時代使っていた古いキスリング、
それと同じくオヤジが履いていた古い皮の登山靴を用意。
それにしてもザックを持つのと持たないのでは大違い。何でこんなにきついんだよー!

白根御池、大樺沢二股分岐点から御池コースに入るといきなり尾根伝いを直登500m!
これをハーハー言いながら登りきると小屋まで30分の看板があり、ここから小屋まではわりと平坦な道だ。

  白根御池小屋に着くと他の登山者がおり、一気に”肩の小屋”まで登るとの事、天気は雲が稜線に
かかっていて、今にも雨が振り出しそうだったが、ここで独り小屋で泊まるのも寂しいので自分も肩の小屋まで
向かう事にした。

 小屋を出るといきなり急登!"これをのぼるのかぁ〜!"  どんどんペースが遅くなり前を歩く人の姿も見えなくなり、
後ろから数名の外国人にブチ抜かれる。
"もう後ろには誰もいない感じ。。。"そう思うと結構不安だ。 20分休んで休憩の繰り返し。
やっとの思いでようやく小太郎尾根に出た。

 ここで、急に風がまともに当たり体が急に冷える。肩の小屋まで30分。。。しかし、雪で道もはっきり解らず、
ただ前の登山者の踏み跡をたどるだけだった。
  5分ほど歩くと手は真っ赤になるが体が冷える為止まることが出来ない、"こうやって遭難するんだなぁ"と思った。
このままではヤバイと、ザックからジャンバーを取り出そうと岩陰を探すが岩陰が見当たらない。
しょうがないのでチョット岩が突き出たところでザックを降ろす。
が、手が完全にかじかんでてジャンパーを取り出すのに一苦労。 ようやくジャンパーを着込むと大分いい感じ。
"さぁ行くぞ!、あの岩を超えれば!"。。。

 しかし岩を超えても小屋が見当たらない。"まだ先か・・・" 
看板を見つけたが雪(氷)が看板に貼り付いて、手ではらっても落ちず何が書いてあるのかわからない。
 "寒い!"でも、ここでくたばるわけには行かない、"今度こそあの岩をのぼれば!。。。
登った!小屋は???

。。。なーーい!!! まだ先なのぉー!

また看板を発見"北岳****まで2分"って書いてある。"****"って何?
廻りを見まわすがただ稜線が続いているだけ。。。もう少し歩く。。。ガスの中に物置みたいな建物。。。
そしてその先に建物が!!!入り口は何処???っとその時人影が!

人影は小屋の主人だった。

主人:「いやぁーもう独り来るって聞いたから。。。」
おれ:「すいません、こんにちは!」

御池小屋であった人が既に中で暖をとっていた。重い荷物をドサっと降ろす。
小屋の主人が作ってくれた"うどん"は暖かくて美味しかったなァ。。。
そう言えば外人パーティが見当たらなかったので聞くと、北岳を超えて八本歯のコルから日帰りで下るとの事だった。
一体何者なんだぁー!
 この日小屋に泊まったのは9人、内学生は自分を含め2名だった。
(小屋代:食事着き5700円、うどん600円)

3日目:晴れ
 5:55起床、8:15北岳山頂着、9:25下山開始→10:25北岳肩の小屋発→10:55
 御池/大樺沢二股分岐→13:35広河原着、14:55広河原発→16:55保川温泉宿着

朝起きると雲が切れ、仙丈カ岳、甲斐駒ケ岳がはっきり見える。北岳山頂にはガスが
かかっていたが、朝日にあたり金色に輝きすごく綺麗だ。山の朝ってこんなに美しいのか!
 朝食を終え、小屋を出る頃には完全にガスも取れていた。


小屋の主人に「下りに気をつけて」とのアドバイスをもらい出発。ここから20分も登ると北岳山頂だ!
"3192m北岳"の看板!360度の大パノラマだ!下をみると広河原が点に見え
る。
肩の小屋と北岳
ありえない恰好で昇っていた!

  しばしの休憩の後下山開始。昨日あんなに寒い思いをして登った道も天気が良ければ快適な下山ルートだ!
広河原に着き、預かってもらった荷物をバイクに積んで今日は温泉宿に素泊まりさせてもらう事にした。

4日目:晴れ(ツーリング)
 6:05起床、8:15保川温泉発(R300)→9:35本栖湖→10:25白糸の滝、10:57同発→
 12:30箱根→13:35平塚(大磯ロングビーチ)、14:07同発→4:00学校(御茶ノ水)着、
 16:35同発→17:00お台場着、18:15同発→19:45千葉八千代台公民館着

P.S: 1年ぶり2回目の登山、この山行もちゃんと記録が残っていた。
   それにしても、10月下旬というのにTシャツ、長袖シャツ、Gパン、戦時中を思わせるようなキスリングという、
   まさに怖い物知らず。何処から見ても遭難しそうだ(^^)。
   "小屋でGパンは止めた方がいい"と言われ、Gパン登山はこれが最後だったはずだ。
    15年以上経った今でも、北岳稜線の吹雪きの中の歩きは覚えている。今では、
   "一般道に精々10cmくらいの積雪で踏み跡あり" だったら何の問題も無いが、
   当時は結構怖かった。看板についた"えびの尻尾"にも驚いていたし。。。
   それでも次の日、天気が良くなったらまた登るぞー!と元気を取り戻していた。
    すっかり忘れていたが、4日目のルート。。。
    本栖湖に大磯ロングビーチ、大学の研究室によって、最後は当時所属していた
    吹奏楽団にまで顔を出してるなんて!元気だねェ。。。


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