2002年10月12〜14 甲斐駒ケ岳 尾白川黄蓮谷右俣

メンバー:植木、弘田
装備:ザイル8mm×45m(帰りの下りで1回使用)、靴:フェルト
参考ガイド:東京コッフェルクラブ森田氏の記録
地形図:甲斐駒ケ岳、長坂上條  

前日移動
19:40自宅発(下道)→21:47北関東自動車道伊勢崎IC→22:11下仁田IC(R254)→10:57 R141合流→
23:55中央道長坂IC通過→0:32竹宇駒ケ岳神社着

南アルプスと言うと、栃木からは凄く遠いイメージがあるが、北関東自動車道を上手く利用すると意外と早く行ける事が判明。
R254はトラックが多いが信号が少ない。長坂IC通過後からR20ヘ抜ける道がチョイト細かい。
駒ケ岳神社ではせっかく奥の方にテントを張ったのに、後から来たパーティが近くにテント張って1時を過ぎているのにベチャクチャしゃべってて
眠れなかった。「遅いのでもう寝ませんか!」といったら静かにしてくれた。(ホッ)

初日(快晴)
6:20竹宇駒ケ岳神社発→6:35尾白川林道ゲート着、6:45尾白川林道ゲート出発→7:52林道終点→8:37尾白川遡行開始
→9:05鞍掛沢出合→11:00黄蓮谷出合、→11:50千丈ノ滝下→12:37千丈ノ滝上→12:59坊主ノ滝下→13:50左俣右俣出合
14:30奥千丈ノ滝手前(テン場)着

やはりこの時期、朝は寒いが安物3季用寝袋と長袖シャツGパン+テントで寝れた。 尾白川林道へ車で移動。現在のゲートは、
林道から日向山登山口が地図で見ると二つあるが、手前の登山口を過ぎた直後にある。駐車スペースは10台弱と言ったところか。

1時間強の荒れた林道歩きだが、水は数ヶ所汲めるところ有り。林道終点正面に尾白川への下降ルートがある。かなり急でワイヤーは無かったが、
シュリンゲやザイルを出す必要は無いレベルで降りれる。

尾白川に出ると二人組先行パーティーがいた。何とここから尾白川を下るとの事!カッパの中にウエットスーツを着込み、バリバリのフル装備だ!
(ゴルジュ13さんとの出会いでした)

我々も入渓準備を整え、早速入渓。紅葉はもうこのあたりから見頃で、歩き始めすぐにカメラを取り出す。
鞍掛沢出合までは幾つかのナメ滝が存在するが、釜は全て大きく深く、膝から上を濡らさない様に歩く。
鞍掛沢出合にかかる滝は右岸を巻く記録が多いが、水流左端から取りつき、目障りなワイヤーの下を行ったり着たりしながら簡単に直登出来る。

"鞍掛沢を越えて左岸にわたり上の滝を越えたところから旧渓谷道"があるとガイドにかかれているが、そんな物は見当たらない。
鞍掛沢から噴水滝までも直登不可能なナメ滝が幾つか存在するが、右岸/左岸を見渡すと意外と綺麗なロープが残置されているので
それを利用して突破する。ロープが無いと結構バランスが要求される左岸のトラバースが1箇所ある。落ちても痛くは無いが、この時期落ちると
心臓マヒしそうなので結構怖い。

 噴水滝はトポに書かれてあるように、2万5千の地図に書かれているところよりずっと手前にある。看板があるようだが見当たらず。
「きっとこれでしょう!」と記念撮影。噴水滝は1段目を右岸側から登りそこから右岸についている巻き道に入る。これを越えて少し歩けば、
黄蓮谷の出合となる。いかにも出合らしい出合なので間違う事は無いだろう。
尾白川 入渓点付近
噴水滝

黄蓮谷に入って一つ目の滝はガイドとは異なり、右岸に残置してあるロープを利用して巻く、左岸の踏み跡は探さなかったが、かなりの高巻きを
強いられそうだ。これを越えると大きな滝もなく、千丈ノ滝が現れる。さすが南アルプス!谷川岳の大滝クラスが早くも出現!といった感じだ。
この滝は3段の滝で、左岸の踏み後で簡単に巻け、植木さんはこちらに入るが、自分は1段目/2段目を直登した、2段目は水流左で3級レベル。
3段目も水流左に取り付きTRYしたが、一歩が出ず断念。上に残置ハーケンがあったので登った人もいるのだが、さすがに単独TRYは怖い。
結局2段目から右岸の高巻きルートに入る。
千丈ノ滝
千丈ノ滝最上段から

千丈ノ滝の上で左から五丈ノ沢が入る。この沢の左に五合目小屋に上がるルートがある(写真→部分)が、赤テープ等は無い。
千丈ノ滝を越えてすぐの8m滝は左岸の踏み後(赤テープ有り)で巻く。途中にいいテン場がある。
千丈ノ岩小屋へのルート

さらに進むと、今度は35m坊主ノ滝が現れる。これは"どー見ても登れそうも無い"。右から入る沢筋を登り途中から潅木対に入り滝上に出る。
坊主ノ滝上に出ると左股が正面に見える。すぐに二俣到着だ!
 
右俣に入って一つ目の2段滝(3段?)は直登は不可能。左岸に踏み後があったので植木さんはそちらへ、自分は右岸で巻こうとした。
植木さんの方は、途中まで行けるが中段以降に現れるトラバースが非常に"やばそう"に見えので、「植木さん!駄目駄目!!!」と叫ぶ!
さすがの植木さんも一旦引き返して自分と同じ右岸の巻きにルート変更。ただ、自分も登り切る一歩手前でホールドにしたい木がぐらついてて、
ハマってしまう。それを見た植木さんは再度左岸の巻きにTRY。その間に、自分は、運を天に任せ、何とか突破。滝上にでて左岸を見てみると、
植木さんがあと5mの所でハマッている。急いでザイル。。。と 取り出したところで,植木さんも突破してきた。

「いやぁ聞いてないっすよ!この巻き!」

と安堵のセリフが出たのは言うまでも無い。

上を見ると、2人の先行パーティーがテン場を確保していた。五合目から黄蓮谷に入ってきたらしい。右俣入ってすぐの滝の事を聞くと、
左岸を登ったがやはり怖かったとの事。「我々もそろそろテン場を探しますか」という事で、少し登ってガケ崩れが心配?な所でテン場を造成
(ここは奥千丈の滝手前だった。)
整地して周辺の草を敷くと、超快適なテン場が出来上がり!あとは、"これでもか!"と言わんばかりの薪を集めビックファイヤーに備える。
日が差さなくなると冷え込みは厳しく、沢シャツ+保温シャツ+カッパでも寒い。ただテントに入ると暖かく、さらに薄手のスキーウエア(上)を
着込み、夏用シュラフ+シュラフカバーで暖かく寝られた。(ここではSoftbank携帯が使える)
右俣に入って一つ目の2段滝(3段?)
奥千丈ノ滝手前で幕営


2日目(快晴)
7:37出発→7:50奥千丈ノ滝下→9:00奥千丈ノ滝終了→10:35奥の二俣→12:20奥ノ3段滝(20,15,10m)高巻き終了→13:15稜線着
→13:20甲斐駒ケ岳山頂、14:07下山開始→15:32七丈小屋→16:15五合目小屋、16:25(五丈ノ沢)下降開始→17:00下降途中で行動終了

今日もバッチリの快晴。焚き火でブナハリラーメンを作っていると早くも少し下で幕営していたパーティが上がってきた。ザイルを肩にかけ早くも
臨戦体制である。
我々も準備し、出発。最初に取りついたガレっぽい滝が奥千丈ノ滝の始まりだった。7m程の滝を「冷たい!冷たい!」と嘆きながら登ると、
どの記録にも掲載されてる核心部といわれるトイ状の滝が現れた。が、これ核心部?というくらい簡単そう。「トップは頼みます!」と言っていた
植木さんが「楽勝ですね」とフリーで瀑心右よりを登っていった。自分も取りつくと確かに簡単快適だ!途中でザックを降ろして写真を撮ったりする。
残置ハーケンは2、3あり。途中、崩落した岩と倒木を越え、そのまま瀑心右よりを植木さんが直登すると、一箇所70cmほどの段で苦戦。
順番を入れ替わり、自分が取りつく、フットホールドのキメがあまく、ガバも無いので、確かに神経を使うが、気合で突破した。(^^)
上でハーケンを打ちシュリンゲを繋いで、植木さんも突破する。
 
ここを過ぎると、"中段のテラス"と言うところにでる。気持ちのいいところだが、チョイト寒い。奥千丈ノ滝はホールドの無いナメを上部に持つが、
ここは水流右を巻いて奥千丈ノ滝を終了する。終了地点にテン場有り。
奥千丈ノ滝(水流右を快適に登れる)

このあと、滝を2,3つ越えると沢筋が二つに分れる。上部でまた一つになるのだが、植木さんは左の沢筋の水流左を。自分は中央インゼルの潅木帯
(踏みあと無し)を登る。左に行きすぎると烏帽子沢に入ってしまうという恐れから、植木さんもインゼルに入ってきたが、このインゼルの登りもかなり疲れた。
これを登り切ると、またもやテン場あり。眺めバッチリだが風が強いと怖そう。

ここからは、奥ノ二俣が見える。左側が本流筋だが、直登は難しいそうなので、ガイドの通り、右の沢筋を少し登り、踏みあとを利用し、
本流側にでる。滝はこのあたりから凍り付いていて、緊張を強いられる。
奥ノ二俣

このあと、20m/10m/10mという3段滝があるのだが、8割方凍り付いていた。3段目は直登可能らしいが、これでは全く登る気になれない。
幸い3段滝には左岸に巻き道がついており、これを利用する。ただし空気も薄いせいか、かなりきつい。しかも、なかなか沢筋に出ず
いつまで高巻きしてるんだ?という不安も出る。結局ハイマツ帯の踏跡を突破すると、ようやく沢筋に出るが、ここは3段滝を越えてかなり登った
ところだ。
最上部の三段滝の最上段10m滝

ここからは源頭部の様相となっており、雪混じりの凍りついた沢筋の乾いたところを選んで登っていく。途中から夏ならばお花畑だろう踏跡に入り、
息を切らせながら登ると山頂から東側の標高差で15mくらいの鞍部の稜線に出た。

稜線の反対側では秋の日差しに照らされポカポカ陽気。摩利支天の奥に鳳凰三山そしてその奥に富士山と絶景が広がる。植木さんも上がってきて
握手を交わして頂上へ。北沢峠からの登山客でにぎわう山頂で我々も360度の展望を楽しむ。
駒ヶ岳山頂にて

黒戸尾根の下降はかなり急。腰が痛いという植木さんには相当辛そう。神様が祭られてるこの山だが、最初に現れる鳥居から甲斐駒ケ岳を
振り返ると、まさに"神が宿っている"と思える山容だ。七丈小屋は素泊まりで2500円らしい。五合目小屋は管理人がいない非難小屋みたいなので、
黄蓮谷に下るルートは七丈小屋で聞くのが良いのかもしれない。我々は、そうとは知らず五合目小屋まで一気に下ってしまった。

さて黄蓮谷に下るルートだが、我々は、倒壊した小屋とハシゴの間から下り、沢筋沿いを適当に下った。途中ここの沢筋の右岸尾根に踏跡を発見し
下ったが、さらに右から来る沢とぶつかったところで17時になり、黄蓮谷まで出るのを断念。適当にテン場を見つけ造成作業に入る。
(後日タイム計算すると五合目小屋から黄蓮谷まで下り1時間4分)


3日目(快晴)
7:50同発→8:12千丈ノ岩小屋→8:32千丈ノ滝上(黄蓮谷着)→8:53千丈ノ滝下→9:35尾白川出合、10:45噴水滝上→11:43鞍掛沢出合、
11:58同発→12:27尾白川林道登り口着、12:47同発(途中キノコ捕り)→14:25ゲート着

林道ゲート発→15:15ふれあいの湯(R141)、16:15同発→16:30食事(小作)→(R254)19:35伊勢崎IC→(R50)20:32佐野藤岡IC→20:52上三川IC→21:10自宅着

今日も嘘のような快晴。準備をし、黄蓮谷を目指し沢を下る。途中、沢筋を下るのが困難と思ったところから右岸の尾根にでたら丁度
"千丈の岩小屋"に出た。岩小屋下にテン場が二つ、岩小屋上にもテン場がある。しかし、結構ゴミが多いのが気になった。

岩小屋からは登山道並の踏み跡が千丈の滝まで続いている。 ここから、千丈ノ滝は右岸の踏み後ですべて難なく下れ、尾白川の下りも
登りと同ルートで戻る。林道への登り口は、青いビニールシートと小さいケルンが目印だ。 林道歩きの途中でキノコをGETし車に戻る。

温泉は、須坂まで戻り、ふれあいの湯と言うところに入ったが800円で露天も無し。チョイトはずした感があったが、R141沿いの"小作"で
「ほうとう」を満喫。3連休なのに渋滞も無く帰る事が出来た。
 
これで、昨年の大敗退で胸につかえていたものが取れた。。。

P.S:上部の滝は凍っていたので、黄蓮谷の沢登りは10月上旬で限界と言ったところか。今回は非常に良い天気に恵まれたが、ちょっと曇ると、
   奥千丈ノ滝から先が非常に迷いやすく非常に危険。また1泊2日でこなす場合は、最低初日に奥千丈ノ滝を越えておく必要がある。
   いずれにしても2日目の天気が曇りの予報であれば中止にした方が良いと思う。 
   
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