2003年6月21日 鶏冠谷左俣 鶏冠尾根下降

メンバー:単独
装備:ザイル9mm×45m(鶏冠尾根下降で1回使用、鶏冠尾根下降だけなら20mで足りる)
地形図:金峰山

昨年から行きたかった鶏冠谷。。。私のHPと相互リンクしている現場監督さんが昨年遡行し下山で相当苦労された記録を熟読、
プレッシャーのかかる今回の遡行となった。

前夜移動アプローチ:CR-X
18:05自宅発(R407、R140)→21:00花園IC通過→22:38西沢渓谷駐車場着
4:50西沢渓谷駐車場発→5:40鶏冠谷出合→→6:58奥ノ飯盛沢出合→8:02二俣→8:45一ノ沢出合→9:02二ノ沢出合→9:14三ノ沢出合
10:45鶏冠尾根、11:03下山開始→11:40鶏冠山山頂→12:10第三岩峰→13:25第二岩峰→14:35鶏冠谷出合→15:47西沢渓谷駐車場着
15:56西沢渓谷駐車場発→18:50太田駅通過→20:42自宅着

下山ルートとなる鶏冠尾根が非常に迷いやすい事を考慮し早出する。東沢に入り、平凡な河原を進む。鶏冠谷出合は入り口の大きな木に看板が
付けられており間違う事は無い。鶏冠尾根の登山口も同じ場所にあり。最後はここに戻ってくる事になる。
鶏冠谷に入り、いくつかの小滝を越えると早くも12m魚留め滝が現れる。通常は左岸を巻くとの事だが、現場監督さんが直登されたそうなので、
私も頑張って取り付く。下段は簡単。問題は上段で、監督さんの記録によると水流右にハーケンがベタ打ちされているとの事だが、なかなか見つからない。
飛沫がかかる中、かなり右端でボルトを発見!そこからハーケンベタ打ちラインが伸びていた。 ラインと言っても、右足を挟み込めるだけの岩溝が上に
伸びているだけで、左手左足のホールドが全て甘い。フリーソロではリスクが高いので、一応ボルトにヌンチャクを掛け、長いシュリンゲで一応セルフを取る。
右足を溝に嵌め込み一つ目の残置ハーケンに手が届く。さらに右腕を伸ばして二つ目のハーケン届いたが、ハーケンの穴が使えずNG。。。
仕方ないので、微妙な体勢からなんとかはい上がり3つ目のハーケンにヌンチャクを掛け、シュリンゲを通す。ここからも微妙なバランスでなんとか滝上に出た。
”所謂A0しまくり。。。”はっきり行ってハーケンがベタ打ちされていなければ、自分は登れない。現場監督さんの情報がなかったら、100%巻いていたと思う。
鶏冠谷出合
12m魚留め滝(カーソルあてて)

この先、飯盛沢の出合に気付かず進行方向左手に奥飯盛沢出合にある大岩壁が見えてきた。本流には3段12mナメ滝がドーンと現れ、休憩には
もってこいの場所だ!3段12mナメ滝の際下段は水流右壁に取り付くが、全然登れないのでそのまま右から1段目だけ巻いた。(水流左ならば行ける様だ?)
癒し系のナメです
奥飯盛沢大岩壁
3段12mナメ滝

 この滝を登りきると、核心と言われる20m逆「く」の字滝が正面に現れる。昨年監督さんが誤って滑り落ちてしまった所だ。私もカメラ等、貴重品をビニール袋に入れ、
ザックカバーを取り出し完全武装!一段目は水流右淵を登る。確かに1段目は簡単。1段目を登り切るとシュリンゲが数本右壁にぶら下がっているが、
シュリンゲがある方のルートは何だか難しそう。そのまま水流沿いを登る、右手で指3本かかるホールドを取り、左足を決め、左手をアンダー。。。
「よし!行ける!」
なんとか無事突破・・・ 滝上から見ると、やはり水流沿いの方がシュリンゲの掛かっている右壁ルートより簡単そうだ!
20m逆「く」の字滝
滝上から屈曲部分を見る(カーソルあてて)

この後、1箇所深い釜を持った5m滝がありそれを突破するとすぐに二俣に出る。 左俣に入ると10m滝。一見直登はムリかと思ったが、水流右壁
のコンタクトラインで直登できた。早出したので、ようやくこのアタリから沢に日が当たってきて滝も美しい。
深い釜を持った5m滝
二俣
10m滝

これを突破すると左から一ノ沢のスラブ滝が出合う。本流は20m近いの直暴で、登れそうも無いので左岸を巻く。この後出てくる一箇所10m程の
トイ状滝はシャワーで突破。ここから先は、気持ちよいナメが随所に出てくる。沢も明るく「秋は美しいだろうなぁ。。。」と思わせるには十分だ!
一ノ沢出合(右が本流)
二ノ沢出合(?)
10mトイ状滝
快適なナメが長く続きます

快適なナメを超えると少し荒れた様相になる。この先にかかる10mトイ状滝はガイドでは4級と書いてあるものも、ホールドは十分あり3級−の印象。。。
問題なく登る事が出来た。水はこの滝を越えると涸れ気味になるのでここらで水汲み。通常は500ccペットボトルを持ち歩いているのだが、
暑さを考え900ccペットボトルを持ってきたのは後で大正解となる。(真夏に鶏冠尾根を下る時は1L以上持って行かないと不安を感じながら下山する事になるので注意!)
水が完全に消えてから、鶏冠尾根稜線まではヤブはうるさくないが、急な登りを30分強いられたが、11時前に鶏冠尾根に到着
荒れた感じの様相に変化
10mトイ状滝
鶏冠尾根到着です♪

稜線の登山道は思ったよりはっきり付いていた。靴を履き替え、『迷よ迷よの鶏冠尾根』を下る。赤や黄色いビニールテープが木に巻かれているのを
頼りに下るが、最初はやせ尾根なので迷わない。時に色あせたペンキの時もあるが、必ず15m以内の間隔でテープor 印があるので必ず次のテープが
見つからなかったら元の位置に戻る事。
鶏冠山山頂まではそんなに迷わないと思う。鶏冠山山頂は枝に鶏冠山と書かれた空き缶がぶら下がっているだけで、登山道は山頂の鶏冠谷側を
通り過ぎるように付けられているので見過ごしてしまう人も多いだろう。山頂からは甲武信ガ岳が見えるので、振り返っても鶏冠尾根で見えなくなってしまえば
山頂を通り過ぎていると思っていいだろう。
鶏冠尾根を下る
鶏冠山山頂

あるガイドにもあったが鶏冠山山頂を過ぎて途中左にある岩峰をぐるりと回り込むしっかりした踏み跡があるが、これは一ノ沢から登山道に
這い上がる道なので入らない事。正規ルートには赤テープがちゃんと付けられているので、忠実に! さらに下ると『第三岩峰迂回路』と書かれて
いるはずの二つに割れた看板がある。ここを右に入ると第三岩峰のピークにでる。ここに『鶏冠山』とかかれた立派な杭が立っているが、ここは本当の
山頂では無いと、ここでばったり会った鶏冠尾根を登ってきたパーティの方々が言っていた。ただ眺めは非常に良いので休憩にはもってこいの場所だ。

 さて、鶏冠尾根が本当に『迷よ迷よ』になるのはここからで、『第三岩峰迂回路』の看板を左に下ると『第三岩峰』をぐっと回り込むのだが、
テープが無い!と思ったら上に登る様にテープが付けられているので要注意。 とにかくテープの間隔は15m以内なので、次のテープが見つからなかったら、
戻る事。この後に5m程の懸垂下降も出てくる。ビレイはボルトとハーケンがガッチリ利いており、残地シュリンゲも数本あるので安心。

懸垂下降終了後は岩峰稜線をテープに従い歩く。。。。第2岩峰を回り込む当たりも迷いやすいが、やはりここも15m以内にはテープやペンキマークが
あるので見失ったら必ず戻る事。テープもいらないなぁと思える位に道がしっかりしてくると沢の音が聞こえ始め、鶏冠谷出合にでる。
第三岩峰のピーク
第三岩峰から
鶏冠谷に降りてきました

P.S:南面の沢なので紅葉の時期もお勧めかも。鶏冠尾根は暗くなると下山は大変困難なため、日没まで3時間程度しか無かったら、
   面倒だが甲武信ヶ岳まで登って一般道を下った方が安全だろう。
   12m魚留め滝と20m逆「く」の字滝のコンタクトラインは現場監督さんのhpがとてもよく解るのでこちらをご覧ください
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