2004年5月8、9日 大洞川和名倉沢、市ノ沢下降 メンバー:現場監督さん、弘田
装備:ザイル9mm×45m
参考ガイド:東京周辺の沢
現場監督さんの遡行記録はこちら
GWの鹿島槍東尾根と一緒に計画した今回の遡行計画、井戸沢も考えたが、クライマーの現場監督さんも一緒なので、滝が多い
和名倉沢に行くことにした。
前夜移動
18:22自宅発→(下道)20:05太田通過→20:55花園IC→21:45西武秩父駅(待ち合わせ)→23:05荒川村道の駅
現場監督さんと西武秩父駅で待ち合わせをし、"荒川村道の駅"へ移動してテントを張る。荒川村道の駅は
携帯OK、コンビニは秩父を過ぎるとなくなる
ので注意。 初日(曇り)
7:10大洞林道駐車スペース着、7:30出発→8:00和名倉沢入渓→8:55石津窪出合→
10:13氷谷出合→11:15"通らず"下→11:50大滝2段50m下
→13:10大滝2段50m上→15:10 3段8m滝下(幕営) 和名倉沢へのアプローチは、「東京周辺の沢」に書かれてあるように、三峰観光道路が左に大きく折れ
曲がり、大洞林道(こちらも舗装)が直進する
分岐の所に車が7,8台駐車できるスペースがあるのでここに車を置く。(トイレも水も無し、携帯は繋がらない) ここから秩父湖方向に見える大きな谷筋が 和名倉沢になる。 この駐車スペースから、来た道を100m程戻ると尾根状のところでガードレールが切れており、ここから明瞭な踏跡がつけられている。これを下って橋を
渡り、5m程登ったところから和名倉沢に向かってヤブを漕ぐ。 この踏跡を登り続けても和名倉沢に出るはずだ。。
和名倉沢に入渓してしばらくは5,6m程度の滝がいくつか現れ、難なくこなしていくと、"弁天滝"と名付けられた15m〜20m程の大滝に出る。巻きは左岸だが
、直登ルートを現場監督さんと探る。直登するなら水流右だが、中間部の2mに全くホールドが無いのと、1段目終了点の様相が下からでは 全く判らない。 どうしようかなぁー。。。なんて考えていたら、現場監督さんが「うわぁ!」と悲鳴を上げる。 見ると半分腐敗が進んだカモシカの死骸だった!
お互い既に沢の水を飲んでしまっただけに、"おぇー"って感じ。。。
先月も丹沢で鹿の死骸のちょっと下で
水を飲んでしまったばかりなのに、またしても… 二人とも、鹿クンの気色悪さにテンションがさがり、この場から逃げるように巻きに入る。
ここから少し行くと、一旦広河原状になり左岸に、ワサビ田を思わせるような場所を通過。氷谷の見事な滝を
写真に収め、さらに進むと、すうじいさんの
HPで見た"通らず"といわれる難所にかかるナメ滝に出た。6m程度で、傾斜は強くないので落ちても怪我はしないが、釜は足が届かないくらい深く、 落ちたら全身ズブ濡れだ。通常は 右岸を巻くようだが、ここは突破してみましょうか!と言う事で意見が一致、ルートを探る。 水流左壁がルートだが、ここに取り付くためには水流を横断しなければいけない。水流中を足でホールドを探すが、足を置けるところが無い。。。
仕方ないので、ザックを背負ったままノーザイルで水流左側の傾斜が緩い所めがけて ジャンプ!着地もうまくいき、左壁をへつり気味に上がると、 1箇所残置ハーケンを発見。 現場監督さんもここで水流を飛び越える。
ここから自分は水流左のヘツり、現場監督さんは水流左壁を。。。という、登攀では禁じ手の"リポビタンD登攀"になる。
左壁の岩は思った以上にもろく崩れて
しまうところある。さらに私は選んだ水流沿いルートは水流に足をとられても落ちないほどのガバホールドが無く厳しいヘツリになってしまい、それを見て いた監督さんから「右手の位置を!」と力のこもったアドバイスをもらう。右足がちょっとでも滑ったら終わりという一歩をなんとか滑らずにムーブ出来、 "通らず"入り口の滝を越える。現場監督さんが選んだルートもカブリ気味の壁でへつるのに微妙なバランスを 強いられていたが、私の出したシュリンゲに 頼ることなく突破! 「いやぁー見てて、自分が登っている以上に力入っちゃったよー!」
と監督さんに言われてしまった(笑)
"通らず"のゴルジュも最初の滝を登ってしまえば"通れる"に変わってしまい、ゴルジュを難なく抜けるとこの沢のハイライトである50m大滝が姿を現す。 イヤー凄い!埼玉県にこんなすごい滝があるんだ! この滝は"右側ルンゼから高巻く"と、どの記録を見ても書いてあるが、"通らず"を突破して気が大きくなった 我々は、 大滝の一部でも良いから直登出来ないかを探る。すると水流左から取り付いて、15m程直登して、テラスっぽい ところから滝の右岸巻を巻くという ルートで意見は一致。早速、ザイルを持たない現場監督さんが取り付く。。。 しかし、いきなり最初の一歩が難しいらしく「ここはチョイト難しいなぁ」との事なので、自分はもう少し瀑芯から離れたところから巻き気味に上がって、上から
現場監督さんをフォローしようとした。しかしこのルートもかなり難しく、先に突破した監督さんからシュリンゲを出してもらう始末。 ようやく、7mほど登ったところだが、ここから水流沿いは見た目以上に悪く、水流左のヤブの中を直登。ホールドになりそうな樹木は見た目と異なり意外と
少なく、足元は崩れそうで不安、かなり困難な登りとなる。 それでも監督さんは「ここまで来たら行くしかない」とトップで登っていく。自分はグズグズ急斜面の 登りとトラバースの 連続におびえ「シュリンゲ出して〜、シュリンゲ出してぇ〜!」と完全にアップアップ状態。 ようやく傾斜もゆるくなって滝の落ち口側に回り込むが、大滝の上は深いゴルジュになっており、降りたら上がって
これなくなりそうなので、さらにこの
ゴルジュも巻く。 結局、大滝の巻きに1時間以上を費やしてしまった。 ガイドを無視した祟りとしか言いようが無い。。。
ホッとして一息いれて、再び歩き出すと、正面に30m級の大滝が現れる。これは船小屋窪の支流の滝と判って
安心したのもつかの間、またもや20m級の
滝が姿をあらわす。ガイドを見ると3段15m滝と書いてある。 この滝は左岸を大きく巻く事も可能だが、小さく巻いて水流に向かってトラバースして2段目上には簡単に出られそう。自分はこのルートで滝の2段目上に
出た。さて最後の3段目5mだが、下から見ると登れそうだったが、垂直&出だしがカブリ気味だった。残置ハーケンもあり、 "ザイル出しましょう"というところは意見が一致、
弘田:「監督さんトップどうぞ!」
監督さん:「いや、どうぞ、どうぞ!」
とあっさり返り討ちに遭ってしまい、私がリードすることになる。一応、最初のカブリ気味3mはホールドは全て
ガバなので強引に登っていけたが、3m登った
ところにあるバンドの奥行きが狭く立ち上がるのが困難。微妙なバランスで立ち上がり、バンドを少し水流から離れる方向にトラバースして潅木にビレイし ホッとする。
滝上に出て、監督さんもあがってくると「ここ、結構怖いよー!」 うん、確かに怖かったです。。。
いい時間になってきたので、ガイドに書いてあるテン場を探しながら歩くがなかなか見つからなかったが、ガイドに核心と書かれてある3段8m滝手前に
絶好のテン場を見つけ、今日の行動を終了する。薪も豊富でワンサカ掻き集め、早速焚き火! で、恥ずかしながら現地確保ではない"ニジマス君"をザックから取り出し塩焼き、冷やしたお酒で乾杯する。 今回は、羽毛冬用寝袋を持ってきたが、これだと、沢登りの格好のままで、温かく寝れた。
二日目(曇りのち雨)
6:07出発→7:20 20m滝下→8:23奥の二股(2:1)→8:45稜線→9:10和名倉山山頂、
9:20下山開始→13:40大洞ダム
→14:50大洞林道駐車スペース着 15:10同発→(大滝温泉経由)17:08秩父駅発→18:55太田通過→20:30自宅着
二日目はすぐに3段8m滝(?)で始まる。シャワーを浴びれば突破できない事もなさそうだったが、さすがにこの時期朝一からシャワークライムする気に
なれず、水流左を小さく巻く。この先で水流(2:3)の二俣を右に進み。5m滝も水流通しで直登。
小滝をいくつか超えていくと最後の3段25m滝に出る。25m滝と言っても下の10mを突破すれば全く問題ない。この滝も容易に右から巻けるが、シャワーを 浴びれば直登可能と判断、 「ちょっと話のネタに行ってみます!」といってカッパとザックカバーを取り出し水を頭からかぶりながら、滝に取り付く。しかし、最初の4m程を直登したところまでは
良かったが 水流右に逃げ出すところでフットホールドが無くハマッてしまう。心配そうに見ていた現場監督さんが慌てて、「上からシュリンゲ出すよ!」といって 巻きで登っていった。 その間、「うーん、情けない・・・」と、自分はただただ水に打たれて監督さんのありがたいフォローを待つばかりであった。かっこわりぃ お助け紐で脱出し、25m滝も残りの2段を問題なく突破すればもう大滝はなく、水流もどんどん細くなる。
最後は藪コギなしで二瀬尾根に出た。
二瀬尾根の道は、この辺りでは以外にも明瞭で赤テープもある。赤テープを忠実に追って和名倉山山頂に到着。多くの記録の通り、和名倉山山頂は全く
展望がなく何でこれが200名山なのかは疑問だ!風も冷たいので、磁石で方向を確認し下降ルートとなる市ノ沢をめざす。 ちょっと進むと踏み跡は無いもののこちらにも赤テープがあった。5〜10分ほど進むと木に赤テープが3段に巻かれ、手前に木にコップが掛けられている
ところが現れここで尾根が左右に分かれる。この左右に分かれたところから降りれば市ノ沢と思われたが、赤テープは仁田小屋尾根の方向にずっとつけら れており、しばらくこの赤テープに引きづられるように仁田小屋尾根を下ってしまう。この赤テープは全く市ノ沢側へ降りていく感じではないので、途中から 市ノ沢側の谷へ適当に下る。
ガレを下っていくとやがて市ノ沢本流と思われる沢筋にぶつかる、釣り人も結構入るのだろうか?ゴミなんかもチラホラ見受けられる、そうした中、ふと目を
やると、 な、な、なんだ!これは!!!沢とは全く縁のかけらも無い”アダルティック”な雑誌の写真が落ちているではないか!しかも4ページ分!
弘田:「監督!これはどう解釈すればいいんでしょうか?!」(笑)
現場監督さん「こ、これは普通に売られている雑誌じゃないな・・・」
うーん!さすが現場監督さん考察が深い!!!
結局この雑誌の切れ端は"次に来るパーティーへのお土産"としてきれいに折って元の場所に置いておいた。
かなり下降したつもりだったが、4mスダレ状、多段30mナメ滝がようやく現れ、まだこんな所なのかと思うと少々うんざり気味。すべての滝はノーザイルで
下降出来、。芝沢を過ぎて現れるゴルジュは左岸を巻いて降りられる。しばらく下ると、2人組の釣り人を発見、大洞ダムから1時間半くらいで来たと聞き、 少しほっとする。岩穴沢出合からは赤テープも出てきてようやく大洞ダムに到着。大洞林道までの急登に耐え舗装された大洞林道を歩き、駐車場に到着。 帰りは、大滝温泉に寄って秩父で解散する。
P.S:和名倉沢の大滝はすべて巻きが可能だが、全部高巻きしてしまうと面白みに欠けるかも。
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