2004年6月5,6日 丹波川流域 一ノ瀬川 大常木谷→竜喰谷下降

メンバー:独身貧乏貴族さん、ひろた
装備:9mm×45mザイル(9mm×20mが便利かも) 靴:フェルト
参考ガイド:東京周辺の沢

小生のhpの掲示板の常連さんの独身貧乏貴族さんとの初計画。大荒川谷も候補にあがったが、「車を持っていない」との事だったので、車1台で行ける大常木谷、
さらにお隣の竜喰谷を下るルートで計画を立てた。


前夜移動
19:00真岡発→20:32 R16号→21:35川越IC通過→22:16JR青梅、22:48同発→23:30丹波村着

JR青梅駅で独身貧乏貴族さんと待ち合わせ、身長180cm以上で私が届かないホールドも余裕で届きそうでうらやましい。彼は東京の山岳会に昨年入会
し、毎週のように岩トレや沢に入っているとの事。
この日は、丹波村まで行き、4月に利用した記念館?の駐車場で泊まる。私のテントが1〜2人用と思って
いたのが完全に一人用でしかも全長が短く、彼には迷惑をかけてしまった。私は、車の中で寝る。


初日(快晴)
6:30起床→7:20一ノ瀬林道大常木谷下降ポイント着、8:00出発→8:25大常木谷入り口→9:30千苦ノ滝下→12:15不動ノ滝2段13m
13:55会所小屋跡→15:15 15mCS滝下→
16:10 5m滝下テン場着

ガイドによると一ノ瀬林道(舗装)を入ると『切り通し地点』があって、その先に『大常木谷下降点』の標柱がある。。。なんて書かれてるが、お互い
「"切り通し"って何?」って感じなので"大常木谷下降点"の標柱を探す。
しかし「ないねぇ…」なんて言っていると、ちょうど沢の格好した中年5人組がいたので
聞いてみると、大常木谷に行くとの事。。。結局、『大常木谷下降点』の看板は無く、大きな丸太が横たわっている所に色あせた赤布を発見。
駐車スペースは車2台分


早速入渓準備をして、車を停めた所から一ノ瀬川に下る。道はしっかりしており問題は無い。一ノ瀬川に降りてから15分ほど本流を下ると、大常木谷出合
になる。早速釣り人に会い、話を聞くと「いやーまだ1匹」との事だったが20cmくらいは
あった。自分も、竿を持ってきたが、明日雨ということで、今日は出来る
だけ進んでおこうと言うことになって、
釣りをやる時間があるかどうか…

 丸太の後ろに赤布有。ここから下降する  一ノ瀬川本流に降りてきました  大常木谷に入ります

なんてことないゴルジュを進んでいくと、先ほどの5人組の姿が見えた。妙な所で立ち止まっているなぁと思ったら、 大釜が行く手を塞いでいる。深さは2m
はあるだろうか、滝をみても、果たして泳いで滝に取り付いても登れるのだろうかという感じだ。早速ガイドを取り出してみると、ここが"五間ノ滝"。水流右
を快適に登れるとの事。そりゃぁ夏は快適かもしれないが、釜に足を付けているだけでも冷たく既に寒い。左岸ルンゼから巻いた形跡も若干見ら
れるが、落ち口へ向かってのトラバースはかなり厳しそう。そうこうしているうちに中年5人組のトップが空身でザイルを伸ばし泳いで滝に取り付いた。

釜に付けている足はすでに冷たくなってきており、先行パーティー5人が全員突破するのは時間がかかりそうだったので、独身貧乏貴族さんが持ってきた
7mm×10mサブロープを伸ばし、右壁沿いを泳ぐ。

冷たい!!!はっきり言って冷たい!
水流右のホールドに手が届き、滝自体は難なく登れたが、足の振るえが止まらない。独身貧乏貴族さんも何とか突破してきたが、寒い寒いを連発。
早速お互いカッパを着込み、歩き出す。
深いゴルジュは日が差さないのでつらいところだ。

 最初のゴルジュ先で先行パーティを発見!  五間ノ滝(泳いで水流右から突破)  五間ノ滝上のゴルジュを進む

ここから、15分ほど進むと見事な滝。これが千苦ノ滝と呼ばれると滝だ。25mと書いてあるがそこまで大きいイメージは無い。この滝はどの記録を見ても
直登不可能と書いてあり、
確かに両側垂壁なのだが、よく見ると水流左から登れそう!早速空身で偵察!!!水流左に渡るとなんとジグザグの階段状で
落ち口の1.5m下くらいまで余裕で登れそう!しかもそこまでのグレードはせいぜいV せっかくなので、調査目的で取り付く。

多少、飛沫はかかるが確かに楽勝!落ち口の5m下くらいまで登ると残置シュリンゲがぶら下がっているのを確認。。。問題は、落ち口の上がどうなって
いるかだ!

一応独身貧乏貴族さんにここからOKサインを送ってクライムダウン。独身貧乏貴族さんに、「行けそう!」というと、独身貧乏貴族さんは不安げな様子。
直登TRYしてみたかったが、
今回初動向の独身貧乏貴族さんに迷惑をかけるわけにも行かないので、定石通り左岸を高巻く。
高巻きルートは良く踏まれているようだが、あまり上に上がりすぎるとトラバース出来なくなるので注意。他の記録にも書いてあったようにルンゼの横断
箇所はトラロープが張られいた。後で聞いた話だが、
千苦ノ滝の高巻きで何件も死亡事故がおきているとの事だ。

高巻きを終了し、千苦ノ滝の落ち口の様子をみると水が流れていてよくわからない。残置シュリンゲは敗退時の懸垂の支点なのかは不明だが、千苦ノ滝
は直登不可能と決め付けるのは早計のようだ。
誰かのチャレンジを期待したい。

 千苦ノ滝(カーソルあてて) 千苦ノ滝上から落ち口を見る(カーソルあてて)
 
この先すすむと山女魚淵。ここも入口の釜が深く、右から突破。残置シュリンゲがぶら下がっているものの、胸までぬらすことになる。昔はここにビッチリ
山女がいたそうだ。沢は右に折れ、そのまま早川淵と続いていくが、特に問題になる所は無い

山女魚淵入口(カーソルあてて)
 早川淵へと続く  早川淵先の様相

左岸から入るモミジ沢をみて少し進むと不動の滝2段13mが現れる。2段と言っても、6m滝,7m滝が釜をはさんで二つあると言った方が適切かもしれない。
ここは上段が少し難しいらしい。下段は独身貧乏貴族さんが水流右、私が水流左を
フリーで直登。上段は確かにちょいと難度は上がるが特に問題は
なさそうだったので、

「フリーで登って、上からザイル出しますよ」
と言って私が取り付く、慎重にホールドを選べば問題なし。ザックを安全な場所に一旦おいて、上から
弘田:「ザイル出しますかぁ?」
独身貧乏貴族さん:「長めのシュリンゲお願いします!」

と早くも独身貧乏貴族さんが登ってきたのでザックからシュリンゲを2,3取り出し戻ると、独身貧乏貴族さんが途中まで登っていたのになぜか滝の下で
立っていた。なんと両手で掴んだ岩が取れて岩もろとも
滝つぼに落ちてしまったらしい。
「怪我は!」と聞くと左手薬指を岩で少し切ったとの事。私はシュリンゲではなく、ザイルを取り出し、とりあえず登ってきてもらった。

指を見せてもらうと横に1cm深さ2,3mmはあるだろうか。血がボタボタ垂れて全く止まる気配が無い。ガーゼをあてるがそのガーゼがすぐに真っ赤に
染まってしまう。新たなガーゼを取り出しテーピングで
傷口を被い、念のため、私のメガネバンドで軽く指を縛る。このまま血が止まらないとヤバイので、
とりあえず
会所小屋跡まで登り、そこでもう一度様子を見て、最悪エスケープルートとなる大常木林道を通って三ノ瀬へ今日中に戻ることにした。。。
滝の上は血の跡がいっぱい、後から来る5人組もさぞかしビックリするだろう。

不動の滝のうえは概ねゴーロ帯だが、所々にナメがあり美しい。残念ながら独身貧乏貴族さんは傷口を濡らすわけには行かないので、ひたすら水流を
避け登っていく。

 不動の滝2段13m(カーソルあてて)  独身貧乏貴族さん負傷   不動の滝上の小滝

会所小屋跡は確かによいテン場となっており、5張りくらいは余裕で張れる。早速、傷口を見てみると幸いなことに血は止まっていた。お互いホッとし、
遡行継続することにした。いくつかの小滝を越えると15mCS滝が現れる。ガイドによると水流左をシャワークライムすると書かれてあるが、腰まで水に
つかるのを我慢すればチョックストーン右側の水があまり流れていない方を直登する方が簡単。私はこのルートで直登。独身貧乏貴族さんは手を
かばって左岸を高幕く、しかし、高巻きの方が大変そうで、20分くらい余計に時間がかかった。さらに悪いことに、笹を掴むのを繰り返しているうちに傷口
が開き、また出血してしまったようだ。。。


 会所小屋跡   会所小屋跡上の様相(カーソルあてて)  15mCS滝(カーソルあてて)

時間は4時を廻りそろそろテン場を探さなければと進むと、ラッキーなことに5分ほど進み、右から小沢
が入ってくる辺り本流右側にGOODなテン場を発見
した。(これ以上上流には良いテン場は見当たらなかった)
独身貧乏貴族さんの傷の再手当てをして、タープを張る。巻きも豊富で、またまた事前用意のニジマス
を焼く。。。
 沢登りシャツ+厚手シャツ+上下カッパ、夏用羽毛シュラフ+シュラフカバーでポカポカだった。

 
15mCS滝上の様相  行動終了です。



二日目(曇りのち雨)
4:00起床、6:10発→7:10登山道着、7:25同発→8:00竜喰谷支流下降開始→10:15中ノ平沢出合→12:10一ノ瀬川合流点
→12:40大常木谷下降点(車デポ地)着


天気予報では明け方から雨との事だったが、薄曇り程度の天気。。。のどかに朝食を済ませ出発。 もうここまで登ると、特筆すべきところは無く、"水量の多い方"or"明るい方"にルートを選びながら
登っていくと出発して1時間で主脈縦走路に出た。
最後の3:2二俣
 ラストの詰め  稜線登山道到着

さて、竜喰谷への下降だが、主脈縦走路を将監小屋まで進んでしまうと遠回りになってしまう為、地図を見ながら下降ポイントを探る。結局、大常木谷と
主脈縦走路がぶつかるポイントから
二つ目の木橋の沢筋から下った。
最初はちょろちょろ水が流れているが、やがて伏流となり広いガレになる。下降に困難なところは無く、1時間ちょっとで竜喰谷本流にぶつかった。
本流に出ると早速2人組みパーティに出会う。挨拶をしてよく顔を見たら、、前穂北尾根でご一緒させていただいた女性では?と思い声をかけると、
「あっ!ひろたさん?!」と小生のHPに遊びに来たことも

あったらしく、名前まで覚えてくれてました。うっ!俺の方が名前覚えていないよー!それにしても凄い奇遇だ!
ここから下降します(カーソルあてて)  まだ枝沢です  やっと竜喰谷本流に出た

竜喰谷はガイドによると二つ星だが、ナメが綺麗で、景観が実に美しい。5,6mの滝は出てくるが 小さく巻いたり、軽いシャワーを浴びながらクライム
ダウンできる。曲り滝12mは、右岸の巻き道を利用し、難なく下降できる。下駄小屋ノ滝12mを右岸から小さく巻いて降りると、大人数パーティに出く
わすが、独身貧乏貴族さんは、リーダーらしき人を見て、「この人有名人ですよ!」と言っている。後日調べてみたら、逍遥の元会長さんの敷島さんと言う方
だった。どうも、沢登り教室で、ここに来ていたらしい。彼らは水流左にザイル出して直登していった。。。

 ナメが見事な竜喰谷  曲り滝12m  下駄小屋の滝

滝下に本格的なカメラで写真を撮っているおじさんがいたので話を聞くと、何度も竜喰谷に入っているセミプロのカメラマンで、この沢は秋の紅葉時期が
とてもすばらしいとの事、見頃は10月の第3週!
と教えてくれた。確かにこの景観でさらに葉が色づけばメチャクチャ美しいに違いない。。。
稜線登山道から下降する事4時間強で、一ノ瀬川に出る。一ノ瀬川はものすごい勢いで水が流れていたが、水流右端は軽いシャワーで2m程登ってから
横断。特に横断に困難なことは無い。すぐ上に一ノ瀬林道が通っており、ここから車のデポ地まで15分くらいで戻れた。
帰りは、のめこいの湯に入り、奥多摩で食事、お世話になった独身貧乏貴族さんを青梅で別れ、自宅にむかう。
 5m滝にて  一ノ瀬川本流に出た

P.S:大常木谷の千苦ノ滝は、その後、直登された方が何パーティか現れた。この滝を高巻くなら、そう難しいところは無い印象。ザイルは8mm×30mで十分です。
   独身貧乏貴族さんに聞くと、縫う必要があったらしいが、
指は神経が細かく伸びており縫えないとの事だそうだ。(2014年補足)
   

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