2004年7月3日 足尾山塊 渡良瀬川流域 小中川弓ノ手沢→本沢下降
メンバー:きむひろさん、ひろた
装備:ザイル9mm×45m、9mm×20m(本沢下降で使用) 靴:フェルト
参考遡行図、概念図はこちら
天気:晴れ
梅雨時期で、台風の行方も気になっていたが、週間天気予報では晴れの予報だったのでメンバー募集を行ったところ、大田在住のきむひろさんが参加の意向を表明。
お互いにとって近場の沢で、遡行記録も殆ど無い足尾山塊の小中沢流域を押さえるべく計画を立てた。
4:00自宅発(一般道)→5:45道の駅「くろほねやまびこ」着→6:30本沢沿い袈裟丸山登山口→7:06弓ノ手沢沿い駐車場着、
7:40弓ノ手沢入渓→9:30二俣→12:15稜線→12:37前袈裟丸山→13:25後袈裟丸山、13:40同発→13:55郡界尾根から本沢下降開始
→16:15本沢沿い袈裟丸山登山口着
きむひろさんとは、R122沿いの道の駅「くろほねやまびこ」で待ち合わせ。ここはコンビニと携帯が繋がるという好条件の待ち合わせポイントと思って
いたのだが、なんとコンビニは朝早くは営業していなかった。。。 R122から小中川沿いの道に入っても暫くは舗装道路。実は小中川には90mもの落差を 誇る大滝があり、観光スポットとなっている。大滝入り口の看板を過ぎるとT字路になり左に入る。 道はすぐに未舗装路になるが、かろうじてCR-Xでも走れる。さらに進むと道は再び舗装路になりクネクネと山を登っていくようになり「行き過ぎたか?」と
思ったが、袈裟丸山登山口という明瞭な立て札があるので安心してよい。駐車スペースはこの看板周辺に4台分、100m手前の本沢沿いに4台分くらいは ある。 今回の遡行では、この本沢を下降してくるので、きむひろさんの車をデポし、私の車で弓ノ手沢入渓点に向かう。こちらは、遡行図通りに林道が通っている ので不安は無い。弓ノ手沢側は入渓点100mくらい手前 に駐車スペースは4台分くらいのスペースがある。 早速弓ノ手沢に入渓。最初の堰堤を右側から越える。とちょいと暗い様相。
小滝を越えるといきなり深い釜を持った7m滝に出る。早速、きむひろさんが右側から取り付こうとするが、掴んだ岩が崩れいきなり腰までドボン。それで も負けずにTRY。ただ、水流右の壁は逆層になっていて、ちょっと直登は難しそう。そのまま右のドロルンゼを慎重にあがる。これを超えると、今度は 5m滝。を水流左を快適に直登。きむひろさんもフリーで登ってきた。このあたりはゴルジュっぽい様相で滝は小さく問題無いが何故か、水流の量に 似合わず釜がどれもこれも深い。微妙なバランスでのへつりの連続になる。一箇所、パット見、泳がないと滝に取り付けそうも無いところがあって、 水流左の壁沿いをヘツリで突破できるか慎重に進んでみる。
うーんヤバイ、やっぱヤバイ!
釜に落ちてデジカメ濡らしたらOUTなので、いったん引き返そうとしたら、後ろから付いてきたきむひろさんは、掴んだ岩がまたしても取れてしまい、釜に
ドボン!!! 全く足が下につかないらしく泳いで元の場所まで引き返した。
「きむちゃんデジカメは!?」
「もう既に壊れているので…」
との事。。。私は慎重にへつってきたルートを戻り、デジカメ等々を完全防水し、再び私がリードで取り付く。落ちても問題無いのだが釜には落ちたくない。
微妙な感じで何とか突破! きむひろさんの突破を待つ。今度はきむひろさんも見事突破!
ここから先は、5〜7m滝がいくつか現れるがどれも快適に超えられ楽しい。ただ釜だけはなぜかどれもこれも深い。。。このゴルジュ様相帯を超えると 急に沢は明るい感じになる。上越のような開放感までは無いが、明らかに奥秩父とは異なる様相で、まさに上越と秩父の中間と言う気候が作り出した 様相なのだろうか? 沢が明るくなって少し行くと、単に2条に落ちている滝か!と思わせる(3:2)の二俣が現れる。
注意しないと見落とすだろう。遡行図をみると核心らしい所を突破して半分くらいの処まで来たようだ。
遡行開始して2時間弱、ガイドには遡行5時間と書いてあったが
意外とあっさり終わってしまうんだ。。。と思ったのは後で大間違いだと判明する。。。
二俣を左に入りさらに進むが参考の遡行図と実際の様相はかなり異なり、自分が何処を歩いているのか良くわからない。まぁ時間もあるし…と思っていると
12mくらいの見事な滝が現れた。この12m滝は立っているが、まぁ問題無さそう。きむひろさんも「大丈夫かな?」と言う感じなので、私が最初に取り付き、 ヤバそうだったら上からザイル出しますね!と言って取り付く。取り付いてみると快適で、3級レベル。きむひろさんも問題なくフリーで直登してきた。 ここからは山の尾根筋も近くに見えるが水量はまだあり、ここからはブナ林帯の中を沢が伸びていた。しかし、このブナ林帯が長い!ナメだったら気分も 和らぐが、9割9分がゴーロ帯。途中ブナ林帯の中で(1:1)の二俣が現れるがここは左に入る。
しばらく平凡な様相を進むと、水量もぐっと少なくなり長いブナ林帯も終了と思ったら今度は水の無いガレの登り。。。水が流れなくなると急に疲れが出る。 そうすると行く手を阻むかのようにハング気味の5m涸滝が現れる。これは直登不可能なので右から小さく巻くと、今度は様相が一変!土壁で囲まれた 様なナメになる。あまりの様相変化に"なんじゃこりゃ!?"と言う感じ。しかもこのナメ。ガバホールドは全く無く、ボルトを打つ以外には支点も取れない。 左右の壁も同じ状態な のでナメに入ってしまったら脱出不可能で突破するしかない。僅かな凹凸を拾い登っていく。。。 最初は傾斜も緩かったのでそれで もよかった。。。 しかし、ナメの最上部はチョックストーンとなっており、ラスト3mのナメ傾斜が60度くらいある。
弘田:「どーするんだ!これ?」
きむひろさん:「・・・」
まさか、最後の詰めに核心があるとは思っていなかった。。。
高さはあまり無く、落ちても擦り傷で済むので、気合一発で取り付く、一箇所もガバがないので3点支持のどれかひとつでも滑ったらアウト。足先が置けるか
置けないか・・・慎重に上がって何とか平らなところに手が届く。。。。。。突破!ひょえ〜! 続いてきむひろさんの番。シュリンゲコールが無いので、フリー突破にチャレンジ。すこーしづつ上がるが、良く見ると足の置き方が私と違い靴のインサイド を小さな突起に置いている。大丈夫かな? かなり苦しんでいるようだが、シュリンゲの声が無いので、フリー突破にこだわっているようだ・・・
が あっ! っと滑り落ちてしまった!
3mくらい滑っただろうか。きむひろさんは半そでだったので、両肘をすりむいてしまったようだ。私も迷わずシュリンゲを出し、きむひろさんはA0で突破して
もらった。傷の様子みると血がにじんでいる程度だったので、消毒剤と絆創膏で手当てして先に進む。
ここからはガレの直登で正直キツイ。正面に岩壁がどーん!と聳え立っているのだが、岩壁を直登る必要は無いと考え、左から巻いて2〜3分、膝くらい
までの笹薮を歩くと稜線に出た!ただ、ここは、前袈裟丸山から伸びる小尾根で、登山道がある県界尾根ではなかった・・・ 「なんだだったら最後の岩壁も直登しておけばよかった。。。」と思ってもアフターフェスティバルで、結局この尾根を登り前袈裟丸山山頂に立つ。「いやぁーお疲れ様!」と 言いたいところ だったが、なんと急にお腹の調子が悪くなりキジうちに・・・スゴイ下痢!また水に当ってしまったのか?!
さて、後袈裟丸山から本沢の下降だが、後袈裟丸山から郡界尾根を15分ほど下った所から沢筋に入る。チョット下ると弓ノ手沢最上部と同じ4+のナメ滝
が現れ、いきなり20mの懸垂下降を強いられる。この土壁で作られたようなナメはこの山域特有の様相に違いない。20mの懸垂下降後、少し下ると本沢 本流にぶつかるが 此処でも10mの懸垂下降。
それにしても本沢上部懸崖帯と言われる所だが、左右の壁までもがナメ状で高さ10m以上あり、ナメに降りてしまうともうボルト以外では懸垂の支点が取れ
ないのでチョット不安になる。初心者でも充分遡行可能と書かれていたので下降に問題なしと判断したのだが、全然ちがうじゃん!
さらに巨大チョックストーン滝を懸垂下降すると、案の定1箇所支点が取れなくてどうしても4m程フリーでクライムダウンしなくてはならないところがあった。
ここからは遡行図ではナメ滝等がいくつか出てくるように書いてあるのだが、埋まってしまったのだろうか?ひたすらゴーロ帯という感じ。。。たまーにナメも下りの場合、本来きむひろさんを先に行かせるべき所を、うっかり私が先に下りてしまい、迷惑をかけてしまった。。。 こんな緊張な下りは久しぶり。 きむひろさんも弓ノ手沢のナメで滑ってしまったせいかかなり慎重になっている感じ。結局、これ以上の危険箇所は無く本沢上部懸崖帯は終了。。。 それにしても急に様相が変わってゴーロ帯に出た。本当に不思議な地形だ!二俣で右はゴーロ帯左は深いゴルジュのナメ。。。なんでこんな様相になる のか??? 凄く興味深い。 出てくるのだが一瞬で、ひたすらゴーロ帯を下る。滝も全く無く飽きてくる。延々下ると、右岸が広くなったところでワイヤーロープが現れた"もしや!"と 思って右岸を3mほど登ると林道の末端だった!このまま林道を1、2分歩くと、きむひろさんの車が見えた!
帰りは小中川の大滝(落差90m)みる。直登不可能!
温泉は、R122に沿って通る渡良瀬渓谷鉄道"みずぬま"駅に温泉があるとの事だったが、
明日も朝3:00起床で早朝ゴルフを入れてしまった為、食事だけして、解散となる。
P.S:この山域特有と思うが、小中沢流域の沢は上部のナメは結構厳しいものがありこれだけ注意。弓ノ手沢は様相変化が大きく興味深い沢だった。
ザイルは本沢の下降をやる場合は40m以上欲しい。
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