2004年8月14日 湯檜曽川 大倉沢

メンバー:安藤さん、弘田
装備:9mm×45m。靴:フェルト
参考ガイド:日本登山体系
遡行図はこちら

3年前、湯檜曽川本谷を遡行して以来、十字峡で出合う大倉沢、抱き返り沢は気になっていた沢であったが。
一度湯檜曽川本谷を遡行してしまうと、なかなかこの二つの沢は入渓する機会をなくしてしまう物だ。
しかし今回、谷川本谷→赤谷川を計画していたが予定がめまぐるしく変更。この大倉沢を遡行する機会を得る事が出来た。
ちなみに湯檜曽川に大倉沢はもう一本あり、JR湯檜曽駅土合の間で出合うところにもあるのでお間違えなきよう。。。

前夜移動
18:16自宅発→(一般道)20:23大間々→21:20沼田→22:05水上駅(待ち合わせ)

5:20白毛門登山口駐車場発→6:30武能沢、6:48同発→7:35ウナギ淵→8:10十字峡(大倉沢入り口)→10:00 40m大滝下
13:15朝日岳山頂、13:30下山開始→14:55白毛門→16:35白毛門登山口駐車場着
19:07上毛高原駅発→19:23沼田→20:25大間々→(下道)22:25自宅着


水上駅で安藤さんと待ち合わせし、湯檜曽公園に移動。ここで仮眠を取る。寝酒と思って飲んだつもりが、覚醒作用になってしまい、
凄い寝不足での出発となってしまった。
起点となる駐車場は白毛門登山口と、少し湯檜曽川沿いの林道を入った所の2箇所を選択する事になるが歩いて15分程の距離なので、
わざわざ車を2台にして”1台をデポ”する必要は無いだろう。
 湯檜曽川沿いの登山道を1時間強歩くと武能沢横断点に到着。”武能沢”と書いた道標が立っているので間違う事は無い。
ここで入渓準備をして武能沢を1分ほど下ると。湯檜曽川本谷に出る。安藤さんは湯檜曽本谷も初なので、いきなり始まる本谷のゴルジュに
感動されたようだ。

湯檜曽本谷入り口になる6m魚留滝は残置シュリンゲがあったが、前回フリーで突破出来た為、あえて使わないで登ろうとしたら、
いきなり失敗!なんと最初の滝で釜に落ちてしまった。
”お・や・く・そ・く”と言いたいところだが、そんな訳が無くチョー恥しい。。防水デジカメにして良かった!
 寝不足なのか、これからなのに体の動きが鈍いのが、なんとなく気になってしまう。
安藤さんが簡単に突破した後、自分はA0で突破する。ここのゴルジュは前回来た時は6m魚留滝を突破した後は右岸を巻いたが、
覗いてみると突破できそうだったので、安藤さんには巻き道を勧め、自分はゴルジュに入る。腰まで水に浸かるが、既にズブ濡れなので問題なし。
特に難しい所は無く簡単に突破できる。安藤さんもゴルジュの途中から水流左側の岩場に出て一緒にゴルジュを終了する。
6m魚留滝
魚留滝上の本流ゴルジュ
ゴルジュの突破

快適なナメ滝をいくつか突破すると早くもウナギ淵に出る。ここは水流右側を水に触ることなく通過できるが夏なので泳ぎで突破する。
以前来た時は100m以上の長さがあったような気がしたが、埋まってしまったのか? 50m弱も泳げば突破できてしまう。
この先の8m滝を水流左側を直登すると見事な30mナメ滝のバックに抱き返り沢の50m滝が見え湯檜曽川本谷一番の景観ポイントに出る。
残念ながら天気は曇ってしまっていたがそれでも見事だ!
ウナギ淵
ウナギ淵をすぎて
30mナメ滝
抱帰り沢の大滝を見る

30mナメ滝は瀑心突破は不可能だが気持ちの良いラインで突破。早くも十字峡に到着する。十字峡は抱き返り沢の50m滝があまりにも圧巻なので、
大倉沢の出合いにかかる8m滝が貧弱に見えるかもしれない。

さて、ここからが自分も未知の世界だ。大倉沢出合いの8m滝は瀑心右の水流部を直登。少し進むとF2 8m滝。ここは腰まで水に浸かれば、
難なく突破可能。
十字峡にある大倉沢出合
出合に掛かる8m滝を登る
大倉沢F2 8m滝

F3 6m滝は安藤さんがTRYするがバランスが微妙みたい。交代して私もTRYするがなんとかうまい具合にハンドホールドが見つかり突破する。
この滝は右岸を小さく巻くことも可能だ。
 小滝をもうひとつ越えるとF5 20m滝が現れる。ここは序盤が若干難しそう
「ここですかねー?、ちょっと行ってみます」といって右岸側水流手前から取り付く。うまくホールドは取れるので足を慎重に運べば、問題は無いだろう。
難しい所を終了して、安藤さんに「ザイルだしますぅ〜?」とコールすると「ザイル出してぇ〜」との事だったので、上からザイルを投げる。
すると、自分とは全く別ルートに取り付くではないか!!! 安藤さんはシャワーを浴びながら登ってくるが、あと2mというところで行き詰ってしまう。
幸い水流右にエスケープ出来るルートがあったため、そちらから巻いて上がってきた。
F3 6m滝
F5 20m(カーソルあてて)
F5右岸バンドを上がる



 次のF6 3段30m滝は水流左側を直登。登り甲斐のある滝を二つ終え、ゴーロ状になると

安藤さん:「もう、滝は終わりかなぁ・・・」
弘田:「まさかぁ・・・!」

といって左に曲がると”オッ!”
「ほーら、安藤さんがそんな事言うから!これでもかぁー!っていうのが現れましたよ!」

と、ドーンと出たのが大倉沢のハイライトと言っても良いF7 40m滝だ!ガイドによると”左岸スラブを直登”と書かれてあるらしいが、
”左岸スラブ”ってどれ?って感じ。滝の直登は基本的に

@瀑心直登 
A瀑心ではないが水が流れている所 
B水は流れていないが水流のすぐ近く

の順でルートを探るが、この滝は1番下の5mが直登出来ない為、右のルンゼ状ガレを少し登って水流側にトラバース。そこから瀑心すぐ右を直登。
ラスト7,8mは瀑心も直登できる。安藤さんを先頭にお互いフリーで登っていく、難しい所は特に無く感度良好だ!岩登りをよくやる安藤さんも
「高度感抜群!」とご満悦だ!
これだけ気持ちよく登れる大滝は東ゼン60m滝以来かも!
F6 30m 水流左を直登
F7 40m滝(カーソルあてて)
F7 40m滝

この滝を登り終えるとすぐそこにウハウハのF8 30mナメ滝が見える。そういえば寝不足で調子悪かったのに
あまりにウハウハなので調子が完全に戻ってきた。この滝は瀑心突破にこだわったが調子に乗りすぎて最上部でハマッてしまい、安藤さんにシュリンゲを
出してもらった。

安藤さん:「よくこんなところ取り付くよなぁ!」
弘田:「いやぁ落ちてもその辺で止まるかなぁと思ったんで」(^^)ヾ
安藤さん:「いや、止まんない止まんない下まで落ちるよ!」(笑)

30mナメ滝を終了してもナメが続く。曇っているのに気分はウハウハ。これで晴れていたらもっとすごいんだろうなぁ。大ナメを終了すると(5:1)の二俣
F8 30mナメ滝
F8上もナメ床が続く
(5:1)の二俣


この二俣を左に入って、F10 15mを中央突破。F11 10mを直登するとチョックストーンを持つ狭いゴルジュに突入。ガイドによるとゴルジュ全体を
左岸の草付を登って巻くと書いてあるが。結構悪そう。ここはゴルジュ突破を試みたい。釜を持つF12 5mCS滝は悪いとガイドには書いてあるが、
一見そんなには悪くなさそう。「では!」と言って安藤さんが早速取り付いてみたが、釜が深いので最初の一歩がうまく上がれず難しい様だ。
そこで、完全に泳ぎになるが、釜の奥まで行った所から取り付いてみれば!と提案。安藤さんが取り付いてみると、見事に突破してくれた。
(5:1)二俣を左に入る
F10 15mを中央から
CSの狭いゴルジュ
F12 5mCS滝

次のゴルジュ最後にかかるF13 5m滝は水流右にある残置シュリンゲを利用し突破する。ゴルジュ帯を過ぎるとすぐに100mナメ、これを快適に登っていくと、
急に岩質が赤みを帯びる。フリクションは利くので問題ない。小滝を快適に突破。F14 15m、F15 20mも快適に超えると、(3:2)の二俣に出る。
ガイドでは右俣に入っているようだが、左俣には50mにも及ぶ滝(下からは20m分しか見えない)が掛かっており、どう見ても左俣の方が楽しそうなので
左俣に入る。
100mナメ
F15 20mを快適に直登
(3:2)の二俣を左に入る
二俣左に掛かる50m滝を直登

50m滝もホールドには不自由せず快適に直登。この先も明るいナメが続き10m弱の滝を二つ超えるとようやく源頭部の様相となり傾斜も平坦になる。
残念ながら天気が悪く何処が稜線なのかハッキリしないが、笹が覆う沢形を「おっ!藪コギなしかぁ!」と進んでいくと。残念ながら沢形が無くなった。
さらにハイマツの藪コギが現れ突破に非常に体力を消耗する。20分も進んだだろうか、ようやく山頂らしい杭が見える。その杭をめざして登っていくと
そこが朝日岳山頂だった。
明るいナメが続きます
滝はまだまだあります
源頭の様相
朝日岳山頂にダイレクトに出る


P.S:大倉沢はすべての滝が簡単すぎず、難しすぎず、快適に直登出来実に気持ちが良い。湯檜曽川本谷より遡行感度は上、間違いなくお勧めの一本!
   遡行タイムはガイドでは大倉沢だけで3時間と書いてあるが、ザイル1回使用。休憩はトータルで1時間程度。ペース早めでも5時間かかったので早出を勧めます。
   ザイルは沢慣れした人であれば30m1本で遡行可能です。

   
遡行図(クリックして)

安藤さんの大倉沢遡行記録はこちら



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