2004年8月21,22日 三国川支流五十沢川下ノ滝沢

メンバー:現場監督さん、やますきーおさん、ひろた
装備:ザイル9mm×45m、フェルトソール
参考ガイド:上信越の谷105ルート

下ノ滝沢は「上信越の沢105」によると☆☆☆沢で、上部のナメがすばらしいとの事で以前から気になっていた沢だった。
"現場監督"さんの都合が付き、さらに急遽 "やますきーお"さんも参加を表明。Webではなかなか遡行記録が見つからない
下ノ滝沢の解明に取り組むことになった。

初日(晴れ)
3:10自宅発→(やますきーおさん待ち合わせ)4:35今市発→(金精峠)6:19沼田→(下道)7:38JR湯沢駅(現場監督さん待ち合わせ)→8:42五十沢川キャンプ場
9:00五十沢川キャンプ場出発→10:30不動滝→11:12取水口→12:20入渓点着16:50第2ゴルジュ手前岩小屋

今回、車は1台なので五十沢川キャンプ場に停める(ゲートはここにある)。ここより先だが昼間であれば(夕方6時まで)
ゲートの先まで車が入れるらしいが、偶々ゲートは閉まっていた。ゲートが開いていれば、上の調整池手前まで車で入れ約1時間弱の時間短縮になる。
 ちなみに五十沢川キャンプ場駐車場は無料。トイレ有り、携帯(Vodafone)も繋がる。

 ゲート先の舗装道路歩くこと20分強。「ふれあいの森」と書かれた大きな看板がある駐車スペースが現れる。ここから地図には掲載されていない
五十沢川沿いの渓谷道が不動滝まで続いているようなので、上部水平道では無く、渓谷道を選択する。しかしこの道はあまり歩かれて無い様で、
途中道が寸断され3人がかりで道を捜す様な場面もあった。(この渓谷道は常に右岸を通っている) 渓谷道は、20mもある不動滝手前で左岸に移り、
上部水平道と合流、取水口へ至る。
ふれあいの森駐車場
一部不明瞭な渓谷道
不動滝手前で左岸に移動

取水口から牛ヶ岳経由巻機山に至る登山道はここから右岸に移り、五十沢川本流ゴルジュを大きく高巻いている。ここからの本流ゴルジュ突破は不可能で、
登山道を行くしかない。ただ、この登りがメチャクチャ急で鎖場の連続なのだ!「こんなに辛くて本当に"☆☆☆"なんだろうなぁ」とグチをこぼす。
寝不足の"やますきーお"さんは「すでにマイナス★★★!」と完全にバテバテのご様子。休憩を取りながらようやく入渓点の4合目に到着。
入渓準備後、いきなり釜でクールダウンの"入浴"をし、やますきーおさんも元気を取り戻す。
取水口
右岸急登本流ゴルジュを大きく高巻く
本流に降りてきました

ここから穏やかな五十沢川本流を10分ほど下ると左岸から巨岩の間を縫って水流が入る。これが下ノ滝沢だ。巨岩で構成される5mクラスの滝をいくつか
縫うように突破していくと、行く手を阻むかのように20m2段滝が現れる。
下ノ滝沢出合
4m斜め滝
20m2段滝(右岸を高巻く)

直登したい気持ちは大きいが、どう見てもムリで右岸から巻きに入る。小さめに巻いたからか判らないが、踏み跡はすぐに無くなりヤブコギ。
ゴルジュの様子を見ながらの巻きになれば、下降点も見出せるのだが、ゴルジュが深いので何処で下降すればよいのか手探りと言う感じだ。
しばらく進むと岩のリッジにぶつかる。ここに上がると、懸垂の残置支点を発見。「ここがガイドに書かれている"岩稜の小リッジ"なんだ」と全員意見が一致。
リッジを良く見ると懸垂をしなくても、リッジを少し登れば、クボに降りれそのまま沢に戻れることを発見して沢に戻ることが出来た。
ここからもガイドでは"すぐに高巻きを強いられ"と、右岸を巻いているが、極力巻かずに進んでいくと直登不可能な5m滝が現れる。
左岸を小さく巻くが、沢床にクライムダウン出来るポイントは直径2mくらいの岩の一箇所だけ。。。その先に7mCSが控えており、そのまま沢床に降りて
良いものかちょっと悩む。。。私が偵察で降りていくと7mCSは右岸を巻ける事が確認出来、メンバーに降りてきてもらった。
20m2段滝の高巻き途中から
沢に降りてくる
直登不可能な5m滝

右岸を巻ける事を確認した7mCS滝だが直登の可能性も探る。。。泳いで取りついて最初の1歩が登れればその上は簡単そう。やますきーおさんが
左壁をヘツリ気味に泳いで行くと滝つぼ周辺は深さは浅く、難なく最初の1歩をクリヤー!すばらしいー 私も同ルートで1段目をクリヤーする。
もうここに来ればと問題なしと思ったが、次の一歩が段差が大きく超えられない。仕方なくシャワーを浴びながら”やますきーお”さんのショルダーで
私が突破し
「ファイトー!」「イッパーツ!」  
シュリンゲで彼をを引き上げる。あとは雄たけびを上げながらずぶ濡れになってこの滝を突破。
すでに監督さんは滝上に出ており、「突破しましたぁ!!!」と報告するやますきーおさんを呆れ顔で見ていた。(笑)
7mCSに挑む

この先進むと、20mナメ滝。下段は直登出来るか出来ないかのギリギリの傾斜のナメ。ここは植木さんがナメの水流左側直登にTRYするものの
途中から頭を抑えられるようなバンドをホフク前進でずり上がる。自分は水流右側に突破成功。監督さんも水流右側にTRYしたが、結局バンドの
ホフク前進となる。(笑)
さて上段だが、やますきーおさんは右の1枚岩スラブを指差す。。。ここを直上して落ち口にトラバースとの事。最初の1.5mを登れば多少傾斜が
緩くなるので。「では!」と言って私が取り付く。最初の1,2歩はフットホールドがあり、傾斜が緩くなった所までは行けるのだが、傾斜が緩くなっても岩に
フリクションがあまり無く、ホールドもここから先は全く無し。。。ビミョーなフリクションで進むが、「ヤバッ!」。。。と滑り出してしまう。
手と足のフリクションでスピードを殺すのがやっとで、結局落ちてしまう。両足着地だが転んだので10点満点中5.0!
監督さんも挑戦するも「これ難しいよ!」ということで、もう一回私がTRYする。
最初は簡単、傾斜が緩くなってからが核心で「ビミョー!ビミョー〜!」と叫びながら一歩一歩進む。先ほど滑り出したポイントよりも上にあがると、
緊張感も2乗で増すが、神の御加護でなんとか登りつめた。監督さん、やますきーおさんにはザイルを出す。1,2度ザイルにテンションがかかる場面も!
20mナメ滝(カーソルあてて)
下段をフリクションで
さらにホフク前進
上段もフリクション勝負


 この先のガイドにも掲載されている8m逆「く」の字滝はガイドに反して監督さんが右岸を小さく巻くのに成功!、
後続はシュリンゲ出してもらってA0突破。次の12m巨大CS滝も右岸を小さく巻くことに成功。ここは全員フリーで突破する。
8m逆「く」の字滝
ジャンプで対岸へ
12m巨大CS滝(右岸巻き)

ここから先はゴーロ帯で左岸にある岩小屋を捜しながら歩くがなかなか見つからない。他にテン場も有ればよいのだが、入渓者が少ないのか全く無し。
12m巨大CS滝から30分近く進んだだろうか、ようやく監督さんが左岸に岩小屋を発見。思っていたより小さく3人でギリギリの大きさだったが、
焚き火の跡もあり、目的の岩小屋に間違いないだろう。水流のすぐ脇にあり右を見ながら遡行していれば見つかるはずだ!

 薪を集めると、元気なやますきーおさんは「釣りに行ってくる!」と出かける。彼に言われた通りにマーボー春雨を
作る私と監督さんだったが、春雨入りのナベを倒してしまい、岩魚も釣れずでマーボースープと混ぜご飯のメニューとなる。
岩小屋
テン場にて



二日目
6:30岩小屋発→9:35第2ゴルジュ終了(100m大滝上)→12:30稜線、13:00下山開始→(新道)15:20大窪沢横断点→18:51五十沢川キャンプ場駐車場着

岩小屋を後にしゴーロ帯を進むと6m程の滝が2つ現れそれを乗り越えると、別世界のような広い石畳のナメが現れる。感嘆の第1弾と言って良いだろう!
次の6mナメ斜滝を快適に越えると第2ゴルジュの始まりとなる12m滝が行く手を阻む。何とか入り口の滝を直登出来ないものかと、ルートファインディングし
取り付いてみたが、ハンマーとハーケンをザックにくくりつけたまま直登してしまった為、監督さんに途中まで上がってきてもらってハンマーとハーケンを
受け取るという失態を演じ、さらにハーケンを一発打ったものの、1発では全体重をかけるには不安で結局、監督さん、やますきーおさんにバンドから
巻いてもらって"HELP ME"状態になってしまう。
だが、右岸バンドから巻いても滝上の沢床に降りることは出来ないようで、「ムリムリ」コール… 仕方ないので残置で降りるしかないようだ。。。
私の身勝手な独演で30分のロス!m(_ _)m 
二日目最初の滝
石畳のナメ
12m滝(カーソルあてて)

結局この12m滝以降、ゴルジュには降りることが出来ず。右岸潅木帯の高巻きになる。少し進むとゴルジュの奥に100m大滝が姿を見せる。。。
がどう見てもこの滝も巻きになりそう。。。
 「本当にこの巻きが報われるくらいのスラブ・ナメがあるんだろうなぁー」とメンバーのお勧め度はガイドの☆☆☆から★★★状態だ!
途中の草付帯からみる100m滝は☆☆☆の景観!ルートファインディングで得られる巻きルートは★★★!
100m滝の巻きは滝に近づきすぎると、ゴルジュの傾斜が急になるので手前の草付きルンゼを”100m滝の落ち口の高さ+20m”くらいまで登り、
落ち口方向にトラバースをかける。
高巻途中から見た100m大滝
草付を登って行きます
100m大滝上から第2ゴルジュ

ガイドではこのあたりの大滝をすべて右岸から巻いてあるが、我々は100m滝の次の40m滝が正面に見えるあたりで下降を開始。すると本流右岸から
入る枝沢に出た。ここから20m弱の滝の懸垂下降(残置ハーケン有り+緑のシュリンゲを足しておきました!)をして第2ゴルジュを終了。
丁度100m大滝の上に出た。ここからの40mナメ滝は水流右側快適に直登可能で高巻きで累積していた★を減らす絶好のシチュエーションだ!

 さらに、この滝を先頭で登るやますきーおさんが滝上で何やら雄たけびを上げているではないか!「もしや!?」と、はやる気持ちを抑え滝上に出ると
100m大滝上に出る
40mナメ滝
なんか騒いでるぞ!?


「どっひゃぁぁぁー!」

それは、西ゼンと笹穴沢を併せ持つような大スラブ帯だった!!!
★を減らすどころか一気に☆☆☆☆☆状態!しかも40mナメ滝上は振り返れば、越後の山々が第2ゴルジュ越しに見え絶好のものすごい景観となっている。
感嘆の声を上げながらナメを歩く。8mナメ滝、20m斜めナメ滝も特に難しいところは無く広大なスラブ帯に入る。乾いたところを歩けばフリクションが利くので快適だ! 
大スラブ帯が出現!(クリックして)
ナメ滝を堪能
天国のナメ♪

途中で適当なウォータースライダーナメを発見したので、早速"お・や・く・そ・く"となる。。。監督さんには"E難度"の「逆さウォータースライダー」を強要するが、
「怖いよー!」とのことなので、私が気合で逆さウォータースライダーを決める!ちなみに"スーパーE難度"は
「逆さ背面ウォータースライダー」だ!だれかやってみて!
ウォータースライダー(カーソルあてて)

ハイライトの大スラブは野外ステージを見ているような10m滝でようやく終了する。この滝は水流すぐ右に残置ハーケンが打ってある微妙なルートがあり、
ここにヌンチャクを掛けてA0で監督さんが突破する。自分もやってみたが、結構緊張した。やますきーおさんは左側の水流から離れたところから快適に巻いて
超える。10m滝上はミニゴルジュ
野外ステージ状10m滝
10m滝を水流右からコル
滝上のミニゴルジュ

これを超えるとまたもや感嘆のナメ!ひたすらナメ! ナメを快適に進んでいくと二俣が多く現れる。早い段階で左に入ると巻機山山頂付近に直接出るが、
最後のツメが急で蜜笹の藪コギになるのでガイドの通りに進んでいくのが無難だろう。我々は、ガイドに沿って”水流の多さ、明るさ”の両条件でルートを選び
進んでいくと藪コギ無しで稜線に出ることが出来た!苦労を乗り越えガッチリと握手を交わす。
感嘆のナメ
癒し系が続きます
最後の詰め

さてさて、下山であるが、車をデポしていないので、清水側に下山することが出来ず、割引岳を越えたところから大窪沢に下っていく新道を選ぶ。
草を刈っただけのようなあまり歩かれていない道で、7合目から大窪沢を渡渉するまでの道は悪いところもある。長い下山ルートに全員汗だくで、
大窪沢に出たときは靴を脱いで全身水に浸かる。。。
しかし"ここまで下れば。。。"ということは無く、さらにここから200m登って、400m下り、そこから水平道を2時間弱の歩きなのだ!トラロープを持つ手は痛く、
立っているだけで足の裏も痛くなるような状況を乗り越え、やっとやっと、やっと林道直前の調整池に出た。

 やますきーおさんが調整池を覗き込むと「あ!岩魚がいっぱい居るー!!!」とこの場に及んで竿を出すではないか!
 ま・じ・で・す・か!
 結局、ボウズで「この下山道はダメだ!」としっかり笑いを取るところが憎めない。
大窪沢に下っていく新道
大窪沢からまた登り・・・(涙)

すっかり暗くなった林道を歩く。。。
弘田:「おぉー!行動時間が12時間を突破しました!」(笑)
やますきーおさん:「結局、この沢の評価はどーなの?」
監督さん、弘田:「うーん、むずかしいぃぃぃー」(笑)
やますきーおさん:「ガイドに"苦労が報われて余りある源頭部のスラブ"ってあるけど。。。」
弘田:「。。。もう余り無くなっているんですけど・・・」(爆)


P.S:下山ルートが長かったせいもあり、体力的に一番きつい沢であったが、メンバーに恵まれ、楽しい遡行となった。たぶん一生忘れることは無いだろう。
   車でのアプローチの場合、1台は清水側にデポしておくとかなり楽になるはずだ。魚影は下ノ滝沢第1ゴルジュ手前まで。
   第1ゴルジュは我々のように途中から直登ルートにすると楽しさは倍増する。核心は第2ゴルジュの高巻きで、時間と体力を消耗するので
   高巻きに入る前に水汲みをしておくこと。(ここはブヨも多い)そこへたどり着いたものだけが享受できる絶景とナメの楽園。。。行ってよかった!!!

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