2005年4月29〜5月1日 槍ヶ岳北鎌尾根
4月に入り、現場監督さんの元に「GWどこか行きません!?」と今回のメンバーが終結。
現場監督さんの第一希望の北鎌尾根に行く事が決定。2泊3日予備日1日という限られた時間で終了させる為、
上高地から水俣乗越を越え北鎌沢から入るルートを選択する。テントの関係で、安藤さん/Niizawaさん(おやじレンジャー隊)、
現場監督さん/弘田(うお座ボーイズ)の”2×2”でそれぞれテント/ザイルを1組づつ用意、その名も 『軟式山岳会』 を結成し挑むことになった。
前夜移動
16:55自宅発→(R4,R50)19:38伊勢崎IC→20:37東部湯の丸IC→(三才山トンネル)21:58松本IC通過→22:35沢渡駐車場
今回は沢渡での現地集合、携帯はVodafoneでも繋がる。沢渡には複数の駐車場があるため沢渡中市営第2駐車場と決める。
沢渡の駐車場詳細位置はここを見てもらうと便利だ!駐車料金は1日500円。トイレ有り。メンバーに「お先に到着!」と告げ、風邪の病み上がりで
少しでも体調を回復させる為さっさと車中で寝た。
初日:天気晴れのち雨
6:25上高地発→9:25横尾→11:25槍沢ロッジ発→13:55水俣乗越着→15:40北鎌沢出合(幕営)
朝、目を覚ますと現場監督さんとNiizawaさんが私の車を覗き込んでいた。Niizawaさんとは今回初顔合わせである。ここ数日のドリンク剤
漬けが効いたのか一応体調はまずまず。「体調どう?」という監督さんに
「たぶん大丈夫です。とりあえず横尾まで。」と返事をするとザイルとテント両方とも監督さんが横尾まで運んでくれるとの事。
正直歩いて見ないことには自分も自信が持てなかった。
安藤さんも出発準備を整えているということなので、早速私も出発準備を整え、4人でタクシーに乗り込み上高地をめざす。
タクシー代は約4600円。
天気予報では今日からの三日間は概ね天気が良いと聞いていたが、ちょうど奥穂には雲がかってて稜線は見えない。霞沢岳の方は
青空になっており、ちょうどここが雲の境目の様だ。
歩き出すと、昨晩ぐっすり眠れたせいか調子はまぁまぁ。逆に深夜2時に沢渡に到着した3人は、非常に体が重そうだった。。。。とはいえ、
割とハイペースで横尾へ到着。「体調OKでーす!」と監督さんからテントを預かり先に進む。今年は積雪量が非常に多いとの事だが
登山道の雪はここから現れはじめる。しばらくすると、雨が降りだしてきた。「聞ーてねーよ!」、降りは激しさを増し風も強くなってきて結局
カッパを着込む。
槍沢ロッジで大休止。安藤さんが朝食を既に済ませているのにもかかわらずカレーライスを注文。Niizawaさんも400円のカップうどんを注文。
山小屋で食事をするなど北鎌をめざす者として”いかがなものか”とつつかれそうだが何しろ『軟式山岳会』なので基本は”レジャー” いいのだ!(笑)
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上高地を出発します
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横尾山荘にて
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槍沢ロッジに(て(カーソルあてて)
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ふと視線をずらすと小屋の中でお天気専門TVが放送されているではありませんか!天気は安定していると聞いて家を出てきたのにいったい
どーなってんの? ということでしばらく見てると明日の天気図が放送された。それを見ると明日は少なからず風はなさそうな気圧配置、
一応安心して小屋を出発する。
ここから槍沢の雪渓に突入。水俣乗越への分岐点を探す。東鎌尾根側に視線をやると登り易そうな沢筋を発見。地図は見るが”山渓の地図”と、
雨で濡れてしまって大事な所が良く判らない”プリンターで出した地図”。。。
”こんなんで判るんかい?!”って感じだが『軟式』の判断は軽くて浅い。。。「あれに違いない!」と思い、踏跡もない乗越に向かって歩き出す。
乗越への登りはとてもキツク寝不足の3人は相当堪えた様だ。病み上がりとはいえ、しっかり寝させていただいた私が先頭を歩く。1時間以上の登りで
ようやく踏跡のない乗越に覆いかぶさるように到着した。
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どこに上がればいいんだ?
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これだと思う所を上がって行く。(カーソルあてて)
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水俣乗越到着。右が天上沢側
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天上沢側の下り傾斜は約35度くらい、ちょっと下った所から傾斜は緩くなりシリセードにはもってこい。しかし雪が非常に重く、結局は歩く羽目に。。。
すると後ろから小柄な単独登山者がスタスタと降りてくるではないか!話を聞くと、このまま下りP2から登り返すとの事!いやーご立派!
我々が、北鎌沢から詰めると言うと「どーしようかなぁー」といってはいた物のそのままP2に向かっていった。彼のその後の消息は誰も知る由もない・・・
川幅が広くなると北鎌沢の出合も近いのだが、最初北鎌沢を見たとき、事前に見た写真とは大きく異なる余り傾斜の強さに「これじゃなんじゃない!」と、
折角Niizawaさんが「ケルンもあるけど・・・」といってくれたのに皆を引っ張り回してしまい余計な消耗をさせてしまった。。。
北鎌沢出合近くにテントを張り、1日目を終了する。安藤さんNiizawaさんはしっかりお酒を持ってきててビックリ
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天上沢側の下り
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北鎌沢出合
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北鎌沢出合近くでテントを張る
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しかし、今回、エアマットやめ、薄い銀マットしか持ってこなかったのと、±0度の寝袋を過信し
シュラフカバーを持ってこなかったため、夜は背中が冷たく、靴下は2重にもしたが足が冷たくとても寝れなかった。。。
二日目:快晴
5:25北鎌沢出合出発→7:25北鎌コル着→10:30独標基部着→12:30独標着、13:15同発→17:30 P15着(幕営)
寒さで2時間寝れたであろうか?幸い風邪はぶり返す事がなかったのでホッとする。夜中なかなか止まなかった風も明け方には静かになり、テントの外を
見ると雲ひとつ無い絶好の天気に恵まれた。今日、独標を越え北鎌平をめざす我々にとっては超ラッキー!
ハーネスを付け出発する。全員、昨日たけどあまりに急な北鎌沢の傾斜に取り付き地点で絶句。これのぼるんかい!という感じだが、
登らないと始まらないので登る。。。あぁ〜やっぱりキツイ昨日の乗越の登りよりキツイ。停まっては登り、息が続かないからまた停まりを繰り返す。
一回ザック降ろして休憩とってちょうど2時間でナイフリッジの”北鎌のコル”にやっと手が届いた。
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北鎌沢に向かう
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キツイ登りでコルを目指す
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”北鎌のコル”に到着。
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やっと始まる北鎌尾根。。。既に結構バテバテだが、快晴無風に救われた思い。
「お先どうぞ」 「いやどうぞ」 「まーそー言わずに!」
と”譲り合いの精神”で現場監督さんを先頭に歩き出す。P8、天狗の腰掛(P9)までは急な岩場は無いが雪で足を滑らせると下まで滑り落ちて
しまいそうな所は何箇所かあり、そう考えてしまうとチョイと怖い。それにしても天狗の腰掛(P9)の登りもキツイ。トップ交代し、自分が先頭になると苦しさ
倍増『軟式の中の軟弱』な私は、すぐに交代してもらう。安藤さん、現場監督さん、Niizawaさんにステップをつけてもらいヤット天狗の腰掛に到着する。
ここは岩陰もあるので幕営可能か・・・
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天狗の腰掛(P9)への登り(カーソルあてて)
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キツイ登り。
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P9到着
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ここからの独標は槍ヶ岳の手前で大きく立ちはだかっている。独標基部まで、急な雪面のトラバースをしながら近づいていく、96年夏にここに
来たわけだが、スッカリ様相を変えているのか、こんなんだったけ?という印象。夏に登った独標の千丈沢側の下部は急な雪斜面になっており
取り付くことさえも難しそう。近づきながらルートを探るがここからは良いルートが見つからない。
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P9からの独標(カーソルあてて)
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独標アップ(カーソルあてて)
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独標基部(カーソルあてて)
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とりあえず近づけるだけ近づき独標基部に到着、そこで天上沢側10mほど先に残置シュリンゲを発見。そこからほぼ垂直にルンゼが5mほど伸びている。。。
「ここからあがるのかぁ」と全員納得。それにしてもあの垂直ルンゼは登れるのだろうか? ”で、誰が行くんだい?”。。。
ここは長いピッケル一本しか持ってこなかった(言い訳) 私が行ける訳も無く、安藤、現場監督,Niizawaの各クライマーの方々にお任せするしかない。
と、ここで
現場監督さん:「では私が・・・!」
その他:「おぉぉー!さすが!」 ってことになり
早速、ザイルを出し私がビレイヤーとる。一応ザイルは2本あるが、2番手Niizawaさん、3番手安藤さんがそれぞれプルージックで行く事にする。
現場監督さんが登攀開始!途中の残置シュリンゲまでは急な雪面トラバースで慎重に近づき、そこから垂直ルンゼに取り付く。雪が思いのほか
やわらかい様でかなり難しそう。それでも確実に登っていく。しばらくして「ビレイ解除!」のコール! メンバー次々とここをクリヤーし私が最後1ピッチ目を
終了した時点で、既にNiizawaさんが2ピッチ目のザイルを伸ばしていた。 ここからは安藤さん/Niizawaさん、現場監督さん/弘田でそれぞれタッグを組み
登っていく。2ピッチ目は特に難しい所は無く、3ピッチ目も技術的には容易。4ピッチ目はただザイルを引っ張って登る感じでようやく独標の頂上に
4人全員が到着した。独標頂上ではテントが張れるスペースあり。ただし今年は雪が多いことを前提にしてください。携帯は繋がらない
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1ピッチ目(カーソルあてて)
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2ピッチ目(カーソルあてて)
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3ピッチ目&4ピッチ目(カーソルあてて)
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独標到着
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槍が見えます!
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ここから、北鎌平までは結構距離があるようだが、核心部は突破した事で少し安心。しかし独標から5分ほど稜線沿いを進んでいくと、トップを歩いていた
Niizawaさんが行き詰る。この先は天上沢側の厳しいトラバースになるとの事。千丈沢側には古い残置ハーケンが1箇所打ってあるが外傾したいや〜な感じの
バンドがあり、その先は不明。大きく巻くのか?と下を見ると長ーく下っていく夏道らしきものがある。。。そう、96年の夏はこれを下ってひたすら
千丈沢側のトラバース道を歩いた事を思い出した。ここでメンバーの意見が別れるが、現場監督さんが「バンドの先を見てくる」といってザイルを出して
取り付いた。外傾バンドを微妙なバランスで突破すると「微妙なのはそこの一箇所だけ、行ける!」との声、ホッと胸を撫で下ろし、順次クリヤーしていく。
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独標を過ぎて
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行き詰った所を現場監督さんが下見
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監督さんがリードで抜ける(カーソルあてて)
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ここから先の縦走路もアップダウン、へつり、急な雪面のトラバースの連続だ!安全を考えザイル使った雪面トラバースも1箇所あった。日の入りは遅いが、
刻々と時間が経っていく。。。プルージックでお先にクリヤーすると、ルートファインディングの時間を節約する為、先に進む。
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まだまだ先は長い
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ザイルを出してトラバースした所。
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小さなアップダウンを繰り返す。
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時間も17時30近くになったところで、先頭を歩く私は一つのピークに立った(後でP15であることを知る)。割と広いスペース。これならテント二張りは
問題ない。ここから見える北鎌平までは細かいアップダウン。さらにこのピークからは懸垂下降で下らなくては降りれ無い。後から来たメンバーに
ここで今日は終了でどう?と尋ねると意見が一致。テントを設営して乾杯!といきたい所だが、その前にテント設営に向けての土木作業に入る。
その間にNiizawaさんがDocomoの携帯で連絡を取り明日の天気を確認してくれた。ちなみにSoftbankではアンテナ1本でWebも通話もNGだった。
テント設営終了直後に日の入り。12時間を越える行動に、もう既に”北鎌”というメニューは軟式山岳会にとっては”おなかいっぱい”。
夜の寒さに対して非常に不安だったが、現場監督さんから足用使い捨てカイロや、のど飴を頂きさらに水筒にお湯を入れて湯たんぽ代わりにする等の
提案もあり、寒い思いをせず。本当に助かる。
ちなみに独標からP15までは良いテン場は無い。またDocomoでもWEBは繋がらない。P15から北鎌平までは1時間かかる。独標についた時間、天気で判断した方が良いと思う。
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P15から独標を振り返る
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P15から槍ヶ岳。今日はここで終了♪
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設営完了!
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三日目:曇り
5:25 P15発→8:00槍ヶ岳山頂着→8:40槍ヶ岳山荘、9:30下山開始→10:55槍沢ロッジ→12:30横尾→15:20上高地着
18:06新島々せせらぎの湯発→18:24松本IC通過→19:42東部湯の丸IC→(伊勢崎IC、R50,R4) 22:50自宅着
4時少し前に起きると月が若干ぼやけて見えた。今日は薄曇らしい。そんなに風が強くなくてラッキーだ。 撤収し、早速昨日下見した位置からの懸垂下降で始まる。
P15から北鎌平までは予想通り1時間程度、一箇所浮石の多いところを登るが特に問題は無い。北鎌平は思っていたよりも広くなく、風除けになるような
岩も無かったので、P15でテントを張って正解だった。
さぁ いよいよ、槍穂先の登りである。、ルートを探ると、雪の付が良い様で、下半分はノーザイルで行けそうと判断、現場監督さん、Niizawaさん、安藤さん、私の
順で取り付く。10m弱程上がっただろうか。。。な、な、なんと急にお腹の調子が変! こんな所で・・・ま、まずい・・・ しかしどーにもこーにもならないので、
前後、左右、上下を確認!
「ちょっと悪いけど○○○、下見ないでね!」
と、急斜面でザックを降ろし、ハーネスを○○○、数m脇に移動・・・ 非常に厳しい体勢で”縄張り宣言”をし、そそくさと元の位置へ。。。
おぉー!みんなは既に上の方を登っているではないか!
私も皆が作ってくれた階段状ステップを何事も無かったかのようにとはさすがに行かないがトコトコと登っていく。
皆に中間地点で追いつくとなにやら、セルフビレイを取ってザイルを出している。
いやースッカリ蚊帳の外状態!(^^)ヾ
「ふんふん、安藤さんが固定したザイルをプルージックで登るのね?!」
といったら、
「ちがう、ちがう、もう一本ロープ出してたけちゃんがトップで登って!」と監督さんが出動要請!
「あらぁ〜、私でしたかぁ!」
と渡されたザイルを結ぶと、よいしょよいしょと3級-のミックス岩場を登るのであった。。。登った先で、安藤さんがビレイし、Niizawaさんがリード交代。
私は残置支点があるので、安藤さんのすぐ下でピッチを切り、監督さんに上がってきてもらってリード交代。最後に私が登る。特に難しい所は無く、上で皆の顔が見えた
「そこ頂上?」
「そうそう!」
「いあやぁ疲れたーもうロープ引っ張り上げてぇ〜!」
とお約束の山頂の祠の横に這い上がる!!!
やったぁ!!!到着っ!
みんなで硬い握手をして、いやぁ〜こんなに疲れる北鎌はもう来ないでしょうと記念撮影!
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槍の穂先(カーソルあてて)
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1ピッチ目
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最終の登り。
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お疲れ様です♪
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槍ヶ岳山荘で、ジュース休憩&私はまたもや○○○→槍の両側で”縄張り宣言”をする男 そして、シリセードをふんだんに取り入れた下山で一気に槍沢ロッジへ!
横尾からも、Niizawaさんの背後からのあおりも有り(笑)、前を歩く登山者をロックオン! 視界に入った登山者は全部ぶち抜き上高地にたどり着く!
それにしても、今回安藤さん、現場監督さん、Niizawaさんにはいっぱい助けられ、勉強する事多大でした! 聞くと”Kプロジェクト”と名づけ、数年にわたって
温めてこられたこの計画に横からでありますが参加させていただいた事を幸せに思います。
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下山開始!
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槍ヶ岳山荘
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これをやらいと気がすまない?
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P.S:行動中服装: 上、保温シャツ+カッパ、 下、半ズボン+カッパ
就寝中服装: 上、保温シャツ+長袖シャツ+カッパ+スキーウエア
下、半ズボン+スキーウエア+カッパ、靴下2重 寝袋±0度シュラフカバー無し
上記では就寝中は寒かった。エアーマット要、シュラフカバー要、
靴下は汗?でびしょ濡れになる事を前提に、脚用カイロは便利
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