2007年4月15日 丹沢 寄沢 滝郷沢左俣→右俣下降
メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m、靴:フェルト
参考ガイド:丹沢の谷110
遡行図はこちら
先月、今シーズンの沢初めに候補に上げていた南面の寄沢(やどりぎさわ)滝郷沢。
結局その時はセドノ沢右俣に決定したが、来シーズンの沢初めに持ち越そうか考えたが、今回、片付ける事にした。
この沢はいわゆる"曰く付き"な沢だったらしいが、"予習ゼロ"で遡行したのが良かったのか、悪かったのか・・・
3:56自宅発→4:49谷和原IC→5:55秦野中井IC→6:26"寄大橋"基点駐車場着
6:58出発→7:06滝郷沢出合→7:35 F1 15m滝上→8:09二俣(左俣へ)
→11:05稜線付近仕事道→11:13右俣下降開始→13:20二俣→
(仕事道利用)13:42"寄大橋"基点駐車場着
13:58同発→(秦野中井IC)16:20久喜IC→5:40自宅着
246国道から、完全舗装の県道710号線を延々進み"寄大橋"を渡ったところに8台程度の駐車スペースがあるので
ここに駐車。県道710号線に入るとコンビニはないので注意。
寄沢本流の広河原を数分歩くと、細流が右岸から流れてくるのが滝郷沢。入口は狭いゴルジュとなっており、
奥に15m滝が見える。ガイドによるとここは左岸の大高巻きだそうだが、本当に直登出来ないのか確認しに行く。。。
前衛の4m滝はホールドが細かく、ちょいと微妙。これを超えるとドーム状に削られた
空間に15m滝が水を落としており、この位置からの高巻きは不可能。右から水流に向かって斜上するラインも
見受けられるが、そこから上に抜けるのも不可能で、やはり15m滝を直登するのは不可能と判断。前衛4m滝は
クライムダウンも出来ないので、岩にザイルをひっかけて懸垂下降する。 それでもガイドの通りに左岸大高巻き
は"芸が無い"ので4m滝下から右岸の高巻きで15m滝を超える。
15m滝上に出て、もう一度上から落ち口を覗いたが、全体的にのっぺりしており100%直登出来ない事を確認して
先に進む。
100mも進むと橋が掛かり、通常はココから遡行開始となる。
この先にある2段7m滝は右から小さく巻く事も可能だが、カッパを着こんでシャワー覚悟で突っ込むが、上段は
水流左壁に取りついた。弱わ〜
実は後で判ったことだが、この2段滝手前で2002年に自殺した人が居たようで、その1ヶ月後に遡行した人が
白骨死体で発見したとのこと。知らぬが仏って言うのは本当だね!!!
2段7m滝上から少しゴルジュチックな様相になるが、突破困難な滝は現れず2段6mナメを容易に超えて堰堤地帯
に突入。堰堤は全部で5つ。全部左から巻いた。
5つ目の堰堤を超えると広河原で左俣/右俣を分ける二俣になっている。ここは滝が多いと遡行図に書かれている
左俣に入る。
左俣に入るとゴルジュチックになるが、5m滝は3級レベルで直登可能。この辺りの両岸の岩質は脆く、砕けて砂状
になった物が沢床を埋めている。3mナメ状を超えるとゴルジュは終了。その先の右岸は大きなガレが見える。
このガレを通り過ぎると6m滝。巻きは右だが、直登を考える。4mの高さの位置に両足で立てる"段"が唯一ある
だけであとはホールドは細かい。しかもこの"段"に立ったとしてもずぶ濡れだ。とりあえずそこまで行ってみようと
意を決して取りつく。
抉られた水流の右壁に取りつくが岩が脆い。ここで諦めれば良かったが、水流左の壁も利用してツッパリで"段"
まで上がっていった。
さてここからだが、水流左と水流右にハンドホールドとして使えそうなのが一つずつ見える。フットホールドは細かく
&脆いので慎重に選んで水流右のホールドに手を伸ばす。
"ボロッ・・・!"とホールドがもげる。
ゲッ・・・とすぐに手を5cm動かして崩れたホールドの横をつかむ。
"ボロッ・・・!"
マ・ジ・カ・ヨ・・・
ここで足が滑ったらアウトだった。
いったん慎重に"段"に戻る。シャワーを浴びながらここからの脱出を考える。水流左のホールドを取って見るが、
足を置く所が全くない。やはり水流右から直登するしかなさそう。諦めてクライムダウンも考える。。。
飛び降りる高さではないなぁ・・・
もう、5分以上は濡れっぱなし。そんなに水が冷たくないのは幸いだが、手がかじかんでしまう前に勝負しないとマズイ。
最初にもげたホールドの一番根元側をつまんで、右足に体重をかける。崩れなかった。安心するのはまだ早いが、
もう一歩足を置いた所が崩れないで、なんとか突破!!!というより脱出成功!!! この滝は岩が脆いので
取り付かない方が無難だ・・・
さて、この先だが、滝の上流100m位のところで沢はガレで埋め尽くされてしまっていた。
右岸がごっそり地すべりを起こしたようだ。後でわかったことだが、丁度1年前4月15日moto.pさんがこの沢を遡行
しているのだが、ここにある10m滝の事を記載していた。ということはこの大崩壊地はここ1年以内に起きた様だ。
今は全く見る影もない。
「ところで沢筋はどれなの???」
埋め尽くされた枯れを登って行き8mの涸れ滝(崩壊地)を登った上なのかと直登を試みるも、岩と岩の間に土が
入っており、へたに体重を掛けると崩れそう。残り2mまで登ったが、あきらめクライムダウン。右の窪から小さく
巻いたがこの巻きもいやらしかった。
やはり8m涸滝(崩壊地)上が沢筋になっていた。もちろん水は流れていない。
すぐに二俣になるがここを右に入ると2段15m涸滝。見るからに脆そう。下段は直登、上段は左から小さく巻いたが、
普通だったらこんな脆そうな滝取りつかない。次の4m,5mはなんとか登れるが、次の10m涸は直登は無理。
右から小さく巻くがこれまた嫌らしい。次の7mは登れるが、次の10mは右から。さらに次の10mは残地シュリンゲ
がぶら下がっている左からワンポイントが4級であとは3級レベルで直登。残る6mをクリヤーすると二俣。
ここを右に入ると7m涸が現れこれで連続する涸滝がようやく終了する。
水は流れていないし、見た目美しくないし、脆いし、いま一つ興ざめ。最後の詰めは植林地帯。
藪こぎもなく少し詰めると仕事道に出た。
地図を広げると尾根を跨げば右俣に出れるが、一応少し仕事道を登ってから小尾根を跨ぎ右俣の下降を開始する。
右俣源頭部は黒い土嚢が多く置かれているので、ここ1、2年はこれを目印にすると良い。
残念ながら、右俣も水は流れていない。8m涸滝、2段5mはクライムダウン可能。
左岸から、右岸から
と沢筋が合流するも水は一向に現れる気配なし。さらに5m滝をクライムダウンもう一本左岸から沢筋が合流すると
倒木のある10m滝。これは懸垂下降。さらに12m涸れ滝が現れるがこれはクライムダウン出来る。さらに2段5mを
下ると急に水が流れ出す。
この下の7mは水が流れてようやく滝らしい滝なのだが右岸から巻いて降りる。
4m程度の滝を二つクライムダウンすると広い河原になる。壊れた石積み堰堤、左岸からの枝沢を見るとゴルジュ
になり、4m滝。ここは右壁を経つってクライムダウン。右俣最後の8mは水流右のリッジをクライムダウン可能。
これで登った左俣と合流。
堰堤を5つ巻く気力は無いので右岸に付けられた仕事道を利用。仕事道が尾根を跨ぐと周遊道と合流。
あとはこの周遊道を利用すれば車を止めた所に直接出る。
P.S:滝郷沢左俣は驚くほど崩壊が早く、二俣から上はどの滝も脆い。「丹沢の谷110」や「東京周辺の沢」
に書かれている内容とは大きく異なるので注意が必要だ。一方、右俣は若干安定しているが、
上部は脆いところも多いのでこちらも注意した方が良い。
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