2007年5月3〜5日 北ア 剱岳 八ツ峰→平蔵谷下降

メンバー:安藤さん現場監督さん、ひろた
装備:ザイル8mm×50m 2本

毎年GWには"おやじレンジャー隊"メンバーで雪稜合宿(に連れて行ってもらう)。
今回は、安藤さんと現場監督さんが参加。コースは剱岳 八ツ峰。ルートはmoto.さんの記録に沿って長次郎谷を少し登った所から
八ツ峰に取り付き、平蔵谷を下ってくるルート。
剱岳周辺のバリエーションルートを登るには富山県自然保護課に届出が必要だが、現場監督さんの話によると、山岳会名
"おやじレンジャー隊"で出した所、備考欄に「来年からは"ちゃんとした"山岳会で来て下さい」と書かれてあったそうな・・・(笑)

アプローチ:CR-X
15:00自宅発→17:48伊勢崎IC→18:48佐久IC→19:26上田IC(一般道に降りる)→
20:20麻績IC入口通過→20:53大町駅前→21:30扇沢着

行きの途中で携帯で剱岳周辺の天気を見ると、5日の天気が今ひとつ。当初、
余力があったら源次郎尾根も登るつもりだったが、安藤さんに連絡を入れ、
八ツ峰一本に絞る事にした。大町から扇沢に向う道の途中にセブンイレブンが一軒あり
これが最後のコンビニになる。携帯(ソフトバンク)は扇沢では使える。駐車場は無料なので
助かる。

初日
7:30 扇沢トロリーバス発→9:15室堂着、9:40同発→12:00剱御前小舎→13:20平蔵谷出合着(ベース設営)

朝8時集合だったが、7時前に安藤さんから到着コール。監督さんも7時には到着。早速発券所に向うが、
室堂まで往復8800円は高い!さらに荷物券なるものを購入しないといけない。
 私はなぜか春山登山は下痢を起こすので、扇沢で水を2.5L汲んで持ち上げる事にした。
7:30扇沢出発。トロリーバスのターミナルには累積利用客5000万人の看板がぶら下がっていた。
                                                  結局5/4に達成された模様。
 各乗り物の待ち時間はあまり無かったが1時間半以上かかってようやく室堂到着。
この時期に室堂に来たのは初めてだが、まるで全面スキー場って感じ。板を持っている奴等がうらやましい。
ただ地形に特徴が無いためガスってしまうと磁石必携だ。

少し歩くと、安藤さんが"えび"さんご夫婦を発見!!! ご夫婦は雷鳥沢のキャンプ場でノンビリ過ごすとの事。
私は初対面でお会いできて光栄です♪

それにしても春山ハイシーズン剱御前小舎に向う人がアリの行列のように見える。
我々も、この行列に混じり黙々と登っていく。特に難所も無く12時に”別山乗越”に到着、ここから剱岳の全貌が
見える。今日の登りはこれだけ、後は下るばかりだ。moto.pさんの助言どおり、剱沢小屋の前のテン場ではなく、
平蔵谷出合まで足を進める。
室堂での記念撮影!
別山乗越からの剱岳
剱沢を下る。奥は明日登る八ツ峰
平蔵谷出合で幕営


平蔵谷出合には13時過ぎに到着。先行到着者は無く、テントの設営跡も無かった。moto.pさんの話によると
水も出てるとの事だったが、周辺に水が流れている所は無し、2L以上の水を運んできた甲斐があったというものだ。

テント設営をしていると幾つかのパーティーが近くに張ったり、長次郎谷出合で張ったりさらに下の真砂沢出合に
テント村もあったりと明日の混雑が予想される。


二日目
5:10平蔵谷出合BC出発→5:33長次郎谷出合→7:07八ツ峰稜線(3峰-4峰コル)→9:30 5-6コル→
14:00八ツ峰終了点→15:00剱岳山頂→17:05平蔵谷出合BC着

30分程寝坊して5時過ぎにベースを出発、今日も天気に恵まれる。長次郎谷出合で源次郎尾根基部に幕営していた
パーティーのギャルから「源次郎尾根はどれですか?」って聞かれる。
おーい大丈夫かぁ?と思ったが相手がギャルなので「あっちにトレースありましたよ♪」と丁寧に応じる(笑)

さて、八ツ峰の取り付きだが、長次郎谷出合すぐは完全な壁。少し入ると2本の細いルンゼが見えてくるが、
ココは危険。もちろんトレースなし。。。登り易い所となると出合から400m程入った所。"どう考えてもここでしょ!"
思うのだが、トレースも無く、何故か先行している2,3のパーティはさらに奥へ奥へと長次郎谷を詰め上がっている。
 「あの人達どこ行くんですかねー?」
 「まっ!ここでしょ!」
と、とりあえずココから八ツ峰稜線に向って登り始める。今年は暖冬だが、4月は気温が低かったせいか、
雪は多い感じ。岩場は一切無く雪の斜面をひたすら登る。全ての荷物を背負った北鎌沢の登りよりは楽かなぁー
という感じ。
頑張る事丁度1時間で八ツ峰稜線に出た。計画では1-2峰コルだが、途中急登をさけ左に折れた為、
後で確認してみると3-4峰のコルに出たようだ。稜線にはトレースあり。監督さん、安藤さんの到着を待って
4峰への登りを開始する。1箇所3m弱のクライムダウンを挟んで4峰ピークに到着。
長次郎谷出合から八ツ峰稜線
ここから稜線に登る(写真にカーソルを当ててください)
3-4のコルから見た長次郎谷
4峰ピーク手目のクライムダウン

ここから三ノ窓雪渓側に10m弱懸垂下降するのだが、支点は雪の中からチラッと出ている残置シュリンゲ。
このシュリンゲがどの様に括り付けられているかは不明でかなり不安。
安藤さんにバックアップを取ってもらい懸垂下降に入る。とはいえ、全体重をザイルに預ける勇気はなく慎重
(ビビリながら)にクライムダウンした感じ。

5峰への登りも結構カッタルイがステップが切ってあるので大分助かる。難所は無い。
4峰への昇り
4峰ピークからの懸垂下降をする安藤さん
5峰登りから4峰方向
5峰ピークから6峰方向

5峰からの下降は長次郎谷側に懸垂。ココの支点は岩から取ってあったのでかなり安心だ。
監督さん先頭でダブルロープで40m程度降りたが、20m程降りた所に中間支点がありここに再度ロープを掛け
なおして6峰側に回り込むように懸垂するのが正解だ。クライムダウンを交えればザイルは1本でもOKだが
そのままザイルを繋いで懸垂する。
5峰からの懸垂下降ポイント
懸垂1ピッチ目

5-6コルは幅広く幕営可能。また長次郎谷へのエスケープルートにもなる。長次郎谷を詰め上がったパーティは
ココから取り付いた模様。
隣の源次郎尾根を見ると懸垂ポイント手前の稜線で行列が出来ていた。源次郎尾根じゃなくて正解だったかも・・・
っとここで安藤さんが
「あっ!行動食忘れたぁ〜!」
と言うので、私と監督さんからのカンパを受け取る(笑)

6峰の登りは最初がとても急。雪も大分柔らかくなって来ているので注意が必要だが、さすがにトレースが有ると
精神的にも楽でガンガン登っていく。振り返ると5峰ピークに単独登山者が立っていた。急な登りという以外は難所
は無く6峰手前の小ピークに到着すると先行パーティーに追いついた。ココから5m程クライムダウンするが、
念のためザイルを出してもらう。
6峰の登り
6峰から源次郎尾根&剱沢小屋方向
白馬岳方向
奥が6峰ピーク

6峰ピークからはまた懸垂。"スノーボラード"という雪で作った支点を利用するが、潅木や岩でしか支点を取った
事のない自分は、"こんな物が支点になるんかいな?"という気持ち。しかも、何パーティーか使用しているので、
ロープがかなり雪に食い込んでいて、さらに不安を駆り立てる。着地ポイントが上から見えないのでザイルは
2本使ったが、1本で足りる距離だった。
6峰手前の小ピーク 6峰ピークからの懸垂下降

7峰へは幅狭尾根が続く。ここをコンテで安藤さん私、監督さんの順番で進む。トレースがなければここもかなり
緊張するだろう。7峰からの10m弱の懸垂も"スノーボラード"が支点。安藤さんを先頭に懸垂開始する。
7峰への登り
七峰ピーク付近から監督さん
余裕の表情で7峰ピークから懸垂の安藤さん
7-8コルへ慎重にクライムダウンする私

8峰の出だしは非常に急。先行パーティーはザイルを伸ばしている。待ち時間に源次郎尾根に目をやると、
1時間以上経っているにもかかわらず、5-6コルで見たときと全く動いていない。どーしちゃったんでしょう???
 
7-8峰鞍部の細尾根で待つ事数十分。安藤さんとのジャンケンで見事勝利した現場監督さんが7峰登り1ピッチを
リードする。小生はジャンケンすら辞退(笑)
7峰ピークから見る8峰
8峰1ピッチ目(登っているのは別パーティ)
8峰2ピッチ目をフォローする監督さん

 私はプルージックで登るつもりだったが、よく見るとしっかり先行者のステップがきってあり、登れそうな感じだった
ので、ザイルにカラビナを通して監督さんと共に登っていく。雪の切れ間から覗くハイマツにビレイを取り1ピッチ
終了。安藤さんがそのまま2ピッチ目を引っ張る。2ピッチ目は幾分傾斜が緩くなり、ステップが崩れなければ
なんら問題なし。むしろ危険なのはその先で8峰は登り切るとナイフリッジになっており、遠くから見ると
"なんでこんな細尾根の上を歩いてんだ!?"て感じコンテをそのまま続けここを慎重に通過する。
8峰ピーク手前のやせ尾根(真下が見える!)
8峰ピークから登って来た八ツ峰を振り返る

8峰ピークからの懸垂はしっかりとした支点が見える。ザイル1本だと途中の支点でピッチを切らないと下まで降りれな い。

この懸垂下降を終了すると八ツ峰も終了。時間はちょうど14時。ここで、前を歩いていた複数のパーティが
ここでテン場設営を始める。ただ、三ノ窓雪渓からも人が上がって来るらしく、「雪落とさないでぇ〜」と叫んでいる。
このコルからは平蔵谷への下降も可能。監督さん曰く、ここから剱岳までは1時間。ガスが出てきたが難所は
無いので剱岳山頂に向かう。
8峰ピークらかの懸垂下降
終了点の幕営地

ザイルを出す事はなかったが、剱岳本峰の昇りが1か所急。ここをノーザイルでクライムダウンするパーティーと
ハチ会う。彼らは急登り取り付きにスキー板をデポしており、平蔵谷を下る様だ。
「板をおれに貸せ!!!」という言葉が喉まで出てくる程うらやましい。

この急斜面を登り切ると剱山頂もすぐそこ。予定通り15時に山頂に到着した。
ガスも切れ360度の展望。なんとすぐ近くでグライダーが旋回、カッコイイ〜!。
八ツ峰を振り返る
あれが剱岳本峰!
剱岳山頂到着!

それにしても源次郎尾根は相変わらずまったく動かずにいる。ひどいを通り越して"可哀そう"な感じ。
それにしても15時回って敗退もせずにどうするつもりなんだろう?

3人で写真を撮ってもらい下降を開始。平蔵谷へは少し前剣方向に一般道を下り、ちょうど"カニの縦ばい"
呼ばれる鎖場の上で反対側の谷筋へクライムダウンする。
5分程度クライムダウンすればもう安全圏。あとは監督さんとガンガン滑って(?)下降する。安藤さんは新しい
ハーネスに気を使って歩いて降りてきた。
途中源次郎尾根から滴り落ちる水を汲んでベースに到着。やはり全員お疲れ模様。明日の源次郎尾根は
夢のまた夢という感じ。
夜、食事を終えて(安藤さん桃缶ご馳走様!) トイレでも行って寝ようか。。。という時に真っ暗な平蔵谷上部を
ヘッドライトを付けて降りてくるパーティーを発見!先ほどの源次郎尾根の大渋滞にはまったパーティだろうか?
こっちもヘッドライトをグルグル廻したがわかったかな???
平蔵谷へ下降開始!
平蔵谷の下降〜♪
平蔵谷の下降〜♪
平蔵谷から


3日目
6:30平蔵谷出合B.C発→8:50別山乗越→11:23室堂着→13:38扇沢着
16:21大町駅発→17:02麻績IC(高速利用)→(15km程渋滞)19:38伊勢崎IC→21:50自宅着
天気予報では"曇りのち雪"であったが、ほぼ快晴。とはいえ、源次郎尾根を登る気力も食料も無く、別山乗越経由
で室堂に向う。

 雷鳥沢下の幕営指定地で、えびさんご夫婦がテントを設営しているとの事で、どれなんだろう???と安藤さんの
到着を待つと、安藤さんが「あれあれ!」と指を指す。

「な、なんだ!あれは!!!」

他のテントの風除けブロックとは完全に一線を画した滑らかな壁。近づいてみると、雪を削って作った見事な椅子と
テーブル。周りのテントは全て登山や山スキーのベースキャンプだが、ココだけ"サロン"と化している!

「さ、さ、どうぞどうぞ♪」

えびさん/かばさんに向い入れられ、席に着くと、雪のテーブルから出てきたビールとチーズの登場。
ここは "海の家" ではなく "山の家" か!(笑)

自動車会社勤務で帰りに車の運転を控えている自分は残念ながら缶ビールを一本開けることは出来なかったけど、
監督さんから一口横取りして堪能♪
話を聞くと、かばさんはここでなんと鮨を握ったそうだ。
話は盛り上がり”逆さ背面スライダー”の話をして後ろに仰け反ったら、壁を壊してしまう大失態!!!
あまりの居心地のよさに、帰りの事を忘れそう・・・
剱沢前にて剱岳と源次郎尾根&八ツ峰(奥)
八ツ峰(カーソルを当てると登ったルートが出ます)
喫茶"えび" と マスター(笑)
記念撮影

喫茶"えび"に別れを告げ室堂到着。安藤さんは富山の友人の所に寄るとの事でここでお別れ。監督さんと
"薬師の湯"経由で大町に向かいCOCOSで食事をして別れた。

P.S:天気に恵まれ、雪が多く、先行者トレースもあったため今回の八ツ峰は技術的な
見せ場は無く、安藤さん、現場監督さんにとっては物足りなかったかもしれない。
トレースがないと8峰のナイフリッジ等は結構緊張するかも。。。

現場監督さんのレポはこちら、 安藤さんのレポはこちら



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