2007年9月9日 足尾 松木川 丹平治沢→大ナギ沢下降

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m、靴:フェルト
遡行図はこちら

数年前から気にはなっていた足尾山塊松木川流域。地元栃木人として押さえておかなくてはいけない流域なのだが、
10数年前に初めて訪れたとき足尾銅山の鉱毒、亜硫酸ガスによる山肌の荒れ様に不気味さを覚え、近寄れなかった。
とは言う物の、県内で足を踏み入れた事の無いのはこの流域のみになったので、意を決して足尾に向かった。

4:32自宅発→5:54足尾松木ダム着
6:07銅親水公園ゲート発→7:05丹平治沢出合、7:15入渓→9:40 2段50m大滝上
11:11稜線着→(大平山山頂を抑えておく)11:57大ナギ沢下降開始→
13:27 左岸50mナメ滝出合→14:08松木川沿い林道着→14:43銅親水公園ゲート着
14:55松木ダム発→16:32自宅着

廃墟となった"足尾鉱業旧精錬所"の横を通り抜け巨大堰堤で出来た松木ダムに到着。 目に映った山肌は緑化事業が功を奏したのか、
10数年前の完全禿山とは違い
雑草に覆われ薄ら緑色の山肌となっており不気味さが幾分薄らいだ・・・

以前来たときはこのダムより先まで車が入れたが、現在は車はここまでしか入れない。気象情報を伝える
電光掲示板があり、気温16度となっている。
ゲート手前には10台程度車を置けるが、200m手前に銅親水公園(あかがね親水公園)の駐車場(無料)もあるので駐車で困る事は無い。
ただソフトバンクの携帯はここではつながらない。

 ここから松木川沿いの林道を歩く。松木川は1昨日通過した台風の影響で水がまだ濁っている。。。
林道の状態は良いので、ミニバイク、自転車でアプローチすれば便利で、大ナギ沢出合のすぐ手前までは
通行可能だ。
銅親水公園(松木ダム)のゲートから歩くこと1時間。丹平治沢出合に到着。出合の様相は明るく奥に10m級の
滝が見える。
松木ダムゲート
丹平治沢に架かる橋
橋から見た丹平治沢

入渓して、小滝を快適に超えると、先ほど林道から見えた10m級の滝が現れる。実際は12mくらいあり、
増水の影響もあって(?)かなり見事! 直登は右端か左端だがチョイと渋い感じ。ただ両岸から容易に巻ける
ので問題ない。もちろんここは直登を狙う。右より左の方が若干難しい気がするがTRY!
 飛沫を浴びながら快適に直登!V+
12m滝
12m滝登攀ライン(カーソルを当てて!)

この滝のすぐ上に4mの滝がありこれを容易に超えると平凡な様相が続く。
小滝をいくつか超えると見所の25m滝。豪快に水を飛ばしていて迫力満点!通常左岸を巻くらしいが、
直登ルートを探る。水流が凄くて、5m上がってから先のルートがよく見えない。安易に巻こうかなと思ったが、
水流すぐ右の岩壁から取り付けそうだったので微妙なバランスで取りつくと残置ハーケンあり。ここから2m直上
するとさらに残置ハーケン。しかしここからが渋い。ちょっとフリーでは怖いので、長めのシュリンゲでビレイを取り
核心の2,3歩を突破してビレイ解除。残置したものは一旦上がってから懸垂で降りて回収♪という手法を試みたが、アホな事に、
カラビナを1個落としてしまった!

「う〜ん、800円・・・」

しかたなく、ここから灌木のある方へトラバースして懸垂でカラビナを拾いに行く。カラビナは回収できたが、
もう一度TRYする元気が無く、この滝は左岸を高巻く。水流が少なければ、水流沿いを直登した方が簡単かも?
右の岩壁ルートはW+。
25m滝(カーソルを当てて!)
水量MAX!
25m滝上から

25m滝上はまた平凡。小滝を超え、右岸から一本顕著な沢筋が入ると、6m滝が出現。
瀑心の中にホールドがあるのでは?と期待するが、期待外れに終わり、水流右のCSルンゼに突入するしか
なさそう。岩がハング気味に被さり嫌らしいが両足ツッパリで突破。
足を何所に置くかが突破のポイントになる。この滝の巻きはチョット面倒なようです。
右岸から顕著な沢筋
6m滝(右ルンゼを直登)

6m滝を超えるとゴルジュっぽくなるが滝は無く拍子抜け。3m滝は水流直登。5m逆「く」字滝を超えると左から
凄い勢いで水を落としている滝が現れる。これがこの沢のハイライトの40m滝。大きく2段になっており下からは
下部25mくらいしか見えない。ここは丁度三俣になっていてよく出来た感じ。大滝は正面突破は無理で、
右の細い水流を落としている滝を10m程登り大滝右の岩壁に取りつく。3m程度の昇りだが、壁は立っているので
ザイルを出せるなら出した方が良いかも。W  ここをフリーで直登するとテラス状になるので水流右側のバンド状
を進んで下部を終了。上段10mは直登は難しいので左を小さく巻く。
40m滝下段下部(カーソルを当てて!)
40m滝下段上部(カーソルを当てて!)
40m滝上段

40m滝上は(1:3)の二俣。ここを右に入る。小滝を幾つか越えると6mハング滝。左右どちらからでも容易に巻けるが、
右斜めに上がる斜上ラインを見出し取り付いてみるが、やはり水流側ハング部が登れず、チョット右に逃げる
感じで越える。この後も3m程度の小滝が続く。15m階段状は容易。その先(3:1)を左。そのすぐ上の(1:3)
(左岸から湧き水)を水量の少ない左に入る。
6mハング滝(カーソルを当ててください)
15m階段状
(1:3)個々を左に入る

水量はここで大幅に減り、通常は涸れているかもしれない。ここから稜線までは50分程かかるので、夏場は
しっかり水を汲んでおいたほうが良いでしょう。開けた沢筋を詰め、最後は草付を登ってようやく稜線にたどりつく。

稜線は獣道があり、藪コギに苦労する事は無い。

さて、大ナギ沢の下降であるが、1/25000地図で"1805m"と記載された尾根を下っていくのだが、視界が
利かないとチョット難しいかもしれない。ただ、誤って足口沢や大ガキ沢に入っても帰れるので、地図は足口沢を
含んだ所まで用意しておくと安心です。
源頭部の様相
稜線到着♪尾根は歩きやすい
"1805m"の小山。ここを右から回り込む

大ナギ沢の下降は急勾配で笹を掴みながらクライムダウン。沢筋に入ると平凡な様相が続く。
ようやく現れた最初の4m滝はクライムダウン、左岸から枝沢が入る6m滝も容易に降りれる。12m滝は水流右
(右岸側)から懸垂。30mザイルでは下まで届かないが、懸垂終了点からは右岸から小さく巻いて降りれる。
大ナギ沢下降点(左岸ガレが目印)
6m滝
12m滝

一つ一つの滝をクリヤーするととにかく平凡になるのが大ナギ沢の特徴か、次の7m滝は(1:1)二俣となっており
左岸から10m滝と一緒に落ちている。ここもクライムダウン可能。
右岸から(1:2)で入る枝沢が入ると、ナメ床も現れてくる。左岸から湧き水があふれる所を過ぎると7mナメ。
左岸から40mのナメ滝が入っており、大ナギ沢1番のビューポイントになっている。
7m滝(左から降りてきました)
40m大ナメ出合

ここからは概ね平凡。足尾精錬所の影響か知らないが、岩と岩の間には隙間が多くそこに砂が詰まっていて
脆い。ヘツリ気味に50cm程の岩を抱きかかえたら岩が取れ自分の方に落ちてきた!何とかよけれたが、
危ない所だった。
 最初の堰堤は左岸から。これで終わりかと思ったら7mほどの見事な滝。ここは一本左のルンゼを
クライムダウンする。
 堰堤が続く所は左岸に工事用道路跡があり全てを容易に巻け、松木沢本流沿いの林道に到着した。

P.S:丹平治沢は松木川流域では一番取り付きやすいと思われます。ただ下降は沢に求めるしかありません。
   40m滝はもっと安全に巻く事も出来、ザイルは30mでも何とかなると思います。

遡行図(クリックして)




inserted by FC2 system