2007年9月15日 万太郎谷オタキノ沢

メンバー:現場監督さん、ひろた
装備ザイル8.5mm×50m、カム、靴:フェルト
参考ガイド:日本登山大系
遡行図はこちら

当初、現場監督さんとオツルミズ沢を計画していたのだが、天気の都合で万太郎オタキノ沢に変更。
この沢、万太郎では"一押し"との事。遡行記録もあまり見受けられないので、今回の調査遡行となる。

アプローチCR-X
18:43自宅発→20:45大間々→21:23赤城IC通過(一般道)→22:16水上IC(関越道)→22:40土樽PA(前夜泊)

5:45吾策新道登ゲート発→7:22井戸小屋沢出合→8:34デトノタキ沢出合
→8:41 一ノ滝下(左壁直登)→9:30オタキノ沢出合→12:05 50m滝下→13:35稜線着
→15:15茂倉新道登山口着
17:50湯沢→(関越道)6:20沼田IC→6:57鎌田交差点→7:22金精峠→7:55日光宇都宮道路
→8:20宇都宮外環→9:01自宅着

集合は土樽駅だったが、ETCの深夜割引利用のため土樽SAで仮眠。ここだとソフトバンク携帯もかろうじて
使用可能。朝起きると現場監督さんが車の窓を叩いてくれた。

 車1台を茂倉新道登山口にデポし、万太郎谷吾策新道ゲートに移動。今回ここからすぐに入渓したが、
左岸に設けられている舗装道路を利用した方が早い。この道路は数百m程上流の堰堤工事現場まで続いてるようだ。
 堰堤工事現場には『釣り人、沢登りの方へ』と書かれた標識があり、右岸から巻く事になる(笑)
 万太郎本谷はこの堰堤上からナメ床状が混じる。堰堤から50分で川棚沢出合。関越トンネル通気口が目印。
オキドウキョはザイルを濡らしたくなかったので左壁を微妙なバランスでへつり突破。防水性アップの新ウェアで
挑む現場監督さんは淵を泳いで突破。実際こちらの方が早い。 
堰堤から1時間25分で井戸小屋沢出合。ここから先は久しぶりだ!

淵を持った2段4m滝は前回は苦労して監督さんにお助け紐を出してもらったが、今回は楽勝。ただここは、
どうしても泳ぎになる。良い感じの小滝を軽快に越え、右岸から立派な15mのナメ滝で出合うデトノタキ沢
見送ると一ノ滝はすぐ。予定より早く到着したので直登する事にした。
オキドウキョのトロの突破
2段4m滝に取りつく
デトノ滝沢出合

前回一ノ滝は右壁を直登。W+ 今回は水流左を狙う。前回来たときは「あ・り・え・な・い」と思った水流左の壁だが、
滝慣れしたのか今回はそんなに恐怖感は無い。前回リードさせてもらったので、ここは現場監督さんにトップを
お願いする。監督さんも快諾!
残置は2,3あるようだが、最初のボルトはすぐにでも抜けそう。滝の音でコールは全く聴こえないので、音声以外
の合図を決めておいた方が良い。
現場監督さん登攀開始。あっという間にビレイ解除!!!私も続く。岩が乾いているので極端に難しい所は無い。
10mほど登った所でスタンスが無くなるが軽いリングボルト利用のA0に甘えさせていただく(^^)ゞ。自分は4級A0、
監督さんはただの4級かな?右壁より水流左の方が簡単で快適。二人で30分かからなかった。
一ノ滝
カーソルを当てて下さい♪
現場監督さん、登るの早っ!

ひろ:「はい、今日の核心は以上です!!!」
監督:「オタキノ沢はどーなの?」
ひろ:「1箇所ザイル出したという記録見ましたけど・・・」

一ノ滝を越えるとオタキノ沢出合はすぐ。出合はゴーロ状で単なる枝沢という印象。ちょっと貧弱なので、
「本当にこれか・・・?」と一瞬不安になるが谷が大きく稜線まで続いているので、「まぁこれでしょう♪」と入っていく

最初は5mのナメ滝でスタート個の上もナメが続く。4mトイ状、5mと続く小滝を越えると8mナメ滝。これは水流左を
快適に直登。次の2段10mトイ状は水線上を突破。
オタキノ沢最初の5m
ナメ床を進む
8mナメ滝の直登
2段10mトイ状

少し行くと監督さんが「うわぁっ!」と声を上げるので見上げると、岩溝を落ちる20m滝!登山大系遡行図を見ると
40mと書いてある物か???いくらなんでもそんなに無い。登山大系遡行図は滝を実際以上に大きく書いてあるようだ。

こりゃぁ左岸の草付を巻きかなぁーと諦めモードに入ると、監督さんが

「これ行けるんじゃない!?あそこまで行ければあとは楽勝でしょう!」
「えっ、マジ?」

滝に近づくと確かに足がすっぽり入る溝が縦に走っていてこれを利用すればいける感じ・・・

「ここはリポビタンD登攀ですかね!」

と監督さんがのたまうので、調子に乗って私がフリーで取り付く。。。確かに最初の10mはV+くらいで良かった
のだが、"あそこまで行ければ""あそこ"の下1.5mくらいのところが良いスタンスがなくホールドも濡れ濡れで
甘いのでシビア。

監督:「どーぉ!?」
ひろ:「うーん行けそうな感じなんだけどチョット怖いよ〜〜!」

慎重に乗っけた右足が滑らず、その先2,3歩もクリヤー!核心W級?を突破。現場監督さんには念のため
すかさずザイルを出す。
初めからザイル出していれば、リスも多いので安全に登れるはず。高巻くなら右の草付となるだろう。
20m滝
20m滝のリポD登攀(怖いよ〜)
20m滝上から

ザイルをたたむや否や次の10m滝もチョット嫌らしい。左壁からバンド状を経つった後中央直上か?!と思ったが、
現場監督さんは水流右端のラインを見て、

「ここ行けるんじゃない?」

「・・・マジですか!?」

とフリーで取り付こうとする現場監督さんに、自信の無い自分はザイルを渡す。
リスは無く、中間支点はカムを利用。最初の3mが細かいが、何とか突破。滝中央に移動して直上お見事!!!
次、自分が取り付くのは気が進まないけど、カムを回収しなければいけないので、取り付く。
「良くこんな所登れるなぁ・・・」と思いつつ、何とか登る。この滝も巻く場合は右の草付になる。

この滝を越えると沢は開け遠くに岩峰と相まってとっても絶景しかし大岩が超微妙なバランスで乗っかっている
15m3段トイ状滝は直登は不可能と判断。右の草付スラブを高巻く。この高巻きチョットチャレンジングに
トラバースしないと上へ上へと巻き上げられてしまうので注意。ザイル掛けられる潅木も無い。
高巻き途中から、沢を覗くが、15mトイ状滝上に控える3段10mナメも傾斜が強く直登不可能なので一緒に高巻く。
10m滝カーソルを当てて!
大岩が絶妙なアクセントを醸し出す15m3段トイ状滝
3段10mナメ上から


この上もナメ滝が続く。7mナメも10mナメも傾斜があるので、スリップは注意が必要。
13mナメはさらに傾斜が強く完全に滝といった感じ。これは右から巻きか・・・左から巻きか・・・と思ったが、
滝の真ん中を横断する斜上バンドを見つけ

     「あ・そ・こ!」

と指さして、取りついて見る。
最初は良い感じなのだが、水流に近づくにつれバンドの幅がどんどん狭くなる。下は釜があるものの60度はある
傾斜のウォータースライダーはちょっと勘弁。。。
簡単に左右から巻いてしまえば良いものを、ここまで来てしまったらアフターフェスティバル!

「何やってんだぁ〜俺・・・!」

シャワーを浴びながら超微ミョ〜〜なバランスで何とか突破できた!
監督さんもバンドに取りつくので、
「ヤバかったら言って下さい!すぐにザイル出すんで!」
と写真撮りながら見守る。
監督さん、「今ちょっと滑ったよぉー!」と言いながら無事突破
大ナメを行く
13mナメ滝
13mナメ滝突破中の現場監督さん


この上で左岸から枝沢が20m滝を落として出合う。本流は正面の岩峰
に向かって真っすぐ伸びている。この辺りはゴーロ状。5mトイや3段12mは簡単に巻けるが微妙な体勢で
全部中央突破!すると、監督さんが

「なんか凄いのが見えちゃったんだけど・・・」

それは、オタキノ沢ハイライトとなるドーム状50m滝。イタリアの「コロッセオ」遺跡の様な印象。水量が多ければ
凄い見事な滝だろう。
この滝は、幸いにもいろいろルートが取れる。ジグザグにたどればV級レベルだ。
この滝の中間部で右岸から20m滝で左俣が出合う。こちらはナメ床で稜線の方まで伸びていた。
50m大滝
50m大滝下段テラス
50m滝から見た左俣

本流筋の右俣は間髪入れずに2段15m滝、15m滝と続くが登攀に問題は無い。正面には行き止まりのように
そびえ立つ岩壁が見える。その先の7m滝もホールドが細かく苦労したが、正面突破をせずに小さく巻く事も可能。
 
7m滝上で沢筋は左直角に曲がり、岩峰と岩壁の間を抜けていく。5m滝は容易だが奥の10mトイ状はどうにも
手が出ず、左を小さく巻きリッジに取り付いて直上。
この先小滝をいくつか超えると笹藪の中を沢筋が伸び、ちょっとした笹藪こぎで茂倉新道の稜線に到着♪
15m滝と正面岩壁
岩峰と岩壁の間を抜けていく
10mトイ状
最上部にて

時間はすったもんだあった割には予想以上に早く到着。「隣の川棚沢下ります?」という話も出たが、
ここはのんびり一般道で下山した。

400円の岩の湯→大盛りで定評の人参亭に立ち寄って解散となる。

P.S:オタキノ沢やはり一押しというだけあって景観が見事!滝も直登すれば4級レベルが多く登り甲斐もあるし、
   巻く事も可能なので3級レベルをフリーで登れる人なら安心してルートを選択できる。
   ビバーク地はオタキノ沢に入ると少なく。最上部の正面岩壁下(沢が左直角に曲がるところ)を整地するしかなさそう。

現場監督さんの記録へGO!




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