2007年11月3,4日 阿武隈川本谷(往復)

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m(45mを持って行った方が良い)、靴:フェルト
遡行図はこちら

当初紅葉目当てで奥秩父に行く計画だったが、天気予報が北関東の方がよいので
急遽予定を変更して阿武隈川本谷にした。阿武隈川流域の他の沢は全て終了しているので
これが最後になる。

アプローチ:CR-X
5:00自宅発→(矢板ICから高速)6:26白川IC→6:46甲子温泉着
7:15出発→9:40赤滝沢出合→12:00幕営ポイント着

甲子温泉までの道は完全舗装で、温泉宿大黒屋の手前にある駐車スペースに車を停める。
本谷への入渓は、建設中止(?)となった大橋の下から踏跡が伸びているので、これを利用する。
踏跡は数百m伸びていて、巨大堰堤の上まで明瞭についている。通常そこから入渓すると早いが、
この時期(11月頭)、ムキタケの全盛期であるため、一里滝沢出合上からすぐ入渓する。
案の定、すぐにムキタケは見つかる。

沢はの様相は至って平凡、巨大堰堤を左から高巻くと幕営適地。この先も平凡な様相が続く。ナメコの群生も
発見して、もうすでにビニール袋に山盛りGET。遡行開始したばかりなのに荷が重い(笑)
大橋下の車がある所から踏跡が伸びる
阿武隈川本流入渓付近
ムキタケ

沢は、平凡な様相からミニゴルジュチックになるがトラロープが親切に付けられている。
チョットしたナメ床を楽しむと早くも雌滝12mが現れる。深い釜を持ち、ハングっているので直登は不可能。
しかし、右岸の細流にクサリがつけられていて、ちゃんと高巻きルートが付けられているのでこれを利用させていただく。
雌滝すぐ横の小尾根に上がると、落葉した木々の間から雄滝50mがすぐ近くに見えた!。雌滝と雄滝の距離は
100mあるか無いかだ。

雄滝は両岸とも絶壁で結局今自分がいる踏跡を利用しないと高巻く事が出来ないので、雄滝基部には下りず、
このまま右岸を高巻きを続ける。この高巻きだが支流の天狗滝沢を分ける尾根まで完全に巻き上げらる。
(最上部トラロープあり)
尾根まで上がると、木に白テープが巻いてある方の踏跡で下れば、天狗滝40mの下に出る。
この滝も実に見事だ!本流に戻ると釜を持った4mナメ、5mナメ滝と続き、再び平凡な
雌滝12m
高巻きの踏跡から雄滝50m
天狗滝40m

様相になると二俣になる。正面が赤滝沢で右が本谷だ。赤滝沢出合にかかる50m滝は実に見事!!!
 一応ルートを探ると、下段は左凹角を釜に腰まで浸かって取り付き瀑心突破。V
ここから水流左のリッジを直登するしか方法は無いW+。

本流に戻ると、こちらもまた小さいながら見事な霧降滝14m。(帰りに懸垂したので正確な高さが判った)この滝も
残念ながら直登は不可能。問題は高巻きだが左岸はドーム状にえぐれたザレ。安全に高巻くなら左岸100m以上
にそびえる尾根まで大きく巻かなければいけない。
 ここはドーム状の中のザレを登る。最初の岩壁を8m登り(V+)、ザレを慎重に1歩1歩進む、潅木が1本も無く、
岩も脆いので、かなり神経を使う。
赤滝沢(あっきーさん撮影)
霧降滝14m
霧降滝高巻き(カーソル当てて)

霧降滝上に出て左の小尾根(10m程度)にあがると隣の赤滝を上から見れるので、覗いてみると良い。
 本流はゴルジュになり、3m滝を左壁を経る。すると8m滝に行く手を阻まれる。この滝も全く手足がでず、
右岸を高巻くしかないのだが、この巻きもザレの急登で、4+くらいの神経を使う。核心と言っても良いかも。
安全に高巻くなら、3m滝の手前から右岸尾根に上がるしか手はないが、この尾根も結構厳しいかもしれない。

なんとか8m滝上に出ると核心は終了。ナメと平凡な様相を交えながら進んでいく。
30分ほど進むと4:1くらいの二俣になりその先に進むと良いテン場が無さそうだたので
時間は早いがこの二俣上で今日の行動を終了する。

薪を集めていたら、なんと本流の沢沿いにのクマを発見!!! 距離20m無いくらい。向こうはまだこっちに
気が付いてない。大声を出したら、ビックリして沢の反対側の壁を5m程駆け上がり、こっちを振り向く。
お互い目を合わせてからクマは笹薮の中へと消えていった。(^^;)

夕食は、採ったキノコ尽くしのメニューでおいしく頂いた。


二日目
7:10行動開始→9:45稜線付近→10:00下降開始→14:45甲子温泉着

天気予報ではピーカンのはずなのに、完全にガスっていて、時折雨も。。。なんで?

ここから先は、もう、小滝しかない。二俣は全て水量の多い方を選択して進む。
水が枯れると、背丈ほどの笹藪。ガスっていて視界の利かない中、稜線目指してヤブコギ。しかしこの笹藪が
やけに長い。。。稜線か!と思っていたらまだ上に続いており。。。これが3回くらい続く。詰めを間違えたのか?
ようやく稜線か!とおもったら、たしかに稜線付近なのだが、コメツガと松の密ヤブ・・・
全く前に進めない。尾根の幅も広いようで、登山道が何処にあるのかさえも判らず。
 多少、詰めを間違えたとしても登山道はあるはずなのだが・・・視界が利かない中、30分ほど喘ぐ。。。
時間10時。諦めて、引き返すことにした。再び笹藪帯に入る、何度か足を滑らせて転んだ後、
デジカメが無いのに気付く!!!落としても大丈夫な様にゴム紐をつけていたのだが、この紐が切れていた。。。
このヤブでは探しようも無いので諦める。。。遭難の次にショックだ!!!
 
仕方なく下降を続けると。見覚えの有る場所に戻る。。。今日出発した地点を通り過ぎ下降を続ける。
昨日、右岸高巻きに苦労した8m滝は直接懸垂で降りると深い釜にドボンになるので、登った右岸尾根を結局巻く
ことになるのだが、30mザイルでは到底下れず。そのまま右岸尾根を進む。。。が、そのとき、右腿裏側の筋肉を
攣ってしまう。
"ふくらはぎを攣るのは解るが、なんでこんな所攣ってしまうのか・・・歳かなぁ"
5分ほど休憩したら回復したので、先に進む。
この右岸尾根(赤滝沢と本谷を分ける尾根)は痩せ尾根で尾根伝いに進んでも懸垂2回を交える。3回目の懸垂下降
でようやく沢床に戻れるところまで下れた。30mザイルでギリギリ。

さて、この先の霧降滝がある。"30mザイルで降りれるかどうか・・・"
まず、昨日上がってきたザレを覗くと、やはり途中に潅木が全く無いので、全く下降出来ず。しかたなく、霧降滝
の落ち口まで慎重に足を運びザイルを落として見る。(超コワイ)

"ギリギリだ!"

落ち口のすぐ脇に真横に伸びている潅木にザイルを掛けて引っ張ってみると、ちょっと動く
「ダメだ、こりゃ・・・」
こんどは霧降滝の右岸尾根にちょっと登り下の様子を見るが、こちらもダメ。。。
もう一回、落ち口に戻り、先ほどのザイルを掛けた潅木のもう一本奥の潅木にザイルを掛ける。(これも超コワイ) 
"おっ!これなら行けるかも"

ザイルは下まで完全に届いていないが、体重の重みでザイルが伸びる分を考慮すれば何とかなるでしょう。。。
と、意を決して懸垂。狙い通りギリギリで下降出来た!
霧降滝の下降(カーソルを当てて)
あっきーさん撮影

この先は下降に危険な所は無い。雄滝はもちろん右岸の大高巻きルートを選択。
雄滝が良く見える位置まで下ると、人が居た!
「こんにちは!」と挨拶すると
「ひろたさんですか!?」と聞いてくるではないか!
話を聞くと、雪田爺さんらと行動を共にしているあっきーさんという方で、
滝の写真を掲載されているhpを持っているとの事。。。
いや、偶然にしても凄いです。
彼はもう少し写真を撮ると言うので、お先に失礼させていただく。

ここから先は再びキノコモード全開で行くが、さすがに昨日、キノコ採りのおじさんが
入っていただけに、収穫は少なかった。

車で戻り、大黒屋のお風呂に入ろうとしたが、体が洗える内風呂は13時までという事で
断念。少し車で戻ったホテルで日帰り入浴する(700円くらい)

P.S:阿武隈川本谷は大滝はすべて巻きになるが、霧降滝から始まるゴルジュの巻きがかなり悪い。
   初級者の単独はかなり危険だと思う。ザレの高巻きには4ッ歯の簡易アイゼンがあると良いかも。
   この本谷の下降の記録は他に見たこと無いが、ザイルは45mは無いとかなりデンジャラス。

遡行図
(デジカメを落としたので不明箇所有)





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