2008年4月20日(1) 丹沢本谷川 大棚沢→大日沢下降→三角沢
                                        大棚沢→大日沢下降編
メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m(大棚登攀なら45m無いと届かないはず)、靴:フェルト
参考ガイド:丹沢の谷110ルート
遡行図はこちら

遡行したい沢は多いのに、自宅から遠い丹沢・・・。圏央道の開通で裏丹沢は少々アプローチが楽になった
そこで今回、一昨年行った大谷川流域でまだ遡行していない大棚沢、三角沢狙いでルートを決める。
大棚沢はガイドに掲載されている大棚33mが実に見事で、3級+で直登出来るらしい。
是非とも押さえておきたいところだ。。。


アプローチ:CR-X
3:00自宅発→5:06入間IC→6:06塩水橋着
6:28塩水橋出発(自転車)→7:12キュウハ沢出合発→7:15大棚沢出合→8:10大棚下→9:10稜線登山道
9:50大日沢下降開始→11:02オバケ沢出合→11:25三角沢出合→12:25通称5段40m滝上→
12:45 7mCS滝上(遡行終了→右岸尾根から下山開始)→13:15三角沢出合→13:30キュウハ沢出合着
13:46塩水橋着
14:00塩水橋発→15:35入間IC→18:22自宅着

首都圏の深夜早朝割り引きに間に合わせる為、自宅を早めに出る。3時間半で塩水橋に到着。
道路脇のスペースに車を止める(10台くらい可能)。

ここからキュウハ沢出合までのアプローチが歩きだと早足でも45分とけっこうウンザリするので、
今回初登場!折りたたみチャリを取り出す(^^)v

しかし、完全舗装にもかかわらず、上り坂が結構太ももに来るのです・・・”歩いた方が楽じゃん”
・・・とまぁ苦労したものの15分程短縮してキュウハ沢出合に到着。(林道もここで終点になる)
すると、単独遡行者発見・・・大日沢をルートにとって塔ノ岳を目指すとの事。靴は普通の登山靴でした。
 「途中まで一緒に行きましょう」と声を掛けられるが、大棚沢出合いは歩いて3分で到着してしまいました。
オジサンと別れ、大棚沢に入るが、いきなり渋い滝が現れる。高さは6m程の2条滝。
”いきなり巻きか・・・”と思ったが、左水流の左を直登出来た。
塩水橋駐車スペース。チャり初出動!
大棚沢出合、オジサンとはここでお別れ
大棚沢最初の6m2条滝

6m2条滝上の堰堤を右から巻くと左岸から細流が入る。本流はミニゴルジュ内を流れるナメの小滝が連続する。
4m2条滝を簡単に超え、次の5m滝も水流すぐ右の壁に取りつき直登♪ ・・・と思いきや、30cm級の岩が大きく、
動いた

”・・・・・・・かなり脆いの?”

岩を敢えて落として、違う岩を選んでこの滝を登る。
ミニゴルジュ内のナメ小滝
脆い5m滝

4m3条を超えれば顕著な二俣。。。水量比(3:1)で左俣にかかる5m滝に取りつく。水流右がルートだが
やはり岩が脆い・・・結局、水流中のホールドに頼るしかなくかなり濡れてしまう。
次の6mもチョイト見た目ノッペリしており嫌な感じ。ここも水流右を選択。落ち口下の1歩に気合が必要。3級+

6m滝上は平凡な様相。左岸枝沢を過ぎ2mCSを越えると早くもハイライトの大棚が現れる!!!
二俣にかかる5m滝
6m滝、これもホールド細かい
早くも大棚が現る!!!

”こ、これは!!!”

ガイドの写真と比べると立っていて、3級+で直登可能とは思えない。
"近くで見るともう少し登りやすく見えるのかな?"と思い、前衛の4m滝を越え、大棚の下まで行く。。。真下に来ると
確かに多少は寝て見えるが、釜は無く落ちたら終わりだ!
ルートは水流右が全部外傾しているので、水流左のみ。下から15m程上がると一人立てるくらいの中段テラスが
あるのでここで一息つけそう。
大棚30m全容(カーソルを当てるとルートが出ます)
真下から見た大棚
中段から上部(カーソルを当てて)

 ガイドを見ると、核心は水流を横断する所らしい。しかし、下からでは何処を横断するのか良く判らない。
さっきまで直登してきた滝は岩が脆かったのでかなり不安。
上部はホールドスタンスが多そうに見えるのと、ガイドに"ホールドは安定している"と書いてあるので、

"これ登らないと来た意味無いよなぁ・・・"

と一応手を合わせてから背中を押されるようにフリーで中央やや左から取り付いた。

下部は飛沫が結構かかるので、足早に7、8m直登。しかし、ガバを取ったら微妙に動いている!!!
岩がのっぺりしてきた所をさらに一歩気合で登ったが、怖くなり、左に上がり逃げる。上がった所が中段テラス。
しかし、このあたりの岩も脆い。特にガバホールドは思いっきり外れるので要注意。。。
岩が安定していれば確かに3級+かもしれないが、これを使えないとなると、4級は下らないだろう。 
この時点でも何処で水流の右側にトラバースするのかは不明。判るのはこのまま水流左を登っていくことだけ。
一つ一つのホールドとスタンスの安定度を確認しながら登っていく。

7m程上がっただろうか、傾斜はさらに立った所でのっぺりした岩に行く手を阻まれる。ここへ来て初めて、
水流横断点が判った! 判ったは良いけど、核心と言うだけあって、"ど―やって横断するの?"くらいの難しさ。。
左に逃げるルートみたいな物も見受けられるが、かなり脆そうなので、行かない方がよいだろう。
"うーん・・・"  と唸っているうちに右足に緊張による痙攣が起きたので一歩下がり左足でレスト・・・

"降りようかなぁー"と下を見ると。
"既にそういう高さじゃないわね・・・"って感じ。

再び一歩上がってTRYする。右手でホールドを探すと。1箇所よい感じの所を発見。
この右手一本で体を岩に引き付け右にトラバースするのだ。
右手に力を入れる。
『 バコッ・・・・!!! 』
"ひょぇぇぇぇぇ〜・・・取れちゃった"

もう、泣きそうだけど、外れたホールドを取りぞのくとラッキーな事にまだ手が掛かった。
もう一度右手に力を入れると、今度は大丈夫そう・・・?
もう一度右手に力を入れて体を引き付け、右足を水流側に出し緑色の岩に写す。この岩のグリップはまずまず。
この岩が崩れたら終わりだが、右足に体重を移動。一気に水流を横断、核心を突破した・・・

右に横断すれば、岩は乾いており、岩の安定度も増すので、安心して滝上に出れた。

いやぁ、それにしても久々に怖い思いをした・・・
水流トラバース部(カーソルを当ててください)
源頭部の様相

大棚を越えると平凡な様相。水はすぐに涸れてしまう。しばらく登ったら、最後まで沢筋を詰めずに左の小尾根に
上がった方が登山道に出れて早い。なんだかんだあったが2時間かからず終了した。

下降は大日沢を目指し、このまま登山道を新大日小屋まで進む。小屋を通り過ぎ、最初に下り切った所から下降。

しばらくは平凡な様相。左岸から枝沢が入り、そこから水が流れる。緩やかな5mナメ、4m滝を降りると、2段8m。
これも容易にクライムダウン出来る。さらに進むと、2段滝・・・と思ったら全段で5段17m滝なる滝を降りる。
傾斜は寝ているので、沢慣れしている人だったらクライムダウン可能だ。
2段10m滝上段は上流から見て水流右をクライムダウン。さらに7m「S」字滝を降りると一旦伏流になる。
大日沢 2段8m滝
5段17m(さらに上に2段ある)
2段10m滝
7m「S」字滝

すると、下から単独遡行者に出くわす。挨拶すると還暦を迎えたような高齢者。話を聞くと結構沢に行ってる
らしいが、沢で遡行者に会うのは二人目だと言う。ザイルは懸垂で使うが、肩がらみでハーネスもヘルメットも、
重いから持ってこないとの事・・・ ”大丈夫かなぁー”と思ったが、向こうは沢で人にあったと言う事でえらく感動
していた様だ。

さらに下降すると水が流れ始め、左岸からオバケ沢が出合う。水量は圧倒的にオバケ沢の方が多い。
オバケ沢出合(左が下降した大日沢)

ここからは左岸に仕事道跡があり、これを利用して時間短縮を図る。右岸からは15m、10mと滝で出合う枝沢が
入っている。一旦、沢に下りると巨大な石積み堰堤。さらに急峻なゴルジュの様相。5m程の滝
があり飛び込む以外に降りれないので、ここは左岸を小さく巻く。すると左岸から三角沢が出合う。
巨大な石積み堰堤
このゴルジュは左から小さく巻く
三角沢出合

時間はまだ11時半前。。。、せっかく栃木から来たので、三角沢も抑えておく事にする。⇒三角沢遡行記録へ

P.S:大棚30mはガイドに3級+と書いてあるが岩が脆いので、伊勢沢の大滝とかモチコシ沢の大滝より
   恐怖度は上。高さが高さだけにフリーで取り付くと恐怖感は西沢本棚沢並みでしょう。
   でも、滝自体は見事なので一見の価値はある滝だと思いますよ。

遡行図(クリックして)




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