2008年4月27〜29日(2) 玄倉川 ザンザ洞本谷&石小屋沢

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m、靴:フェルト
参考ガイド:丹沢の谷110ルート
遡行図はこちら

兼ねてからアプローチの問題で見送ってきた檜洞沢流域の石小屋沢、ザンザ洞をGWの連休を利用して
行く事にした。玄倉川林道は厳重なゲートで自転車さえも通れないというmoto.pさんの情報もあり、
栃木在住の自分は裏丹沢の神ノ川に車を置き、神ノ川乗越でユーシン沢を下降。ユーシン沢/檜洞沢出合に
ベースを張り、石小屋沢、ザンザ洞を遡行するルートで行く。帰りは下駄小屋沢を下り、檜洞沢を詰め、彦右エ門谷
の左俣を下降。全2泊3日の計画だ。
このページは、二日目:ザンザ洞本谷/石小屋沢の記録です。 (初日の記録はこちら)


5:40檜洞沢/ユーシン沢出合発→6:12ザンザ洞沢出合(ザンザ洞本谷遡行)→8:20稜線着
→9:10ユーシンロッジ→9:40石小屋沢出合→12:40稜線着→
13:25ユーシンロッジ→14:05檜洞沢/ユーシン沢出合着

今日は、1日に2本の沢を遡行するので、早めに起床。 まずはザンザ洞本谷をめざす。檜洞沢は、丹沢とは
思えない明るい様相で上越の沢を遡行している感じ。。。テン場もいたる所にある。
檜洞沢/ユーシン沢出合に設営したベースからザンザ洞の出合までは30分程度。顕著な沢筋はこれしかなく、
檜洞沢もここから先急に沢幅を狭めるので間違う事は無い。
万太郎谷を思わせる檜洞沢
ザンザ洞出合

ザンザ洞に入るとすぐに右岸から7mナメで入る”一ノ沢”が入る。そこから小滝を超えると早くも核心と言われる
”本谷F1、二ノ沢F1”出合う二俣になる。
本谷のF1は2段滝になっており、下段はのっぺりしており、全く手が付けられない。moto.pさんは左の草付きから
巻いたそうだが、かなりの急傾斜。どっから取り付いたんだろう?かなり手前からだろうか・・・

悩んだ揚げ句、セオリー通り二ノ沢F1を登って本谷左岸を巻くルートを選択する。 それにしても、ガイドの写真の
二ノ沢F1(15m)は寝て見えたが、実際は結構立っている。3級とのことだが、下部は簡単そうだが上部5mくらいが、
難しそう。 とりあえず、フリーで取り付いて見る。8m程度を飛沫を浴びながら一気に水流左のテラス状まで登る。
ここからは2ルートあるようで、残置ハーケンがいくつか見られる。フリーなので、より簡単と判断した、水流寄りの
ルートを選択。岩が濡れてて滑りやすいので、長めのシュリンゲで残置ハーケンでビレイし。一段ずつ上がる。
3段ほど上がった先が核心で、左上に離れたスタンスに足を突っ張らせる格好で段を乗り越えなくてはならない。
残置ハーケンが右上にもう一個あるのでシュリンゲをここに架け替える。ハンマーで叩いてみたもの

”このハーケン大丈夫かなぁ?”

と言う感じ。気休め程度に考えておくのが無難だ。

体を引き付ける左手ホールドがポイント。ラッキーにも岩は安定しており、なんとか登れた。この位置からシュリンゲを
掛けた残置ハーケンに手が届くので回収も成功。ここからはスリップだけ気をつければOK、二ノ沢F1を終了する。
本谷F1(左)と二ノ沢F1
本谷F1下部
二ノ谷F1(カーソルを当てて)

ここからちらっと見える次の15m滝も結構ヤバそうで、この日の夜、寝付けなくなる原因になる。

さて、今日は本谷。ここから本谷/二ノ沢中間尾根で本谷F1の中段に降りようとするが、懸垂じゃないと降りれないのと
結局上段もA1(A0)しないと登れないとの事なので、弱気になり本谷のF1は上段もすべて高巻いてしまった。
(この高巻きも意外と悪かった・・・)
F1の上の2段8m滝手前に出たが、なんとこの滝も登れない。仕方なく、この滝も左岸から高巻いてしまった。
2段8m滝上に出ると、すぐに巨大なCS滝が現れる。その名も“大岩の滝”と言うらしい。

”これどこ登るんだ?”

と焦るが、左から難なく直登可能。大岩の滝上はちょっとした広河原になっており、幕営も可能。
沢が左に回り込むと、癒し系の15mナメ。快適に直登する。
2段8m滝 これも高巻く。
大岩の滝
15mナメ滝


15mナメの上はV字状の地形になり小滝が連続の後、12m2段のナメ滝を直登。登って初めて2段だとわかった。
このナメ滝の上で(4:1)の二俣。右から流れてくるのが三ノ沢だ。左の本流には”象の鼻”と呼ばれる10m滝が見える。
水の落ちている所が”象の鼻”みたいに見える事から名前がついたのだろうか?
この滝の直登は右足スタンスが皆無だが左ホールドにガバが多い。ちょっと濡れるが3級ーと言ったところでしょう。
12m2段ナメ(上段は下からは見えない)
象の鼻

しばらく、平凡な様相を進むと(1:1)二俣。左が”四ノ沢”で右が本。本谷は狭いゴルジュになる。ゴルジュ内の4段15mを
超えれば、20m大滝が姿を現す。この大滝は直登不可能。ガイドでは左岸を高巻いているが、右岸から巻いてみた。
やはりセオリーから外れたのが悪かったのかチョイト強引な巻きになった感じ。懸垂せずに滝上には出れる。
四ノ沢出合をすぎて
4段15m滝最下段
20m大滝

大滝すぐ上のナメ小滝を過ぎるとまた二俣。右が”五ノ沢”で左が本谷。水はここでほぼ涸れる。ここを左の本谷に入り
あとは適当な沢筋を詰めれば終了。稜線登山道は明瞭なので、小尾根についている”けもの道”と間違わないように。

時間は8時半前。思った以上に早く抜けれたので、計画通り石小屋沢下るのではなく、下から遡行できそうだ。

ユーシンへの一般道は割とかったるいので、石小屋沢を遡行後またこの尾根を下るのかと思うとウンザリなので
出来れば石小屋沢を登って石小屋沢を下る事を考える・・・

ユーシンロッジへの下りは約50分。実はここに来るのは初めて。ロッジはずーっと前から休業とは聞いていたが、
保存状態は良く人が入っての掃除はされているようだ。公衆電話があったが使えるのかな?今思うと財布持って
いたんで、確認してみりゃ良かった・・・

さて、石小屋沢へのアプローチだが、ロッジと公衆便所の間の道を入り、そのまま2つの小屋の横を通り過ぎると
小さな沢を横断する。そのまま左に延びる道は電力小屋までの道で行き止まりなる。正しいルートは沢を横断したら
右に5m進みそのまま山を10m直上した所にある。
道は随所に崩壊しているが、早めに沢に降りると、泳がないと取りつけない滝が出てくる。
沢に下りる所は明確で、杉林に道が入った所に『檜洞沢,ユーシン沢』下降点の案内版が木に打ち付けてある。
ちょうど、ここを降りると石小屋沢の出合いとなっている。
ユーシン小屋前
ここを10m降りると石小屋沢出合い
石小屋沢出合いの大岩

石小屋沢出合いは貧弱だが、大岩に”石小屋沢”と赤ペンキで書いてある。 入っていくと、いきなり
”デーン”って感じの6mCS。左を直登可能。 平凡な様相を進むと見事な10m滝。スタンスは十分だが。滑っているので
注意。頭から水を被りながら直登する。残置ハーケンもあり。 次の5m滝を超えるとナメ床。4mナメを超えると
15m滝。貧相な出合からは想像できない。 この滝は直登無理だが右を小さく巻いて、落ち口に向かってトラバース
出来る。灌木やホールドも多く、そんなに怖い思いはしなかった。
6mCS
10m滝
15m滝(カーソルを当ててください)

15m滝上はナメ床。少し進むと2段12mのナメ滝。見事なのだが、太い倒木が邪魔しているのが残念。。。
この2段ナメ滝、上段の方が立っていて、水流左を登るが岩が脆い所があるので注意。
次の5m逆「S」字滝はユニークな水の流れ方。登るのは問題ない。その後両岸がV字状になり、2段7mのナメ滝
がかかるが、下段5mのスタンスが非常に細かく、かなり渋い。ヒヤヒヤもので直登。
これを超えると、3段15mの見事な滝。まだあるのか!と言う感じだ。ルートは左で、残置シュリンゲを利用して、
そのまま左を直登するルートも考えられるが、残置シュリンゲも古く、ハーケンも信用できないので、右にトラバース
する。水流が落ちる所を50cm程上がる所が核心。こちらのルートにも残置ハーケンがある。
2段12mナメ滝
2段7mナメの渋い下段
3段15m

3段15mを超えるとあとは、概ね平凡だが、ナメの小滝が続く癒し系の様相もあり。時折伏流になりながら、しばらく
進むと、石小屋沢の名前の由来となる二つの大岩が沢に立ちはだかる。左から大岩は巻けるので遡行には問題なし。

次の6mナメはクラックにホールドを求め突破。水は何度も涸れそうになるが、なかなか完全には消えない。
5mクラスのナメ滝が続き、これで終わりかと思ったら7m涸れ滝が現れる。一瞬”巻きか!”と思ったが、右から
直登可能。古い残置ハーケンもある。次の二俣は左に入り、あとは安全な所を詰め上がる。小尾根のけもの道を
登山道と間違えないように注意。。。

稜線に出たのは1時前。同じ尾根を2回も下るのはカッタルイが、30mザイルでは、石小屋沢を下降するのは困難と判断
仕方なく、登山道を下山。石小屋沢出合いもどり、そのまま檜洞沢を詰める。。。 万太郎谷の様相を思わせ感動。
ベースに戻り今日の行動を終了する。
石小屋沢由来の大岩
最後の7m涸滝
ベースから撮った檜洞沢のナメ

3日目の記録へつづく

P.S:ザンザ洞本谷も面白いが、ほとんどの滝を直登出来る石小屋沢は穴場と言ってよいかもしれない。
   玄倉から入れば1泊で両方遡行可能なので、ぜひ両方の沢を遡行してみてください。
   ザイルは45mあれば石小屋沢の下降も可能と思う。

遡行図(クリックして)




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