2008年6月7日 奥秩父 入川 中小屋沢ヒダナ沢→中小屋沢本流下降

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m、靴:フェルト
遡行図、概念図はこちら

当初、入川 真ノ沢を計画していたが、天気予報に翻弄され日帰り案に変更。地形図をみると、入川の金山沢の一本手前に中小屋沢というのがあるのを発見。
この沢はすぐに二俣に分かれ右がヒダナ沢、左を中小屋沢本流になる。ガイド本には一切この沢について記載がなく、中小屋沢でWEBでも検索したが、
大荒川谷を断念した2人組みの女性パーティーが1泊2日を掛けて抜けた、数行の記録しか見当たらない。はたしてこの沢はガイドにも掲載されないショボイ沢なのか・・・
それとも???と言う事で、この目で確認する事にした。

アプローチ(CR-X)
2:35自宅発→4:00太田→4:40花園→6:00入川キャンプ場着
6:27入川キャンプ場発→7:20赤沢谷出合→8:07中小屋沢出合→8:42中小屋沢/ヒダナ沢出合(ヒダナ沢遡行)→11:05三俣
12:02中小屋沢/ヒダナ沢境界尾根→12:10中小屋沢下降開始→15:20中小屋沢/ヒダナ沢出合→15:40入川出合→17:55入川キャンプ場着

今回、遡行図も無く長丁場の沢である事が予想された為、自宅を早出。入川キャンプ場ではゲート手前の駐車場は10台程度停められるが500円掛かる。
前回、大荒川谷を遡行した時も手前の林道の退避スペース等に車を置いた事もあり、今回も空いてたスペースに駐車。
 
ゲート手前駐車場では、神奈川の山岳会の3人パーティーが大荒川谷に向かうと言う事で荷物をまとめていた。挨拶をして先に進む。赤沢谷出合までは、
トロッコ軌道が延びており、自転車でも行ける程道は良い。チャリンコ持ってくればよかったと後悔。。。
赤沢谷を横断しても入川左岸沿いに道は伸びるが、すぐ崩壊するので、仕方なくそこから入川本流を遡行。先日まで雨だったせいか、前回来た時より
水量は多い印象。腰上まで何回か水に浸かり。中小屋沢出合にたどり着いた。顕著な8m滝で出合うので間違う事は無いだろう。
駐車スペースは点在。台数小
入川本流
中小屋沢出合いの滝

中小屋沢最初の8m滝は直登は不可能。右から巻くが小さく巻こうとすると結構嫌らしい巻きになる。チョット強引に滝に近づくと8m滝の上に4m滝が
あり2段12m滝となっていた。さらに右岸は30mの垂直壁。自分が取り付いている左岸も10m以上の壁で深いゴルジュを形成。この位置から懸垂して
初っ端の2段12m滝上には下降できるが、次の5mナメ滝も両側ノッペリしており、降りたら最後、尾白川本谷でドツボに嵌ったように脱出不可能に
なりそうなので、さらに高巻きを続け、5mナメ滝上で6m程懸垂して、沢底から1段高い段の上に降りる。ここでも、下まで降りてしまうと次の4mナメ
登れない可能性があり、そのまま4mナメ滝も小さく左岸を巻いてようやく沢床に降りた。
8m滝(2段12m滝)上の5m。降りたら×
4mナメ これも登れないだろう
ゴルジュを抜けるとすぐ二俣

沢床に降りるとすぐに中小屋沢/ヒダナ沢の出合。水量比(3:2)で中小屋沢の方が多いが、地形図を睨みヒダナ沢を上がり、中小屋沢で下降をすること
にし、右のヒダナ沢に入る。

ひたすら平凡だったらどうしよう・・・。。。と思ったが、3段4mナメがすぐ現れ、さい先良い。ただ、岩は非常に滑りやすい。この上もナメ床が多く、悪くは
ない。10m多段ナメは傾斜が寝ているので快適。沢が右に屈曲すると、10m級のナメ滝が唐突に姿を現す。下から3段滝に見えるが、実は5段15mナメ滝
となっている。ルートは右だが、2段目の右壁をトラバースっぽく移動する所が核心。ホールドが乏しく、外傾気味の滑りやすいスタンスに足を置かなくては
いけないのでかなり緊張する。リスはなく、支点は1本ある潅木に取るしかないだろう。4級
なんとか2段目を突破。3段目は容易に越え、そこから4段目5段目をみる。5段目はツルツルでここから見る限り直登は絶望的だが、"とりあえず4段目を
登って見てみよう!"と渋い4段目(2m程度)に取り付く、微妙なスタンスに足を置いて上がったが、滑って落下!!!
岩に左のお尻を強打して4段目の釜にドボン・・・

      「痛っーーーー」

釜から這い出たものの、お尻の痛さは尋常ではなく腫上がって左右のお尻の大きさが全然違っている。ただ、幸いな事に岩の平らな面にぶつかったのと、
"ボキッ"と言う音が聞こえなかったので、骨折は免れたようだ。痛みはなかなか引かないが、とりあえず足が動くので少し間を置いて4段目5段目は
右から巻いて滝上に出た。
 まだ序盤・・。。。・ここで引き返したらもったいないので遡行を続ける。幸い動いていれば"痛いなー"と思う程度で歩く事は出来た。
ヒダナ沢最初の3段4mナメと多段10mナメ(カーソルあてて)
5段15mナメの下3段
5段15mナメの3〜5段目
5段目

ナメ床はまだ続き、7m3段は傾斜が緩く快適だが、4m2段ナメは小粒ながらも渋い。4m、5m、4mと3つのナメ滝を越えると左壁が立ってきて
一旦狭いゴルジュになり、正面に見る枝沢に目を奪われつつ右の本流筋を進む。ここまでの滝は全部ナメ滝だが、ここで様相が変わり広河原っぽく
なる。テン場もこの辺りなら良い所が見つかるだろう。
7m3段ナメ滝
5mナメ
ゴルジュ内を流れる小滝

ふと右に目をやると、超マイナーな沢なのに人工物が・・・近寄ってみると、なんとミッキーの風船ではないか!!!空気がまだちゃんと入っていて
最近の物だ。まさかこんなものを持って沢登りする奴はいないので、子供が手を離して飛んでいってしまった物だろうけど、こんな山奥まで飛んでくるなんて
信じられん。ディズニーランドは大嫌いだけど、ここまで飛んできたミッキー君には敬意を払い一緒に記念撮影する。(^^)
広河原
ミッキーと記念撮影

広河原はそう長くは続かないが、平凡な様相は結構長く続く。右岸から(1:3)で枝沢が入るとようやく平凡な様相が終わり、9mの階段状滝、滝といっても
かなり寝ているので、滝と呼べるか微妙なくらいだ。次の6m滝もかなり寝ている。ここから再びナメ床が現れ5m滝を越えると両岸が迫り4mトイ状
ここから先は概ねナメ床が続き、両岸がV字状になる。良い感じなのだが、チョット倒木が多いのが偶にキズ。。。しかもこの倒木、青々と葉が生え、
どれも今年折れたと思わせる物ばかりだ。切り口を見ても人がやったとは思えない。
5m滝
4mトイ状
両岸V字状
真新しい倒木が行く手をふさぐ

しばらくV字谷を進むと小さな水流を二つ合わせた三俣となる。本流は左から流れる6mのナメ滝を掛け明るく良い感じなのだが、ここにも倒木が
横たわっている。6mナメ滝の上もナメ床が続く。しかし、やはり真新しい倒木が行く手を阻む。。。
三俣(本流は左)
三俣上の様相

4mトイ状を越えると(3:2)二俣。水量の少ない右が本流と思われるが、
 ♪倒木が多そう
 ♪水量も左の方が多い
 ♪左の方向が下降予定の中小屋沢
という3つの言い訳を並べ左の沢筋に入る。ここからは水量が多いとは言え平凡な様相。しばらくすると水は急に涸れる。

涸れた沢筋を少し登るが、下降する中小屋沢が左側に位置するので、左よりに進路を変更。藪コギはなく、水が涸れてから約20分でヒダナ沢/中小屋沢
境界尾根に到着。
(3:2)二俣
左俣に入り、尾根に出た(カーソルあてて)

ここから主稜線に向って少し歩いたが、まだ100m以上距離があり、ここでは稜線に出たところで登山道が無いのも判っているので、お尻も痛い事を
言い訳にし、適当な沢筋に向って下降を開始する。しばらくは平凡で、こちらも今年折れたと思われる新しい倒木が沢筋に散見された。
右岸から6m滝で出合う沢筋(2:1)、そのすぐ下流に(3:2)で出合う沢筋と2本続けて入る、後者の方が中小屋沢の本流のようだ。おそらく、ここを
詰め上がると稜線登山道(樺小屋)に出るのだろう。

ここから小滝1つ2つクライムダウンすると7m滝。左岸側をクライムダウン可能。この滝は登るなら瀑心突破も可能でしょう。

ナメ床の多いヒダナ沢だったが、こちらは平凡な様相が多い。階段状10m滝も、滝と言えるか微妙な感じ。この辺りで少し焚き火休憩を入れたのが
悪かったのか、お尻の痛みが酷くなり、一瞬焦る。。。打撲の時は動かし続けていないと、かえって痛くなるようだ。ムリにでも歩くと痛みが薄らいで来た
ので助かった。。。
右から降りてくる中小屋沢本流は左
中小屋沢7m滝
10m階段状

この先、両岸が迫ってくるとナメ床が現れる。ナメの小滝を降りて、また平凡な様相になったところに赤テープを発見。左岸を歩くともうひとつ
赤テープを見つける。この部分だけ道が付けられているようだが、すぐ不明瞭になってしまう。再び沢に戻ると6m2条滝、4mナメ、これらも容易に
下降できる。次の10m滝は直瀑で右岸を小さく巻いて降りる。この滝は登る事も不可能。
初めて左岸から顕著な沢筋が入るとナメ床になりそのまま8m3段ナメ、10m2段ナメと中小屋沢のハイライトとなる滝が連続する。下からは8m3段ナメが
見えないのが残念。このナメ滝は滑りやすいので注意。8m3段ナメはまで傾斜が緩いので何とかなるが、10m2段ナメは水流左壁を利用し慎重に
クライムダウンした。下から見れば水流左の方が簡単だったかも・・・
10m滝(右岸を巻いて降りれる)
8m3段ナメ
10m2段ナメ(カーソルあてて)

先に進むと左岸の壁がそそり立ってくるが、沢筋は平凡で安心する。4m,2mと小滝をクリヤーし、ナメ床になると淵を持った5mナメ。左は垂直壁で右岸を
小さく巻くしかないが、スリップ思想でコワイ。慎重に右岸細流をクライムダウン吸い込まれるように淵に入ったが腰までの深さで一安心。8m3段ナメ滝
は左岸側をクライムダウン。ようやくヒダナ沢出合まで戻ってきた。
5mナメを右から巻いて降りる
8m3段ナメ
最後のナメ床
ヒダナ沢との二俣に戻ってくる

ここから入川本流までは。沢筋の下降は不可能なので、左岸の岩の切れ目に取り付いて大きく高巻く。所々に黄色のテープがあり、歩きやすい。
懸垂下降せず。入川本流に出た。

ここから入川本流を水に浸かりながら下降するのは辛いと思い。左岸踏跡を頼りに・・・と左岸を少し上ってみたが、とても踏跡とは呼べるレベルでは
なく。強引に左岸を歩くも結局後半は入川本流の下降となってしまう。強い水流に足をすくわれる事無くなんとか赤沢谷出合まで戻る。トロッコ軌道を
痛いお尻を押さえながら、入川キャンプ場に到着した。

P.S:後日レントゲンを撮ったが腰骨には異常無し。全治2,3週間程度の打撲で済んだのは不幸中の幸いでした。。。
   今回のルートだとアプローチの長さもあり、初級者を交えたパーティだと日帰りは厳しく、日帰りの場合は稜線登山道に出て、
   そのまま登山道を下る方が良いでしょう。ヒダナ沢/中小屋沢どちらも、上部の倒木が気になりますが、遡行対象として充分
   な内容を持っています。テン場はどちらの沢も中流部で見つかると思います。(2013年入川沿いで、無料で駐車できるスペースが
   なくなっているとの情報あり。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)




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