2008年7月26,27日 南アルプス 大武川流域 石空川南沢

メンバー:moto.pさん、ひろた
装備:ザイル8mm×45m、カム一式、靴:フェルト
地図:鳳凰山
遡行図、概念図はこちら

日本登山大系に写真付きで掲載されている石空川南沢。以前から行ってみたい沢で今回、会社が3連休という事もあり1泊2日、予備日1日という計画で遡行してみる。

アプローチ:電車+moto.p号
18:24自宅発→19:10小金井駅→21:15府中本町→23:40精進ヶ滝駐車場着

国道20号から甲斐駒カントリークラブを目指し進む。道に『精進ヶ滝』と案内板が
立っているので、細い道(完全舗装)ながらも信じて進むと精進ヶ滝渓谷道の駐車場に到着する。
屋根付小屋もある。トイレ有り。水は"この水は飲めません"と言う物なら得られる。行動後、靴を洗ったりするには
便利かも。携帯はソフトバンクでは繋がらない。

初日
5:40精進ヶ滝駐車場発→8:00精進ヶ滝下→9:06南沢/北沢出合→12:30広河原→13:50行動終了

天気は晴れ。駐車場から伸びる立派な渓谷道で終点の滝見台まで進む。ここから沢に下りて少し進むと九段ノ滝。60mはあろうか。ここで登攀準備。
moto.pさんがカムを一式取り出した。こんなに要るんかい!?と思ったが、実際これらが大活躍するのでした!
駐車場すぐ横の橋から出発です♪(カーソルあてて)
立派な渓谷道で滝見台まで進む(カーソルあてて)
カム一式

九段ノ滝とあるが概ね2段で下段は右から簡単に登れる。上段は水流左に移動してザイルを出す。ここから50mザイルがあれば1ピッチで上まで届くかも
しれないが、声は全く届かないし、トップの動きも全く見えないので、人数が3、4人程度なら途中でピッチを切ったほうが良いでしょう。 私が1ピッチ目を
引っ張る。岩は非常に滑りやすいので注意。V。
2ピッチ目moto.pさん。 最上部は左に逃げられるのかと思ったがNGで、水に当たりながらラストの落ち口を突破するしかない模様。スタンスホールドが
無くハーケンを打ちシュリンゲに右足を。左には一番大きなカム(10cmくらい。番手はmoto.pさんの記録見てね!)で支点を取りシュリンゲに左足を置き突破
する!お見事♪。
 自分は先にカムを外してしまった為、シュリンゲに右足を掛けてゴボウ。シュリンゲは回収できたが、ハーケンは残置。南沢の核心はここか!?
九段ノ滝全景(カーソル当てて)
1段目は容易(カーソルあてて)
2段目2ピッチ目(最後はA0必須)

九段ノ滝を登ると精進ヶ滝がぐっとせまる。前衛10m滝は右から登ると精進ヶ滝。。。誰が計ったのか落差121m
だそうです。左岸の枝沢に沿って大高巻き。滝の高さまで上がり滝の右壁の切れ目から滝に向ってトラバース
しました。危険な所は特に無し。
精進ヶ滝と前衛10m
精進ぐぁ〜滝!!!
左岸を大きく巻きます

滝上は今までの荒々しさは消え癒し系の様相(幕営可能)南沢/北沢の出合はすぐ。南沢は10mナメ滝。北沢は暗いゴルジュに6mの滝を落としている。
登山大系によるとここから右岸を大高巻きするのが無難とかいてあるが、motopさんによると北沢最初の滝上から南沢に入れるとの事。こっちの方が
面白そうなので後者を選択。最初の6mは巻かずに直登。
南沢/北沢出合
北沢の最初の滝を直登

出合の釜で1mの泳ぎになるが、滝自体は3級レベル。滝上から南沢に戻り10mナメ滝の上に出るが、すぐ上の15mナメ滝もツルツルで手が付けられず
そのまま左岸草付を登って、沢筋に出る。 次の7mは水流すぐ左を小さく巻けるが、その上の15m滝が直登不可能。この滝も小さく巻くと。その先にも
厄介な10m2段滝(左隅にCS)
これも一緒に巻いてしまおうとしたが、一箇所切れてて突破を断念。懸垂で降りて左隅のCSから突破しようとしたが、懸垂途中でCSからの突破もNGで
あることが判り。ゴボウで登り返す。

結局。右岸の大高巻き。場所も悪く細尾根でザイル40m伸ばす悪い高巻きになる。小尾根まで上がると明瞭な獣道があり、10m2段滝とその上の25m滝上
に出た。
15m滝、ここから大高巻きに入る(カーソルあてて)
10m2段滝(これも登れないでしょう)
高巻き途中から見た25m滝(カーソルあてて)

この大高巻き後、次の2段15m、10mどちらも右岸から小さく高巻く。多段ナメ滝後の3段15mは右から巻くと特徴のある尖った岩が現れる。 2段12mナメ
は一見傾斜が緩いのでmoto.pさんが取り付くが、上段がNGで左から小さく巻く。直登したい気持ちはあるのだが、滑りやすい花崗岩のナメ滝には、
どうにもこうにも手が出ない。
2段15m滝(カーソルあてて)
多段ナメ滝と3段15m滝(カーソルあてて)
尖った岩

この滝の上で沢は右に屈曲。2条6m巨大CSは簡単だが、その後のナメ滝は水線近くは直登不可能。すると沢の様相は急変し平凡な様相に。 ここが
登山大系に掲載されている1700m付近の広河原だ。確かに良いビバーク地となっている。2泊を前提にするならここまで初日に来て置けば充分でしょう。
時間は12:30。釣をしていないので予想以上に早く到着。我々は1泊2日が目標なので、計画通り地蔵沢出合の二俣まで進んで行く。
2条6m巨大CS
大ナメ やっぱ登れん(^_^.)
今までの様相が嘘のような広河原

ここから二俣までは容易かと思ったが、甘かった。。。多段の13m滝が行く手を塞ぐ。水流左を登れそうだが、上部の凹角が突破出来るか微妙。ザイルを
出して私がリードする。ここでもカムが大変役に立つ。最後はカムを掴んでのA0で強引に体を持ち上げ突破。しかししかし、折角苦労して登ったのに次の
10mトイ状は絶望的・・・ 仕方なく右岸の大高巻きでこれを超えた。この後、5m級の小滝をいくつか超えると左から細流が入る。 moto.pさんがこれが
二俣じゃない! というがやけに貧弱な二俣・・・。。。時間は14時前。まぁここが二俣じゃなくても、近い位置に来ていることは確かなので今日はここで行動
を終了する。 この時期はタープに6度のシュラフ+シュラフカバーでカッパも着ないでポカポカで寝れる。。。
多段の13m滝
絶望的な10mトイ状滝
貧弱な二俣で行動終了(カーソルあてて)



2日目
5:35行動開始→5:40二俣→8:05 40m大滝高巻き終了→11:30水涸れ→12:55地蔵ヶ岳山頂→
13:40鳳凰小屋→16:45精進ヶ滝駐車場。

今日も長丁場なので、早出する。7m滝を超え少し行くと、本当の二俣に到着。水量比1:1。確かにここも幕営可能。ここを左に入ると鳳凰小屋の裏手の
コルに出るらしい。もちろんここはは地蔵ヶ岳山頂付近に出る右手の地蔵沢に入る。最初の12m滝は登れそうな感じもするが、上部が難しいので取り
つかない方が無難。右手から小さく巻く。
二俣(右が地蔵沢)右に入る

ここから小滝をいくつか超えると30m大滝。直登は不可能で右岸の壁が切れるところまで戻る感じで高巻く。滝上は癒し系のナメ床。快適に進むと今度は
40m大滝!いやぁースケールでかいです(^_^;)
30m大滝(左壁を巻く)
ナメ床を進みます
40m大滝(右から巻きます)

ここは右のルンゼから子尾根に取りつくが1か所悪い所があり、ザイルを出す。フィックスロープも発見。結構登ってようやく本流が見える所まで出たが、
かなりの高さの垂壁になっており、懸垂ポイントが見つからない。少し下って、ここならザイル届くんじゃない? ってところでザイルを出すが、やはり下まで
ザイル届くか微妙。こういう微妙なところはmoto.pさんに任せる(笑)

どーぉ!?
なんとか大丈夫そう!

しばらくしてOK!!!のコール。
降りてみると、1.5mくらいザイルが届いていない・・・!
moto.pさんが そこから左にトラバースしないと届かないんだ。と言っている。
ATCからザイルが抜けると同時に片方のザイルを掴み。下に着地。こんなザイルが下まで届いていない懸垂、何回目だろう・・・(^^ゞ

降りてみると、40m大滝の上に20mナメ滝があり、この上に出たようだ。それにしても降りたところは両岸が切り立った凄いゴルジュ。ここで懸垂出来なかった
ら、左岸の岩壁の上をしばらく大高巻きすることになるでしょう。他の記録ではダブルロープでかろうじて届いたとの記録もあり。

前方にCS滝が見えるが突破できてひと安心。この後もCS小滝がいくつか続くが、左の壁が寝てくるので、通過には問題がなかった・・・(#^.^#)
右側の垂壁がなくなると、テルテル坊主のような形をした”坊主滝15m”が現れる。一見登れそうもないが、左のルンゼから登れるという記録を見たことを
思い出し取りついてみると、確かにフリーで登れる。moto.pさんにはお助け紐を出す。ただしラストの1.2mがショルダーでの突破となった。
ぎりぎりの懸垂
降りた所はすごいゴルジュ
CSを登る
坊主滝15m(蓑をまとった後姿? カーソルあてて!)

6m、5mの小滝を越えると右に屈曲した8mルンゼ滝。これを右から高巻き懸垂で降りると目の前に10mナメ滝。これも左から高巻いた。 沢に戻ると
10cm幅のクラックに水を落とす6m滝。この滝は小さく左から巻いて上がれたが、すぐ上の倒木のある6mが厄介。 水流左のクラックをカムを利用して
取り付いたが断念。左のリッジをザイルを出しての高巻きに入る。。。結構渋いので最初の10cm幅のクラック滝手前から巻いた方が無難。。。
小滝を上がって行く
8mルンゼ滝(登れそうな気もするが右から巻いた)
10mナメ滝(左を巻く)
クラック6m滝
(ここから大高巻きの方が無難)

この上も直登不可能な12mナメ、10mナメ、7mナメと続いているので、このまま右岸を大きく高巻き沢に戻った。

クラック滝全景
倒木のある6m
12mナメ、10mナメ、7mナメの連瀑を巻く

沢は源頭の様相を見せ始める。しばらく進むと三俣になり真ん中の沢筋に入る。もう滝は終わりかと思ったら、トイ状の20m滝が現れ、快適に突破。
15mナメ滝は上部の岩が脆くザイルを出してmoto.pさんが突破。 ようやく水も涸れ、適当な所で右の小尾根にあがる。藪コギは無いが、傾斜はきつい。
稜線までは100m以上あり、息を切らしながら登っていく。moto.pさんも、通常2泊3日というのもうなずけるとのたまっていた。
三俣付近の様相
トイ状の20m滝
15mナメ(この先が脆い)

稜線たどり着くと、地蔵ヶ岳のオベリスクが見えた。ただ、ハイマツとコメツガの藪コギをこなし、ようやくオベリスクに到着(時間13時前)。水が涸れてから
1時間20分近く掛かった。
ここから右の小尾根にあがる
オベリスクが見えた
地蔵岳山頂

鳳凰小屋で休憩をとると、小屋の方に声を掛けられ、南沢というと、もう1人の方を呼び出し、最後には”握手してくれ”まで言われ、えらく持ち上げられた(^^ゞ
小屋の方によると、林道から精進ヶ滝上に出るルートがあるらしい。秋にはマツタケも取れるとの事。 沢登りもシレイ沢はほぼ毎週、北沢は年に5パーティ
程、南沢は1〜2パーティしか入らないとも言っていた。

燕頭山経由の登山道は歩きやすいが、御座石温泉と精進ヶ滝駐車場に別れるポイントは1/25000地図とは異なっている。精進ヶ滝駐車場に向う道は殆ど
踏まれていない。谷筋沿いを進んで行けば林道に出たが、林道に出るポイントも地図と異なっており林道を逆に方向に進んでしまった。
鳳凰小屋
明瞭な登山道
ここから道は不明瞭になります

林道に出たら左に進むのが正解。 正しい方向に200m程進むと案内板がありホッとする。ここで荷物を置き空荷で激しい夕立の中、車に向う。途中駐車場
へのショートカット道に入ったが、道は消えかけ迷いやすいので注意。

P.S:花崗岩のナメ滝が多く滑りやすいので、10m以上の滝は高巻きが多くなる。カムは大き目の物が有効です。4,5つ持っていくと登攀に役立つでしょう。
   1泊で抜けましたが、行動中釣はしてません。2泊3日で計画した方が無難です。ザイルは45m以上必要。

遡行図(クリックして)
 概念図(クリックして)


山/沢登りトップへ   その空の下で。。。トップへ



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