2009年4月18日 丹沢 中川川 悪沢→沖箱根沢下降

メンバー:Takahashiさん、ひろた
装備:ザイル 8mm×30m、8mm×20m、靴:フェルト
地図:中川

以前から、押さえておきたかった西丹沢の悪沢。。。名前の如く悪い沢で、単独での全滝直登はまず不可能。
今回Takahashiさんが箱根屋沢とセットで一つ返事でOKしてくれたので。ようやく行けるようになった。
3月末のマスキ嵐沢、先週の大滝沢本流→地獄棚沢下降、そして今週の悪沢→沖箱根沢下降、箱根屋沢。。。
こういうの山岳会では”集中遡行”って言うんですよね?・・・これって『ひとり集中』?

アプローチ:CR-X
3:20自宅発→4:20谷和原IC→5:00用賀(R246)→5:20長津田駅前通過→6:14渋沢→6:40道の駅山北

7:30割沢橋(入渓点)→9:05 F2 20m滝上→11:50ルンゼを含めた三俣(右俣15m滝見物)、12:10三俣発
→13:10稜線到着、13:17沖箱根沢下降開始→14:50大滝沢本流出合→15:15東海自然歩道登山口着

Takahashiとは道の駅山北で待ち合わせ。途中でカッパを忘れた事に気づく。さすがにこの時期カッパがないのは
辛いので、コンビニで950円のカッパを購入。売ってて良かった!

車2台で1台を、大滝沢の東海自然歩道登山口にデポし、割沢橋に向かう。
”悪沢”に”割沢橋”・・・やはり、”悪沢”が本来の名前なのだろうか。だれか沢の名前由来一覧があったら教えて!
ちなみに、割沢橋のすぐ横に車3台分の駐車スペースあり、携帯もSoftbankでアンテナが2本立つ。

早速入渓。どうもカッパの色が白だと気合いが入らない。。。すぐに最上部が石積み堰堤になっているF1 10m滝
が現れる。水流右をフリーで登るが、岩が滑りやすいので注意。残置シュリンゲもあるが、ハーケンごとTakahashiさんが
回収。V
滝を越えると階段が付けられた堰堤。この沢はしっかり作業道が付けられているようで、下部の滝はすべて、
この作業道で高巻きが可能らしい。
割沢橋横の駐車スペース
F1 10m直登。岩は安定してます。
階段付き堰堤から滑落!

平凡な様相を少し進むと、核心と言われるF2 20mが現れる。思ったほど高さは無いようだ。しかし、
どんな記録にも書かれてあるように、やはり悪い・・・。通常、滝に近づけば近づくほど簡単に見えるものだが、
どこから見ても難しそう。ルートはやっぱり水流左しかないが、水流右のルートと言われるラインよりかなり下の所に
残置シュリンゲがぶら下がっている?二人で「これはなんだ?」と顔を見合わせる。水流右添いを直登する。ルート取りが
あるのかもしれない。このF2を高巻きするなら少し戻って右岸の作業道を利用との事。今回は、これを登りに来たので、
とりあえず
「右上のテラスまで登ってみましょう」
と取り付く。テラスまでは難しくはないが、テラス付近の岩が脆い。20cm級の岩が動くのでとりあえず下に落としておいた。
テラスは4,5人立てる広さがあり、リスも多数有り。
F2 20m(カーソルを当てて)
F2 直下から
右上テラスまでの登り
テラスからの様相

さて、ここでザイルを出すものの、このテラスから見ても登れるとは思えない。。。
丹沢はかつて "アルパインクライミングのトレーニング場" と位置づけられていたと聞いているが、通常高巻きと
思われる滝が、残置ハーケンやボルトが打ってあるからという理由で、 "ムリヤリ直登させよう" という雰囲気に
駆られるので、かない怖い山域だと思う。 この滝も、まさにそんな代表格のひとつである事は間違いない。

Takahashiさんは悪沢はすでに経験済みだが、あまり記憶に無いという。
もちろん「Takahashiさんリードどうですか?」と振ってみるが、あっさり断られ、私がリード・・・

残置支点はこのテラスからは1.5m先の1箇所しか見つからず不安のスタート。スタンスは安心して置けるところは
少なく。それ以上にホールドが無いに等しい。
これしかないと言うところまで3m程進むと上に残置ハーケンがあり、段を上がって支点をとる。ハーケン穴が小さい場合も
考えられるので4mmスリングを多数用意しておくと安心。
『残置支点は信用ならない』と、どの記録にも書かれてあるが、水流付近以外はA0すること無しにハーケンを打ち込む
事は難しいので、『信じる物は救われる』という気持ちで進んだほうが良い。特に軟鉄ハーケンは、クロモリより
岩の微妙な凹凸になじみ、錆びが原因で中で折れていなければクロモリより抜けにくいと思っているのは、私だけで
あろうか・・・?

残置支点のところに来ると次の残置支点が見え。。。を3,4回繰り返す。当然A0しまくり。moto.pさんが、
"同じくA0しまくりの豆焼沢大滝より悪い" というのは妥当で、豆焼沢大滝は残置ハーケンに足を乗せられる分容易。
ここは安心出来るスタンスが無く。ホールドゼロなのでシュリンゲを掴みっ放しといった感じだ。
水流に近づくと残置がなくなるが、スタンスはあるのでそんなに難しくはない。ここから水流のすぐ右を2m程上がるが、
念のためハーケンを2枚打ち足して終了する。登ったと言うより、残置を利用させていただき"登らさせていただいた"
という所が正直なところでしょう。XA0
テラスからザイルを伸ばす。(カーソルを当てて)
この辺りまでが難しい(カーソルを当てて)
ここはスタンス有


F2すぐ上にあるF3 7mは水流左をフリーで直登。V 続くF4 30mはTakahashiさんがリードで右の乾いた壁を直登。
このまま、上の灌木でピッチを切る。本来上部は水流直登で、きのぽんさんが登ったらしいが、頭から水をかぶり
そうだったので、そのままザレをザイルを伸ばして巻いて上がる。しかし、このザレが非常に悪く、2回振り出しに戻り、
3度目でようやく5m登ったものの、ザレの相当やばいトラバースを交えたりして辛くも巻く事が出来た。
よっぽど直登の方が簡単かもしれない。
F3 7m(カーソルを当てて)
F4 30m
F4 30m1ピッチ目
2ピッチ目。最悪のザレ

F4を高巻くと、穏やかな様相。石積み堰堤を越えると癒し系のナメ、ナメ滝が続く。しばらく癒されながら歩いていくと、
狭いゴルジュとなり沢が右に曲がった所にF5 10mナメが行く手をさえぎる。水流右に取りつくが、スタンスホールド共に
細かくかなり渋い。1箇所残置ハーケンがあり長めのシュリンゲでセルフを取り、水流側に移動しようとしたが、
難しく、そのまま苔がついた岩を直上するが、こちらも安心出来るスタンスやホールドが無く、渋い思いをさせられた。
Takahashiさんにはザイルを出して登ってきてもらう。
癒し系のナメ
F5 10mナメ
右を登るが渋い(カーソルを当てて)

滝上はまた癒し系にもどるが、開けた感じのところにF6 9m2段滝。ここの滝下で水量比(1:2)の二俣になっている。
下段は左から取り、ここでザイルを出す。上段は水流に向かってのハング気味のトラバース。かつて、ここには残置
シュリンゲがぶら下がっていたようだが、moto.pさんが回収してしまったらしく、A0は出来ない。
リスも無く、落ちる事が許されないボルダーといった感じ。 私が突破できたので、せいぜい5〜6級くらいでしょう。
Takahashiさんが、かつてシュリンゲが掛かっていただろうハーケンを見つけて、
「シュリンゲ掛けておこうか?」と言ったが、「まぁいいかー」と言って、そのままこの場を去る。後続の方スミマセン。
次の2段5mナメはお互いフリーで超える
F6 9m2段滝
F6 9m2段滝ここまで行けば安心
2段5mナメ


ここからはまた、癒し系のナメが随所に現れる。しばらく進むと。正面に大きな滝が控えているのが見える。
近づいてみると、左岸にルンゼを交えた三俣となっており、正面に見えた大滝は右俣の支流だった。
水流比は(2:1)で左俣が多く、地図&遡行図を見ると確かに左俣が本流筋のようだ。まぁせっかくなので、右俣にある滝
も見に行ってみる。右俣の滝は15m。ルートは水流左側でV+程度で登れそう・・・ という所まで確認して三俣に戻り
本流筋の左俣に進む。
三俣
右俣15m滝
こちらが本流です

左俣の4mナメ状と5m滝を越えると、こちらも20m滝。遡行図では『25m涸滝』とかいてあるが、水はしっかり流れている。
取り付きは立っているが、残置も有り、ザイルを出すまでも無い。中段から上段にかけては容易に直登出来る。
20m滝すぐ上には6m滝があり左から直登。 この上には倒木で行く手をさえぎられる6mナメ、5m滝と続く。
この先の二俣は左に入る(ケルン有り)
20m滝
6mナメ
二俣

ナメ滝を登っていくと、ほぼ水が涸れる。5m、7mと連続する涸滝は左から巻いてしまえば、楽勝なのだが、中央突破。
最後のV字型の岩溝に足を突っ込んで這い上がるのに躊躇。
「これ、ムリでしょー!?」
とTakahashiさんに交代したら、楽勝でクリヤー!
まじかよ・・・と思ったが、無理やりチャレンジさせられ、
「お助け紐―!!!」
と口から出掛かったところで、私も上がれた。。。

ここからは、最後の詰めで、植林帯の間を薮こぎ無しで尾根に出た。
5m、7mと連続する涸滝(カーソル当てて)
V字型の岩溝を突破(カーソル当てて)
最後は道のある尾根に出る

さて、今日の下山は、遡行する事はないだろう”沖箱根沢”を選択。間違って地獄棚沢に降りると、大変なことに
なるので、地図で要確認。。。とりあえずを見ると、尾根を跨いで反対側に降りれば良い事が判り、休憩なしで、
そのまま下降に入る。
沢形を下ると本流と思わしき所にすぐ出るが、水流はほとんど無い。しばらく下降を続け、水が流れ始めるとナメ床が
現れる。下降は何ら問題無い。(4:1)で左岸がら枝沢が入るところを過ぎナメ床の下降を続けると12mナメ滝が現れる。
持ってきたザイルは30m1本と20m1本・・・ ここは30mザイルで懸垂。下まで届かないが、問題はなかった。
地図(クリックしてください)
(4:1)二俣 左から降りてきた
12mナメ滝

さらに下降を続けると15mの階段状ナメ滝。登ることは出来るかも知れないが、クライムダウンは無理で。
滝上にある残置支点を利用。ザイルも2本つなげて降りる。ちなみに沖箱根沢は下降によくつかわれるのか、
大滝には懸垂支点に使われた残置シュリンゲが必ずあった。
15m階段状ナメの下に6m滝。さらに12m滝を懸垂下降すると沖箱根沢は終了。
大滝沢に出て、マスキ嵐沢出合いまで進むと登山道が左岸すぐ上に出てくるので、そこで登山道に上がる。
マスキ嵐沢出合は青大将が2匹、日向ぼっこしていた。。。
15mの階段状ナメ滝
6m滝
12m滝

P.S:悪沢は下部の滝が作業道で全部巻けるので、沢慣れした人が一人いれば安心して入渓できます。
   ただ、F2を直登する場合はメンバー全員が沢慣れしていないと、フォローも結構危険が伴いますので注意。
   ザイルは30mで足りますが、沖箱根沢を下降する場合は45m以上無いと沢沿いの下降は難しくなります。




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