2009年5月16日 蔵王連峰 小屋ノ沢 大鍋沢右俣→左俣下降

メンバー:shunrinさん、ひろた
装備:ザイル8mm×50m、8mm×30m、靴:フェルト
地図:笹谷峠(仙台)
遡行図はこちら

当初、shunrinさんと奥秩父、小常木谷を計画していたが、天気の都合で、別案で用意しておいた蔵王連峰の沢に行ってみる事にした。
5月半ばで、雪も気になったたため、標高の低い小屋ノ沢大鍋沢を選択。登山大系くらいしか情報が無い沢なので、
調査遡行の意味合いで行ってみることにする。


アプローチ:CR-X
3:46自宅発→(真岡ICから高速)→4:33矢板IC通過っ→6:45笹谷IC→7:10小屋ノ沢林道ゲート着
7:40ゲート発→7:45大鍋沢出合→7:50左俣/右俣出合(右俣遡行)→9:55 30m大滝上→10:35(1:1)二俣
12:20左俣/右俣を別ける尾根(登山道から50m下付近)→12:55左俣下降開始→
15:40左俣/右俣出合→15:58ゲート着

shunrinさんは、ほぼ徹夜で、自宅から栃木まで来てくれた。栃木からは、私の運転で、一気に山形自動車道、笹谷ICを
めざす。首都圏を通らないので、高速”1000円”のありがたみを、今回初めて味わった格好だ!

笹谷ICを下り、R286を少し仙台方向に進み”笹谷渓流つり”の看板のある道を入って行く。すぐにダートとなるが
CR-Xでかろうじて入っていけるレベル。一部がけ崩れもあったが、この道は大鍋沢出合い直前まで続いており
ここまで車で入れた。
駐車スペースは3,4台程度。携帯は当然使えない。
概念図(クリックしてください)
R286からこの道を入る
林道終点駐車スペース

遡行準備を整え歩きだす。 5分もかからないで、大鍋沢出合い。ちょっと貧相な出合いだが、入渓してすぐに、
左俣/右俣を別ける二俣となる。

二俣は、左俣8m、右俣6m滝で出合っており、なかなかなの景観。右俣6m滝の水流右から越えていくが、スタンス、
ホールドが細かく、いきなり渋め。この沢は基本的に花崗岩で構成されているようだ。V字谷の様相の中3mCS滝を
交えた小滝は問題なく越えていく。

2段7m滝は水流沿いを快適に直登。この滝を越えると右岸は20m程度の岩壁
二俣
右俣に入ってV字谷
2段7mを直登
右岸岩壁

6m滝7m滝ともに水流沿いを快適に登れる。5m滝を両足ツッパリを交え越えると、早くもハイライトの30m大滝
なる。
6m滝は水線を直登
7m滝
30m大滝


「左岸の高巻きですかねぇ?」
「折角なので、ちゃんと見てみよう」
と滝下まで行ってルート確認。水流左20m程度上がった所にテラスがあるようで、そこまで、どうやって行くかがカギに
なりそう。水線沿いの直登は不可能で、左の乾いた岩壁を登り、テラスに向けて斜上する感じだ。
登山大系には唯一人工登攀する滝とあるが、丹沢でもないのに、ボルト連打されているとは考えにくく、下からでは
どこに残置があるのかも不明。

30mザイルを取り出して、私がリード。ただし、ひだりの乾いた壁に1段上がるのに、ハーケン+シュリンゲで足を掛け
A0で上がる。すると乾いた岩壁に古いハーケンを発見。やはりここがルートの様だ。
しかし、これをパスして、乾いた岩壁を潅木目指して直上、ランニングを取る。下から見たときテラスにトラバース
出来ると思ったルートは逆層で、この位置から見る限り全くムリ。"ここから左に逃げて高巻きかな"と、思ったが、
上に残置ボルトが2個連打されていた。
30m大滝直登ルート(カーソルを当てて)
A0で乾いた岩壁に上がる
ここからA1(カーソル当てて)

”ここが人工登攀箇所かぁ”

"あそこまで行けば、切り開けるかも"と思いボルトにシュリンゲを掛け登る。ここはアブミがほしい所だが、持って来て
ないので、長短のシュリンゲを駆使して2つ目のボルトに手が届いた。しかし、ここから先に残置が無い。
こんな時にブヨが集って来て顔中食われる(最悪) 草付きにスタンスを見出し、なんとか上の潅木にランニングを取る。
ここからテラスに向けてトラバースするが、草付き&ホールド無しでかなり怖い。。。落ちるの覚悟でトラバースして
テラスに出た。

ザイルの残りを聞くと「あと2m!」と言っているが、残置も無く飛沫を浴びながらのビレイも嫌なので、shunrinさんに
岩壁に近づいてもらってさらに3m登りひだりの潅木でピッチを切る。W+A1
 shunrinさんフォローで、そのまま最後の3mあまりをリードしてもらったが、最後の3mが右足側がツルツル岩で、
右足がチョトでも滑ったら落ちる。ホールドも無く、凹角に体を入れ、這いつくばう様に上がって何とかクリヤー出来た。
よくこんな所リード出来たものだ・・・X

30m大滝で"お腹いっぱい"になったが先に進む。ちなみに、この大滝の高巻きは左岸が良さそうだ。
1ピッチ目終了点からテラスを見る
2ピッチ目へGO!
かなり渋いラスト3m(カーソルを当てて)

すぐ上の2段5mを越えると、3段15m滝。これは、快適に直登出来る。すぐ上には9m滝があり、shunrinさんは水流左、
私は真ん中に取り付きクリア。 シラネアオイという綺麗な花が咲く中、3、4m程度の小滝を越えていくと(1:1)二俣
ここは左俣に入る。左俣に掛る多段12mは傾斜も緩く問題ない。
3段15m滝
9m滝
(1:1)二俣

倒木のある2段12mは、ナメ状で、倒木を間を直登。ここからはナメ床が続く。
わずかに残ったスノーブリッジを潜り、5m滝を超えるとV字状の極狭ゴルジュとなる。ゴルジュ内の7m滝に、
若いshunrinさんが水流を浴びながら果敢に挑むが「コレ無理―!」と引き返す。
アラフォーの私は水流を頭から浴びるなんて有り得ず「ここは手前から両足ツッパリでしょ!」とクリア。Shunrinさんも
同じようにクリヤー。この7m滝上にも2m、4mと極狭ゴルジュ内に水を落としているが、すべて突っ張りでクリヤーする。
2段12m
ミニスノーブリッジをくぐる
極狭ゴルジュ内7m
両足ツッパリで超えます♪

沢は源頭の様相になり、倒木のある2段5m滝を越えると、雪渓が現れてくる。今回は左俣を下降するので、
稜線登山道まで出る必要が無いので、適当な所から左の尾根にあがる。上を見上げると、標高で50m程上に
登山道があるようだ。
2段5m滝
源頭の様相

ここから左俣へ下降するが、尾根が複雑に入り込んでいるので、高度計と、磁石を見ながら、「ここだろー」と窪を
降りていくと、左から沢筋が合流。
あれ!、この滝なんか見たことある!!!」
すぐにデジカメで撮影した写真を再生・・・

「うっ!やっぱり・・・」

どうも、もうひとつ隣のようだ。まぁたいした距離を降りたわけでも無いので、問題ないのだが、shunrinさんは、
「かなり挫けた」 とガッカリ・・・

窪を少し登り返して、さらに西へわずかに行ったところに再び沢筋。
「これでしょー!」
と降りていく。たしかに沢筋は地図の通りに伸びているので、大鍋沢左俣と確信。
尾根筋を左俣へ移動
あれ?何か見たような
左俣に降りる

大鍋沢左俣、2段4m滝で始まり、概ねナメ床の様相。10m滝、6m、6mとクライムダウン。
Shunrinさんが積極的だ。さらに5m程度の小滝をクリヤーしていくと12m滝。潅木にザイルを掛け懸垂。この辺りは
滝が連続する。すぐ下の6m階段状は右岸側の乾いた所を小さく巻いて降りれるが次の13m滝は、再び懸垂下降。
この滝は登るとしてもザイル要でしょう。

10m滝をクライムダウンするshunrinさん
12m滝を懸垂する私
見事な13m滝


下降を繰り返していくとまたもや大きい滝。下には雪渓が見え、高さは20mくらいありそう。上部をshunrinさんが
クライムダウンし、下を覗くと「うーん、いけるかなぁー・・・」
と言っている。
「ザイル出そうか?」
「うーんなんとか行けるかな・・・」
といい、一歩一歩降りていく。二人ともなんとかクライムダウンで20m滝を終了。右岸側には深いルンゼが
入っており、雪渓もかなり残っていた。
20m滝のクライムダウン
20m滝全景(カーソルを当てて)

平凡な様相を進み、ナメ床が現れると6m滝。その下で、一瞬伏流になる。その下の6mは下降出来ず、
ちょっと大きめに左岸を巻いて降りる。沢はその後、再びV字谷となるが滝は無く通過していくと、後ろから
「うわぁー!」と悲鳴
振り向くとshunrinさんが腰まで深みにハマッていた(笑)

再び、大きめ滝が現れると対岸に右俣が合流しているのを発見。
「到着ですなぁー♪」

左俣最後の8mは右岸側から巻いて降りれる。林道まではあと2分足らずだ・・・
左岸を大きめに巻いて降りる6m
ゴルジュでハマるshunrinさん
二俣に戻ってきました♪


P.S:大鍋沢は地図で見ると非常に短いのですが、登れる滝が多く、面白いです。30m大滝の直登は難しいですが、
   TRYする価値はあります。あとはV字谷がツッパリで登れるなら初級者でも遡行できると思います。
   ザイルは50mあれば大滝登攀を含め20m滝下降も問題無し。
   南面の沢ですが、遠望した北面の沢は、まだこの時期では雪渓が多く残っており6月以降に入るのが良いでしょう。

小屋ノ沢 大鍋沢 遡行図

沢登りトップへ    その空の下で。。。トップへ




inserted by FC2 system