2009年8月14〜16 北アルプス 高瀬川滝ノ沢ツバメ沢→東沢二ノ沢下降

メンバー:やますきーおさん
装備:8mm×30m×2本、カム、靴:フェルト
二ノ沢遡行図はこちら

当初、金木戸川の流域を狙っていたが、天気の都合で日程をずらした上で、ツバメ沢を選択。『北アルプスの沢(白山書房)』では
1泊2日で白沢口へ降りているが、車の回収に8000円もかかるので、餓鬼岳小屋を経て山の反対側の東沢二ノ沢へ下降して
2泊で七倉ダムに戻るルートを選択。このルートWEBで1件だけ記録が見つかったが、降りられると言う事意外不明なため調査遡行を
兼ねての遡行となった。

アプローチ:CR-X
20:50自宅発→(真岡→佐野藤岡、太田桐生から高速利用)22:40横川SA→23:45麻績IC
11:45道の駅さかした、5:40同発→6:28七倉ダム

初日
7:10七倉ダム発→9:15野口沢出合→12:15滝ノ沢出合→16:00 20m滝手前→
17:05 25m滝下にて行動終了

自宅を出たのが遅かったが、高速道路が順調に流れ、途中『道の駅さかきた』で仮眠後6:30に、基点となる
七倉ダム下の駐車場に到着。駐車スペースは広いが、携帯は繋がらない。
滝ノ沢はこの駐車場の下で出合っている。駐車場から延びる踏跡を利用し入渓。花崗岩の砕けた砂が釜を埋め、
白く美しい。アブも全く居ないので快適だ。しかし、魚影も全くない。しばらく平凡な様相を進むと、8m滝。水流が
強すぎて全く手がつけられず、左岸を巻く。
七倉ダム下の駐車場
序盤の典型的な様相
8m滝

この辺りから岩盤が発達。ナメ床、ナメ滝が頻繁に現れる。8mヒョングリ滝も全く手がつけられず左岸を巻くが、
沢床へは懸垂下降。極力小さく巻かないと30mザイルでは届かないので注意。次の2m滝は水流左から超える。
その先の2段10mナメ滝は右岸を巻く。落ち口の高さまで上がり水平移動が可能だ。
ここから平凡な様相を少し進めば野口沢出合いとなる。
8mヒョングリ滝
沢床へは懸垂下降
2段10mナメ滝
野口沢出合い(左が本流です)

本流に入り、平凡な様相を進むと2段5m滝で始まる滝場が続く。6m、6mと続く2段ナメ滝は下段をフリクションで
突破。やますきーおさんにはシュリンゲをだす上段は頑張れば、左から超えられそうだったが、安全策で
右から小さく巻いた。
2段5m滝
6m,6mの2段滝(カーソルを当てて)
2段滝上段は右から小さく巻く

高巻いて降りたところは(3:1)の二俣。左岸の幅広滝は結構美瀑。本流の5m滝はツルツルなので左岸を巻く。
この先の赤岩の2段15m滝は見事。これは左岸を高巻く。小滝をいくつか超えて行くと癒し系のナメが現れ堪能。(^^)v
(3:1)の二俣の枝沢の滝
2段15m滝
癒し系のナメ

ナメ床を過ぎると両岸が切り立った断崖となる。ここで、4m滝が行く手を阻む。一瞬焦るが、左の壁にハーケンを
打ち、A0で一歩を上がり突破する事が出来た。側壁が低くなってくると滝ノ沢本流とツバメ沢の出合いとなる。

切り立った断崖
4m滝
見事な側壁
滝ノ沢本流(右)とツバメ沢

ツバメ沢に入ってからの小滝は殆ど直登可能。2段8mナメを快適に越え、右岸から2本の枝沢を見て、小滝を
2,3超えて行くと4m滝下左岸に割と良いテン場がある。(標高1410m付近。増水には耐えられないが・・・)1泊2日で
ツバメ沢を抜け下山するには初日に最低ここまで進んでおく必要がある。
「まだ1時だからねぇ・・・」
と我々はさらに先に進む。。。6mトイ状は両手両足ツッパリでトライ。
2段8mナメ
標高1410m付近のテン場
6mトイ状滝を直登

さらに小滝を超えて行くと60mS字状ナメ滝。傾斜は緩いので快適に直登出来る。この60m滝下の左岸大岩の上が
平らになっており、ここも3人くらいまでなら良いテン場になるかも。(ちょっと確認してみて♪)
この先の2段40m滝は下段は直登。上段は左のルンゼを利用。小さく巻こうとしたが、あがった所の岩も逆層
なので灌木が茂っている高さまで大きく高巻いた方が良いでしょう。15mの懸垂で沢床に下降。
60mS字状ナメ滝(右端に写っている岩の上がテン場?)
2段40m滝

4mナメ滝を超えるとすぐに70mトイ状。咲ほどの2段40m滝と似ているが、こちらは全く手が出ず右岸を高巻く。
その上の2段8mはシャワーを交え直登。右に曲がった所にある7m滝も水流左を直登。7mトイ状はまたまた
両手両足ツッパリで突破。ここを超えると、ガイドの素行図に書かれたテン場らしいところを発見。時間は16時前。
良い時間ではあるが今一つの場所だったので、さらに先に進んでみる
70mトイ状
7m滝
7mトイ状

8m滝を超えると、ドーム状の真ん中を裂く様に落ちる20m滝。両岸は絶壁が伸びており、完全に行く手を塞がれた
感じがする。遡行図を見ると左岸を巻いているが、左岸も岩壁・・・
「どこまで戻ればいいんだ・・・?」
という感じだが、先ほど登った8m滝を下りずに左岸の草付きを登ってみると1箇所だけ左岸の岩壁の弱点が
ある。ザイルを1ピッチ伸ばし岩壁上の中間尾根に出る。ここから尾根沿いにコメツガの藪を10分ほど漕ぐと
滝上に出れる。下りは藪がないので苦労は無い。この高巻きに40分掛った。この滝の上にテン場を期待したのだが。
あっけなく裏切られる。
8m滝
行く手を塞ぐ20m滝
20m滝上の様相

仕方なくさらに進むと見事な25m滝。この滝はガイドを見ると落ち口がツルツルで
登れないと書かれてある。時間は17時過ぎ。。。ちょうどこの滝の下右岸が草の台地状になったので
ここを整地して今日の行動を終了する。滝の飛沫のせいか、薪は多いものの湿っており、メタでなんとか
火を起こす事が出来た。
25m滝
25m滝下右岸を整地
ファイヤリング♪



二日目
7:15発→8:35(1:1)二俣→10:10稜線登山道→11:05餓鬼岳小屋、12:17二ノ沢下降開始
→15:55多段80m滝上(標高1850m付近)にて行動終了

5時過ぎに起床。焚き火も着火し、7時過ぎに出発。目の前にある25m滝だが、ガイドには”落ち口がツルツルしていて
直登出来ない”と書かれてある。下から見ると、ルートは水流左だが、取り付きでかなりシャワーになるのと、落ち口付近は
狭くなっており、空身でないと登れない様だ。迷った挙句、左のルンゼから高巻いた。滝上に出て落ち口を見てみると
確かに、ツルツルで、厳しい事が判った。ただ、支点を取れば絶望的では無い感じも・・・ まぁ水流左に取りついて、
最悪、途中から左に逃げる事も可能なので話のネタに取りついてみるのも良いでしょう。(責任は取れません)
25m滝
落ち口付近(カーソル当てて)
25m滝上から落ち口の様子(カーソル当てて)

25m滝上からは癒し系の様相。少し進むと右岸に幕営跡地を発見。ここは絶好なポイントだがここまで来るには
初日早立ちがmustになる。
この先、ナメ小滝がいくつか現れ快適に突破。ガイドには無い(1:2)の枝沢が1本右岸から入っており、さらに
右岸の沢には3m滝が掛っているので、迷い易い所だ。ただ、ここを左に入っても稜線へのショートカットとなるので
問題は無いでしょう。ガイドに書かれた(1:1)の二俣へは、ここを右に入って少し先になる。
癒し系7mナメ
(1:2)の二俣。ここは右に入る
標高1900m(1:1)二俣。ここは左に入る

ここからも小滝をいくつか超え、標高2140mに位置する右岸の沢筋(水は流れていない)を詰めると大した藪こぎもなく
20分で”百曲り”下の登山道に出る。この付近で携帯が使えるとのことだが、SoftbankではNGかも・・・
ツバメ沢だけの計画の場合。この登山口をくだり白沢口まで3時間らしい。
我々は、二ノ沢を下るので、餓鬼岳小屋にむけて登山道を登る。健脚なら1時間はかからないでしょう。
ここまでくれば、今日は二ノ沢を軽く下ってテン場を見つけるだけ・・・餓鬼岳小屋で酒の補充を行う。
やますきーをさんは、ビールに日本酒。さらにオールドの小瓶まで買っていた!!!
小屋からはsoftbankのアンテナは1本立ちでメールは難しい状況。隣でAU携帯を持つ人はメールを送れた模様。
癒し系のナメ滝は続きます・・・
標高2140mで出合う右岸の窪
餓鬼岳小屋にて補充したお酒と・・・

さて、二ノ沢への下降は小屋のどこから降りてもOKなのだが、我々は幕営地から下降する。最初コメツガの藪があるが、
1分も漕げば、下草は無くなり下降しやすくなる。しばらく沢形も見つからぬまま下降を続けると、ようやく水流が
現れる。『登山大系』の遡行図には倒木が多いとあるが、確かに倒木は多い。。。
小屋から見る二ノ沢
餓鬼小屋テント場から下降
降りやすい
倒木多い

1/25000地図を見て、標高2050m付近まで下って幕営しようと考えていたのだが、あまり良いテンバは見つからない。
14時前だった事もあり、やますきーおさんの
「行けるとこまで行っちゃいましょうか!」という言葉に釣られ、下降を続ける。沢床は概ねナメ状なのだがやはり倒木が多い。
ただ、倒木を利用して下降出来るナメ滝もあるので、まぁどっちもどっちという感じだ。
2段10mナメ滝で初めて懸垂下降。30mザイルピッタリだ。すぐに左岸から10mナメ滝で出合う枝沢が入る。
このすぐ下で、6mナメの懸垂下降をすると、また左岸から今度は40mナメ滝で出合う枝沢が入る♪
2段10mナメ滝
10mナメ滝で出合う枝沢(左が本流)
左岸から40mナメ滝

沢床は概ねナメ床だが、下降するのに懸垂を使う。支点となる灌木が多いので残置すること無く30mザイルでOKだ。
幅広ナメから落ちる2段7mナメは左岸のルンゼを利用して下降。すこし下降すると絶好のテン場があるのだが、右岸
の岩壁がそそり立ち、落石を考えるとかなりヤバイ。ここから沢床はV字ゴルジュとなり、下降に不安を感じるが、
”降りた記録がある”という事が支えになった。V字ゴルジュ内に3mCSが出てきて焦るが、凹角に体全体にフリクションを
効かせてなんとか降りる。
2段7mナメ
V字ゴルジュ
3mCS

V字ゴルジュを抜けてもナメ床が続く。再び40m滝で出合う枝沢が左岸から入る。この沢筋は下流から正面に見えるので
遡行した場合、本流にみえるだろう。この少し下で、左岸にテン場候補地があるが、もう少し下降を続ける。
トヨ状ナメ、6mナメ滝は右岸草付きを利用して下降。さらに下って行くと、左岸からかなりの水流の枝沢が合流。
下から見ると(3:1)二俣。地図で確認すると標高1910mの二俣か。
40m滝で出合う枝沢
トヨ状ナメ、6mナメ滝は右岸を巻く
(3:1)二俣

この下の3段7m滝を下りると絶好とは言い難いが、平らな草地を右岸に見つける。落石の危険が”0”では無いが
今までの様相と比べると割と安全・・・時間は16時前。この先を見ると、大滝が有るようなので、今日の行動をここで
終了した。標高は1860m付近。今日は蒔きも乾いておりビッグファイヤーで温まった。
3段7m滝
この倒れた木の奥右岸で幕営
幕営地


三日目
7:10発→9:40 70m大滝下→11:55東沢本流出合→13:35高瀬ダム→(タクシー移動)
13:55七倉ダム

7時過ぎに出発。すぐに、覗き込むことすら出来ない大滝の左岸巻きに取り掛かる。左岸を10m弱登り、落ち口の高さ
まで降りた所で、トラバースを掛ける。1回7m程度の懸垂を交えたが、灌木をつかみながら下りて行く。
滝下に出たが、下からは滝の全貌は見えず。4段20m程度が見えるだけ、下降したイメージは80mはあったと思う。
他パーティでの調査を期待したいところだ。
大滝の落ち口
高巻き途中から
沢床到着。4段20m程度が見えるだけ

下降を続けるとナメ滝で落ちる幅狭ゴルジュに突入。ここは左岸を高巻いた。沢床に降り振り返ると、幅狭ゴルジュは
4mCSで始まっており、水流通しに下るはおろか、登る事も難しそうだ。この下で、右岸から枝沢が入る。
幅狭ゴルジュ上
幅狭ゴルジュ下からの様相
右岸から枝沢が入る

さらに進むと、再び大滝が落ちている雰囲気。正面に対岸(?)の大岩壁が見える
相当大きい滝がそこにある・・・という事しか判らない。左岸は岩壁で登れないので、右岸で高巻く事にする。15m程
登ってトラバースを掛けると岩壁が現れるが、これを大高巻きせずにトラバースする事が可能。灌木を掴みながら
降りると、下に岩壁が見えるので、さらにトラバースして下降。すると今度は右から隣の枝沢にスラブ滝が落ちている
ので岩壁とスラブ壁の間の細い尾根筋についた灌木にルートを見出し降りれるだけ降りる。ロープを掛けられる太い
灌木が無くなった所で、懸垂を行う。滝下までは降りられないのは一目瞭然だが、15mの懸垂から枝沢スラブ滝を
横断し。草付きを利用して滝下まで降りることが出来た。 
大滝が前方に現れる
隣の枝沢のスラブ滝
スラブ滝から懸垂(カーソル当てて)

降りたところは大スラブ滝本流の大滝、それと本流右岸に位置する大岩壁がおりなす絶景ポイントとなっている。
本流の大滝だが下から見えるのは『登山大系』に書かれている70m部分だが、おそらくその上にも20m以上の滝が
控えていると思われる。右岸から高巻いたのでその全貌は判らなかったが、左岸から巻いて降りれば、全貌が
判るかもしれない。
右岸大スラブ沢(クリックして)
本流70m大滝
70m大滝と右岸大スラブ滝出合

この絶景をあとに、下降を続ける。ここからもナメ床が続く。ゴールの東沢本流出合いは近いはずなのだが、
まだ両岸切り立ったゴルジュになっている。こんな状況の中10m滝が出てくるが、左岸を巻いて降りる事が出来た。
右岸の岩壁はまだまだ続く。。。15m滝は右岸の岩壁がちょうど終了する所にかかり、右岸を懸垂2回で降りる。
岩が脆いので注意。
大滝下はナメが続く
切り立った岩壁
10m滝は左岸を小さく巻く
15m滝は右岸懸垂2回で下降

最後の3段10m滝は左岸子尾根に上がり巻いて降りる。ここで東沢本流と出合う。今までの切り立ったゴルジュが
嘘のように広河原となる。少し下れば左岸に赤テープのついた踏み跡があるのでこれを利用すると良いでしょう。
発電用取水口が現れればここからは車道歩き。
高瀬ダムではシーズン中、タクシーが待機してくれている。タクシーが居なくても、ダムにある公衆電話でタクシーを
呼べるらしい。これで七倉ダムまで2000円だが、ダム下まで行くと+αの追加料金がとられる。
たまたま他の登山客と乗り合わせ出来たので、ラッキーだった。
東沢本流
発電用取水口
湯俣への車道と合流。左から降りてくる

P.S:ツバメ沢は悪い所は無く、大滝も巻けるのでどちらかというと体力勝負の沢。良いテン場を見つけるのが
   遡行の良し悪しを決める。良いテンバは最後の大滝である25m滝を超えないと無いが、早出しても夕方
   遅い時間になるでしょう。
   二ノ沢はゴルジュの発達した沢で、内容はツバメ沢を圧倒します。やはり幕営適地は少なく。これを探したり
   (作ったり)するのがカギです。どちらの沢も30mザイル1本で足りましたが、ギリギリでした。

東沢二ノ沢遡行図(クリックして)


沢登りトップへ    その空の下で。。。トップへ




inserted by FC2 system