2009年8月22、23日 谷川山系 檜又谷滝沢→六ノ沢下降

メンバー:mt-samさん
装備:ザイル8mm×50m、靴:フェルト
遡行図/概念図はこちら

谷川山系では湯檜曽、万太郎に比べ本流に目立った滝が無いせいか、マイナーイメージの檜又谷。
それでもススケ谷、大スラブと行った記録は、WEBで見かけるが、この滝沢は『登山大系』に遡行図まで
バッチリ掲載されているにかかわらず。WEBでは全く掲載されていない。。。以前から調査遡行
をしたいと思っていたのだが、”登攀技術の卓越したパーティ向き” という『登山大系』に書かれたフレーズが
単独で遡行する勇気を削いでいた。。。今回mt-samが「オールフォローなら」という条件で参加してもらったので
ようやく、チャンスが巡ってきた。

アプローチ:CR-X
19:35自宅発→(太田桐生から高速)21:46赤城IC通過→22:19土樽PA

初日
6:30基点駐車場発→6:36檜又谷入渓→7:53滝沢出合→10:05右俣出合→
11:32大ゴルジュ上→12:35行動終了

北関東自動車道が太田桐生まで伸びたおかげと、高速1000円で、湯沢方面へのアプローチはかなり楽になった。
24時前に土樽についてしまったため、土樽PAで朝を迎え、集合場所の土樽駅に向かう。mt-samによると、別隊の
万太郎組は、すでに出発したとの事。。。土樽駅では駐車可能。携帯も使える

蓬沢沿いの林道はCR-Xでも走行可能。檜又谷出合いに取水堰堤があい、その横に2台。さらにすぐそばにも1,2台
の駐車は可能だ。ここまで来ると携帯は繋がらないので注意。

入渓準備を整え出発。取水堰堤にかかる釣橋で蓬沢を横断。踏跡に沿って檜又谷へ入渓する。
檜又谷出合駐車スペース
蓬沢をつり橋で横断
平凡な様相の本流を進みます

檜又谷本流は平凡な河原歩きほとんど。mt-samは檜又谷は何度か入っているようで、前滝沢、大スラブ沢等の
出合いを教えてくれた。檜又谷から入渓する事1時間15分。滝沢出合に到着。前日が雨でも水流はあまり多くない。
ちなみに本流は至る所で幕営可能だ。
前滝沢出合
大スラブ沢出合
滝沢出合

滝沢に入るとすぐに10m滝が行く手をさえぎる。近くで見ると取りつけそうだったので、右から取りつき水流を左に横断、
再び落ち口に向かって斜上し快適に直登出来る。V−
滝上は岩盤が発達しており、とっても良い感じ。次の10m滝は水流右の乾いた所が容易そうだったが、中央突破を
試みる、やはり岩が濡れているのでチョイと渋かったW。mt-samは左を小さく巻いて上がってきた。
この上は間髪入れずに4段60m滝!、こんな感じの沢あったな・・・そうそう、湯檜曽の”抱返り沢”だ!
1段目は最初の一歩を上がるためにハーケンを打ってA0。あとは容易に3段目まで快適に登れる。4段目は厳しそう
なので、右の草付きに取りつき小さく巻いてあがった。この滝は檜又谷本流から見える一番上の滝である。
最初の10m(カーソル当てて)
2番目の10m(カーソル当てて)
4段60m滝全景

4段60m滝上は沢幅が狭くなり、2、3mの小滝となり癒し系に一瞬なるが、すぐに3段18m滝と、その前衛の4mトイ状
が現れる。4mトイ状、巻くなら右。通常は左の乾いた岩だろうか??? 時間もあるのでとりあえず中央の細い灌木を
掴み中央突破を試みるがやはりスタンス少なく難儀していると、「ショルダーで行こう!」とmt-samが助け舟。
なんとか左の乾いた岩に上がり突破出来た。
3段18mは、1段目、2段目は容易。3段目は最初の1歩が壁がヌルヌルでスタンスが無い。ただ、残置ハーケンがあるので、
ここに細紐を通し足を掛け、さらに再びmt-samの肩を借りて最初の一歩をクリヤー、あとは階段状を慎重に
上がってクリヤーする。
3段18m滝と前衛の4mトイ状
3段18m滝全景
3段18m3段目(カーソルを当てて)

この滝上は癒し系のナメ。快適です。しかしこのすぐ先12m滝がザイルを出したものの登れず、私は右のルンゼから草付き
トラバース。mt-samは左の灌木帯を高巻くが、右の草付きの方が手早く巻けます。
この先の4条4mの小滝を超えると右から40mスラブで出合う右俣が入る。明るく開けた感じのビューポイントだが、
その先に核心ゴルジュが待ち受けており、緊張感は高まるばかりだ。

右俣出合いの先の4m小滝を微妙なツッパリで超え、mt-samさんにはお助け紐を出す。
12m滝
右俣が出合う明るく開けた感じのビューポイント
4m小滝

このすぐ先が、滝沢の核心のゴルジュ。登山大系では、”草付きの右壁を3ピッチ直上し、1ピッチトラバース・・・”と
書かれてあるが、ゴルジュ入口の7mは直登出来そうだ。
「登ってダメなら降りればいいし、高巻きも小さくなっていいんじゃない!」
ってことで、取り付いてみる。水流を左から右に移動後、凹角の直上がシブイ。右壁の岩が安定している事を願って
バック&フットで摺り上がり、何とか突破する。mt-samにはザイルを出し上がってもらう。凹角の所に残置ハーケンが
あったそうだ。
ゴルジュ内は、左岸は絶壁で高巻きは不可能。すぐ先に10m滝が控える。右から登ればと思ったが、上に上がれない
水流左のルンぜを空身で・・・とも考えたが、右から小さく巻けそうだったので、右の草付き壁を上がった。
しかし、小さく巻けずに上へ巻き上げられる結構緊張を要します。なんとかトラバースを試みようとするも、下を見るとCS滝
が控えているのが見えたのと、右岸も岩壁となっているので、灌木帯まで巻き上がる。コメツガ混じりの密生を15分ほど
漕いで、ゴルジュを抜ける。抜けたところは10m滝上で、その上にも15m階段状で続いていた。この高巻きに35分ほど
かかる。ゴルジュ全体を高巻くと1時間半

ゴルジュ7m滝(カーソル当てて)
ゴルジュ内10m滝
高巻き途中から下を見る
高巻き終了地点

15m階段状は快適に登っていける。"登山大系"によると、ここから1時間で幕営地らしい。
5mナメ滝を越えると急に沢は幅が狭くなり源頭部の様相。2段5mナメを右から小さく巻くと多段15m滝。ここで、沢幅は
再び広くなる。この先には良い幕営地は無いので、この滝の前後でテン場を作るのが良いでしょう。
我々は、そうとは知らず、さらに先に進む。多段15m滝の最後はハングしているので、左端の草付きから乗り越えた。
15m階段状
5mナメ滝
多段15m滝

この上の2段8mもスタンス充分で快適。ここまで登ると周りの山々もみえ、檜叉谷の大スラブ、小スラブが良く見える。
5m滝を越えると水量比(3:1)の二俣になる。ここで、私は左に、mt-samさんは右に入りテン場を探す。右俣はすぐに
水が涸れるようだ。左の本流は小滝を越えた所で、傾斜はあるものの草地があったので、

「もう、ここで良いんじゃない?」

と言う事で、ここにタープを張る事にした。時間はまだ13時前。登山大系では8時間とあったが、ザイル一回しか出さ
なかった事が影響してか、やたら早い時間についてしまった。。。
5m滝。この上で(3:1)二俣になる
ここで幕営
なんとか着火するが・・・

水は得られるが、マキは少なく、なんとかかき集めるが、昨日の雨、さらに生木が殆どだったので、焚き火の着火は
出来たものの、常に吹いてあげないと、火が消えそう。。。
眺めだけは凄く良くて、夜は六日町当りの花火が尾根の上から見えていた。寝床はかなりの傾斜がありしかも草地
なのでよくすべる。仕方ないので、ハーケン1枚打って確保しながら寝た。


二日目
6:50出発→7:20茂倉岳北西尾根→8:15稜線登山道着→8:50六ノ沢下降開始→
10:00檜叉谷本谷合流→10:05三俣、10:50同発→12:25基点駐車場着

7時前に出発。少し上がると再び(3:1)の二俣。左の方が水量が多いが、6mナメとなっている右に入るのが正解だ。
水はすぐに涸れるが明るく開けた様相のまま詰め上がる事が出来る。上手くルートを見つければ、僅かな笹薮漕ぎで
茂倉岳北西尾根に出る。ここには踏み跡はなく胸元の高さの笹藪。滝沢ノ頭までは、この胸元の高さの笹藪漕ぎだが、
そこから稜線登山道は腰下程度の笹藪なので、特に苦労はしない。茂倉岳北西尾根に出てから休憩入れても1時間弱
で登山道に到着した。
(3:1)の二俣
茂倉岳北西尾根へ
最後の詰め
茂倉岳北西尾根から土樽方向
滝沢ノ頭を超えれば藪は無い

さて、今回の下山は六ノ沢を使う。稜線にガスがかかっていても、登山道を下りきった辺りで下降すれば、六ノ沢か
笹平ノ沢のいずれかに入る事ができ、どちらの沢も下降は容易なので心配する事は無いでしょう。
六ノ沢は殆ど涸れ沢だった。
笹平へ(左が檜又谷。鞍部まで下ればOK)
六ノ沢の下降

10mの涸滝は右岸を小さく巻いて下降可能。急に水が流れ出し、3m滝をクライムダウンすると
すぐに20m滝。潅木に支点をとり懸垂。滝自体はそんなに立っていないので30mザイルでも下まで届かないが、
下降は問題ない。

本谷出合にかかる15m滝も右から小さく巻いて下降出来る。三俣で焚き火休憩、ここでは木が乾いているので、
ティッシュ1枚で火を起こせる。ここからは概ね平凡な様相の本谷を1時間半ほど下って起点駐車場に無事戻った。
10mの涸滝(右岸を巻いて降りる)
20m滝(写真水流右を懸垂)
15m滝

P.S:滝沢は明るい様相で快適に登れる滝が多くお勧めです。足並み揃った少人数パーティなら早出、遅着でぎりぎり
   日帰り可能でしょう。日帰り装備で時間的に遅くなったら、茂倉岳非難小屋に泊まる手もあります。滝沢に入ると
   幕営適地は少なくゴルジュ手前かゴルジュを越えて多段15m滝付近で整地するしかないと思います。
   そういった意味で計画しづらい沢とも言えるかも。。。ザイルは今回のルートだと30mあれば足ります。
   尚、六ノ沢下降中に五ノ沢が見えましたが、滝沢より手ごわそうな感じだった事を付け加えておきます。。。

遡行図(クリックして)
檜又谷概念図(クリックして)

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