2009年9月5,6日 越後 三国川 仙ノ滝沢
メンバー:Σさん
装備:8mm×30m、8mm×25m、カム、靴:フェルト
遡行図はこちら
『登山大系』をパラパラめくって、気になっていた仙ノ滝沢。1泊2日で遡行可能で、下りは本谷山からの登山道を利用できるという、
三国川流域では比較的アプローチしやすい沢ではあるが、地図をみるとゴルジュだらけで、ちょと難しそう。
1昨年から計画はしていたのだが、天気に恵まれず、足踏みしてきたが、"そろそろ抑えておかないと・・・"と、Σさんにご同行していただき
遂に遡行する日がきた。
尚、1/25000地図では内膳沢南沢の標記となっているが、『登山大系』に準じ、仙ノ滝沢と標記する。
アプローチ:CR-X
18:52自宅初→(R4、R50)20:21桐生太田IC→21:35塩沢石打PA(仮眠)→
6:03十字峡
初日
6:25十字峡発→7:24内膳ノ落合→8:40東沢出合→10:35南沢出合→14:20行動終了
土日高速1000円で越後の沢もかなりアプローチしやすくなった。Σさんとは六日町駅で待ち合わせ十字峡に向かう。
三国ダムにくると携帯電波が途切れがちになるので注意。
十字峡はゲート手前に車を停められた。ここは駐車スペース8台程度だが少し戻ればさらに10台。トンネル手前の
下津川出合まで戻れば広い駐車スペースがある。もちろんここでは携帯は繋がらない。
林道を1時間の歩きで内膳ノ落合。左岸に堰堤まで車道が伸びているのでこれを利用し堰堤上から入渓。
概ね平凡な様相を進む。途中先行者の足跡を発見したが3人組みの釣師だった。かなり大物を1匹釣り上げていた。
釜はいくつも出てくるが、泳ぎを強要されることは無く、敢えて泳がなければせいぜい腰上くらいか。
最初の滝らしい滝である5m滝は左から、そのすぐ上の2段6mは右から越える。濡れてる岩は非常に滑りやすい。
ここまでで、なんでも無い所で既に3回くらい転んでおり、なんとなくこの先不安。。。次の7m滝は右のバンド状を利用して
簡単に越える。
ここから概ね平凡な様相を進めば東沢出合になる(出合にテン場有り)。 右に進路をとり5m、4mの小滝を超えると極狭
ゴルジュとなる。巻く場合は右岸だが、左壁の妙な所に残置シュリンゲがぶら下がっている。これを利用して左壁を上がる
事はまず不可能で、利用価値が無い。ゴルジュ内の滝は小さいことも有り、
「行って見ますかー!」と言って突破を図る。
ゴルジュ内の滝は4つ。最後の3m以外は1m程度だが、かなり濡れる事は覚悟した方が良い。核心は3つ目の1.5m弱の滝だ
。右足に1箇所スタンスがあるだけ。ツルツルで指先もかからない。"戻るしかないかな・・・"と諦めモードも漂いそうになったが、
ショルダーを噛ましてΣさんが見事突破! 私はA0で核心を越える。出口3mの滝は容易に上がれ、極狭ゴルジュを
抜ける事が出来た。
極狭ゴルジュを突破すると、再び平凡な様相。右岸から6m2条、8m滝で入る枝沢を見ると6m滝。これは水流右から
フリーでクリヤー。少し進めば南沢の出合いとなる。ここから先は沢幅が狭まってくる。ここまで来ると魚は居なくなる
ようだ。最初の3m滝はいきなり登れず小さく巻く。5m2条滝は左の水流に取りついたが、岩が非常に滑りやすく2度
程滑ったがなんとか登った。
沢は明るい様相だが、ここから先は両岸V字状の草付き壁。少し進むと再び極狭ゴルジュになり6m滝が行く手を阻む。
近づいて見てみると、最初の3mが上がれれば突破できそう。ハーケンを打ちこみシュリンゲに足を掛けA0突破を
試みるが、ホールドがなく体が持ち上げれれず断念。ハーケンを抜くのに無駄に腕力を使ってしまった・・・
ここは仕方なく右岸を巻く。
ゴルジュ上には大岩があり、左岸から枝沢が入る。しばらくナメ床交じりの平凡な様相を進み右岸から枝沢が入ると
本流は右に屈曲し12m滝が行く手を阻む。ここから仙ノ滝沢で一番悪い"深いゴルジュ"がはじまる。
12m滝は頭からシャワーを浴び続ければ登れない滝では無さそうだが、普通これは登らないでしょう。高巻きは左岸。
小尾根に取り付き潅木帯の高さまで登りトラバースを掛ける。沢の様相は草木が邪魔して全貌は掴みにくいが、
12m滝上には、ほぼ垂直に水を落とす8m滝。その上に20m級?の大滝が現れる。さらに20m滝奥にも10mの直瀑を
落としているのが見える。延々高巻きトラバースを掛け、途中の草付き帯を横断。10m直瀑上で12m程度の懸垂下降で
沢床に降りる。最短ルートでトラバースしたつもりだが、実に丸々1時間の高巻きだった。他の記録を見ると40m or 20m
の懸垂下降をしている記録もあり、ルート取りによって用意するザイルも高巻きに要する時間も大きく変わってくるだろう。
降りたところは、沢床は広いが、まだゴルジュ内で6m滝が行く手を阻んでいる。私は右から微妙な高巻き+6mの懸垂
下降で越えたが、Σさんは水流右の凹角をツッパリで直登した。
この滝上もまだゴルジュだが、右に屈曲した所にある3m滝は容易に越えられ。これでゴルジュは終了する。
初日、ここまで進んでおかないと1泊二日で抜けられないだろう。
この先、一つ二つテン場になりそうな場所を横目に見ながらさらに進むと再び狭いゴルジュ。左に屈曲した所に10m滝を
落としている。直登するなら水流左だが、最初の3mをどう登るかがカギ。我々は、右岸を高巻く。この滝の上に6m滝も
控えていたので一緒に高巻く。
すこし進むと3人まで横になれる絶好のテン場を発見!時間は14時過ぎだが、今日の行動はここで終了する。
蒔きも豊富で、久しぶりに暑くて近づけない程のビックファイヤーで夜を迎えた。
二日目
6:35出発→7:30仙ノ滝下→10:20奥の二俣、10:50同発(右俣遡行)→12:03登山道着、
12:45下降開始→14:35林道着→15:35十字峡着
朝もしっかり火を起こしてから出発。テン場前にある4m滝を左から越え、両岸V字形状の平凡な様相を進むと見事な
20m滝。右岸を高巻いて越える。ここからしばらくは5,6mの小滝が時々現れるものの、さしたる悪場は無く明るい沢筋を
快適に進むでいくと、仙ノ滝20mに出る。名前が付いている割には今まで見てきた20m級の滝とあまり変わらないような気が・・・
この滝は直登不可能で、右岸ルンゼから大きく高巻けば安全に越えられるが、Σさんが持ってきた"東京周辺の沢"
の遡行図では左岸を巻いて越えているとの事。。。
切り立った岩壁だらけの左岸の高巻きはにわかには信じられず、右岸ルンゼと滝の間の岩壁に取り付きショートカット
を試みるが割と渋い。ザイル2ピッチで潅木帯まで上がり仙ノ滝を巻いた。
再び平凡な様相を進むと瀑流帯に入って行く。最初の12m2段滝は高巻きするとかなり遠回りしそう。下段は水流右
から取り付き水流に向かって斜上するもスタンスはあるがホールドが無いので滑りやすいことを考えると嫌な感じ。
Σさんが突破してくれたので、一応ザイル出してもらった。W
上段は水流右から取り付くが結構難しい。そのまま右壁伝いには突破できず水流を跨いでスタンスを拾い何とか上がった。
Σさんは私が苦労しているのを見て水流左に取り付いたがこちらもかなり難しいようで、シュリンゲを出すが、何とか
A0せずに上がってきた。W+
次の20m多段滝は難しそうに見えるが快適に直登可能。この上にも良いテン場がある。小滝を快適に超え、2条7m滝
は水流右から突破。振り返ると中ノ岳が正面に見え気持ちよい。
さらに瀑流帯を進むと左岸から12m滝で枝沢が合流。本流には8m滝がかかるが傾斜が緩いので快適に越える。
この滝の上にも極上のテン場がある。蒔きも拾えるので2泊で登るには良いポイントとなるでしょう。
次の4段15m滝は下3段は快適に直登可能。4段目は左壁に取り付いて越える。すると(1:4)の二俣。ここを水量の多い
右に入り少し進むと”奥の二俣”と呼ばれる(1:1)の二俣になる。本流は左で本谷山山頂付近に出るらしいが、
持ってきた遡行図では藪がうるさく登りにくいと書いてあるので、ショートカットルートとなる右俣に入る。
右俣出合に落ちる3段10m滝を越えると7m滝。見かけ以上にちょっと渋かったが慎重に突破。すると(2:1)で再び二俣となる。
水量の少ない右の方が明るく開けている。Σさんの遡行図を見ると左俣は"×"印が描かれているようで。恐らく急に
水が涸れるのだろう。 ここは水量の少ない右に進路をとる。水量は少ないが沢形はかなり上部まで伸び、20分程度
の藪漕ぎで小穂口ノ頭近く稜線に出た。登山道は明瞭。ただ、小穂口ノ頭から巻旗山方面への稜線には踏跡は無かった。
下山は、途中でチタケやミズを拾いながらも3時間かからずに十字峡まで戻る事が出来た。
P.S:大滝の登攀というより高巻き勝負の沢で、草付きの登攀&トラバースが、カギを握ります。テン場は記録に書いた以外にも
増水しなければOKの場所は奥の二俣近くまで点在するので、1泊 or 2泊でも困る事は無いでしょう。ザイルは30m一本で
足りましたが、高巻きルート取りによって、大きく変わるので注意。雪渓は全くありませんでしたが、雪渓があると高巻き
に苦労する場合が考えられるので9月以降の遡行がお勧めだと思います。
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