2013年4月27日 安倍川 黒沢(黒ん沢)

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、8mm×50m、カム 靴:アクアステルス
地形図:湯の森、篠井山、駿河落合、和田島
概念図、遡行図はこちら

安倍川の支流には遡行対象となる沢が多くある様だが、コンヤ川、ホーキ沢以外は地元山岳会以外には知られることが少なく、WEBで遡行記録が掲載されていても、
地形図にも沢名が記されていないため、何処にある沢なのかさえ解らない・・・。
そんな安倍川流域の沢の記録を多数アップしている【山やへの扉】の開設者”toshizo”さんに厚かましくも「黒沢、白沢っていったい何処なんですか?」と連絡すると、
詳細を丁寧に教えていただいた。この貴重な情報を元に黒沢(くろんさわ)、白沢(しろんさわ)の本谷、さらに白沢左俣にある白沢大滝の登攀をGWの2泊3日で決行。
ようやく計画が決まった段階でtoshizoさんに連絡を取ると、”予定終了次第、そちらのベースに伺います”と返信をいただき、合流していただけることになった・・・。

アプローチ:フィット
18:15自宅発→20:10南越谷駅、20:50同発→21:11新井宿IC→23:45新清水PA、6:15同発→6:57黒沢基点P
7:23基点P発→7:27黒沢入渓→10:23七ッ釜下→13:35 980m作業道横断地点→15:03 1275m遡行打切り→15:24 明瞭作業道と合流
→16:12 635m登山道合流→16:40基点P着

SACHさんとは南越谷で合流する予定が、南浦和と私がメールしてしまった様で、出発が20分程遅れてしまう。GW前夜という事もあり、首都高の
渋滞もあり、新清水PAに到着したのは23:45。ちなみに一つ手前の駿河湾清水SAより新清水PAの方が静かで、仮眠するならこちらがお勧め。
黒沢への林道はGPS付の車で無いなら、地形図を用意しておいた方が良い。道は一部フラットダートで、フィット2WDでもOK。基点駐車スペースは狭く
頑張って4台まで。携帯は県道沿いの下村までは問題なく繋がるが、林道奥に入るとSoftbankではもちろん圏外。

ここから黒沢入渓点は薄い踏跡を利用。沢は全体的に暗く、落ち着いた感じ。ベースとなる岩も黒いので”黒沢”と呼ばれたのか・・・?
林道終点の基点。3、4台が精いっぱい
黒沢入渓点
落ち着いた様相

暫く進むと、現役のワサビ田が左岸に見える。そこから進むこと455m付近で(2:3)二俣。ここを左に入ると今度は490m(4:3)二俣となり、正面の本流は
10m滝を掛ける。右の沢を覗いてみると。3段25m滝が掛かっていた。さらにもう一本沢筋が右に伸びており、ここは変則三俣の様相を呈している。
本流筋に戻り、10m滝は右岸から大高巻きする。
良い感じの様相です
455m(3:2)二俣。左に入ります)
490m二俣10m滝
右俣に掛かる3段25m滝)

この10m滝から深いゴルジュが続き、確認できた滝だけでさらに15m、6mトイ、2段20mと続いるているようだ。右岸ギリギリの所を巻いていくと2段20m滝下
に降りたと思われる古い残置シュリンゲを見つけたが、2段20m滝は登れる様には思えず、そのまま右岸を巻いていく。2段20m滝上まで巻いていくと、
途中で切れてしまったトラロープを発見。この位置で5mの懸垂で2段20m上に出た。。。 まだゴルジュの様相を呈しており、その先の10m滝は左岸を巻く。
落ち口ギリギリにクライムダウンで沢床に降りる事も可能だが、沢床は滑って危険なので、ごく短い距離だが懸垂で降りた方が良いだろう。
ゴルジュ内15m滝と2段20m(カーソルあてて)
懸垂で2段20m滝上に出る(カーソルあてて)
10m滝(カーソルあてて)

ここからは7m前後の滝が頻繁に出てくる。チョット嫌らしい7mナメ状滝は水流左から細かいホールドを拾ってなんとか直登。SACHさんにはザイルを出す。
すると、この上で黒沢ハイライトの七ッ釜が姿を現す。
7m滝(カーソルあてて)
ちょっと難しかった7mナメ(カーソルあてて)
七ッ釜(クリックして)

七ッ釜は下から見て3段目、4段目が難しく、右岸を小さく巻いた。七ッ釜上は概ね平凡な様相で高度を稼ぐ。765mに位置する(3:2)二俣直下に、作業道
が横断。赤テープも見受けられたが、この道を利用した記録は無いようだ。(3:2)二俣を左俣を見ると8m、12mと滝が続き、ここもビューポイントとなっている。
12m滝は水流右を快適に直登可能。
七ッ釜3段目(踏ん切りつかず右岸巻き)
765m(3:2)二俣(カーソルあてて)
二俣から。奥に12m滝(カーソルあてて)

すぐ上の3段小滝を超えると、10mトヨ状滝上で左9m、右8m滝で出合う二俣となり、ここの景観もなかなか・・・。左側本流9mは直登出来ず、右8m滝との
中間尾根で小さく巻くとすぐ上に控える3段12mCS滝下に出れる。この滝は左の乾いた壁を直登可能と判断しザイルを出して取りつくが、1ポイントの
垂直部分がホールドが甘く踏ん切りがつかない。残置ハーケン有り。 しかたなく、凹角を流れる瀑心に向かってトラバースしたが、こちらも今一つ。
水流直撃は避けたかったが、良いホールド/スタンスが無く4月なのに頭からシャワーをまともに受け、「ヤバい落ちそう・・・」という所をバックアンドフットで耐え、
ジリジリ這い上がった。。。SACHさんにはあまりに酷なので、渇いた左壁を上がってもらえるように支点を取ってCSを乗越して。滝上に出る。
寒さと緊張で体の震えが止まらなかった・・・W
10mトヨ状と左岸枝沢8m
本流9m。中間尾根で小さく巻く
3段12mCS(カーソルあてて)
3段12mCSシャワーで突破(カーソルあてて)

この3段12mCS滝上で890m(1:2)二俣。ここを右に入る。小滝を超えて、980m付近で明瞭な作業道(登山道?)が横断する。時間が無ければここで終了しても
良いかもしれないが、まだ、しっかり水が流れているので遡行を続ける。
890m(1:2)二俣を右に入る
この4m滝上で作業道が横断(カーソルあてて)
遡行を続けます。2段12m滝

急傾斜の中、小滝で高度を稼いでいくと、岩門の様な間を抜け、5m、5mトイを過ぎると水も涸れる、6mCS涸滝と20mCS涸滝を越し、1275m付近で沢が
藪っぽくなってきた所で遡行終了とし、右岸小尾根に上がった。
石門
石門上にある5mトイ
この20mCS枯滝上で遡行終了

この小尾根はナタ目が付けられた植林帯跡で、藪は薄く獣道程度の踏跡も付けられているので、子尾根をまっすぐ降りていく。。。1190m付近まで
下降すると尾根を横断するような、割と明瞭な作業道とぶつかったので、登山道に向けてトラバースしながら下降すると、3本目の沢を横断するところで、
980mで沢を横断していただろう作業道とぶつかる。ここからは登山道並みの明瞭さで下降に何ら問題は無い。この作業道が浅間原から伸びる登山道と合流
するのは635m地点まで下った所だった。後は、上コース/下コースと書かれた分岐を下コースを選択して下降すれば基点近くの林道に出られる。
右岸子尾根をダイレクトに下降
このナメ滝で980m作業道と合流
下コース/上コース分岐

明日の白沢の遡行に向け、白沢の基点に車で向かう。白沢沿いの林道は狭くスイッチバックして登る所があり、大きい車だと難儀する。
フィットだと、切り替えし3回でスイッチバックせずに突破できた。白沢の基点は大堰堤手前で広々とした河原。ベースとするには良いだろう。
薪は少なめだが、なんとか2日分かき集めたところで、toshizoさんが差し入れを持って登場。沢山ご馳走になり、遅くまで話は尽きなかった・・・

P.S:黒沢は豪快な大滝こそ無いものの、静かな沢登りが楽しめます。稜線まで詰めると密笹藪になるので、今回の様に途中で切り上げるのが良いでしょう。
   登山道以外の作業道を利用すれば手短に下山可能です。ザイルは30m一本でOK。途中に幕営適地は有りませんでした。


遡行図(クリックして)
黒沢概念図(クリックして)
安倍川中流部、遡行対象沢概念図(クリックして)

二日目の白沢(白ん沢)本谷遡行の記録はこちら



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