2013年4月29日 安倍川 白沢左俣 白沢大滝登攀

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、8mm×50m、カム、#0.4〜1まで5個 靴:アクアステルス
地形図:湯の森、篠井山
遡行図、概念図はこちら、安倍川中流部 遡行対象沢位置関係はこちら

GW前半2泊3日の安倍川支流 黒沢(くろんさわ)、白沢(しろんさわ)企画の3日目、白沢左俣に入る。左俣は大滝を終了すれば、ほぼ終わってしまう内容なので、
帰りの渋滞を考慮し、白沢大滝のみを登って終了することにした。

6:55基点P発(作業道利用)→8:34左俣/本谷出合、8:42 1ピッチ目→9:10 2ピッチ目→10:13 ピッチ目→10:35 4ピッチ目→11:23 登攀終了
→11:48右岸下降開始→12:48大滝下→14:00基点P

昨日の本谷遡行で、滝の全体像を見ておいたので、大きな不安は無かった。【山やへの扉】の開設者”toshizo”さんの情報によると、
『2ピッチ目がV+、4ピッチ目がX+との事だったが、3ピッチ目は水流左の渇いたスラブに移動すれば簡単だろう』との事だった。

昨日は水流通しで行ったが、今日は作業道を利用して右俣出合まで行く。この作業道は大堰堤右岸にある茶畑の中を通り過ぎたところで、
沢に降りる踏跡があり、ここで、左岸に移動。一段上がって植林帯に入ると作業用モノレールがあるので、概ねそれに沿って作業道が右俣
まで伸びている。右俣出合からも概ね左岸が歩きやすく。1時間20分で左俣/本谷出合手前のゴルジュに到着。昨日同様、5m滝は左から、
7mCSはザイルを出して右から登った。
大堰堤から右岸茶畑を抜けます
左岸に移動してモノレール沿いの作業道を進みます
ゴルジュ内5m滝は左から

さて、大滝は3段構成。1段目の岩は脆く、ここ数年でも落ち口の形が大きく変わっているようだ。水流すぐ右から取りつき途中のルンゼから1段目を登った
記録もあるが、現在ではこのルンゼにも水が流れ、かなり難儀しそう。一方、水流左はやはり最後の落ち口がノッペリした垂直壁で、しかも見た感じ
かなり脆いのが解る。仕方なく、昨日同様、本谷の水流左端を4m上がって、草付の乾いたスラブに取りつく。精々V−と言ったグレードで、中間支点は
取らず、ただザイルを引っ張って行く感じ。登り切ると古い残置ボルトがあった。『このルート反則か?!』と思ったが、登った人が居て一安心(笑)
支点を取ってSACHさんに上がってきてもらう。
左俣 白沢大滝3段100m(クリックして)
下段ルート(カーソルあてて)
1ピッチ目(クリックして)

1段目上は広々としたテラス。休憩には持って来い! 1段目の落ち口を見に行くと、確かに岩は脆そうだったが、灌木に支点が取れるため、
まぁ運が良ければ登れそうな気がする・・・が、また数年後には状況は変わっているだろう。

さて、2段目を見上げる。視野を広げてみれば、右の灌木リッジから簡単に登れるのが解る。初級者にも優しい大滝かも・・・ しかし、さすがにこれだと
直登とは言えないので、定石通り水流右のジェードルを目指して登る。ジェードル部は渇いた岩で快適だがV、段差が大きくホールド1ポイントが甘い
箇所があるW。この2m下で支点を2か所固め打ちし、さらに真横でカムを決めたが、昨年グランドフォールをしたトラウマなのか、それでも踏ん切りが
つかずこの1ポイントだけで10分強は掛かったかも・・・なんとか右足を決めて左ひざを突っ込んで上がった。。。
普段岩トレしている人なら、何ら問題ないでしょう・・・
ここからはスタンスホールド豊富で、途中カムで支点を取ってテラスに上がった。もう1段上がれば太い灌木があるが、ここにもしっかりした木の根っこ
があり、ここでピッチを切ればフォローの姿が見れるので、さらにカムで支点をとってピッチを切る。SACHさんはやはり1ポイントが超えられず
ゴボウで突破。太い灌木まで上がってもらった・・・
1段目落ち口
2段目(クリックして)
2段目ルート(カーソルあてて)
2ピッチ目登攀(クリックして)
SACHさんゴボウでクリヤー
ビレイテラスから一段上がってもらいました。

1段上がると、ここからあまりスタンス・ホールドの無い岩の上に砂が乗ったザレ。とても水流側に近づく気にはなれず、笹藪とのコンタクトラインを
5m弱慎重にあがり、笹薮に入ってさらに4m程登った所で水流側に戻る。水流を覗いてみると、全く右岸の渇いたスラブ側に移れる所が無かった・・・
”toshizoさん!お話が違うじゃないですかぁー” と内心思いつつ、こうなると ”X+” と聞かされた水流沿いルートを上がって行くししかない様だ。
このまま、ザイルを伸ばしてもOKだったが、声が届かなくなる可能性が大だったので、ここで一旦ピッチを切ってSACHさんに上がってきてもらった。
3ピッチ目の様相
仕方なく草付とのコンタクトラインから上がる
3、4ピッチライン(クリックして)

ここから4ピッチ目。水流右に、乾いたバンドが4mほど伸びており、ここを詰めると、水流左の乾いたスラブに出れるかもしれないと、期待を膨らませ
上がって行ったが、水流横断は結構リスキーだった。 ただ、X+と聞かされていたラインは割と階段状で、傾斜も強くないので、なんとかなりそう。
ランニングビレイはハーケンも打てるが、カムが有効で右壁ですべて取れる(右壁は脆いのでセットは慎重に)。今回5つカムを持ってきたのは幸いだった。
水流すぐ脇を直上するので水量が多いとかなり難しいと思う。今日は飛沫がガンガン掛かる程度なので、特に問題ない。しかし非常にヌメっているので、
この対策は必要だろう。ここで、タワシが大活躍。ホールド、スタンスになりそうな箇所は、とにかくタワシで磨く。これでアクアステルスの摩擦係数が
格段に上がるので、この滝の登攀には必須アイテムと言って良いだろう。 1箇所ホールドが甘い所に外傾スタンスの嫌らしいポイントがあったが、
ここもタワシで乗り切った感じ。。。10m近くを直上して落ち口に出た。タワシとアクアステルスの組み合わせで登ればWと言った所でしょう。
4ピッチ目。水流左に移れる様に見えるが(カーソルあてて)
SACHさんフォロー
ラスト5m(カーソルあてて)

大滝落ち口上の陽が当たるテラスで休憩。この上も小滝があるが、すぐに源頭の様相になる様で、予定通りここで終了。。。
大滝落ち口
落ち口から4ピッチ目
大滝上の様相

さて、滝の下降だが、落ち口からダイレクトに右岸の笹薮に突入。水流から離れながら下降したところで懸垂を開始する。50mザイルであれば
”届かない!”なんてことはないが、5回懸垂でようやく下に降りれた。。。3回目の懸垂から登ってきたルートが違う角度で見れるので、
右岸下降がお勧めかもしれません。
1回目の懸垂
3回目の懸垂(クリックして)
5回目でようやく下に降り立つ

大滝下の7mCSや、5m滝は右岸に残置支点があるので、これを利用して懸垂できる。あとは来た道をノンビリ帰るだけだ。。。

P.S:白沢大滝は明るく開放的な雰囲気の中で直登できるイイ感じの滝でした。ザイルは40m以上が必要。カムを多く持って行くと便利です。
   靴はアクアステルスの方が良いですが、最後のピッチはヌメヌメですのでタワシを持って行くと良いです。残置は1ピッチ目終了点のボルト
   以外には有りませんでした。もちろん我々もオール回収です。

前日の白沢本谷遡行記録はこちら



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