2013年5月18日 帝釈山塊 湯西川 栗山沢→フリウギ沢下降
メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:五十里湖、湯西川
先日、Amazonで『帝釈山塊の沢』という廃本を手ごろな価格でようやく入手。栃木県の沢屋として、手元に置いておきたい本ではあるが、記録内容は1960年代〜70年代と言う代物で、
ダム開発、林道拡張工事なのでその面影は大きく変わっているのが現状だ。
そんななかで、湯西川の栗山沢、フリウギ沢は出合は昨今完成したダムで出合付近は影響を受けているものの、他は人工的な様相変化は見られない沢の一つとして残っている。
もちろん超マイナーな沢ではあるが、一度本に取り上げられた影響か、WEBでもダム完成前に入渓した記録数件が見られるようだ。今回、ダム完成後の様相を調べるため調査遡行をする。
20:35小金井駅→22:00藤原運動公園P、5:50発→6:25基点着
6:55フリウギトンネル基点発→7:15栗山沢入渓→8:51 840m二俣→11:30 1140m二俣→12:30栗山沢/フリウギ沢分岐尾根
→13:10 1574mピークから下山開始→14:45 940m二俣→16:35林道着→16:45基点P着(竿を頻繁に出したので参考タイム)
栗山沢のアプローチであるが、県道湯西川線が湯西川ダムの影響で大きくルートを変えているので注意が必要。カシミールで見れる地形図だと、
工事前の道になっており、使い物にならない。2013年5月時点でGoogleやマピオンの地図でもまだダム建設前の地図になっいた。
唯一最新になっているのがウォッチ図の地形図。 トンネル名を見ながらアプローチすれば沢を間違う事は無いだろう。
天狗岩トンネルを抜けダム湖を左岸に渡る橋の手前に自転車のみが通れるフリウギトンネルがあり、そのゲート手前に車を停める。
栗山沢左岸側にも6台程のパーキングがあり、利用可能。どちらの駐車スペース共にdocomo、softbankは圏外。
栗山沢に掛かる巨大な橋の左岸から沢床に降りる。300mも進めば工事前の様相が残ってる。ただ、右岸に釣師が付けたと思われる道や
赤テープが散見され、半分釣目的で入ったので、若干ショック・・・。。。
序盤のミニゴルジュを通過すると庭園のような広河原が広がり絶好のテン場適地となっている。これで魚が居れば最高なのだが、魚影は全く見ない。
水質に問題があるのかと思ったが、稚魚を発見したため、居る事には居るのだろう。
ワサビ田等は見受けられないが、左岸に石垣などがあり人臭さは若干残る。2mナメを超えるとナメ床が現れる。この辺りから竿を出してみるが、
やはり当りは無い。
両岸が切り立ってくると5mナメ。ここを過ぎると、840mに位置する二俣。左俣は8mのナメ滝が掛かっている。本流もこの先で2段4mナメ、5mY字滝と続く。
この先の6mナメの釜でようやく1匹イワナが掛かった。
6mナメ滝上は若干ナメ床になるが、平凡な様相にすぐ戻る。竿を出しながら進むが、当たりは一向に来ない。895m、945m付近で顕著な沢筋が地形図 では入っているが、水はほとんど流れていない。945m二俣のすぐ先で栗山沢最大の9m2段ナメ滝が現れる。水流左をアクアステルスのフリクションで 直登する。この先は小滝を交えた概ね平凡な様相で高度を稼ぐ。
1140m付近で(1:1)二俣。明神ヶ岳に詰めるなら左だが、本流の右を選択。4m石積滝を超えると、1200mで(1:2)。ここは水流の多い右に進路を取ると V字谷形状になる。
最初の5m滝左壁から多量の湧水が流れており、本流はほぼ涸れ沢になる。右壁から5m滝を超えると、7mCS。左岸大高巻きかと思ったが、右壁から 簡単に登れた。この先V字谷形状のまま二俣になる。ここはどちらに入っても差ほど影響は無く、右に入ってV字谷を少し進むと詰めの様相に変化。
最後は藪漕ぎ無しで、1480m付近の栗山沢/フリウギ沢の分岐尾根に到着する。時間は12時過ぎ。フリウギ沢でも竿を出すつもりだったので、明神ヶ岳 まで往復するつもりはなかったが、1574mピークまで獣道を利用し足を延ばした。主稜線にも踏跡はないが、藪は無く、稜線歩きに特に問題は無さそう。 周辺の山々には雪は見えないが会津駒ヶ岳の稜線はまだ真っ白だった。 このまま1574mピーク付近からフリウギ沢に下降する。藪は全くないが、無さ過ぎて手で捕まるものが欲しい所だ。悪そうな箇所は右岸小尾根を利用して 高度を下げる。
こちらには雪渓がまだ残るが、なかなか水が流れない。流れたかと思うと伏流になったりして、水流は少ないまま。4mナメ、4mトイ、4mCSと出てくるが ザイルを出さずに小さく巻いたりして下降できる。
すると940m付近で右岸から枝沢と思いきや、そちらの方が多くの水が流れていた。水量比(3:1)。栗山沢遡行終了点からそのまま下降すれば、 この右岸枝沢を降りてくることになる。水量が増えたので魚影を確認せず竿を出してみるが、これまた一向に当りが無い。 竿を持ちながら下って行くと、ゴルジュになる。奥を覗くと釜が見えていたが行けると判断。竿をしまって突っ込むと、多少バランスを崩したが、腰まで 濡らす程度で突破出来た。SACHさんは左岸巻でゴルジュ全体を巻く。この先で踏みそうになったヤマカガシを捕獲→解放。
その先でこの沢に似つかわしくないフリウギ沢最大の10m滝が突如として現れる。垂直に水を落し、「これでは上に魚が居ないわけだ・・・」と自分を納得させ、 左岸の薄い踏跡を利用して巻いて降りていく。 ここからまた竿を出してみるが、やはり全く当たりが無い・・・すると、右岸に明瞭な踏跡が出て来たので、竿をたたみ踏跡利用で下る事5分程度で 林道が見えて来た。ここには現役の作業用モノレールがあり右岸上部に伸びていた。今時、ここで何をやっているのだろうか? フリウギ沢に掛かる橋から明かりがつかないフリウギトンネルを抜け基点に戻る。
P.S:栗山沢はダム工事の影響を受けていないが、概ね平凡な様相が続く沢だった。水量もそんなに多い沢では無いので、雨の翌日に遡行すると楽しい かもしれない。フリウギ沢も水量は少な目で栗山沢以上に変化が少ないので下降向きの沢。ザイルは30m1本で十分。 テン場はフリウギ沢の方が多い印象。
沢登りトップへ その空の下で。。。トップへ |