2013年6月28〜30 和賀山塊 堀内沢 マンダノ沢→部名垂沢下降

メンバー:RURUさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:抱返り渓谷、羽後朝日岳
遡行図、概念図はこちら

以前から狙っていた秋田 和賀山塊マンダノ沢の遡行を計画。大滝が有るわけでもないが、WEBでもかなり記録が報告されており、今やメジャー化されつつある沢。
1泊2日で抜けてる記録もあるが、帰りの運転を考えると栃木からでは辛く、2泊3日で余裕を持たせ、下降ルートを朝日沢にとる計画で実行した。

15:50職場発→17:15矢板IC→21:27錦秋湖SA、5:20発→6:55夏瀬温泉
7:20夏瀬温泉基点発→7:45堀内沢入渓→9:18朝日沢出合(竿出し)→11:35マンダノ沢出合→15:48蛇体淵(幕営)

秋田、大曲ICを降りて基点となる夏瀬温泉を目指す。R46から夏瀬温泉までの道は途中からフラットダートになるが2WDハッチバック車でも問題なし。
Softbank携帯はこの辺りから圏外になる。夏瀬温泉には30台近く停められる駐車スペースあり。トイレもある。

地形図には書かれていない夏瀬橋でコバルトブルーの堀内沢を横断し、明瞭な遊歩道で玉川を横断、25分で堀内沢に到着。水量は少ないが
予想通り少し進むと取水堰堤があった。取水堰堤上も概ね平凡な様相が続く。それにしてもこの沢、乾いた岩でもなぜかやたら滑る。アクアステルスの
グリップが利かず結構ツマラナイ所で転んだりする。
今日は平日だし・・・
夏瀬橋
堀内沢入渓点から取水堰堤へ(カーソルあてて)

魚影は濃いが、朝日沢出合までは竿を出さず我慢。朝日沢は思った以上に水量が少なくチョットガッカリ・・・。この辺りで竿を出してみると、いきなり大物
が掛かった!

左岸から入るシャチアン沢を過ぎて、ヒラタケをGET!。この先で雪渓がブリッジとなって残っていたのにはビックリ! この位置でこれだけの雪渓が現れ
ると、上流部は雪渓だらけか???
堀内沢
水量の少ない朝日沢出合
シャチアン沢と本流の雪渓(カーソルあてて)

そしてこの辺りで堀内沢の象徴である三角錐の岩があるようだが、予習を殆どしてこなかったので、そんな岩が有る事も知らず、もちろん発見にも
至らない。まぁ目立ったものだったら解るはずなので、大した岩ではないのかな・・・?
それより、堀内沢には要所要所(?)に大岩に”D”、”E”と大きくマーキングしてあるのだが、これは一体何んなの?ちなみに”E”はマンダノ沢出合にあり。
左岸から100mスラブ沢を見るとマンダノ沢/八龍沢の合流地点もすぐ。水量比は(2:1)でマンダノ沢の方が多い。ここからも竿を出しながら進む。
100mスラブ沢と謎のマーキング(カーソルあてて)
マンダノ沢/八龍沢出合
マンダノ沢序盤の様相

暫く進むと10m滝、水流右から行ってみるが、こちらからだと落ち口が抜けれず最後だけ巻いた。ここからは大岩を縫うように小滝が続く。少し行くと
2段10m滝。下段は2条になっている。この下段が登れず右岸小沢から小さく巻く。滝上は大岩がひしめく様相。その先に12m滝が控えて居た。
この滝は水流左に取りつき、直登を試みるが、登った先で最後の抜け口が激シャワーでないと抜けられない事がわかり、引返して左の乾いた壁を登る。
RURUさんには上からザイルを投げた。
10m滝は水流左だと上手く抜けれる(カーソルあてて)
2段10m滝(カーソルあてて)
12m滝(カーソルあてて)

この先は小滝が続く。魚影も多数見るが、この辺りだと竿を出しながら進むのは難儀しそう。水流左にバンドを持つ3段10m滝を超えると、嘘のように
穏やかな様相に変化。テン場適地だが、時間もまだあるので先に進む。。。そもそも今日の幕営地と考えている蛇体淵というのがどんなところで
何処にあるのかよく解かっていない(^^)ゞ 恐れているのは何処で”魚留”になっているかだけ・・・
連瀑帯の様相(カーソルあてて)
最奥が連瀑帯最後の3段10m滝(カーソルあてて)
3段10m滝上は急に癒し系

この先再び、小滝が現れると左岸に最近崩れたと思われる大きな崩壊地が出現。ここで2m滝を超えると、”ここで幕営してください” と言わんばかりの
広々とした河原が出現! どうもここが”蛇体淵”の様だ。最奥には魚留滝を思わせる4m滝が掛かっている。時間も16時近くなので、ここで今日の行動を
終了した。薪は豊富にあり、整地済みの土地が居倉でもあるのだが、広々とし過ぎて、釣には向かない。竿を持って来てないRURUさんにテント設営と
薪集めを任せ、先ほどの崩壊地を下り釣に出かけるが1匹釣れたところで、急な夕立が来て終了。。。幸い20分い程度で雨もやみ、焚火も無事着火。
キノコとイワナのフルコースにありつくことが出来た。
左岸崩壊地と2m滝(カーソルあてて)
蛇体淵(カーソルあてて)
これをやりに来た感じ・・・


二日目
5:30蛇体淵発→7:05上天狗沢/下天狗沢分岐→9:54 1050m分岐(左岸枝沢を詰める)→10:45稜線、11:03(登山道無し、引き返す)
→11:28 1050m本流→13:00-13:10朝日岳→13:42部名垂沢下降開始→15:35 650m付近行動終了

今日の行動時間で最終日は楽になるので早出する。蛇体淵出口の滝は左壁を灌木利用で2m空身で登り突破。滝上はゴルジュ。滝は小さいが、
直登はムリなのでそのまま右岸を巻いて抜けた。この先も小滝が続く。なんと魚影はまだあった。。。2段7m滝は水流右、多段階段状滝は水流左を
へつって突破する。この先もテン場は散見。蛇体淵で幕営するパーティが多いことを考えると、ここで竿を出す人は少ないので、狙い目かも・・・
蛇体淵出口滝とその上のゴルジュ(カーソルあてて)
2段7m滝
やたら滑る多段階段状滝(カーソルあてて)

インゼルになった所で再びヒラタケの群生を発見。この先も難所は無く、ナメ床が現れると855mに位置する上天狗沢/下天狗沢の二俣も近い。
上天狗沢/下天狗沢の二俣は水量比(1:3)で下天狗沢の方が多い。上天狗沢には8m滝が掛かる。この出合と天狗沢に入ってすぐ先に絶好のテン場が
広がる。

特徴的なインゼル(カーソルあてて)
ナメ床が現れます(カーソルあてて)
上天狗沢/下天狗沢出合

下天狗沢に入ると暫くは河原状。小滝も出てくるがどれも2m以下で完全癒し系の様相が898m二俣まで続く。魚影はこの898m二俣手前まで見かけた。
898m二俣は水量比はほぼ(1:1)。右には3mの小滝。本流筋の左は雪渓が残っている。左に入ると両岸が土壁のゴルジュ。崩壊しかけた雪渓の処理が
面倒。嫌な雪渓が残ってなければと祈りながら進む。
癒し系の様相が続く
898m二俣
左本流に入ってすぐの雪渓

雪渓が消えた先の2mトイは簡単だが、その先の4mトイ状はやたら岩が滑る事を考慮すると直登は難しく。右岸の弱点を見つけてザイルを付けてリード。
幸いV−レベルで超えることが出来た。この先もゴルジュが続く。高巻きが難しいだけに一つ悪い滝が出て来ると結構ヤバイが、ここは多数の遡行記録を
残しているメジャー沢。”みんな突破できてるんだから自分にできないはずが無い・・・”と決めつけるしかない。すると深い釜を持った4m滝・・・
一瞬ヤバいと思ったが、水流左から簡単に突破できた。 問題は雪渓・・・この地形で中途半端な雪渓が出てくると敗退だってありそう。。。
4mトイ状は右岸を小さく巻く(カーソルあてて)
一瞬ヤバいと思った4m滝(カーソルあてて)
雪渓の状態一つで、結構ヤバくなる

幸い滝は難しいのが出てこなかったが、釜が深く、泳ぐのを避けて1か所右岸を小さく高巻いた。ここは幸い高巻き可能だった。。。 7m程度の懸垂で沢床に
戻る。。。この先も5m弱の小滝を超えて行く。滝はやはり難しい物は幸いなかった。
こんな雪渓ひとつでも結構面倒だ。
この小滝は右岸を高巻いた
左右両側から経つって突破。

しかし、ついに大きな雪渓が現れる。雪渓の上を進むと、1050mで出合う左岸枝沢を見る。ここを右に入れば、手っ取り早く稜線登山道に出れると、
当初から計画していたのだ。。。丁度この出合で雪渓が抉り取られており、慎重に雪渓の上を通って左岸枝沢に移動。
雪渓だけはどうにもならない不確定要素
ついに大雪渓
大雪渓先に1050m左岸枝沢を見る

この左岸枝沢には雪渓が無く、5m程度の滝は出てくるものの突破に問題なく、藪漕ぎもそうキツク無く、稜線に出ることが出来た・・・。。。
が・・・、 稜線を跨いでも登山道が見つからない・・・。。。”羽後朝日岳って結山構メジャーな山だよね???” と思いつつ、稜線の反対側にある雪渓を
稜線と並行にトラバースすると、登山道らしきものを発見! たどってみるが赤テープらしきものは無く。そして急に藪に突入してしまう。
小ピークに向かって藪を漕ぐが、灌木交じりの激藪でなかなか前に進めない。

「もしかしてこの登山道、廃道かも・・・」 

地形図を取出し現在地を確認。時間は11時、朝日岳まで距離1km・・・。。。持っている水も少ないし、引返して本流詰めた方が確実性が高いと判断、
RURUさんに謝罪し、1050mの出合まで引き返すことにした。
1050m左岸枝沢の5mナメ滝
1150m付近で水も涸れる
稜線登山道を見つけた!と思ったが・・・

幸い、30分で1050mの出合まで戻ることが出来た。もうこうなれば、本流を朝日岳に向かって詰めるだけ。本流に続く大雪渓は崩壊しかけていたが
なんとか無事降りれた。

少し進むと、難しそうな6m滝が現れる。慎重に斜上して、右足を上段の小さいスタンスに乗せて気合いで上がる。RURUさんにはザイルを出した。
さらにその先に10m滝が現れるが、幸い水流右を簡単に直登できた。そして最後の8m滝を快適に超えると、滝は終了して源頭部のナメ床になる。
気合いの要る6m滝(カーソルあてて)
10m滝(カーソルあてて)
最後の8m滝(カーソルあてて)

広々とした、様相の中、忠実に沢型を詰めていくが、最後の最後で、背丈ほどのハイマツ交じりの激藪に突入。”登山道はあるのか?!” と
必死になって漕いでいくが結局それらしいところは笹の密藪になっており、登山道は無い事が解った。。。ここは山頂近くの草付を見たらそこに向かって
藪を漕いだ方が早い。RURUさんも、相当へばってしまったようだ。朝日岳山頂に13時に到着。朝日岳の下降も時間的にまだ可能ではあるが、
オーソドックスに部名垂沢の下降に切り替える。まさにヘナタレ者の為に有る沢かも。。。
沢型を忠実に詰める
最後の密藪
朝日岳山頂

さて、部名垂沢の下降だが、朝日岳山頂から薄い踏み跡が下降点まで伸びている。これは昨年の生保内川の遡行で確認済み。 ただ、朝日岳からは稜線通し
に踏跡が有るわけでは無く、朝日沢側に付けられており、途中藪の中に踏跡が消えていくと朝日沢に吸い込まれそうで、ついつい稜線側の草付で
つなげて移動していく。部名垂沢下降点は赤テープが多数あったが、一つ手前(朝日岳側)の鞍部から下降したら、結構な密藪だった。こういう所で
面倒くさがると、余計に辛くなったりする様だ。
ようやく沢形が現れると、急降下になり、灌木を掴んで下降。1005mで右岸から本流の20m滝下でようやく水が得られた。
朝日沢と生保内川(カーソルあてて)
部名垂沢への踏跡は解りづらい。
部名垂沢へ下降開始

ここからは本来のルートなのだろう、赤テープが散見されるようになる。途中、10m程度の滝も出てくるが、トラロープが付けられている。830m付近まで
下れば、整地すれば幕営可能な場所が得られる。さらに650mまで下り、広河原になった所で行動終了とした、部名垂沢には魚影無いが、RURUさんが
採ってくれた山菜とキノコでお腹一杯になる。
部名垂沢10m滝
7mトイ状
650m付近広河原で行動終了


三日目
5:50 出発→7:25林道末端着→8:51夏瀬温泉着
9:03夏瀬温泉発→10:28大曲IC→14:22白河IC→15:05宇都宮IC→15:48石橋駅
今日は基点に戻るだけ。地形図では340mで出合う左岸枝沢から左岸に林道が書かれてあるが、左岸は林道では無く踏跡がある。(赤テープあり)
暫く下ると、60歳くらいの単独登山者とすれ違う。日帰りで朝日岳を往復するとの事。

左岸の踏跡や沢床を赤テープに沿って行くと、今まで堰堤はすべて左岸巻きだったのだが右岸巻きになる所があり、ここから林道が伸びる。
ひたすら平凡な様相です
340m左岸枝沢が入ると踏跡が。。。(カーソルあてて)
右岸に渡ると林道に出ました

車はここまでは入れず、ここより400m位進んだところまでとなる。林道がT字でぶつかった所に夏瀬温泉まで3.9kmの道標が立っていた。地形図では
車道が途切れているが、ここから堀内沢までは林道が補修されており、車での通行が可能となっていたが、夏瀬温泉までは車では行けない。
陽射しのせいで、より一層コバルトブルー色を増した玉川を夏瀬橋から見て基点に戻った。
夏瀬温泉まで3.9kmの道標
部名垂沢横断
ダム湖もコバルトブルー

P.S:マンダノ沢は、キノコ、山菜、イワナをを楽しみながら歩く沢と言ってよいでしょう。地形図にある朝日岳への登山道は完全消失。稜線は灌木交じりの密藪なので、
   朝日岳山頂に直接出るルートを取った方が良いです。沢慣れしたパーティなら部名垂沢下降の場合は1泊2日で遡行可能ですが、その場合、蛇体淵で幕営するよりも
   上天狗沢/下天狗沢出合まで進んでおくと翌日が多少楽になります。幕営適地は至る所にあり、蛇体淵〜上天狗沢/下天狗沢出合区間にもいくつか散見されます。
   ザイルは30m1本で足ります。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)




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