2013年7月6,7日 小出俣川 右俣本谷(大穴沢本谷)

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×50m、カム 靴:アクアステルス
地形図:水上
遡行図、概念図はこちら

谷川岳の南方に位置する小出俣川と言えばマチホド沢を筆頭に左俣の沢に人気が偏り、一方の右俣はWEBでは一切記録を見ない。記録と言えば"登山大系"に大まかな
遡行図と記録が残るのみ。登山大系の遡行図も左俣については詳しく書かれてあるが、一方、右俣の遡行図はやる気(書く気)が失せてしまっているようだ(笑)
ただ、前回マチホド沢を下降した時、右俣を見たが、割と水量が有ってナメっぽい感じだったので、意外とイケるんじゃないかと思っていた・・・。。。
『何処かの山岳会が遡行しないかなぁー』なんて思うこと早3年・・・、だーれも遡行してくれないので、今回、調査遡行してみる。
この記録を見て右俣に行く人!!!、ちゃんと ”『その空の下で。。。』を見て・・・” って書いてね(笑)

アプローチ(フィット)
19:55小金井発→20:30栃木IC→21:40月夜野IC→21:53矢瀬親水公園、5:20同発→5:57川古温泉着
6:30基点発→7:13千曲平橋(入渓)→7:45右俣出合(竿出し)→10:55ゴルジュ入口12m滝下→12:50ゴルジュ終了(竿出し)
→15:07 1160m(3:2)二俣→15:40 1210m(1:1)二俣(幕営)

小出俣川遡行の基点、川古温泉を目指す。小出俣川に掛かる橋を渡ると10台程の駐車スペースがある。トイレ無し、Softbank携帯は使える。
小出俣川右岸林道の入り口はゲートがあるが、林道の状態は良く、自転車、軽量小型バイクであれば走行可能だ。この林道を千曲平橋(ちくまたいらばし)
まで歩くが、ヒルが多いので注意。林道終点まで歩いても良いのだが、この橋から左俣を下降して右俣に入る。右俣に入るとほぼ伏流で、拍子抜け。
基点の川古温泉駐車スペース
千曲平橋から入渓
想像以上にショボイ左俣/右俣出合

右俣に入ると水はすぐに流れるが少なめ。805mで出合う左岸枝沢の方が水量が多いくらいだ。ただ、この先、水量は顕著になってくる。 また右岸には
林道通っているが、5m滝や10m滝が現れるので、下から入渓して正解だった。10m滝は直登不可能で右岸側から小さく巻いて滝上に出る。。。
魚影は見ないが、ここから竿を出していく。
5m滝
10m滝(カーソルあてて)
竿だし遡行(カーソルあてて)

さすがに林道横・・・当たりも魚影も無く、ここはいったん竿をしまって進む。この辺りもナメ床が多く、谷川岳周辺の沢の明るさは無いが渓相は良い。
長い滑床を過ぎたあたりでSACHさんが魚影を発見したのでたまらず竿を出しての遡行となるが、10cm程度の小物が1匹かかっただけでリリース。
5m級のナメ滝を快適に超えていくと、前方に顕著な滝が見えてくる。
ナメ床多い(カーソルあてて)
4mナメ滝
奥に顕著な滝が見えてくる

近づいてみると、12m滝。その奥にも滝があるようだが、滝下からではどの程度の滝かは不明。とりあえずザイルを出して、水流右に取り付く。12m滝は
ホールドスタンス十分で快適。V 滝上に出ると奥に控える滝は20mナメ滝だった。とりあえず、12m滝上でピッチを切りSACHさんに上がってきてもらう。

さて、次の20mナメ滝。左岸の壁を3m程上がれば灌木帯に入れるので一応高巻きは可能。ただ、水流右も下部10mを頑張れば、突破出来そうに見える
ので取り付いてみる。傾斜はきつくないが、ツルツルなので、タワシがフル稼働。右壁にカムをセットできるポイントが数か所ある。10m近く上がった所で、
ハーケンを2枚打って、下部10mを突破。W 上部10mは滑りやすいものの、スタンスホールド充分で右の灌木にも手が届くので安心して上がっていける。
20m滝上にはすぐ4mナメがあり、この上でピッチを切っても良いが、セカンドの姿が見えなくなるため、4mナメ下でピッチを切った。
12m滝(カーソルあてて)
20mナメ滝(カーソルあてて)
20mナメ滝を登る(カーソルあてて)

4mナメ滝を上がると、沢はクランク状に屈曲、8m滝が掛かる。ここも4mナメ滝上で灌木帯への脱出ルートは見いだせるので、高巻きも可能だろう。
8m滝下の釜はチョット深いので右壁2m登って8m滝下に移動。釜に沈んだ大木を踏んで水流左に移動。ザレた感じの所を4m弱登りナイフブレードで
支点を取って滝に取り付く。滝に取り付ければ後は容易。W−

滝上の左岸壁はハング壁となっており、左直角に曲がった所に深い釜を持った3m滝。ここは右から経って突破する。深いゴルジュはここで終了。
8m滝(カーソルあてて)
8m滝は水流左から(カーソルあてて)
ハング壁とゴルジュ出口の3m滝(カーソルあてて)

さらに4m、2段6m、2mと3つの滝を超えると急に平凡な様相に変わる。3m曲がり滝を始めとする小滝郡を超えていくと、見事な10mナメ滝。これは直登出
来ず右岸を小さく巻いた。するとSACHさんが、滝上で魚影を発見! 早速竿出しモードに突入。結構型の良いものが1匹釣れた!
2段6m滝と3m曲がり滝(カーソルあてて)
10mナメ滝(カーソルあてて)
まさかここで魚影を見るとは・・・

この先で右岸にテン場となりえそうな台地を見るが相当整地を要するだろう。。この沢は河原状が少ない沢なので、良いテン場を探すのがポイントとなる。
傾斜の緩い10m滝を超えると1160mに位置する(3:2)二俣。ここがこの沢のBESTなテン場と言えそう。ただ、今回は雪渓が鎮座しており、もう少し先に
進んでみることした。
テン場となりえそうな台地(整地要)
傾斜の緩い10m滝
1160m(3:2)二俣(カーソルあてて)

この先は河原状の様相は無い。2条8m滝は小さく左岸を巻いて超える。ここで初めて、残置支点のシュリンゲを見た。おそらく懸垂の支点に使ったの
だろう。相当モノは古そうだった・・・

さらに小滝を超えていくと1210mに位置する(1:1)二俣。地形図を見る限りでは、この先にテン場は期待できそうになく、ここで見つけるしかなさそうだ。
ここも河原状では無く、今一つの感じ・・・。左俣、右俣それぞれちょっと覗いてみるが、やはり良い所は無いので、二俣の草地を整地しテン場を造った。

テン場は有りません
2条8m滝は最上部が嫌らしい
1210m(1:1)二俣(カーソルあてて)


二日目
6:15出発→9:40 1660m付近大ビノ尾根→11:10 1380m付近から右俣右岸枝沢へ下降開始→12:42林道到着→13:45川古温泉着

1210m(1:1)を左俣に入る。右俣にもイイ感じの滝が掛かっているのが見え、こちらを遡行してもプラス1時間くらい見ておけば良いだろう、こちらは後続に
お任せする・・・

左俣を少し進むと3段15m滝。1段目、2段目は水流左、3段目は水流右で突破した。V  この先、小滝が連続。やはりこの辺りにテン場は無かった。
出発です
右俣の滝を遠望
3段15m滝(カーソルあてて)

右岸上部に岩壁を見ると4段21m滝が現れる。4m、4m、3mトイ、10mの複合滝で、ノーザイルで快適に直登可能。この先も小滝が散見。4m滝だけは
登れず左岸を巻くとその先に3段18m滝が見えた。
右岸上部の岩壁
4段21m滝の最下段と最上段(カーソルあてて)
4m滝を左岸から巻くと3段滝が見える(カーソルあてて)


この滝は、”かなり手前から左岸高巻か・・・”と思ったが近づいてみると、2段目までは直登可能で、2段目をクリヤーしたところで左岸草付きに逃げ、
草を掴みながら3段目を高巻く。スリップだけ注意。
3段18m滝
2段目までは登れます(カーソルあてて)
3段目は左岸草付であがる

2〜3m程度の小滝をいくつも越え、8m滝を上がるとナメ床状で詰めていく。実はアプローチ途中、谷川岳南面にはまだ遠方からわかるほど雪渓が
残っていたのだが、小出俣川だとほんの一部雪渓が残る程度。雪が多い今年・・・、6月中旬にもなれば遡行可能か・・・。。。
ナメ床続きます
雪渓もあってもこの程度
8m滝を登る

稜線も見え始め、沢形が無くなる付近で右岸側の大ビノ尾根方向にトラバースを掛ける。途中、沢形に入りこの沢形でさらに詰め上げると明るい様相の
まま藪漕ぎ無しで稜線付近まで上がれた。大ビノ尾根もすぐそこ・・・1660m付近の大ビノ尾根に到着。
藪漕ぎありません(カーソルあてて)
奥は大ビノ尾根
同じところから小出俣山東尾根

下降ルートに使う大ビノ尾根は残念ながら踏跡なし。幅広の尾根で視界も利かないので、左俣や、右俣に吸い込まれない様に磁石を出しながら1400m
付近まで下降する。ここまで下ればあとは自然に右俣に下って行けば、右俣右岸林道末端にでる枝沢に吸い込まれて行く。確か3年前のマチホド沢遡行
でもこの沢を下降に利用。3m、4m級の滝は数か所出てくるが、小さく巻いて降りれ、ザイルは出すことは無かった。
大ビノ尾根の下降
1300m付近で沢型が現れる
右俣右岸枝沢を下降(カーソルあてて)

右俣本流の音が近くに聞こえてくると二俣に別れる。前回は水流のある左に入ったが、今回涸れた右に入ると、右俣の水流から50m強離れた所で、
薄い踏跡らしきものが右岸に伸び、これが林道末端に繋がっていた。

林道を下って行くと千曲平橋を過ぎた所で熊を見る。距離40mカメラを出そうとする間もなく逃げて行った。どうも林道沿いにあるキイチゴを物色していた
様だ。相変わらずヒルも多く、時折チェック。基点手前で激しい夕立になり基点駐車場にもヒルが現れ、着替えもそこそこに、車で脱出。温泉に直行した。
伏流気味になったら右方向に入る
解りにくいですが、林道到着です。
100mも歩けば林道もはっきりします。

P.S小出俣川右俣は左俣の様な大滝や明るさは無いので、地味な印象はぬぐえませんが、直登出来る滝が多く魚影もあり、充分遡行対象になりえる沢でした。
  林道脇の渓相も良いので、千曲平橋からの入渓をお勧めします。谷川と比べ雪も少ないので6月下旬になれば問題なく遡行できるでしょう。テン場は少なく
  1160m(3:2)二俣がBESTですが整地作業を要します。ザイルは30mでもなんとかなりますが、40mあれば安心です。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)




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