2013年7月20、21日 和賀山塊 和賀川 大鷲倉沢

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:大成神、北川舟
遡行図、概念図はこちら

高速道路のETC割引が原則14年3月で打ち切りになるのはご存知だろうか?(14年4月以降の割引制度については現在審議中)、そう考えると今のうちに遠くの沢に
行っておいた方が良いのかも・・・。また、8月に入るとアブの大量発生もあり、今のうちに東北へ・・・と思いがよぎる。。。
ここまで出向くと、さすがに外れの沢はイヤなので、東北と言えばいつも参考にさせていただく、"酔いどれ"さんの『扉のページ』で☆☆☆を付けている秋田/岩手県境を流れる
和賀川大鷲倉沢を遡行してみた。

16:13会社発→16:53片岡駅、17:20矢板IC→21:17錦秋湖SA、4:36同発→5:11大曲IC→5:56真木林道ゲート
6:23真木林道終点ゲート発→7:55甲山分岐→9:10和賀川本流→11:36 624m和賀川本流分岐→11:54小鷲倉沢/大鷲倉沢分岐
→14:35 815m左岸枝沢出合→16:15 945m付近行動終了

和賀川流域へのアプローチだが、岩手県側の高下(こうげ)登山口から和賀岳に向かう登山道に入り、和賀川本流横断点から入るルートと、秋田県側
真木林道で薬師岳登山口に入り、ここから中ノ沢岳と薬師岳への分岐(甲山分岐、標高1,000m)まで登り、そこから北へ50m下った950mのコルより
和賀川へ下るルートが有るらしい。。。
高下登山口ルートはどこまで車が入れるのかの情報が解り難かったので、確実にゲートから2時間半で和賀川に入渓できる薬師岳登山口ルートで
アプローチする事にした。(ページ下概念図参照)

真木林道は概ねフラットダート2WDフィットでも問題なし。薬師登山口ゲートまで車で入れる。(袖川手前500m付近で20m滝前を横切るポイントがあるので、
大雨翌日は要注意)駐車スペースは20台が限界。7月中旬は和賀岳のニッコウキスゲがピークで結構混雑するが、若干手前にもスペースがあるので、
まぁ問題ないでしょう。ゲートには最近できた水洗トイレ付のとてもキレイな非難小屋がある。携帯は真木林道に入ると圏外だ。

ゲートから甘露水口をすぎて甲山をめざす。あまり歩かれてはいない登山道だが明瞭。登山道を300m以上登るのは何年振りだろう。。。
登る前はゲッソリ・・・と思っていたが、実際歩いてみれば、そう苦でもなく1時間半で甲山分岐に到着。
真木林道終点駐車スペース
少し歩くと甘露水口
甲山分岐(1000m)到着

ここから登山道を3分程北上。950m鞍部から笹薮を漕ぐこと1分掛からず沢形が現れる。出てくる滝に大きいものは無く、左岸灌木を掴みながら小さく
巻いて下降可能。1時間くらいで、和賀川本流に到着する。前々日までの大雨で、結構増水していた。
950m鞍部から強引に下降します(カーソルあてて)
沢の下降に問題はありません
和賀川本流に出ました!

早速、ここから竿を出しながら遡行する。増水しているので、流れの緩い所でイワナが掛かるが、痩せイワナ・・・。。。そういえば、虫が全く居ないのは
前々日までの雨が原因か? この先、大小鷲倉沢、和賀川本流との分岐まで滝らしい滝は無かった。本流との水量比は(1:3)。
増水の中竿だし遡行(カーソルあてて)
右岸枝沢の30m滝が見事です
鷲倉沢/和賀川本流(右)分岐

ここを左に入り少し進めば小鷲倉沢/大鷲倉沢の分岐。水量比はほぼ(1:1)。ここで竿をしまって大鷲倉沢に入る。2段5m滝を超えると、V字ゴルジュ風。
小滝を快適に超えていく。3mハング滝はSACHさんにザックを押してもらって乗り越えた。
小鷲倉沢/大鷲倉沢分岐と2段5m滝(カーソルあてて)
大鷲倉沢序盤の様相(カーソルあてて)
3mハング滝

ここから先、沢は平凡な様相に変化。テン場は至る所で散見されるが、関東から来て1泊2日で戻る場合は、さすがにもう少し先に進んだ方が良いだろう。
結構進んだところで、ようやく滝らしい滝の10m滝が現れる。大鷲倉沢に入って魚影は見なかったが、ここまでは魚は上がってこれそう。
平凡な様相と岩潜り(カーソルあてて)
5m滝を始め小滝が多く出てきます(カーソルあてて)
10m滝が見えてくる

10m滝は右から高巻き可能だが、水流右にザイルを出して取り付く。古い残置ハーケンが2個あったが、一個は腐っており、簡単に抜けてしまった。
カムでさらに1か所支点をとり、落ち口から3m下でいったん右に逃げ、安全圏に・・・ここから落ち口上に向かってトラバースして超えた。W
10m滝
水流右から取りつきます
この辺りが難しい(カーソルあてて)

10m滝上は概ね平凡だが、幅広ナメ滝も現れ快適だ。815m出合う左岸枝沢の8m滝を見た先で右岸に割と良いテン場を発見。東北在住の方は、
ここまで進んでおけば、翌日ムリなく下山できるだろう。もちろんコースタイムが解らない我々はさらに進む。すると早くも雪渓が現れた。マンダノ沢
行ってから3週間経つのに、まだこの位置でこれだけの雪渓が残っている事に正直驚いた。
10m滝上の様相(カーソルあてて)
815m左岸枝沢
早くも雪渓が現れる

この先、ゴーロ状を進むと、沢幅が急に狭まり3m、4mの2連瀑。最初の3mは簡単だが、4m滝は深い釜を右から経って落ち口に出た。結構きわどい。
SACHさんは左から小さく巻いて超える。この先3段7mナメを快適に超えると、巨大雪渓ブリッジが目に入る・・・。。。
3m、4mの2連瀑(カーソルあてて)
3段7mナメ
悪いブリッジが出現・・・

その奥で、この沢の核心滝である10mCSが覗いている。雪渓に近づくと、いつ崩れ落ちてもおかしくない不安定な状況・・・。両岸草付きの急斜面で状況は
かなり悪いが、左から幸い雪渓上に上がれた。上から10mCSを見てみると、ブリッジ雪渓の奥にも崩壊した雪渓が横たわり、全く滝に近づけない。
左岸の高巻きは、急な草付き斜面になっており絶望的で、右岸に伸びる沢形に入って大高巻きするしかない様だ。

ちなみに帰宅後WEBの記録を見ると雪渓が無ければ水流直登した記録もあり、また水流すぐ左の草付から小さく巻ける模様。

SACHさんに合図を送り雪渓を上がってきてもらう。右岸沢形へ慎重に移動。細い窪に入って本流沢床から25m強の高さで水平トラバース。ここより低い
位置では大きな凹角に阻まれトラバースを許してくれない。沢床への下降は懸垂なしで降りれる。大高巻と言ってもルートを誤らなければ40分弱で
高巻ける。
核心の10mCS滝
高巻き途中ある凹角
10mCS滝上に出る(カーソルあてて)

高巻いた所には左岸から50mナメ滝が落ちている。今日は水量も多く見事だ。このすぐ先で左岸に増水には耐えられないが幕営可能な平らな地形を
発見。ただ、整地は必要・・・。前方には6m滝が見える。たしか、ここで幕営した記録をWEBで見たが、もう少し先に進んでみる事に。。。
6m滝は水流左に取り付いたが、思いのほか乾いた岩が滑り無理せず右岸から小さく巻いた。
10mCS滝上で出合う左岸枝沢の50mナメ滝
6m滝手前のテン場
6m滝は左から巻いた

すると、この先、ビッチリ雪渓が残っているではないか!!! 雪渓手前にはほぼ整地不要なテン場あり。高度計は940m付近を指している。時間は16時。
”1000m位は登っておきたいなぁー”と雪渓の上を歩いて先を覗いてみるが、思いのほか雪渓が長く伸びていた為、引き返して、6m滝上で行動終了とした。
薪は有るのだが、若干濡れてたり生木が多くビッグファイヤーとはならず、しかも雪渓からの冷気が思いのほか強く。一回着火した焚火であったが、
なかなか体が温まらず、テントの風下に焚火を移動させてようやく暖を取ることが出来た。。。
6m滝上の雪渓
結構雪渓が続いていたので引き返す
冷気漂う940mのテン場


二日目
5:00出発→7:40和賀岳、8:15下山開始→9:07小杉山分岐→9:40-9:53薬師岳→11:20ゲート着
11:43薬師岳登山口発→13:03大曲IC→17:32宇都宮IC→18:20石橋駅→19:00自宅着

関東まで戻ることを考慮し早出。雪渓歩きで始まる。数か所クラックが入っているものの、概ね安定した雪渓。右岸から流れ落ちる枝沢が見事だ。
朝一から雪渓を歩く
断続する雪渓
右岸の枝沢が見事

断続的に表れる雪渓は3m滝手前で終了。この先も草付きの平らな台地はあるが、テン場にするには結構な手間のかかる整地が必要だろう。ここからは
ナメ床が主体。しばらく進むと1085mに位置する顕著な二俣。水量比は(1:1)。広河原状ではあったがテン場適地は無かった。ここは5m滝の掛かる右に
入る。
3m滝でようやく雪渓終了
ナメ床が続きます(カーソルあてて)
1085mの(1:1)二俣

平凡な様相が続き、4m滝を超えると(2:3)二俣。和賀岳直下に伸びる左の沢筋の方が水は少ない。右俣は7mの滝が掛かっている。左に入るとすぐに
水涸れ。それでも沢形はかなり上部まで続き、沢形が無くなってからは腰上までの笹&草を軽く漕いで稜線登山道に出た。ここから1,2分で和賀岳山頂に
到着。時間はまだ8時前。。。計画より3時間近く早く着いてしまった・・・
5m滝上の様相と4m滝(カーソルあてて)
(2:3)二俣 (カーソルあてて)
最後尾の詰めです(カーソルあてて)

和賀岳は360度の展望があり、7月中旬はニッコウキスゲが見ごろとなっている。ここからは明瞭な登山道で基点に戻るだけ。数多くの登山者と
すれ違い下山した。
山頂到着♪ 奥は岩手山
遡行してきた沢を見る
薬師岳へ

P.S:大鷲倉沢は癒し系の"歩く沢"と言った感じ。和賀岳ピークを踏むにはBESTルートでしょう。。今回雪渓に邪魔され核心の10mCS滝のルート確認すらできませんでしたが、
   すべての滝が高巻き可能なので、悪い雪渓さえなければ、初級者パーティでも走行できると思います。テン場は10mCS滝を超えると良い所は少なくなります。
   ザイルは30m1本で充分でしょう。今年は雪が多い年ですが、雪渓を潜る必要がなくなるのはお盆過ぎてになるでしょうか???

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)



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