2013年8月3,4日 焼石連峰 合居大谷右俣

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:三界山
遡行図、概念図はこちら

太平洋高気圧の張り出しが弱く、関東は引き続き不安定な空模様で焼石周辺の地形図を眺めてみると合居大谷(かっきょおおたに)なる沢を発見。WEBでも記録が散見され、
三界山へのルートとなる比較的有名な沢のようだ。遡行を面倒にしているのが、基点と下山口が離れている点。ただ、地形図を見ると下山口に自転車を置いておけば、
ほとんど下りで基点に戻れるので、折り畳み自転車を車に積み込み計画してみた。

17:00片岡駅→17:22矢板IC→21:04前沢SA、4:55同発→5:04水沢IC→5:53横林道入口→6:02焼石岳3合目登山口(チャリデポ)→6:32大正の滝P(基点)
7:33基点発→8:03入渓(竿だし)→8:53合居北沢出合→9:10合居沢出合→11:45 50m大滝下→13:20大滝上→15:50 840m付近行動終了

東北自動車道"水沢IC"からR397で岩手/秋田県境にある大森山トンネルを目指す。このトンネルを超えて少し行くと、焼石岳東成瀬村登山コースに
繋がる焼石林道入り口がある。林道入り口に旗が立っているので間違う事は無い。焼石林道はすべてフラットダート。2WDフィットで問題なく走れ、3合目
駐車スペース(30台強)にチャリをデポ。ここはトイレも無くドコモ携帯さえ繋がらない。

ここから基点となる合居谷の天正の滝駐車場を目指す。国道から合居谷左岸林道は全面舗装でうれしいのだが、ひたすら登りだった・・・天正の滝駐車

は50台程の広々としたところで、トイレはあるがこちらも携帯は圏外。
早速入渓準備をしていると雨が降り出し、一時車中で待機。今日の予報は曇りのち晴れなので、雨が止んで出発する。

天正の滝駐車場から延びる左岸踏み跡を進み、1つ目と思われる堰堤上から入渓。前日も雨だったのか、川の水は若干濁り気味。他の記録では、
5時間ほどの行動時間でテン場に到着するため、最初っから竿を出してみる。合居北沢出合まで3つ堰堤があったが、こんな所でも水が濁っているのか、
意外と簡単にイワナが掛かった。ふと見ると枯れ木にびっしりキノコが!!! 近寄ってみたらツキヨタケ・・・8月初頭で出るんだっけ???
天正の滝駐車場が基点です。
左岸踏跡から沢に降ります(カーソルあてて)
初っ端から竿だしです(カーソルあてて)

合居北沢は、予想以上に貧弱で遡行対象にはならない様だ。ここから河原状で合居沢/合居大谷出合に続く。水量比は(3:1)で合居大谷の方が多い。
合居大谷にはいるとすぐに両岸が切り立ってくるが、そのまま竿を出しながら進む。やっかいな滝は無いものの両岸のガレが目立ち、雨が降ったせいか
落石もパラパラ・・・ちょっとタイミングが悪ければかなり危険な目に遭いそう。
貧弱な合居北沢
合居沢出合と合居大谷入り口の小滝(カーソルあてて)
序盤ゴルジュ。落石注意(カーソルあてて)

暫く進むと、沢床のど真ん中に異質な黒岩。形は直方体ではないが、『2001年宇宙の旅』に出てくるモノリスのような雰囲気を感じるのは自分だけ?
この先3m滝を超えるとゴルジュ風はなくなるが、左岸が大きくガレており、崩壊が進んでいる感じだ。5m滝を左から超え、少し進むと正面に豪瀑が
見えてくる。
モノリス風の異質な黒岩
3m滝でゴルジュは一旦終了(カーソルあてて)
5m滝と正面に見えてくる豪瀑(カーソルあてて)

少し進むと、この豪瀑は左俣出合にかかる滝で、右俣の50m大滝が圧倒的迫力で目に飛び込んできた。水量が多いのか、WEBで見てきた以上の
大迫力!!! しかも右俣に掛かる雪渓ブリッジ良いアクセントを付けている。右俣の大滝はどの記録にもかなり手前から大高巻きしているようで、
おそらく雪渓ブリッジの手前から取りついていると思われるが、せっかくなので、雪渓を潜って大滝に近寄ってみる。
605m二俣と通常の高巻きライン(カーソルあてて)
左岸の高巻はムリ。
折角なので大滝に近づいてみる(カーソルあてて)

WEBに掲載されてた写真をみて、水流左から取りつけないか気になっていたのだが、出だしが急でリスも灌木も無く、ボルト連打しないとやはり無理そう。
ただ、小さく巻けそうな右岸ルンゼを発見。取りつきは支点も取れないが、上部には灌木も見え、小さく巻ける可能性を見出す。さらに少し登って落ち口に
向かって上手くいけばトラバース可能なんじゃないかと思って、ザイルを出し取りついてみる・・・。。。
しかし10m程登ってみると、落ち口へのトラバースはムリな事が解った。とりあえず。「このまままっすぐ登れば何とかなるでしょう・・・」と渋いツッパリを交え
僅かな灌木に支点を取りながら30mいっぱいザイルを伸ばしたW。ここにはテラス状の岩があり、登ってきたルンゼもここでお椀状の草付になる。
ここから落ち口に向かってトラバース出来ないかと思って覗いてみると、ルンゼがこの位置でも深くえぐれており不可能。さらに30mザイルを伸ばして
先ほど登ってきたルンゼとの中間リッジを登って行く。幸いここには灌木が茂っており恐怖感はない。30mいっぱい伸ばすと、ようやくトラバース
可能なポイントに出れた。大滝上には懸垂無しで、沢床に降りれる。ザイルを出してから丁度1時間半・・・。。。通常の高巻きと変わらないじゃん・・・
水流左と取りついたルンゼ(カーソルあてて)
30m上がるが、トラバース出来ず(カーソルあてて)
さらに30m伸ばしトラバース出来た。(カーソルあてて)

大滝上はナメ床。さすがにここから先は魚影は見ない。この先の7m滝は水流右にノーザイルで取りつくが、不安が付きまとい、それを見ていたSACH
さんが、右から巻いてお助け紐を出してくれた。セルフを取りなんとか登れたが、ザイルは出して空身で登ればよかった。。。

ここで、左岸スラブを見、平凡な様相をすすむと、石積み滝上で、右岸にテン場をみる。標高700m程度。ここまで進んでおけば翌日の下山は可能。
もちろん850m付近に絶好のテン場があるとの事なので、ここはパス。
渋かった7m滝(カーソルあてて)
左岸スラブ
この石積み滝上に右岸テン場あり(カーソルあてて)

ここからは850mのテン場までゴルジュ地形が続く。この地形で厄介な滝が出てくると厳しいが幸い快適に超えられる5m弱の小滝が続く。ゴルジュ地形の
まま沢が左直角に曲がった所に左岸から20m滝で出合う枝沢が入る。狭いゴルジュに水を落すが、幸い本流は小滝があるだけで通過に問題なし。
ゴルジュ内快適な小滝が続きます(カーソルあてて)
左に曲がった所にある左岸枝沢の滝(カーソルあてて)
小滝はまだまだ続きます

暫くゴルジュ内の小滝を超えていくと、ちょっと嫌らしい6m滝。空身で右端からザイルをだして取り付くが、足を滑らせ1.5m程落ちる。幸い足首をひねる
ことなく怪我はなし。再度慎重にとりつくが、スタンスホールド共に細かく勇気が要る。なんとかスタンスがすべらず突破。上部は簡単でクリヤーW
SACHさんは荷物を背負った状態ではゴボウでも上がれず。左岸高巻きに入ろうとしたが、これもままならず、荷揚げして空荷+ゴボウで登ってきて
もらった。この先、3m滝は水流左アクアステルスのフリクションを利かして超える。
下部が嫌らしい6m滝(カーソルあてて)
フリクション勝負の3m滝(カーソルあてて)
4mナメは右から

4mナメ状を超えると徐々にゴルジュ地形が弱まり、平凡な様相になった所に多くのパーティが幕営地としている850m付近のテン場が現れる。
時間は16時前。釣りを交えたので狙い通りの時間。。。今日の行動は終了。右岸にほぼ整地済みの場所が2か所あるが、左岸台地の草を刈って
極上のテン場を造成。薪も湿ったものが多かったが充分集められた。
ゴルジュ帯を抜けました。
850m付近テン場全景
左岸を整地しました。


二日目
6:03出発→7:20大崩壊地出口10m滝上→9:15三界山山頂、9:40下山開始→10:28焼石岳登山道→11:45三合目登山口
→(チャリ移動)12:27大正の滝P

2日スタートは見事な4段10mナメからスタート。この先は地形図を見る限りではいくらでもテン場が有りそうだが、なかなか良い所は見つからない。
3m滝、、3mツッパリ滝を超えていくと明るい様相になり、左岸から実に見事な50m滝が入る。
4段10mナメでスタート(カーソルあてて)
3mツッパリ滝
左岸50m大滝(カーソルあてて)

本流はV字ゴルジュに変化。さらに左岸20m滝で入る枝沢を見ると本流は5m滝。快適に超えられるが、見た目は脆そう。この先で、地形図にも書かれて
いる、右岸の大崩壊地が見えてくる。ベースの沢床はナメ状ではあるが、これを覆う落石群というのが良い表現か・・・一部残るナメ滝をそそくさと
クリヤー。
本流5m滝
右岸崩壊地が見えてくる(カーソルあてて)
一部残るナメ小滝(カーソルあてて)

この先、右岸大崩壊地の荒々しさはさらに増していく。沢床は広河原状で、左岸には草付台地もあるのだが、右岸は高い所から崩壊しているため
何処まで石が飛んでくるか解らないので、テン場には使えない。崩壊地出口には10m滝が掛かるが、あまりに脆そうなので右から小さく巻いて上がった。
10m滝落ち口から振り返ると今まで歩いてきたルートが一望でき素晴らしいビューポイントになっている。
荒々しさを増す右岸崩壊(カーソルあてて)
崩壊地のどん詰まりにある10m滝(カーソルあてて)
10m滝上から(クリックして)

10m滝上は今までの荒れ様が嘘のような癒し系のナメ床。小ナメ滝を超え、少し進むとギリギリ二人くらい横になれるテン場があるが、エマージェンシーと
考えた方が良いかも・・・。8m滝を超えると左右の灌木が沢床に迫ってくる。
10m滝上は一変して癒し系
こんな物件ならあります(1030m付近?)
8m滝とその上の様相(カーソルあてて)

この先(3::2)の二俣を左に入り、あとは水量の多い方、沢型が顕著で低い方・・・と素直に詰める。両岸から、笹や灌木が覆うようになって来て水枯れ。
WEBでは本格的な藪漕ぎは15分程度とあったが30分強笹薮を漕いで三界山に到着♪ 獣道すらない山だが、360度の展望が広がり気持ちが良い。
(3:2)二俣を左に入る(カーソルあてて)
笹薮を進む
三界山頂上から焼石岳

下山は、山頂から東に延びる尾根を池塘のある鞍部まで下り、そこから沢形に入って胆沢川に下降するのが定石で、我々もこれに従う。滝等の悪場は
全くなく40分程度で胆沢川に到着。この辺りに幕営した記録もWEBで見たが、パッと見極上のテン場は見られない。ただ、胆沢川はひたすら平凡な沢
なので、至る所で幕営適地は見つかるだろう。胆沢川を50m位下ると、左岸に赤テープを見つけたので、ここから沢を離れて登山道に上がった。
東尾根を下り鞍部の池塘へ(カーソルあてて)
胆沢川に出ました(カーソルあてて)
登山道から三界山

登山道を1時間15分下って3合目登山口に到着。なんと駐車スペースは満車。デポした自転車にまたがり、天正の滝を目指す。国道に出ると怖いくらいの
スピードがでるが、合居沢左岸林道の登りは6段変速のチャリでも結構きつかった。それでも45分程で天正の滝駐車場にもどる。SACHさんはこの間、
3合目からノンビリ歩き、国道で合流、着替えを済ませ、帰路に付く。
3合目登山口到着
国道に出ました!
怖いくらいにスピードが出ます!

P.S:合居大谷は空荷じゃないと登れない滝も出てきますが、沢慣れした人が一人いれば遡行可能でしょう。両岸のガレが多いV字谷が続くので、
   一番のリスクは落石。テン場は700m付近、850m付近、1030m付近(狭い)に見つかりますが、他は良い所はありません。車2台での少数精鋭
   パーティなら日帰りも可能。ザイルは通常遡行であれば30m1本で足ります。靴はラバーソールがイイです・・・

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)



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