2013年8月24,25日 神室連峰 根ノ崎沢本谷(根ノ先沢本谷)

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:神室山、鬼首峠
遡行図、概念図はこちら

秋雨前線の南下で関東甲信越では不安定な空模様の中、まだ踏み入れたことの無い、山形-秋田-宮城県境に位置する神室連峰を選択。この山域の沢は序盤平で、
後半に滝が集中しているのが特徴な様だ。今回は神室山南面に位置する根ノ崎沢(登山大系では根ノ先沢)を選択。12時間行動による日帰り記録もWEBで散見されるが、
関東からのアプローチなので、1泊2日で計画してみた。


16:35会社発→17:38矢板IC→20:15鶴巣PA、5:20同発→5:45古川IC→7:11根ノ崎登山口着
8:15基点発(竿出し)→9:18丈ノ沢出合→11:55左俣/右俣出合→13:45 616m二俣(竿出し終了)→16:10 17m滝上(860m二俣)行動終了

東北道からR47に乗り白川渓谷公園を目指す。白川右岸林道は、民家を過ぎるとすぐにフラットダート。白川渓谷公園から先は携帯も繋がらなくなる。
この先大又沢右岸林道もフラットダート車は水溜りで汚れるがフィットでも問題なく入れる。地形図には根ノ崎口からの登山道は記されていないが、
近年新設されたようで、根ノ崎登山口夏路沢橋先まで車が入れる。(昭文社の地図参照の事) 駐車スペースは3台程だが、マイナーな登山口なので、
そう困ることは無いと思う。

若干雨が残っているので、時間を置いて出発する。序盤は平凡で後半は連瀑帯とのことなので、初っ端から竿を出しながら遡行する。
しかしながら、林道が近いせいか、魚影は全く見ず、各所・各所のポイントに仕掛けを入れても全くアタリ無し・・・ 通常10分程度で着くだろう
丈ノ沢出合まで1時間かけて釣果無し。。。
根ノ崎口駐車スペースと夏路沢橋
初端から竿だし遡行(カーソルあてて)
461m丈ノ沢出合

この先も竿を出しながら暫く平凡な様相を進むと左直角に曲がった所に淵が現れる。泳げば何てことない淵だが、左壁3mの高さのバンドを進み超えた。
この先でイワナ1匹をようやく釣ったが、あまりに小さいのでリリース。時間も結構経過していたので、魚影を見るまで竿をしまう。
テン場適地を何度も見ながら、進んで行くと左俣/右俣の515m(1:1)二俣。竿を出さなければ入渓して1時間15分くらいの所に3時間半かけて釣果ゼロ。
諦めかけたこの先で、急に大物イワナが走るのが見えた。ダメ元で再び竿を出し、慎重に足を運びながら進むとかなり大型のイワナが掛かった! 
鼻息荒く進んで行くとこの先1m強の小滝を超えたら、またピタリと魚影が居なくなる・・・先日の大雨の影響だろうか???
先ほどの二俣からおよそ100mの区間で勝負するしかない様だ。ここで、ちょっとした、ミニゴルジュ。。。もう1匹釣りたくSACHさんに「ちょっと戻ってみる?
とも言ったが、さすがに12時過ぎ・・・諦めて竿をしまう。
左直直角に曲がった所にある淵(カーソルあてて)
左俣/右俣出合
やっと1匹GETです!

ゴルジュ内は2つの小滝。手前の小滝は釜を腰までつかって左から、奥の4m滝は左から簡単に突破できる。この先の6m滝は水流右を直登。すると
倒木のかかる2段7m滝。両岸とも高巻きは少々面倒なので倒木に乗っかってみると意外と滑らないので、そのまま直上した、SACHさんは「絶対ムリ!」
との事らしく、左岸高巻き。。。相当高巻になるのでは?と思ったが、落ち口ジャストに降りて来た。
この先しばらく進んで陽の当たる所で休憩を取っていたらちょうどここが616m二俣だった。明るい右俣に比べ本流の左俣は暗い灌木の中を3m滝で
落としており、枝沢かと思うほどだ。根ノ崎沢の核心部はここから始まる。
ミニゴルジュ内の二つの滝(カーソルあてて)
倒木のかかる2段7m滝(カーソルあてて)
616m二俣(カーソルあてて)

3m滝を登ると狭いゴルジュになり、すぐに7m滝。ザイルを出し水流左を直登1箇所曲がった古い残置ハーケン有りV。ここで、岩壁を回り込むと10m滝
行く手をはばむ。水流左でルートを探るが、直登はムリと判断。幸い釜を経った奥に泥ルンゼが伸びており、そこを詰めるが悪く、2mルンゼを上がって、
左壁に取り付き細尾根に上がって高巻いた。10m滝上には5m滝が控えており、この滝も難儀しそうだったのでこれも一緒に高巻く。
616m左俣。この滝から核心部が始まる
7m滝(カーソルあてて)
登れない10m滝(カーソルあてて)

2mトヨ状を超え、5m前後の小滝を快適に超えていくと、深くて狭い草付きV字谷となる。幸い沢床は平凡だが、崩壊した雪渓が現れる。完全に落ち
切っていたので良かったが、高巻きが困難なため、状態が悪いと"敗退"の2文字がよぎるかも知れない。
10m滝上の様相(カーソルあてて)
5m前後の滝を超えていきます(カーソルあてて)
V字ゴルジュ先に崩壊した雪渓が(カーソルあてて)

崩壊した雪渓ノ先には3m、5mの連瀑。これを快適に超えると9m滝が現れる。幸いこれも水流右から簡単に直登できた。この先も草付V字ゴルジュは
終わることは無く、またもや崩壊した雪渓は現れる、先ほどより悪くしかも一部ブリッジとなっていた。24時間以内に崩れんじゃないか!という感じだが、
上を歩くのは難しく、手を合わせて走り抜けた。この先も崩壊した雪渓が100mほど続いていたが、無事突破できた。
3m、5mの連瀑
9m滝(カーソルあてて)
崩壊した雪渓が続く(カーソルあてて)

この先、3m程度の小滝を超えると荒れた様相、つい先日まで、ここにも雪渓が残っていたことを思わせる。すると右岸からゴーロ状の枝沢が入る。
深いV字谷が続く中で唯一のエスケープルートになりそうだ。地形図を見ると、780〜790m付近。この辺りがテン場になると期待していたのだが、
落石の危険は避けられずリスクが高い。先に進む事にする。。。 5m程度の小滝を2,3超えていくと、根ノ崎沢最大の17m滝が現れる。登山大系を
始め多くの記録に30mと記されているものだ。
ゴーロ状の右岸枝沢(カーソルあてて)
本流はV字谷の中に小滝を掛ける(カーソルあてて)
17m滝

ザイルを出して、左から取り付く。カムで支点を取り、水流に沿って斜上。残置ハーケンに支点をを取った後、上部は、水流右からと真ん中直上の2ルート
が考えられるが、真ん中直上を選択し滝上に出た。V+
17m滝登攀(カーソルあてて)
上部は中央から
SACHさんフォロー

滝上に出ると、V字谷の深さが浅くなる。滝上すぐの右岸に草付き台地を発見。この先二俣になっており、草付きのV字谷形状は変わらない様だ。
時間も16時過ぎ。ここで行動終了とし、草付き台地を整地。二人でピッタリくらいのスペースを確保できた。薪も集まり焚火も着火。2回の夕立に
"コンロのガス、少ないんだよね・・・"という不安もあったが、なんとか焚火で賄う事が出来た。
17m滝上の二俣
17m滝のすぐ上右岸を1分程整地
いい所見つかってよかったです♪


二日目
5:50出発→7:40 915m付近幕営可能地→9:45稜線登山道→10:00神室山、10:06下山開始→12:05根ノ崎登山口着

夜中、パラパラ雨が降っていたものの、起きてからは曇天で、焚火も着火。

朝一、二俣の右に掛かる6m滝の直登で始まる。見た目悪いが水流左から登れた。SACHさんにはザイルをだす。6m滝上の小滝を超えるとすぐに悪い
8m滝。クライマーなら登れるかもしれないが俺はムリ。取り付きもしなかった。右岸は急な草付き斜面で高巻きは左岸だろう。左岸側にルンゼが伸びて
おり、ここを登って行くが、思いのほか上に巻き上げられそうなので、一旦降り、ルンゼと滝の間の壁に取り付く。5m上がった所の段差を上がる箇所が
ポイント。リスがあるので、ハーケン+シュリンゲに足かけで上がれば何とかなると思う。ここは気合いでフリーで突破してしまった・・・W
フェルトだとかなり難しいだろう。 さらにスリップに注意しながら3m上がって細い灌木に手が届く。ここでピッチを切りSACHさんに上がってきてもらった。
2ピッチ目はトラバースに入るが、ここもザイル使った方が良い。8m滝上にはもう一つ8m滝があり、これも一緒に巻いた。ザイルは30mで届く。
初っ端の二俣6m滝(カーソルあてて)
難儀する8m滝(カーソルあてて)
すぐ上の8m滝も一緒に巻く(カーソルあてて)

巻き終えた所には7m滝。左岸からは細い枝沢が入っている。ここは水流左、笹を掴みながら登れる。ここで、雨が降り出してきた・・・。4mトイ状を
超えると、また8m滝。これは幸い快適にクリヤー。するとこの先左岸に幕営適地を発見。我々が止まった所よりも若干広く、2か所あるので、4,5人は
泊まれそう。序盤の竿出し時間を短縮すれば、初日にここまで来ることは充分可能だろう。
高巻き直後の7m滝(カーソルあてて)
これは簡単だった8m滝(カーソルあてて)
8m滝上左岸にテン場発見!

雨は強くなるが、前方に連瀑帯が見えゲンナリ・・・。嫌らしい感じの5m滝ではちょっと強引に行ったら岩が欠けて1m落下する始末・・・。。。
気を取り直して水流左から超えると、(2:1)二俣。地形図ではこの辺りは沢形が顕著では無く、現在位置と照らし合わせるのが難しい。右に入れば
登山道が近いのは解るが、左の方が水量が多いのよねぇー・・・。。。頼る遡行図も無く、やっぱり水流が多い方が普通本流だよねぇ・・・。。。  
SACHさんもまだ元気だし、視界も利くので敗退は考えず水量の多い左に入る。

まだ、こんなにあるの・・・?!
微妙に嫌らしい5m滝(カーソルあてて)
(2:1)二俣。普通左に入るよねぇ・・・

幸い二俣左の最初の幅広滝は快適。ここで雨が小降りになってきた。ここからの連瀑はそんなに悪くなかったので助かった!。連瀑最後の2段10mを
快適に直登し、先ほどゲンナリ見ていた連瀑帯を終了する(^^)v。 振り返ると町は晴れているのに、山はガスがまだ取れない・・・
二俣左の最初の幅広滝
5m滝も直登!(カーソルあてて)
2段10m滝は快適!(カーソルあてて)

するとこの先(1:1)二俣。明るい様相の左に入ったが、こちらが本流筋で正解だったようだ。源頭部の様相になってくるが、5m弱の滝はまだ続く。
とどめの2段10m滝を超えると両岸から草が覆うようになってくる。草なので割と進みやすい。沢型が完全に消えて10分弱の草薮漕ぎで稜線登山道に
出た。
(1:1)二俣
源頭部の様相(カーソルあてて)
2段10m滝と最後の詰め(カーソルあてて)

視界も利かないので、このまま下ろうかと考えたが、空荷で20秒程登ったら、神室山山頂直下の分岐だった。。。ほぼ忠実に本谷を詰めた様だ。
神室山山頂に到着すると、こんな天気にもかかわらず秋田県側から単独登山者が登ってきた。彼も「雨降るとは思ってなかった・・・」との事。

何も見えない山頂から、そそくさ下山開始。地形図には記載の無い根ノ崎口への登山道は超明瞭。ただ水場は一切ないので注意。山頂から2時間で
基点に戻った。
登山道に出て20秒で分岐。
歩きやすい登山道。
基点到着です♪

P.S:根ノ崎沢序盤の癒し系が嘘のようにV字ゴルジュ、嫌らしい小滝の登攀と様相を一変させる面白い沢でした。現地の方でしたら日帰りも可能ですが、
   沢慣れした人のみの少数パーティの場合です。初級者が多いと、ザイルを出す箇所が多いため日帰り遡行は辞めた方が良いでしょう。
   V字谷に雪渓が残ることが多く、高巻きが難しいため、遡行時期に注意(2013年は雪渓が多い年です)。テン場は616m二俣以降は記録に書いた2か所のみ。
   ザイルは30mで足りましたがV字谷で高巻きが入ると50mが必要な状況が出てくるかもしれません。フェルトソールだとチョット苦労するかも・・・

根ノ崎沢遡行図(クリックして)
根ノ崎沢概念図(クリックして)




inserted by FC2 system