2013年9月20-22日 中ノ岐川 二岐沢本流 平ヶ岳先ノ沢

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:奥只見湖、平ヶ岳
遡行図、概念図はこちら

新潟県、銀山湖の雨池橋から入る沢に行った事がある人なら、中ノ岐川林道を20分程歩いたところで右岸から顕著なナメで出合う二岐沢の存在が気になったはずだ。
恋ノ岐川と並行に流れる長大な沢で、あの深田久弥が平ヶ岳を登った時、この二岐沢から入ったらしい。現在、完全廃道化された二岐沢林道を利用し、ジョウ沢出合いから
入渓すると沢中1泊で抜けれるらしい。車2台でのアプローチが可能であれば、下降ルートを鷹ノ巣登山口や恋ノ岐川に求めることも可能だが、今回は車1台でのアプローチ・・・。
3時間の中ノ岐川林道の歩きを覚悟する。竿をを出しながら出合いからの完全遡行であれば、2泊3日でちょうどいいと考え、実行に移した。


17:55片岡駅→20:20桧枝岐→20:36御池P→20:56鷹ノ巣登山口(仮眠)、5:17同発→5:45雨池橋
6:10雨池橋発→6:40二岐沢出合→8:05林道横断点(1回目)→9:20大沢出合→10:30黒沢出合→13:35ジョウ沢出合(行動終了)

JR片岡駅から塩原経由で桧枝岐へ。ここから先はSoftbank携帯は一切繋がらない。御池の駐車場は有料なので、鷹ノ巣登山口で仮眠。
綺麗なバイオトイレがあった。
翌朝、雨池橋まで車を進める。橋の両側に駐車スペースがあるが、かつて、うるさい(漁協?)オジサンが銀山平側に常駐していて、ブツブツ言ってくる
ので、鷹ノ巣側の駐車スペースに車を停める。

林道を歩いていると、軽に載ったオジサンが通りかかり、親切にも「どこまで行くんだ?乗せてってやるぞ!」との温かいお言葉・・・ただ、入渓点はすぐそこ
なので、丁重にお断り。。。実はこのおじさんには二日後、大変お世話になる事になる。。。

中ノ岐林道を歩く事30分で二岐沢出合に到着。中ノ岐川の大滑床は快適に横断可能。そのまま二岐沢入口の大滑に入る。
雨池橋脇の駐車スペース(カーソルあてて)
中ノ岐川
二岐沢出合(カーソルあてて)

この幅広ナメは100m位で終了。すぐにゴルジュっぽい様相になる。いきなり足の付かない淵が現れ、全身ずぶ濡れになる。岩盤が発達した荒々しい様相
を進んでいくと、悪い2段8m滝が行く手を塞ぎ、右岸を40m程登って高巻いた。2段8m滝上の4m幅広ナメ上に出てようやく落ち着いた形相になる。
いきなりずぶ濡れになる(カーソルあてて)
2段8m滝は右岸巻き(カーソルあてて)
ようやく落ち着いた様相に(カーソルあてて)

概ね平凡な様相を進み、右岸から入るヒノマタ沢を見しばらく進むと二岐沢林道の橋がかかる。上がってみると昭和48年10月に完成した様だ。既に林道
は草ボウボウ。沢床に降り、遡行を続ける。途中真新しいクマの足跡を発見! この辺りはクマは出るものと思った方が良い。ホイッスルは必需品だ。
ヒノマタ沢までの様相(カーソルあてて)
最初の林道横断点(カーソルあてて)
林道横断点を過ぎて

下タモギヤチ沢を過ぎ、1m幅広ナメの釜で竿を出してみるが、今まで魚影を見なかっただけに、やはりアタリが無い。地形図や他の記録では林道は
この辺りまで伸びているようだが、その先でも橋を見たため、ジョウ沢出合付近まで車が入った時もあったのかもしれない・・・?

この辺りから廊下状の様相が続く。竿を片手にヘツリながら進むが、途中の悪渓で竿をしまう。この辺りで出てくる滝は3m程度の物ばかりで、
通過には問題ない。大沢出合で焚火休憩。この先林道が右岸から左岸に移動。橋は基礎だけがコンクリで橋げたは丸太になっていた。
下タモギヤチ沢出合(カーソルあてて)
廊下状を進む(カーソルあてて)
大沢出合と、2回目の林道横断点(カーソルあてて)

黒沢出合を過ぎ、廊下状に入ると途中で左岸からドカンが散乱した兎沢が入る。ここの廊下状を過ぎるとナメ床が続く癒し系。この先3つ目の橋を潜った
先で、6m滝。地形図に滝記号が書いてるものがこの滝の様だ。この滝は直登出来ず右岸を小さく巻いた。
黒沢出合(カーソルあてて)
兎沢が入る廊下帯とナメ(カーソルあてて)
地形図に記載されてる6m滝

この先魚影を見たので、三度竿を出すが、アタリ無し。このまま竿を出しながら進むとジョウ沢出合に到着する。時間は13時半過ぎ。魚が釣れないので
予定より早く到着。この出合にも右岸に平らな土地があるが、100m程戻った河原で今日の行動を終了する。
先週のみかぐら沢は蚊が多かったが、銀山湖を隔てたこちらは全く蚊が居ないのだから不思議だ。
最後(4回目)の林道横断点
ジョウ沢出合と右岸テン場(カーソルあてて)
100m程戻った所で幕営


二日目
6:45出発→7:25巻ー沢出合→10:55 1400m付近幕営可能地→11:30 1427m(2:1)二俣→12:40 1539m(1:1)二俣 行動終了

ジョウ沢出合からは廊下状の様相。釜を持つ5m滝は右岸から高巻く。廊下状はこの先も続3段8m滝は最上段の3m部を右岸壁をスイッチバックする
感じで小さく巻く。ここにナイフブレードが打ち込まれていたが使用せず登れたので回収。すると左岸から明るく顕著な巻ー沢が入る。二岐沢の支流で
唯一遡行対象となる沢かもしれない・・・? 
5m滝
3段8m滝(カーソルあてて)
巻ー沢出合

ここから先、本流は平ヶ岳先ノ沢と名前を変え大廊下帯に突入。幸い出てくる滝は3m程度で上手くヘツったりすれば腰を濡らすこと無く進めた。
しばらく行くと7m滝が出てくるが、30m手前のルンゼから右岸高巻きで簡単にクリヤー可能だ。
大廊下帯に入って2段3m、2段4m(カーソルあてて)
廊下帯は難しくは無い(カーソルあてて)
右岸を小さく巻いた7m滝(カーソルあてて)

大廊下帯はまだまだ序盤。1155mで入る左岸枝沢を過ぎると2段8m、さらに右に直角に曲がってまた2段8m滝が続く。この先小滝を超えていくと大滝が
見えてくる。
2段8m滝の2連瀑(カーソルあてて)
小滝を突破していきます(カーソルあてて)
何やら大滝が・・・

近づいてみると6段50m大滝。幸い傾斜は緩く、割と自由なラインでノーザイルで上がって行ける。大滝上の4m滝を超えると1220mで右岸枝沢が入る。
残念ながらこの辺りにはテン場は無い。本流はV字谷で伸びている。
6段50m大滝(カーソルあてて)
1220m右岸枝沢(カーソルあてて)
本流はV字谷で伸びている

V字谷を進むと左から5m滝を落とすが左壁がバンド状で伸びており楽に抜けれた。この先沢幅は狭くなるが雰囲気は良い。1270mで左岸枝沢が入ると
本流は2段9mCSが掛かる。水流右にイイ感じにバンドが伸びており、難なく超えられるので助かった。
5m滝は左壁で楽に上がれる
最狭部
1270m左岸枝沢と本流2段9mCS(カーソルあてて)

滝上に出ると、4段60m大滝が現れる。1段目は右の水流沿い、2段目は水流通しで、3段目は左壁にルンゼが入って居てここからも登れそうだが、
水流右から上がり、水流を飛び越えて4段目を水流左を直登して滝上に出た。V−
4段60m大滝
1段目、2段目(カーソルあてて)
3段目4段目ルート(カーソルあてて)

4段60m大滝上の4m倒木滝を超えると厄介な6mトイ状。これは登れず右岸から高巻いたがすぐ上に控える8m滝も登れそうになく一緒に高巻いた。
沢は右直角に曲がり廊下は続く。ここからは両足ツッパリが出来るほど狭いが、体を濡らすことなく進んでいける。

両岸の切り立ちが和らぎ、小滝を超えていくと1400m付近で増水には耐えられないが、整地すれば3人ほど横になれるスペースが見つかる。ジョウ沢出合
から4時間。ここまでテン場はないと思った方が良い。ここまで来ておけば翌日 雨池橋まで戻れるだろう。
右岸を高巻いた6mトイ状
泳がず突破できます(カーソルあてて)
大廊下帯が一旦終了1400mテン場へ(カーソルあてて)

ここを過ぎるとまたすぐに廊下状になる。一瞬沢幅が大きく開け、真ん中に大岩が鎮座した場所が現れるが、ここは水が岩の両側に流れテン場は無い。
さらに廊下状を進んでいくと胸まで浸からないと突破できない淵が現れる。右壁にルートを見出して微妙なバランスで抜けたが、SACHさんは諦めて
正攻法で突破する。この先で地形図に1427と書かれた(2:1)二俣。残念ながらここにはテン場は無い。
また廊下帯に突入(カーソルあてて)
胸まで浸りそうな淵をなんとかへつる(カーソルあてて)
1427m(2:1)二俣と左岸枝沢(カーソルあてて)

左の本流に入ると10m斜瀑。左の乾いた岩を快適に上がれる。ここからは滝が3m程度の小滝を超えていくと1465m付近でこれまた増水には耐えられ
ないが2人まで横になれる場所を見つける。薪も少なく、まぁエマージェンシーな感じか・・・
10m斜滝
小滝はいくらでも出てきます。
1465m付近幕営可能?

ここからは"平凡な様相+小滝" という状況。6m滝を左から超え、再び廊下状になった先の4m石積滝を超えると地形図に1539と書かれた(1:1)二俣
到着した。ここの手前が広河原状になっており薪が豊富に転がってる。時間は13時前。明日の長い林道歩きを考えるともう少し、先に進んでおきたいが、
左の本流はすぐに沢幅が狭くなり5分ほど進んでみるも状況は悪そう。夕方には稜線に到着できる自信もあり、平ヶ岳沢源頭に幕営も計画していたの
だが、事前調査で、平ヶ岳沢源頭部に良いテン場と薪は無さそうな雰囲気だったので、ここは潔く1539m (1:1)二俣で行動終了とした。整地された場所は
無かったが、10分の整地と、周辺の草を敷き極上のテン場を造成。ジョウ沢出合から先ではここがBESTなテン場であった。
小滝は随所に・・・(カーソルあてて)
6m滝は左から
1539m1対1二俣(カーソルあてて)


三日目
6:35出発→9:10姫ノ池→(平ヶ岳経由)→10:25たまご岩→11:30中ノ岐林道、12:25マイクロバス乗車→13:03雨池橋

1539m (1:1)二俣を本流左に入るとナメ&ナメ小滝の癒し系の様相が続く・・。やはりテン場はなくナメが終了して荒れた感じの広河原1620m付近右岸の
草付台地を整地してようやくテン場が得られると言った感じだ。ここから先、石灰質の岩があるのか水が白く濁ってくる。ここまで来ると源頭の雰囲気が
でてくる。
ナメ床でスタート(カーソルあてて)
荒れた感じの広河原(カーソルあてて)
水が白濁

この先、左岸、右岸と連続して枝沢を見ると両岸の草も迫ってくる。1680m(2:3)二俣を水流の多い右に進路をとり1760m右岸枝沢を見、高度計が指す
1870m付近で右岸から沢型が入った所で、右岸沢型に入る。この沢型は上部まで伸び、僅かな草付を登ると尾根に出れた。意外と姫ノ池も近いのかと
思ったのだが、他の記録の通り、ここから松とシャクナゲ交じりの藪漕ぎを強いられることになる。ここは1760mの右岸枝沢を入った方が藪漕ぎが
少なかったかもしれない??? 本流通しに進むともっと藪漕ぎ時間が長かったはず。。。
右岸枝沢と3段7m滝(カーソルあてて)
1680m(2:3)二俣を右に入る
上手く詰めあげたと思ったのだが・・・(カーソルあてて)

結局40分の藪漕ぎで姫ノ池に到着すると対岸の登山道には多くの登山客がいて少々恥ずかしい・・・
登山道に出ると、なんと、初日に林道で会ったオジサンが居るではないか!、向こうも我々に気づきご挨拶。今日は客さんを二人連れて、ここまで
上がってきたようだ。すると、「12時半までに林道に降りてくれれば、雨池橋まで乗っけてあげるよ!」との温かいお言葉。。。

オジサン達はこれから”たまご岩”を見て下山するとの事。時間は9時20分。SACHさんはまだ平ヶ岳に登った事が無いというので、急いで平ヶ岳を往復し、
たまご岩へ。12時半とか言ったって、早く下山してしまえばそのまま軽自動車で下山してしまうに違いない・・・と思い、怒涛のごとく下山するとオジサン達に
追いついた。途中ヒカリゴケが有る場所を案内してくれ林道に到着。このおじさん、軽自動車で帰るのかと思いきや、銀山平にある”伝ノ助小屋
ご主人だった。マイクロバスを引っ張り出してきて、お客さんの全員下山を確認後バスが出発した。歩けば3時間の林道をバスで帰れ、本当に
ありがたかった。
姫ノ池に到着
大震災後もたまご岩は健在!
中ノ岐川林道到着!

P.S:二岐沢は雪渓の処理が無ければ特に難しい所はありませんが、恋ノ岐川よりは難易度は1ランク上でしょう。渓相も恋ノ岐川より全然いいです。
   新潟豪雨の影響か、魚影が少ないのが残念。ジョウ沢出合から二俣までは廊下状で良いテン場がないので、二岐沢林道利用 or 少数精鋭で、
  1泊で抜けるか、のんびり2泊で抜けるかをどう計画するかがポイントとなるでしょう。ザイルは雪渓が無ければ、30m1本で充分です。
  靴はラバーソールがお勧め。

二岐沢遡行図
概念図



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