2009年10月11日 中央アルプス 太田切川 中御所谷

メンバー:やますきーおさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、8mm×50m、カム(No0.5)2個、靴:フェルト
遡行図はこちら

中央アルプスで一番有名な中御所谷。駒ヶ岳ロープウェイから見える滝の多い沢だ。。。この山域は栃木からは遠く、
縁遠いのだが、北関東自動車道が太田桐生まで伸びてくれた事もあり、自宅から4時間半でアプローチできる様になった。
高速道路1000円もあり、今回実現する事となった。せっかくここまで足を伸ばすので、二日目は同じ”しらび平”が基点となる
西横川→東横川下降の2day企画で実行する。

アプローチ:CR-X
17:10自宅発→(R4、R50)19:02太田桐生IC→21:42駒ヶ根IC
7:08菅の台バス停発→7:51しらび平発→8:15日暮ノ滝(入渓点)→12:35(2:3)二俣→13:50千畳敷

基点となる、しらび平へはマイカー規制で、”菅の台バス亭”で車を停めることになるが(400円/day)、前夜、車の
出入りで、ゆっくり眠れないと思い、駒ヶ根高原スキー場の駐車場で仮眠を取ろうとしたが、駐車場に入れず、
バス停近くのパーキングエリアで仮眠をとる。 始発バスは6:12分であるが、やますきーおさんが5時過ぎに
トイレに行くと「もう行列ができているヨ(゜o゜)」 との事。。。
急いで、準備を整え駐車場に向かうが、我々が付いた時には、すでに100m以上の行列が出来ていた。
3連休という事もあり、臨時バスを5時台から運行してくれたが、バスに乗れたのは7時過ぎだった。。。
なんと、ロープウェイに乗るには、さらにしらび平で2時間待ちとのこと・・・! ご愁傷様です。
テント、寝袋等の宿泊キットを、しらび平のコインロッカーに入れ、入渓点に向かう。
入渓点となる日暮ノ滝までは遊歩道が伸びているのでこれを利用。 
菅の平駐車場
しらび平から遊歩道で入渓点へ
入渓点から日暮ノ滝

入渓点にて、準備をしてギャラリーが大挙する中、日暮ノ滝15mに取りつく。水流右のルンぜから取り付く。
残置ハーケンもあるが、スタンスホールド十分で怖さは感じない程度V+。やますきーおさんにはザイルを出して登って
きてもらう。すぐ上の8m滝も水流右。次の10mCS滝は水流右の草付き凹角にルートを見出すが、凹角内に確実な
スタンス、ホールドが無く、精神的にきつい。灌木帯まであがり落ち口トラバース。フリーで取り付いてしまったのも
原因だが、ここが第1の核心になる。やますきーおさんもヒーヒー言いながら登って来た。
他の記録では手前左岸枝沢を利用して大きく高巻いているのもある。(懸垂要)
日暮ノ滝(カーソルを当てて)
日暮ノ滝上の8m滝
核心となった10mCS(カーソル当てて)

10mCS上は平凡だが、すぐにゴルジュに入る。ゴルジュ内の7m滝、出口の12m滝は特に問題無く突破可能。
沢は開け、青い空を横切るロープウェイが心地よいアクセントとなっている。
少し平凡な様相を進むと5m3条ナメで始まる10m級のナメ滝の連瀑帯となる。どの滝も、うまい具合にスタンス、
ホールドがあり、快適に越えられる。
ひとつ滝を超えては、また現れる10m級滝・・・  エメラルドグリーンの釜・・・ 雲ひとつない青い空を横切るロープウェイ・・・
さらに、さらに、振り返れば塩見岳を中心に広がる南アルプスの主稜線・・・
自分も感動したが、中御所谷の予習をしないで来たやますきーおさんは、あまりの快適さに感極まっているようだ。
5m3条ナメ
10m級連瀑帯。8mナメ(水流右を快適に登れます)
8mナメ上の12mナメ

ナメ滝を堪能し、大岩のある5mナメ滝を超えると、右岸から顕著な沢筋が入る(水量比1:5)。 本流を進むと
3m滝で始まるゴルジュ帯に突入。次の7mCS滝は手が出ず、左岸草付きを落ち口の高さで小さく巻く。
この先で、左岸から20m滝で出合う枝沢が入る。中御所谷のハイライトのひとつと言って良いポイントだ!
大岩のある5mナメ滝
7mCS滝(カーソル当てて)
20m滝で出合う枝沢

この先、5m、7m滝を快適に直登。次の9m滝は左岸を小さく巻いて超えた。沢幅は若干広くなり大岩が転がる中、
快適に進むとまた直登不可能と思われる6mが現れる。これを右岸から小さく巻くがその先の15mトヨ状滝も手が
つけられそうも無いので、このまま右岸を高巻く。極力落ち口の高さで小さく巻く事が遡行を楽しくするポイントとなる。
他の記録を見ると、ここで巻き上げられると、さらに200m以上トラバースを余儀なくされる様だ。
高巻き途中で二人組の先行パーティを発見。
5m、7m滝
9m滝、左岸草付きで小さく巻く
岩が脆そうな6m滝
15mトヨ状(カーソル当てて)

15mトヨ状滝落ち口すぐ上に、うまく出れたが、その先の3段10m滝がまた難しそう。先行パーティは、左岸の2段50m滝を
利用してザイルを出しての高巻き中。一応、3段10m滝を偵察に行くが、やはり、直登はムリ。先行パーティーに
見習って左岸から高巻く。やますきーおさんが、「ザイル要らないんじゃない?」というのでフリーで取り付いたが、
1か所ホールドスタンス共に細かいところがあり、たった1歩であるが、かなり渋かった。ここが第2の核心と言ったところか・・・
中間地点で大岩にシュリンゲを掛け、やますきーおさんにはお助け紐を出す。ここから2段50m滝を横断した所に
テラスがあるが、ここから3mの登りも若干渋め。ここはカムを一発噛ませて、セルフを取って登る。ここまで登れば
3段10m滝落ち口へ向かってのトラバースは草付きバンドが続いており、特に難しいところは無い。(古い残置ロープ有り)
3段10m滝と左岸2段50m枝沢(カーソル当てて)
左岸2段50m枝沢アップ(カーソル当てて)
ここから落ち口へトラバース

高巻きを終了すると、5m滝、2段10m滝と続くが、傾斜も緩く快適に越えられる。この上で15m滝が行く手を阻む。
登山大系ではこの滝は40m滝と書かれており、ここから左岸の超大高巻きをしている。
左岸にはトヨ状の2段40mナメ滝を落としており、ここもまた一つのハイライトと言って良い所だ。後日WEBの遡行記録を
いくつか見たが、登山体系に習い左岸手前の枝沢から高巻きを開始し、左岸2段40mナメ滝の上を高巻くというのが多かった。
先行パーティーは見当たらなかったので、左岸の大高巻きに入ったのだろうか???二度と会う事は無かった・・・

ここは15m滝すぐ手前右岸の枝沢に入り、10m程度登った所で弱点を見つける。ここで小さく巻けると判断。
ここの弱点で登らないと右岸枝沢を大きく詰め上がり、大高巻きになってしまうだろう。
岩はスタンス面積は有り余るほどあるが、外傾しているので、カム(No0.5程度)があるとA0できる。外傾岩は2段になって
いるので1個でも付け替えで何とかなるが、2個あれば便利だろう。無い場合はショルダーか?そこから灌木を利用し
4m程度上がるとテラスになるので、ここで上からザイルを投げやますきーおさんに上がってきてもらう。
ここから上手い具合に15m滝落ち口上に出れる。この高巻きで中御所谷をより楽しめるかの大きなポイントとなるはず。
15m滝すぐ上には12m滝が控えており、水流右から快適に直登出来る♪
15m滝(カーソルを当てて)
右岸枝沢(カーソル当てて)
15m滝すぐ上の12m滝

12m滝上の小滝を快適超えて行くと標高2270m位に位置する(2:3)二俣となる。ここを左に入ると最後の詰めは
ホテル下になってしまうだろう。我々は当然水量の多い右俣に入る。右俣はと5m程度の小滝が続くが、ノッペリしたものが
多く、右側ルンゼを利用しての小さな巻きをするものが多かった。小滝をクリヤーしていくと多段80m滝。概ね4段滝で、
最上部は20m程度あるが、快適に越えることができる。
(2:3)二俣
右俣7mナメ
多段80m滝
多段80m滝(最上部は鏡の滝と呼ばれる)を快適に直登
大滝最上部(鏡の滝)

80m大滝を超えると概ね平凡となる。2条8m滝を過ぎると三俣となり、ここを水量の多い左に入る。もうここまで
来れば源頭部の様相。足を進めると葉を落とした枝の間から宝剣岳が見えてくる。感動的なフィナーレだ♪
三俣(左に入ります)
感動的なフィナーレ

ロープウェイ駅に到着し、整理券を受け取るとなんと2時間待ち!!!さすがハイシーズン・・・ロープウェイに乗れた
のが15:50。片道切符を購入すると、後ろで並んでいた家族連れが、
「何で片道切符なんですか?」
「ロープウェイから見える沢を上がってきたんですよ」
「どれくらい時間がかかるんですか?」
「6時間くらいかな」とやますきーおさんが答えると「えーっ!」と驚いていた。
俺も、11年前にロープウェイで来たことあるけど、その時は、確かにこの沢を上がってくるなんて想像すら出来なかった
からそんなモノかも知れない・・・
ロープウェイで下りながら、登って来た沢を見るのも感動的。結構急な沢なんだなぁー

しらび平でコインロッカーに入れた荷物を詰め込み、西横川に向かう。歩いて200mというのがイイ!
堰堤を二つ超えた所に極上のテン場を発見♪薪は山ほど有り、食料、酒もたんまり持ってきたので、ゴージャスな
ひと時を過ごす。
ロープウエイから中御所谷(クリックして)
西横川へ移動
テン場にて

P.S:中御所谷は明るく登れる滝が多い超快適な沢です。ただ、高巻きのルートファインディングによって、
   遡行内容が大きく変わります。小さく巻くにはちょっと渋めの所も出てきますので、メンバーで一人沢慣れ
   している人が居ると沢通しに遡行できるでしょう。ザイルは大高巻きしなかったので30m1本で十分でしたが、
   大高巻きすると15m以上の懸垂下降も十分考えられますので40m以上を1本持っていた方が良いかも。
   ちなみに中御所谷には良いテン場はありません。

遡行図(クリックしてください)

西横川→東横川の記録はこちら


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