2009年11月7,8日 利根川 矢木沢 西メグリ沢→赤羽コボラ沢下降

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×25m、靴:フェルト
地形図:茂倉岳、藤原
遡行図はこちら

当初、癒し系の宝川ウツボキ沢へ行く予定だったが、メンバーが集まらず、夏に天気の都合で中止になった矢木沢ダム下から伸びる
矢木沢に行く事に。この沢は数本遡行対象の支流があるらしいが、今回は、西メグリ沢→赤羽コボラ沢の下降を選択。
数日前に寒波が来て、多少積雪の心配はあったが、「まぁ何とかなるでしょう」とキノコ狙いで、入渓する。
尚、白山書房の『奥利根の山と谷』では1/25000地形図の西メーグリ沢を東メグリ沢。赤羽コボラ沢を西メグリ沢として紹介しているが、
1/25000地形図の表記に合わせたのでご注意を・・・

アプローチ:CR-X
3:48自宅発→(R4、R50)5:05太田桐生IC→6:05水上IC→6:44矢木沢ダム手前ゲート
初日
8:23基点駐車場発→9:25メグリ沢出合→10:32西/東メグリ沢出合→12:42奥ノ二俣
→13:25 1500m付近行動終了

夜明け前、自宅を出て、6時過ぎに水上ICを降りて矢木沢ダムに向かったのだが、矢木沢ダムへの道にゲートがあり
10月以降はゲート開放時間が、朝8時〜17時半となっている事をゲート手前で知る事となる。。。詳しくはこちら
仕方なく、靴を履き替え、車内で寝て待つ事にした。

矢木沢橋を渡って少し行くと、未舗装の車道が沢沿いに伸びる。CR-Xがギリギリ下を擦らない程度。。。
この道は堰堤上のバックウォーターまで続いている。駐車スペースは8台程度。一人で入渓準備を整えてると、
車の音が立て続けに・・・皆キノコ取りに着たとの事。私を追い越し、早々と沢に入っていった。。。
「こりゃ、先発が居るとキノコは難しいかな・・・」と、私も歩き出す。
早く着きすぎました・・・
矢木沢沿いの林道終点の駐車スペース
本流序盤は穏やかな様相

矢木沢本流は平凡な河原状が続く。幽ー沢出合で、本流は右に直角に曲がり、ミニゴルジュとなるが、問題無く
突破できる。キノコ採りのオジサン達は左岸の巻き道を利用しているようだテープ有。 さらに進むと、淵状になり
ここは、左壁を利用して進み、腰まで濡らして突破。ここも右岸に巻き道あり。 このすぐ先でメグリ沢出合となる。
歩き出してから1時間程度。思ったより近くて地図と高度計で確認。本流に対して水流が少なくチョット貧弱な
感じの出合だ。「これで良いんだよなぁ・・・?」と不安を抱きつつメグリ沢に入る。
幽ー沢出合(本流は右に曲がります)
急に現れる淵
メグリ沢出合

メグリ沢最初の滝は深い釜を持った2段3m滝。これがメグリ沢の目印になる。左から簡単に超えると、概ね平凡な
様相が続く。小滝があっても2m程度だ。少し進むと7m滝が現れる。のっぺりしており、直登は不可能。右から
小さく巻くとすぐ上に3段8m滝が続く。傾斜は緩いが滑り易いので注意。
メグリ沢最初の2段3m滝
7m滝(カーソル当てて)
3段8m滝

ここからはナメ床が続く。少し進むと東メグリ沢/西メグリ沢出合。水量比(1:2)で西メグリ沢の方が多い。
特にココにはテン場になるようなところは無い。今回、西メグリ沢に入る。4m曲り滝を過ぎると前方右岸は高さ
50mの岩壁。ここに20m大滝が掛る。
二俣までナメが続きます
東メグリ沢/西メグリ沢出合
20m大滝

20m大滝は概ね2段になっており、下段は水流沿いを直登。上段は水流左の1枚岩にルートを見出す。
僅かな岩肌のうねりにスタンスを取ることもできるが、途中支点は一切取れず、フリーだとちょっとリスキーなので、
右草付きに逃げる。ただこちらも安全に巻ける感じではないので、初心者にはザイルを出した方が良いかも。
20m大滝上は、平凡だが、右岸の岩壁は続く。
20m大滝(カーソル当てて)
20m大滝上段の水流左の1枚岩
20m大滝上の様相

ここで、ついに旬なナメコの群生を発見!!!これで、今夜のオカズはOK!
4m、7mと続く小滝は階段状で水線通しで抜ける。ここに右岸から2本の枝沢が入り見上げると20m級のナメ滝と
なっていた。ここからは概ね平凡な様相。4m、3mと続くナメ滝を越え、2段5mは水流左。この辺りから沢筋に
今週降った雪が現れてくる。北面の沢なので、やはり解けていなかった。
出たぁー!!!
右岸から2本の枝沢
4m、3mナメ

この先の10m滝は水流右から登れそうだったが、頭からのシャワーになるので、右から巻く。今回のルートの場合、
1泊2日で終了させるには、最低、初日にここまで来る必要がある。テン場は少ないので、良い所があったら、
行動終了した方が良いかも。ゲート閉鎖時間には注意。
小滝を交えた、概ね平凡な様相を進んでいくと30分程で、両側2m程度の小滝で出合う標高1320mに位置する
(1:1)奥ノ二俣に到着する。
10m滝(右から巻きます)
(1:1)奥ノ二俣

ここを右に入る。ここから先、河原状になっている所は少なく"童人トマの風"が整地して作ったと1400m付近の
小さなテン場らしいものを雪に埋もれた状態で発見。
しかし、あまり良い場所でもなく、ゲートの閉鎖時間が頭にひっかかり、ここをパスして、さらに先に進んだ・・・
これが裏目に出た。。。V字形状の谷筋が続き。しばらく行くと1480m〜1510m付近で谷筋が完全に雪に
埋もれてしまった
幸い右岸に雪の溜まり場があり、これを整地して一人分の平地を作り、ここで本日の行動を終了する。
雪のせいで、乾いた薪が少なかったが、土が現れてるところでしっかり焚き火も出来、
心地よく寝る事が出来た。
標高1400mを過ぎて
1480m〜1510m付近で雪に埋まる
やっぱ焚き火です


二日目
6:40出発→7:02西メグリ沢/赤羽コボラ沢を分ける尾根→7:28赤羽コボラ沢入渓
→8:47奥ノ二俣→10:50二俣→11:35矢木沢本流出合→14:26基点駐車場着

ここから稜線はすぐだが、本流は雪で埋もれている為、テン場から左岸に伸びる沢筋を利用して、赤羽コボラ沢へ
移動する事にした。この判断は正解だったようで、藪の薄い所を見つけて上がっていくと20分くらいで西メグリ沢/
赤羽コボラ沢を分ける尾根に出た。当然、この尾根には踏跡など全く無く。そのまま尾根の反対側へ下降する。
上手くルートを選んで懸垂せずに赤羽コボラ沢へ降りれた。すでに水流があり、高度計は1430mを指していた。
テン場から朝焼け
西メグリ沢/赤羽コボラ沢分断尾根から
赤羽コボラ沢

赤羽沢コボラ沢の下降を開始。概ね平凡な様相。5m程度の小滝を下降していくと、10m級の滝が現れ立ち止まる。
丁度この滝下で右沢と左沢の出合となっているようだ。今回持ってきたザイルは25m・・・ 落ち口近くには支点と
なりえる潅木は無く、草付き・・・右岸も延々急な草付きが続いており、右岸を高巻くなら20m程度上がって潅木帯に入り
延々トラバースするしかない模様。
左岸の右沢/左沢を分ける尾根越しに見える右沢は何処までも悪いゴルジュが続いており、遡行すら難しい様相だ!
一箇所、25mザイルだと、ここしかないという。右沢に延びる小尾根にルートを見出す。しかしこちらも急な草付き。
降りれる所まで降り、細い潅木をシュリンゲで束ねて支点を作る。
「何とか大丈夫そう!」
6、7mの懸垂下降で沢床に降り立った。
下から見ると降りてきた左沢の滝は10mで、登る事は出来そうな滝だった。ザイルが下まで届かなくても
降り切ったところからクライムダウン出来たかな・・・???
一方、右沢は、やはり悪いの一言・・・両岸急な草付きで高巻きも不可能で、入ってすぐの6mCSでかなり苦労を
強いられそうだ。
10m滝上から
中間尾根から右沢の様相
奥ノ二俣(カーソル当てて)

この"奥の二俣"から下降を続ける。両岸草付きゴルジュは続いて降りれない滝が出てくるとちょっとヤバイ感じ。。。
ただ、"この沢を降りた記録がある"というのが大きな安心感をもたらしてくれる。
 すると、大岩で出来た3m程度の滝が現れる、左から、右から、大岩からとすべて覗き込むがクライムダウン
不可能。両岸草付き。。。

「飛び降りる高さでもないし・・・」
「ハーケンの残置したくないなぁ・・・どうやって降りたんだ・・・?」

と見渡すと、ザイルをかけられそうな岩を発見。ザイル回収可能かどうかをチェックして、懸垂で降りた。
奥ノ二俣から下流方向
大岩で出来た3m程度の滝
岩にザイルを掛け懸垂

さらに下降を続けると、両岸急な草付きは変わらないが、沢幅が広くなる。ちょっと荒れた感じで遅くまで雪渓が
残っている場所と思われるが、良いテン場が1箇所あった。、ここからは小滝がちょっとある程度で、概ね
平凡な沢床で下降に問題は無い。途中また旬なナメコを発見!!!
大岩のある5m滝を降りると、また、悪いゴルジュになる。
左岸2段7m滝で出合う枝沢
小滝に深い釜
大岩のある5m滝。右岸からは枝沢

幸い、ゴルジュ内に悪い滝は無く、5m滝、2mCSとどちらもクライムダウンできた。 ここを過ぎると、また良いテン場を
発見。さらに下降を続けると右俣/左俣を分ける”二俣”となる。ここは開けた感じの様相で、なんとなんと、
横たわる大木の多くにナメコの群生が・・・熊も出そうな所なので、声を出しながらキノコ採りに励む。
悪そうなゴルジュ
二俣(左から降りてきました)
こんなのがザクザク採れます

「ここまで来れば、矢木沢本流まではもうすぐ・・・」 と思いきや、ここから本流まで、またゴルジュになる。出てくる滝は
2m程度なので助かった。しかし、赤羽コボラ最後は両岸絶壁の幅狭ゴルジュ!!!
どうしたら、こんな地形になるのか不思議・・・ここも1m程度の小滝しかないので、助かったが、両岸絶壁で経つる
ことは不可能。最後は釜の深さが良く解らなかったが、仕方なく飛び降りる。幸い腰上程度だった・・・
ここには残置シュリンゲが打ってあるので、遡行するときはこれを利用。
これで、矢木沢本流に出た。
ゴルジュが始まる
ゴルジュ内小滝
最後の極狭ゴルジュ
経つれないので飛び降りる

赤羽コボラ沢出合から矢木沢本流下流部は岩盤が発達。増水していなければ、下降に問題は無い。 ジロウジ沢
出合を過ぎ、ゴルジュに突入すると15m魚留滝があり、手も足も出ないので右岸を巻く。(踏み跡は無かったが
トラロープあり。)
確かに魚留滝下にはイワナの姿が・・・
赤羽コボラ沢出合
岩盤発達してます
5条4m滝
ジロウジ沢(右)出合
15m魚留滝上

この先で、メグリ沢出合。帰りは、淵などはすべて釣師の巻き道を利用して帰る。色あせた赤テープがある。
14時半前に基点駐車場に到着した。

P.S:西メグリ沢と赤羽コボラ沢・・・どちらも初中級レベルの沢。西メグリ沢→赤羽コボラ沢下降のほうが良いだろう。。。
   という先人の書き込みがあるが、赤羽コボラ沢の方が谷筋の様相変化が多いので、今回の遡行の逆ルートもありだと思う。
   ただ、どちらの沢も、上流部にはテン場が少ないので注意。
   赤羽コボラ沢は両岸草付きゴルジュなので、ザイルは45m以上を用意すると安心かも。

遡行図(クリックしてください)





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