2010年6月12日  男鹿山塊 熊川 大巻川 左俣

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m、靴:フェルト
地形図:板室
概念図、遡行図はこちら

ワールドカップも開幕し、8月の静岡コンサートへの練習もしなければ・・・と、今週は近場へ単独遡行を急遽計画。
まだ行った事の無い栃木県の大巻川を狙う。若干WEBでも記録が掲載してあるが、みんな結構苦労している模様。
単独で抜けられるのか若干不安もあるが、いづれ行かなければいけない沢なので、(なんでこう思うのかは???だが)
今回押さえておく事にする。

アプローチ:フィット
4:10自宅発(一般道)→6:00大巻橋着
6:17大巻橋発→9:12二俣(左俣へ)→11:45黒滝山山頂、11:55下山開始→12:50 1410mから大巻橋へ沢筋へ
14:10大巻橋着

巻川へのアプローチは結構難しい。"林道巻川線"というのに入る。
2006年にいった西俣沢と同じ矢板方向から板室温泉を目指して県道369号を進み 
右手に消防署が見えた先200m行くと『東洋英和女学院那須山荘』の小さい看板がある小道を左に入っていく。
 しばらくすると、工事による一般車両通交止めの看板が現れるが、無視し先に進むと道路崩落工事が行われていた。
敷いてある鉄板の上をゆっくり走って越える。
この先で再び、『5km先で土砂崩れのため通交止め』の看板が出てくる所を進入。道は全舗装。確かに5km先に工事が
行われていたが、全く問題無く通れる。WEBで"大巻川に架かる橋は崩落" と書かれてあるのを読んだが、大巻橋は立派に
掛け直されていた。
橋のすぐ脇に4台分の駐車スペースがあり、釣り人が準備をしていた。話を聞くと私とは反対側(大巻川の右岸林道)から来た
そうで、道は全舗装との事。。。 沢登りと言うと、嫌な顔をしていたが、お詫びに近くの沢の釣れるポイントを教えてあげた。

さて、早速、大巻橋から入渓。すぐ先の堰堤は左から小さく巻く、ここからしばらく平凡な様相。
ふと、腰に手をやるといつも有るものが無い

・・・ハンマーとATCを忘れた・・・

ATCは無くても何とかなるけど、ハンマーが無い単独遡行ではチョイト辛いが仕方がない。
この『通交止め』のところを入っていく
大巻橋脇の駐車スペース
最初の堰堤上の様相

右岸から水流の有る枝沢が入った先、2,3の小滝を過ぎると再び堰堤が現れ、右から巻いた。堰堤上も平凡。
少し進むと本流も一旦伏流になるが、すぐに水が復活してホッした。この辺りは2,3mの小滝程度。それも大岩の間から水を
落としている程度なので、滝と呼ぶには???のところもある。
小滝
再び堰堤
この辺はこんな小滝ばかりです

一風変わったCSナメが現れると面白くなってくる。すぐ上の5m滝は左から巻けば簡単だが、水流をシャワー直登。
落ち口は両足突っ張りで突破するが結構勇気がいる。
滝上のナメを過ぎるとまた平凡に戻るが、少し行くと3条に水を落とす12m滝。これは快適に直登できるのがうれしい。
CSナメ
5m滝
12m滝

その先の7m滝は取り付けず。右から廻り込むが、こちらも岩壁と巨岩に囲まれ、細く水を落とす4m程度の滝を越さなければ
突破は出来ない。岩が脆いので慎重に。
この先、両岸が切り立った感じになるとノッペリとした9m滝が行く手を阻む。両岸は高い側壁で、高巻きはかなり面倒くさそう。
行けるか行けないか解らないが、カッパを着込んで、左壁を経って、滝に取り付くと、良いホールドが有り、そんなに難しく無く
直登出来たVラッキー!
7m滝
岩壁に囲まれた9m滝
9m滝(カーソル当てて)

9m滝上は、ナメ床がポツポツと現れてくる。5mトイ状ナメ等、結構快適
しばらく進むと7m滝。水流左を直登。4段7m滝は最後が垂直で手が出ないので、3段目から右を巻く。2条7mも容易に直登可能。
5mトイ状ナメ
7m滝
4段7m滝

この先で、沢は右に曲り左岸側の岩壁から水が流れて来る所有り。正面の本流は6m滝、3m滝と続くが、この上で水が急に少なく
なる。水はここで汲んでおかないとこの先は良い所が無い。
水が消えかかると、1280mに位置する二俣となる。右俣はガレた沢筋。左俣は10m程度の涸れ滝で出合っている。
WEBで見た記録では、左の方が難しいらしい。右俣に行っている遡行図がWEBで出ていたので、私はハンマーも無く不安を
感じながらも左俣に入ってみた。

左俣に掛かる10m滝はフリクションも充分で問題無い。滝上は水がしたたり落ちる程度しか流れていない。
左岸から窪を見送って少し進むと。また二俣。正面に早くも稜線を思わせる様相が見える。面白い事に、
猿が大岩を持ち上げ今にも投げ下ろそうとしているシルエットが見え一瞬あせった!
1280mに位置する二俣
岩を持ち上げてるように見える二俣(カーソル当てて)

そのシルエットに気を取られたのか、本流筋は右である事に遅れて気付く。ここには水が滴り落ちる程度の40mはあろう
多段滝があった。多段で有る事が救いで、"調査・調査"と行けるところまで行ってみる事にした。

1段目は容易。2段目は正面はムリで左端から3m直上し水流に向かってトラバース。ここから80cmの濡れた段差を上がる
のだがここが核心。直径7,8cmくらいに広がるカム(番手は何番になるんだろう?)があれば岩溝に支点を取れるが、
私の小さいカムではムリ。。。アンダーで取れるホールドは1箇所あるが、右に寄りすぎてて、上手く体を持ち上げられない。
中央突破を諦め右端にルートを探るが、フリーで・・・ハンマー忘れて・・・ハーケン打てないし・・・と考えるとちょっと厳しそう。
断念して懸垂も出来ないし・・・・

結局、中央突破するしか無く。アンダーのホールドを取り、右ひざを段の上に載せ、もう戻れない微妙な体勢から体全体の
フリクションでナメクジの様に這い上がる。。。

                 ・・・突破。。。

3段目は水流右に移動して2m程度の凹角を直上。ここもスタンスがなく腕力で体を持ち上げる感じで割と渋かった。
最上段は脆そうな感じの岩を注意深く選び、40m滝を終了する。久々にシビレタ・・・
40m滝全景
1段目を上がった所から上を見上げる(カーソル当てて)

大滝の上も悪いゴルジュが続く。。。倒木を潜り抜け、前方に5mCSが立ちはだかる。通常は早めに右岸高巻きだろうが、
"調査"名目で滝下まで行ってみる。やはり直登は絶望的。小さく巻くなら右岸だが、この判断が失敗だった。斜上する岩壁
を上がれば滝上に出れると思ったが、超苦労して岩壁登ったのにその先が全く駄目・・・ ここから、あり得ないトラバースで
何とか逃げれたが、ムチャクチャ厳しく、自ら核心を作る有様・・・。この滝は手前から右岸を巻いた方が良いでしょう。
悪いゴルジュが続く
5mCS(手前から巻いた方が良い)
左の岩壁。これを苦労して登ったが・・・×

5mCS上も悪いゴルジュが続く。両岸岩壁で囲まれた3mCSは左壁から越えた。まだまだゴルジュは続くが、次の5m涸滝
簡単に左から登れる。ここで厳しいゴルジュは終了。この先でまた二俣になる。右は2段8m涸滝が見えるが、左の方が
ハッキリとした沢形が続いている為左に入る。ここは右に入ってもよかろう。
3mCS
5m涸滝
2段8m涸滝(こっちには入っていません)

ここからは急な登りだが概ね平凡。最後の詰めは背の高さの笹の密藪。ここは稜線を目指すより、黒滝山方向に向かった方が
良いかもしれない。松林がある所は笹薮が薄くなるので、そこを目指すのが早く密藪から脱出するポイントになる。

25分ほど笹薮で喘ぎ、松林に到着するとすぐに赤テープを発見する。ここから1分足らずで、黒滝山山頂に到着した。
最後の詰め
松林に入れば笹藪は薄い登山道も近い
黒滝山到着です♪

ここから百村(もむら)まで明瞭な登山道が伸びているが、大巻橋に車を止めてあるので、標高1410m地点まで登山道を下り、
そこから大巻川の左岸枝沢へ下降する。

登山道から再び密笹藪に突入。10分チョットもがくとようやく沢形に降り立つ事が出来た。ここからは嘘のように平凡。
ただ水は最後まで全く流れていないので注意。
最後大巻川に出合うところで堰堤があり、ここは7mの懸垂をしなければ降りられない。ATC忘れたので半マストで初めて降りて
みたが、普段通りの感覚で降りれるものだ。これで終了
狙ったとおり、大巻橋から100m程度上流の左岸枝沢に出た。大巻川の釜にどっぷり入浴して汗を流す。

帰りは、大巻川右岸の林道を通ってきたが、林道入口には白い小さな『林道巻川線基点』道標が角にポツンと立っている
だけで、ナビが無いと非常に解りにくいかも。
左から降りた。水無し。至って平凡
大巻川本流に出ました♪
巻川林道入口(カーソル当てて)


P.S:大巻川は序盤は平凡ですが、中流部からは登れる滝も多くなってきて楽しいです。
   二俣から先のゴルジュは手ごたえがありました。ザイルは、大滝がありますが途中ピッチを
   切れますので30mで足りるでしょう。他の記録を見ると左俣より右俣の方が簡単らしいですが、
   右俣も二俣から先は難しい様です。

大巻川概念図(クリックして)
遡行図(クリックして)





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