2010年7月24,25日 小出俣川左俣 マチホド沢

メンバー:カワハギさん、ひろた
装備:8mm×50m、カム 靴:フェルト
地図:水上
遡行図、概念図はこちら

赤谷川支流の小出俣川。遡行対象は主に左俣らしい。その中でもマチホド沢は一番メジャーでWEB上でも記録が多い。私も、計画しては天気で中止を繰り返し、
ようやく今回カワハギさんのお力を借りて遡行する事になった。この沢は早出すれば日帰りも可能の様だが、まぁそう慌てる事もないので1泊2日の計画で行く事にした。

アプローチ:フィット
4:34自宅発→(真岡IC)5:09佐野藤岡IC→5:30太田桐生IC→6:22水上IC→6:28道の駅みなかみ町水紀行館、→6:55川古温泉
7:11川古温泉発→7:52千曲平橋、8:05入渓→8:55大ヒラナメのセン→9:45 3段100m大滝下→11:32 100mスラブ滝下→14:20同滝上
→15:25小ヒラナメのセン下(行動終了)

カワハギさんとの待ち合わせは道の駅みなかみ町水紀行館。ここから、カワハギさんの車で川古温泉へ15分程度で到着。駐車スペースは車10台弱。
小出俣川右岸林道はしっかりゲートで閉ざされている。

ここから、千曲平(せんげんたいら)まで林道を歩く事40分。左俣に掛る千曲平橋に到着。ここで入渓準備をして早速入渓する。

序盤は鬱蒼と茂る木々の中、平凡な様相。先を歩くカワハギさんが、イワナを数匹見つける。しばらく進むと9m滝。通常は水流左・・・水流右もなんとか
ナリソウだが、ムリせず水流左を直登した。
川古温泉の駐車場から千曲平橋へ(カーソルあてて)
左俣入渓。序盤の様相
9m滝

9m滝上はトイ状のナメになっている。平凡な様相にもどると左から松ホド沢が入る。水量比(1:4)。この先、ナメ床と平凡な様相をちょっと繰り返すと、急に
明るく開け"大ヒラナメのセン"と呼ばれる大ナメ床が広がる!!! 青い空の下、この爽快感はたまらない
この大ナメの途中で大ビノ沢が右から入る水量比(5:1)。 『登山大系』の遡行図を見ると大ビノ沢の内容も面白そうだが、ちょっと水が少ない。増水時に
遡行すると良いかも。

"大ヒラナメのセン"を過ぎると前方に8m滝。この下で右岸から小センノ沢が入る。こちらも水量は少ない。8m滝は釜を右から廻りこんでそのまま直登
可能。
大ヒラナメのセン
大ビノ沢が右から入る
8m滝

この先で、両岸が切り立ってくる。センノ沢の深い切れ込みが正面に見え、その右に核心の3段100m大滝が姿を現す。両岸の切り立った岩壁から水を
落とす様は圧巻で、『悪い!』に尽きる。

Webの記録では、みんな1段目12mは登っているので下から見てみると、確かに登れそう。中央から取り付いて軽いシャワーを浴びて水流右に移動。
岩も安定していて特に問題なし。ザイルは出したが、ランニングを取らずそのまま直上出来た。V
センノ沢の深い切れ込みが正面に見える
3段100m大滝
1段目12mを直登

問題はここから。ルートは右壁で、上下2段にバンドが走っており、上の草付きバンドまで上がり、バンドを水流に向かってトラバース。そこから・・・と
いった感じだろうか?まず右端から下のバンドに上がる。ここから上のバンドに上がる所で難儀。残置支点も見つからず。
仮に上の草付きバンドを上がってもその先突破できるのか・・・?と思うと恐怖が襲い敗退。。。カワハギさん、スミマセンm(_ _)m

一応、高巻きルートとなる右ルンゼから草付きバンドへのトラバースも試みたが、一旦恐怖が襲うともうダメで。このまま定石と言われる右ルンゼから
ザイルを伸ばし高巻いた。この右ルンゼも結構立っているので、ザイルを出した方が良いでしょう。45m近く伸ばして安全圏に入る。
ここからは結構踏まれている感じで、容易に大滝上に出れる。
大滝中段下段
直登推定ルート(カーソル当てて)
左岸を高巻く(カーソル当てて)

大滝上はトイの状ナメになっている。少し行くと、7m2条チムニー滝。ルートは左の水流だが、カワハギさん一歩が出ない模様。チェンジしてみると、
ガバはあるのだが、体を持ち上げるには一つスタンスが欲しい所・・・ちょっとえぐれた穴みたいなものを見つけて足を掛け「セーノ」で飛び移り、膝を
入れて突破。

この先で、オゼノ沢とマチホド沢が出合う70mスラブ滝が登場。カワハギさんはこれ程大きいスラブ滝は初めてと言っている。
7m2条チムニー滝(カーソル当てて)
70mスラブ滝遠景
70mスラブ滝

この滝は、他のWEBの記録には”オゼノ沢側水流の左を登って行き、上まで登ってマチホド側にトラバース”と書かれていたと記憶にはあったが、カワハギさんが、
ど真ん中から取り付いて行き、私は右の水流沿いから取り付いて、やはりど真ん中を登っていった。。。

50mくらいまで上がると傾斜が強くなり、、私は右に逃げたが、カワハギさんはオゼノ沢とマチホド沢の間を登っていく・・・

途中、カワハギさんの動きが鈍くなってきたので、「上からザイル出すからムリするなー!」と呼びかける。

”急いで上にあがって・・・”と思う自分であるが、マチホド沢落ち口付近の右は最後垂直の壁になってしまう。ここから水流側ある細い潅木上に乗り。
慎重に細かいホールドを選び、何とか2m弱の壁を越えて落ち口へ。まだ落ち口は安全ではなく、そこから潅木帯に逃げ込みなんとか終了。W+

急いでザイルを取り出し、カワハギさんをヘルプしに向かうが、オゼノ沢/マチホド沢の間にある潅木帯は結構急傾斜の密藪。フリーで降りれるところまで
降り、そこからザイルを投げる事4回で。カワハギさんがザイルを手に取る。テンション掛けながらもジワジワあがってきたが、あと5mのところで上がれず、
ザイルを繋いだまま降ろす事に・・・そのまま私が登った方へトラバースして上がってもらうが、私が登った水流側は難しいので、左岸壁側へ行った方が
良いと指示したが、そちらもダメとの事。

結局、私が登ったルートで行くとの事で、ザイルをセットし、半分引き上げる感じでカワハギさんに登って来てもらった。核心を作ってしまった感じで、
かなり時間を費やしてしまった。。。やはり、ここはオゼノ沢水流の左を登る事を勧めます。きっと。。。
真ん中から勝負(カーソル当てて)
カワハギさんが難儀
マチホド沢落口右も難しい。(カーソル当てて)

少し休憩して出発。テン場はすぐ・・・と思っていたのだが、70mスラブ滝すぐ上の4mを越えると悪そうな6m滝。お疲れモードなのでこれは右岸を巻く。
途中、オゼノ沢側のイイ感じの滝が見えた。巻き終えると、15mナメ滝。 この下で、WEBで山人さんが幕営したと思われるポイントを発見。トマの風の
パーティーも20m滝下で幕営したと記憶していたが、ここなのだろうか 増水に耐えられないこの場所だと、夕立の場合はまずい。。。
完全バテバテ状態のカワハギさんを、一旦この場所に残し、15mナメ滝をフリーで直登。さらに偵察に進む。

すると10分も進まないうちに、小ヒラナメのセンと呼ばれる20mナメ滝下に格好のテン場を発見。2人なら問題無く寝れそうだ♪ 薪も豊富。おそらく、
トマパーティもここで幕営したのだろう。この場所までカワハギさんを連れて今日の行動を終了する。すったもんだあったが、到着時間は15時過ぎ。
すんなり来てれば行動時間6時間でここまで来れるだろう。途中、10分ほど激しい夕立にあったが、雨は続くことなく、焚き火を楽しめた
6m滝(一応右岸巻き)
15mナメ滝と、その下のスペース(カーソル当てて)
小ヒラナメのセン下のテン場



二日目
6:15出発→8:25マチホド沢/大ビノ沢分岐尾根(遡行終了)→9:10大ビノ尾根→10:40 1350m付近から小出俣川右俣へ下降開始
→12:45林道→13:40川古温泉着

今日は、小ヒラナメのセンからスタート。出だしの20mナメ滝は傾斜も強くないので快適。さらにナメ床が続き、左に曲がると60m大ナメ滝。ルートは
水流左。Vレベルで私がフリーで登り、カワハギさんに上からザイルを投げる。
小ヒラナメのセンからスタート
60m大ナメ滝
60m大ナメ滝

この先もナメ床が連続 というか、ひたすらナメ床。両岸草付きの30mナメ滝、10mナメ滝は傾斜もそれ程ではないので快適に登れる。この先ナメ
どうしで出合う(1:1)の二俣は帰りの事を考え右に入る。 この先の5m滝はチョイト悪いが左端を直登。カワハギさんには左から巻いてもらった。
まだまだナメが続きます
天国のナメ♪
(1:1)の二俣を右に入っての5m滝

沢筋はどんどん細くなる。詰め上げていくと、下の方から「痛っ!」との悲鳴が!"落ちた?"と思ったが、ヘルメットくらいの石が太腿に当たったとの事。。。
幸い歩けるそうで何よりだった・・・落石もしてないし、変に動いた石も無かったし、落石の音すら聞こえなかったので落石が起きた原因は謎のまま。

軽い笹薮漕ぎを5〜10分ほどすると主稜線ではなく、大ビノ沢/マチホド沢を別ける尾根に出た。(私の高度計で1630m)
源頭付近
大ビノ沢/マチホド沢を別ける尾根から

他の記録と違うとこ出ちゃったけど、まぁ良しとしよう(^^ゞカワハギさんは小出俣山は登ったことがあるし、私も藪を漕いでまでピークに登る気力は
ないので、この位置から下降ルートにする大ビノ尾根までトラバースする。

このトラバースは草付き&笹薮漕ぎで、特に危険な所はない。30分で大ビノ尾根に到着。他の記録の通り、獣道すらない尾根だが、藪の薄いところ
選んでいけば、そんなに苦しむ感じではない。稜線上の少し開けた所に出ると赤テープが現れるが、踏み跡らしいものは断片的に現れるだけ。。。
尾根を外さず進んでいくと、再び赤ペンキを見つけるが、この少し先で尾根は切り立った崖みたいになる。(高度計は1350m辺りを指しているが定かではない。)

ここを降りるなら小出俣川右俣へ下降した方が早いと判断して、少し戻り適当な所から右俣に向かって下降をする。当然沢筋に入ったが、たいした滝も
無く大正解。 1時間半くらいで小出俣川右俣に到着。ただ、林道はここまでは伸びておらず。さらに10分程度、右岸を下っていくと林道に出た。あとは
川古温泉までテクテク林道歩きで終了する。
オゼノ尾根へトラバース(眼下は大ビノ沢)
オゼノ尾根はこんな感じ
小出俣川右俣へ沢で下る

P.S:マチホド沢は明るくナメの多い沢で非常に気持ちの良い遡行が出来る。”「稜線に出てから道が無い」という理由で、メジャーになれない不遇な沢といっても良いかも。”
   と。。。2010年当時は、追記している2014年の今、この沢もメジャー化している。
  ただ、オゼノ尾根にはいまだに踏跡は無く、下降は今だ面倒だ。ザイルは大滝の高巻きが急登りなので45m以上のザイルがあった方が良い。テン場は少なく、我々が
  幕営したところがBESTだろう。

マチホド沢遡行図(クリックして) 概念図(クリックして)





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