2010年8月16日 阿武隈川 南沢 右俣

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m、カム、靴:フェルト
地図:甲子山

2010年のお盆の天気は各地総崩れで、本来なら北アの沢に行っていたのだが、自宅引き籠り状態が続いていた。。。
連休最終日、平日で高速も1000円では無く、夕立予想の天気予報・・・を踏まえ半日で終了する阿武隈川源流 南沢を選択。
この沢は2002年に単独遡行しているのだがウイルスで写真をすべて消失。当時は沢登り3シーズン目で滝の直登はイケイケ
だった頃・・・。。。
あれから経験は増えたものの、ハーケン抜け/滑落等、様々な”負”の経験もした私にはこの南沢はどう映るのか・・・

アプローチ:フィット
4:20自宅発→5:20那須塩原IC→6:05白河IC→6:27甲子温泉大黒屋
6:45基点発→7:14南沢入渓→9:50 30m大滝上→10:30稜線登山道→10:42甲子山山頂→11:40基点着

白河と田島を結ぶ橋が完成し、甲子温泉は以前よりも活況を呈している感じ。旧道も健在で。阿武隈川源流を遡行するとき
いつも利用している大黒屋の脇の駐車スペースに車を止める。テントが一張りあり、茨城の山岳会の3名で、
同じ南沢を遡行するとの事。(沢で他パーティーと出合うのは今季16回目にして初!) お先に失礼する。
大黒屋は新装され、かなり立派になった。陸橋下の道を小道に入り南沢出合いに降り立つ。ここは広河原となっており、
阿武隈川源流を集中遡行する場合は良いベースになる。
建て替えられた大黒屋
ここから入ります
南沢出合の広河原

入渓準備を整え、早速南沢に入る。鬱蒼とした様相を進むと。さっそく7m滝。水流中央から右に斜上するバンドを利用して
直登するのがセオリーで、前回はそう登ったが、よく見ると水流左も登れそうなので、取り付いてみると意外と楽に登れた。
滝上は、平凡な様相。少し進むとF2と呼ばれる7m滝が現れる。前回この滝が登れなかった事が南沢の一番の思い出だったが、
後日この滝は登れると聞いた。よく見ると、水流左が登れそうに見える。実際取り付くと落ち口付近の1歩がちょっと嫌らしいが、
岩は安定しており、何とか這い上がる事が出来たW
最初の7m滝(カーソル当てて)
F2 7m滝
F2 7m滝(カーソル当てて)

F2上はナメ床。前回登れなかった滝が登れたので後の滝は快適に直登出来ると安堵が広がる。
その後平凡な様相に戻ると倒木で覆われた小滝の奥に結構大きな滝が掛かっている。
近づいてみると、9mはあるF3。先ほどのF2より悪い! 

"前回どうしたんだっけ・・・?" 

あまり記憶が無いという事は苦労しなかったという事だろう。。。ルートは水流右。実際取り付いてみるとヤッパリ厳しい。
水流すぐ右はやばそうで右壁を登り水流に向かってトラバースする。落ち口直下のミニテラスへの1歩は慎重に
左足を伸ばし、なんとかトラバース成功。ここから落ち口上にあがるところが更なる核心だが、幸い良いところに
新しい残置ボルトが打ってあり、長いシュリンゲでビレイ。30cm程の段を上がり水流をまともに受けながらホールドを探すが
確実な物は無く、仕方なくA0。 ビレイを外して滝上に上がった。W、A0

"F2よりゼンゼン怖いんですけど・・・"

自宅に帰り、早速前回の記録をみたら雪渓が滝の下半分を埋めており、雪渓伝って左岸から巻いてました(^^ゞ
F2上のナメ
F3全景
F3 9m(カーソル当てて)


滝上は平凡な様相。しばらく行くとF4 6m。これも結構立っている。ルートは水流右。スタンスホールドは多いけど、
なんだか脆そう。ちょっと上がるとクロモリハーケンの残置を見つけ回収。さらに上に70cm程の残置ロープが
ぶら下がっていたが、これは利用せず。ただその支点になっているハーケンにスタンスを求め、ここも"A0"で突破となる。

F4上はゴルジュ。嫌〜な滝が出てきそうな雰囲気だが傾斜の緩い滝が出てくる程度で安堵。
その先にF5 5m幅広ナメ。水流右に取り付いてみるも登れず、左壁に取り付いて滝上に向かってトラバースして越えた。
F4 6m
F4越えた先の傾斜の緩い滝
F5 5m幅広ナメ


滝上は一瞬ナメ床になるが、すぐに平凡な様相。その先の10m滝で写真を撮っていると茨城の3人パーティーに追いつかれる。
ここは先に行かせてもらう。この10m滝は寝ているので快適に直登。この滝のすぐ上で(2:3)二俣になる。ここは右俣に入る。

3m、5m滝を快適に越え、その先の2段7m滝も傾斜が緩く問題ない。3m小滝を越えた先で右岸から枝沢が入る。
ここで、再び茨城パーティに追いつかれたので、先に行ってもらう。
10m滝
(2:3)二俣
2段7m滝

本流は切り立ったゴルジュになり左に曲がるとハイライトの2段30m大滝が姿を現す。
茨城パーティは下段を右岸から巻いて上段は水流左を直登。これが定石ルートである。
彼等が大滝を越えた後、他にルートは無いものか、滝下まで近づいて見上げると下段も水流左から取り付けそうだったので、
頭から飛沫を受けながら取り付いてみる。しかし、岩に滑った泥がこびり付いており、どうもスッキリしない。ハンドホールドも
若干甘めで、ハーケン打って"A0"すれば何とかなりそうだったが、単独だしムリせず断念。茨城パーティーと同じルートで
大滝を突破する。スタンスホールド充分で、特にザイルの必要性を感じない。

滝上は平凡な様相。少し進むと6mナメ滝から続くナメ床が若干楽しめる。この先で、沢形が二つに分かれる。圧倒的に水量は左から
流れてくるが、右に赤テープがある。(落ちている?) 通常は右に入るのかもしれないが、水量が多い左に入る。
30m大滝全景
下段の水流左壁
右の沢形に赤テープがあった二俣

20m程あがると(1:1)二俣。下山道は右手なので、ここは右に入る。この先は藪が笹を覆うような感じになってくるが、水流は途絶えな
い。
枝沢が入るところはすべて右に進路を取る。水が涸れて沢形も無くなり、いよいよ藪漕ぎかと思ったとたんに稜線登山道に到着。
時間はまだ10時半。。。
稜線は不安定な天気により既にガスっており、短い沢にしたのは正解だったか・・・?

白水沢の下降も計画時には考えていたが、甲子山山頂を経由し登山道で甲子温泉へ下る。
水流はなかなか無くならない
登山道は明瞭
甲子山山頂 ガスって展望なし


P.S:南沢は半日で終了する短い沢ですが、全部の滝が直登可能で楽しい沢です。
   8年前登れなかったF2が登れましたが、F3の方が怖かったりして、1度行った沢も侮れません・・・。
   ザイルは30mあれば充分です。初級者をトレーニングがてら連れて行くには、お勧めです。
   南沢出合にベースを張り、翌日となりの白水沢を遡行すればさらに充実すると思います。




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