2010年9月4,5日 中ア 太田切川本流 東熊沢1910m右岸支流

メンバー:やますきーおさん、ひろた
装備8mm×30m、カム、アブミ、靴:フェルト
概念図、遡行図はこちら

中央アルプスを代表する代表する太田切川本流。昨年、中御所谷をやますきーおさんと遡行後
『太田切もいつかは行かないと・・・』と思っていたが、意外と早く実現する時が来た。
本流は空木岳方面に詰め上がるが、車1台のアプローチの為、檜尾岳方面に詰め上がる東熊沢を選択。
計画では、そのまま東熊沢本流を詰め檜尾非難小屋に出るつもりだったが、途中、1910mで出合う
右岸枝沢に掛る滝があまりにも良かったため、熊沢岳に詰め上がるルートに変更した。おそらく最初の遡行だろう・・・

アプローチ:フィット
18:30自宅発→19:10上三川IC→(北関東自動車道、R50、上信越道)22:43小黒川PA(仮眠)→5:46菅の台バス停
6:30バス停発→6:45檜尾橋バス停、
6:50檜尾橋→7:30太田切本流取水堰堤、7:55遡行開始→9:45梯子ダル沢出合→10:40大地獄沢出合
→12:05東熊沢出合→15:00 1900m幕営地

9月に入り、ハイシーズンという訳ではないが、菅の台バス停に到着するとすでに50m近くの行列が出来ていた。
それでも混雑すると適時臨時便を出してくれるので、6:30にはバスに乗れた。
檜尾橋バス停で降りると、沢装備した男女2名づつのパーティ。話を聞くと京都の山岳会の方々で、3つ4つのグル―プ
に別れ集中山行しており、本谷を詰め木曽殿山荘で合流する事らしい。

ガイドの通り、檜尾橋を渡り、道が右に急カーブする箇所に左に取水堰堤への明瞭な道が伸びている。
40分程度進むと取水堰堤到着。入渓準備を整え、京都パーティの後から出発する。
太田切本谷取水堰堤
堰堤上から入渓します

平凡な様相だが、水流は結構激しく、序盤で釜に落ちると危険かも・・・少し進むと、先行の京都パーティーに追いつく。
見ると女性がリードして水流に突っ込んでいるではないか!!! リーダーはこの方なのか?!!

しかし、残念ながら突破できず、引き返してきた。
「どんな感じですか?」 と伺い、説明を受ける。 水深は腰まで・・・流されても途中の岩にしがみつけば、その下の釜に
落ちる事は無い事を確認して、「じゃ、チョット行ってみます!」と私が取り付く。確かにまともに水流に抵抗してもムリだが、
両手両足ツッパリで意外とあっさり突破出来た。(*^_^*)
我々のシュリンゲと京都パーティのシュリンゲをつないで、京都パーティを突破させる。やますきーおさんは、
流芯からすこし離れた所でルートを見出し突破する。
序盤の様相
チョット渋い水流突破(カーソル当てて)

このすぐ上で、WEBの記録で見ていた大岩の凹角突破となる。他にルートは無いものかと、周りを見回すと、
左岸岩壁にボロボロになったトラロープが掛っており、昔はこれを利用していた様だ。。。
大岩の凹角はアブミがあると良いとWEB記録にはあったので、一応用意はしてきたが、京都パーティーは先程の女性が
空身で見事突破!
私も荷物を背負ったまま取り付いて見る。トラロープがぶら下がっては居るが、京都の方が言うには、古くて今一つ信頼性に
欠けるとの事。しかし、これが無いとカムを使ってのA0、A1は必須となろう。
左手でガバが取れるも、幅せま凹角に体と荷物が挟まれ、どうにもこうにも身動きとれず。
「凹角に足を入れるとOKですよ」とアドバイスをもらうも、結局、女性に引っ張り上げてもらった(^^ゞ

この先はノッペリした岩をトラバースする所があり、フリクション勝負慎重に突破すると、平凡な様相に戻る。
大岩の凹角突破箇所(写真左)
見事突破!
フリクション勝負のヘツリ

沢床は平凡だが、右岸からの40m滝で落ちる枝沢、さらに左岸から幅せまゴルジュで出合う雨ダル沢・・・ と
”渓谷美を楽しむ沢” という感じ。今日は青い空もあって非常に美しい。
しばらくく進むと、京都パーティに再び追いつく。こんどはもう一人の女性が釜を横断して対岸の凹角から突破を試みていたが、
凹角に這い上がるのに難儀している様子。その間に、正面突破で突っ込んだら、先程の水流突破より簡単だった。
京都パーティーもルートを変え、我々が突破した所から上がってきた。
右岸40m滝で出合う枝沢
雨ダル沢出合
凹角に突破ルート見出すも・・・(カーソル当てて)

この先、難所は無く、梯子ダル沢出合に到着。40mの見事な滝はハイライトのひとつと言って良いだろう。
丁度、京都パーティも到着したので、それぞれのカメラで記念撮影。
梯子ダル沢は”登山大系”によると『伊那谷を代表するルートで次々と出てくる滝は遡行者を飽きさせない』と書かれている。
おそらく次回ここに来るときは、この沢を遡行する事になるので、40m滝を視察。
登山大系では左岸ルンゼ巻きだが、直登するなら水流右端か・・・? 次回のお楽しみだ・・・

京都パーティが休憩。お先に失礼して先に進むと、小滝を左壁をへつって突破する所があり、やますきーおさんが
残置シュリンゲを手にとって突破。私も取り付くと、A0しなくとも余裕。クロモリハーケンに綺麗なシュリンゲが付いているので回収

「京都パーティは悪いが・・・(^。^)」
「後ろに居ますよ!(^_^;)」
「ひょぇ〜〜〜!!!(>_<)」

梯子ダル40m滝(クリックして)
登攀ルート?(カーソル当てて)
やますきーおさん、残置利用するが(カーソル当てて)

インゼルを思わせるような大地獄沢が右岸から入り、その先も、概ね平凡な様相が続く。。。全く滝らしい滝が出てこない。
「なんだかなぁ・・・」
と嘆くやますきーおさんの気持ちも良く解る。

しばらく行くと左岸から顕著な二俣。東熊沢出合かなと思ったが、私の買ったばかり高度計が東熊沢出合より100m低く
指している。ちょうどこの高度で地図には左岸から枝沢が入っているので、やますきーおさんに高度を聞くと私と100mズレていた。
「やっぱりココが東熊沢出合なのかな・・・?」
"ここ東熊沢出合ですよねぇ?(^^ゞ" なんて聞くのも恥ずかしいし・・・
と躊躇っていたら、京都パーティが「それでは」と出発したので、ようやくココが東熊沢出合と確信。
ちゃんと御挨拶できず申し訳ありませんでした。
大地獄沢出合
大地獄沢30m滝
東熊沢出合い

時間は12時。東熊沢にちょっと入ったところで竿を出すも全く反応なし。確かに入渓してから1度も魚影を見なかったし・・・

竿をしまって先に進むと、すぐに2段10m滝。下段のナメ状をフリクションで登り上段は水流左をフリーで快適に直登する。
・・・と間髪いれずに東熊沢ハイライトの40m大滝が水煙を上げながら水を落としていた。
2段10m滝
2段10m滝は快適に直登!
40m大滝

WEBの記録では、この滝の高巻きが苦労するとの事。なかには2時間を費やした記録もあった。。。

・・・が、

やますきーおさんも私も「これは幾らなんでも2時間は掛からないでしょうー!」とちょっと拍子抜け。。。 
高巻きルートはWEBの記録の通りに左岸ルンゼだが10mちょっとフリーで登った所から小さく巻けそう。
狙ったとおり、ルンゼを10mチョット登り、左壁を4m直上。ここから草つきバンドを落ち口方向に斜上し、潅木帯に入ったところで
ザイルを出す。ここから立った壁を1ポイント登るが潅木があるので容易。17,8m程ザイルを伸ばしてピッチを切る。
あとはチョコット潅木帯を抜ければ落ち口上ジャストに出れた。所要時間35分。。。 ここは左岸ルンゼを詰め上がらない様
小さく巻くのがポイントか・・・

大滝上はゴルジュになっているが、沢床は概ね平凡。少し行くと2段10mナメ滝。水流右から取り付くもかなり滑りやすい。
ギリギリのフリクションで1段上がって、水流をジャンプで飛び越し上段は水流左を直登。
「ザイル出すね!」と言ったのだが、やますきーおさんには聞こえなかった様で、下段に取り付くも滑り落ちてしまう。
幸い怪我はなく安堵。ザイルを出して登って来てもらった。
40m大滝高巻きルート(カーソル当てて)
大滝上の様相
2段10m滝。ちょうどここが滑る!

ここを超えるとテン場適地はすぐ。3人ほど横に慣れるスペースが数ケ所有るので、好きな所にビバークすれば良い。薪は豊富♪ 
今日はそんなにハードでは無かったので、焚き火に気合いが入る。遡行しに来たのか、焚き火をしに来たのか解らないくらい
燃やした・・・かも。。。
1900m付近 幕営適地
最初はこの程度だったが・・・(カーソル当てて)
実は超〜暑い!


二日目
6:50発→6:55 1910m右岸枝沢出合→12:00稜線登山道→12:35熊沢岳→13:45檜尾岳→16:35檜尾橋着

どうも、WEBの情報では、ここから先の東熊沢は10m滝、20m滝が出てくるだけで、後はひたすらゴーロを詰めるだけらしい。
そう考えると、実は昨日一杯やった後下見した1910mで出合う右岸支流の70m大滝を堪能したい!という思いに駆られ、
予定を変更して右岸支流を遡行する事にした。おそらく初遡行!?

この右岸支流、本流との水量比は(1:3)。本流から大滝が見えるので、間違う事は無い。
初っ端の70大滝・・・これが、フリーで快適に登れるのが嬉しい! 
右岸支流 初っ端の70m大滝全景
快適に直登! し・あ・わ・せ・・・
大滝上部も快適!

大滝上の4m滝は水流左をフリーで登る。その先のナメ床を堪能すると10m滝! この滝も快適に直登可能!
もう、、この沢に入ったのは正解と言って良いでしょう(^_^)v

4m滝は左から。
ナメが続きます!
10m滝

さらに進むと、4m小滝の奥に20m滝が見える。4m小滝をクリヤーすると(1:2)二俣。右の20m滝の方が水量が多いが、
地図を見ると左の沢筋の方が、稜線近くまで伸びている。ここは悩みどころだが、20m滝を見送り左に入る。
誰か、ここを右に入ってみてくださーい!
左はゴーロとなっているが、100mほど進むと7mトイ状滝が現れる。これは水流左を登る。
20m滝
(1:2)二俣を左に入る
7mトイ状滝

この上で、二俣になり水流は右からのみ流れてくる。その方向にはチムニー滝が行く手を阻むかのように立ちはだかっていた。
チムニー滝の方に進むと水はチムニーからではなく、右の枝沢から多く流れており、左岸岩壁下から水が流れ出ているようだ。

さて、このチムニー滝の登攀だが、2段10mはある。下段は少しかぶり気味なのでザイルをだす。一応アブミも持ってきたので、
アブミも使う。シュリンゲで足りるでしょう。
ホールドはあるので、勢いで上にあがったW、A1。上段は直登は望めず右の草つきから小さく巻くが、ここもザイルを出した方が良い。
我々は一旦ピッチを切ったが、上段の巻きは落石を起こす可能性が高い為、1ピッチで登り切ったほうが良いだろう。
上段の登りは1ポイント脆い所があり、ハーケンを打ってそれに足を乗っけてA0突破。
この滝を巻く場合は右岸かな・・・
奥に2段10mチムニー滝
2段10mチムニー滝の登攀(カーソル当てて)

この先はV字ゴルジュの様相。すぐ上に続く7m滝は快適に登れ、この先は小滝を交えながら高度を稼いでいく。
水は一旦消えかかるが、結構上の方まで涸れずに流れている。岩壁のような6m滝を水流左から直登すると水も涸れ、
草が沢形を覆うようになる。1箇所右巻きした所があるが、尾根に上がらず極力沢通しに進んだ方が良い。
チムニー滝上の7m滝
岩壁のような6m滝
草付きを上がります
右岸岩壁

沢形が消えかかると枝尾根に到着。ここから稜線が見える。草付を選んで進めば早いだろう。我々は最後の最後で、
ハイマツ帯に突っ込んでしまった為、枝尾根到着から稜線登山道まで30分程掛かった。

やますきーおさんはハイマツ帯の藪コギで力を使い果たし、バテバテ模様。時間は12時過ぎ、バスの最終を
チェックしていなかったので、少々不安になる。
稜線到着から20分の移動で熊沢岳に到着。檜尾岳までさらに1時間強。ここから檜尾橋まで、チタケを採りながらも
やますきーおさんの体力も復活し2時間半、16時半に到着した。
最後の詰め
稜線登山道到着!
熊沢岳山頂


P.S:東熊沢1910m右岸支流は大滝も含め変化があって楽しめました。未知の沢をご紹介できたのが何より嬉しいです。
   1900mのテン場から檜尾橋まで行動時間10時間。右岸支流に入ると幕営適地はありません。
   ザイルは30m1本でOK。
   東熊沢1940mで出会う右岸支流にも大滝がかかっており、こちらの沢も楽しいかもしれません。
   私も興味がありますので、誰か遡行したら連絡ください!

概念図(クリックして) 遡行図(クリックして)


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