2011年5月4、5日 南アルプス 波木井川流域 大城川本谷(大ザコ沢)

メンバー:カワハギさん、Ohbuさん
装備:ザイル8mm×30m、50m
地図:七面山、梅ケ島
概念図、遡行図はこちら

昨年、GWに戸栗川流域をカワハギさんと遡行したので、時期でも楽しめる沢(?)として
今年は戸栗川より北に位置する大城川本谷(大ザコ沢)を計画。この沢、登山大系に当時の遡行図はあるものの、
WEBで検索しても記録は無く1992年にわらじの会が遡行したという記録が"目次"に掲載されているだけ。
地形図を見ると登山大系の遡行図と大幅に異なる事が想像され、今回調査遡行する。

アプローチ:FIT
17:35真岡発→19:55桶川北本IC→21:41増穂IC→22:25富士川クラフトパーク道の駅着
初日 6:35ゲート発→6:40入渓(サワシバ沢上)→8:20二俣→9:04赤崖沢出合→11:10白滝沢出合
    →13:26 1300m二俣(行動終了)
二日目 6:30出発→8:40稜線到着→10:25 1796mピークから下降開始→11:40 1320m付近で沢に降りる
    →13:00ヒエトリ沢合流→15:00林道着→15:20ゲート着
     15:35発→17:50雁坂トンネル→19:34花園IC→(高速移動)20:46真岡IC

休日1000円高速が最後になる大型連休とあって、高速はかなり混雑。仮眠をとった
富士川クラフトパーク道の駅は静かで快適。携帯も繋がるしお勧め。
当日朝、R52"大城"交差点にあるコンビニでカワハギさんと待ち合わせし、基点に向かう。
大城川沿いを走る"県営林道豊岡梅ヶ島線"は5/5まで冬季閉鎖でゲートは丁度サワシバ沢出合のところにある。
『登山大系』ではこれより下流で、林道が大城川右岸に渡るところから入渓しているが、下部ゴルジュをすべて高巻いており、
かつ、サワシバ沢出合は巨大堰堤が立ちはだかっている事から、今回入渓は、このサワシバ沢出合上部からとした。
林道ゲート。正面はサワシバ沢
すぐに沢に降ります
本谷入渓

大城川本流に降り立った所は深いゴルジュの様相だが、通過に問題は無い。魚道付き堰堤を抜けると再びゴルジュになり
4m滝。これが直登出来ず右岸を高幕く。10mの空中懸垂で沢床へ戻る。すると、今度は2連続の堰堤。左から堰堤直登を
試み、一つ目は越えられたが、堰堤から降りることが出来ず。2つ目の堰堤の巻きも困難を強いられそうなため、
一旦戻り右岸の大高巻きで越える。ここでカワハギさんのカムを紛失してしまったm(_ _)m (ここも懸垂must)
4m滝(カーソルあてて)
2連続堰堤(カーソルあてて)

降りたところは555mに位置する二俣。どちらの沢も堰堤が見える。本谷は右。堰堤を越えるとさらに3つの堰堤が連続。
ここからようやく沢通しに進む事になる。4m滝を左から越えると両岸側壁は垂直に切り立ち見事なゴルジュとなる。
沢床は平凡なのが救いだ。

両岸が開けると、695mに位置する赤崖沢出合。本谷は左に屈曲しているので間違いやすいので注意。
高巻き途中から見た二俣
見事なゴルジュを進む
赤崖沢出合

本谷は悪いゴルジュになっており、6m滝は尖ったリッジを登り、空荷で1.5mを登って終了。この先、悪いゴルジュのまま
15m滝に行く手を阻まれる。この滝の上にも12m滝が控えている。右岸、左岸とも高巻きは困難。一応右岸を選択して、
ザイルを出し、しつこくTryしてみた物の岩は脆く、打ったハーケンが抜け3m落ちして断念・・・
100m程行き返し、先ほど登った6m滝上で左岸に弱点を発見。しかも古いトラロープがぶら下がっていた。
これを利用して左岸を高巻く。極力小さく巻こうとするが、上に控えている12m滝を写真に収めるのが精一杯でかなりの高巻きを
強いられ、左岸の大ザレから沢床に降りる。
本谷ゴルジュ6m滝
15m滝にて
脆い右岸壁(カーソルあてて)
左岸高巻き途中から12m滝

ここからは、難所という難所はなく。現れる滝もせいぜい5m程度。しばらく進むと広河原となろ右岸から白滝沢が出合う。
『登山大系』を見ると、ここまでが大城川本谷の核心らしい。。。やはり、崩壊&堰堤で核心の半分くらいが埋まって
しまったか・・・???
小滝3連続
3m滝(カーソルあてて)
白滝沢出合

沢床は、870mで(4:3)で左岸から枝沢を過ぎた後も概ね平凡。"3m倒木有"でカワハギさんが倒木からおちて頭から
釜に落ち笑いを誘う。5mナメ、3m、4mと小滝を超えて行き、左岸大ガレがあるインゼルを越えると、行動終了地点と
していた1290mの二俣に到着。この二俣、右は、ただのガレ沢で水は流れていない。左に少し入って右岸に段状に
良いテン場2,3見つけ今日の行動を終了した。時間はまだ13:30前・・・薪は豊富で昼間から酒を飲み続ける。
"3m倒木有”
問題ありません
この様相で1290m二俣へ


二日目
ここからも、小滝を交えた平凡な様相で高度を稼ぐ。『登山大系』に40mと書かれてある滝は9m多段滝とその上の
5m滝のことだろうか?
右岸大ガレを見てさらに小滝を越えていくと三俣となる。左俣と中俣に水が流れるが、ここは2条6m滝がある中俣に入る。2条6m
は水流右に取り付くが一段上がった後がチョイト嫌らしく。岩が脆い事もあり、水流左から小さく巻いた。(ザイルちゃんとを出せば
登れると思う。)
40mと書かれた滝の一部か?
右岸大ガレ
三俣から見える中俣の2条6m滝

この後6m滝を水流右端から直登し、2条滝かと思わせる二俣になる4m滝を右に入ると水流の音が聞こえる伏流となる。
この音も聞こえなくなり沢形を詰め左の小尾根に上がると尾根の反対側は大ガレとなっていた。
小尾根をあがり傾斜が緩くなってくれば稜線登山道もすぐ。歩き出して2時間10分で登山道に到着。
6m滝
4m滝
伏流を上がる
稜線到着です♪

あとは登山道利用で下るだけなので「こりゃー高速道路の渋滞の影響をあまり受けずに変えれそうだねぇー」と八絋嶺方向へ
向かって歩き出したのはよかったが、いくら進んでも地形図で1796mピークから伸びる下山が見つからない。
「ひろたさん、行き過ぎ何じゃないですか?!」
「あれー?分岐見落とした?」
と引き返し、明らかに1796mピークと確信できるところに戻ったが、登山道の痕跡が全く無かった。
「廃道かぁー・・・!」
「それにしても全く跡形もないねぇ」
と、磁石をにらみながら尾根沿いに下る。途中踏跡を見つけ尾根に上手く乗れた事を確認するが、赤テープすらも皆無。
しばらく尾根をキープしつつも結局見失い南側の沢筋に引き込まれ、"面倒だから沢で下ろう" という事になり、
1300m付近で沢床降りた。

幸いにもこの沢筋は非常に下降に適しており、カワハギさんが岩角で指を切ってしまうアクシデントはあったが、嫌なゴルジュも
無く良いペースで下る事が出来た。
”四ノ池”ここまで進むと行き過ぎ
標高1300m付近で沢に降りる
ヒエトリ沢に合流(右から降りてきました)

ヒエトリ沢にぶつかると、もう林道もすぐ! と思ったのだが、このヒエトリ沢が悪かった。両岸が立ってきたと思うと、いきなり
15m滝。この滝から下は深いゴルジュになっており、この滝は懸垂で降りることは可能だが、次の滝が屈曲した形で水を
落としており、支点となる潅木も無く、仮にハーケンを残置したところで懸垂で降りれるかが判らない状況。
「ちょっと偵察してくる」と言ったものの、この15m滝は懸垂すると空中懸垂になるので
万一の事があるとゴルジュから脱出不能になる恐れがあるためゴルジュ下降を断念。

となると、高巻きになるわけだが、右岸は100m以上の壁なので左岸しか選択肢は無いのが15m滝手前からずーっと垂直壁に
なっており、弱点を探す為にどんどん来た道を戻ると結局降りてきた沢筋の出合付近まで戻らされた。
「ここかなぁー?」
といった場所も急なザレ。50mザイル目いっぱい伸ばして安全圏に入る。
ヒエトリ沢15m滝
懸垂で降りても次の滝が・・・
50m1ピッチで左岸を大高巻き

15m滝上から見た"次の滝"の正体を確認する事が出来なかったが興味半分で、弱点からゴルジュ下部へ降りていく。
10m滝下に出た。この滝も懸垂下降するのは面倒で少なからず、左岸の高巻きは正解という事になる。
この先も切り立ったゴルジュだが出口の4m滝は左岸側壁を経って降りることが出来た。

沢床が広がり左岸から池ノ沢が入り大堰堤右岸側にようやく本来あった登山道が姿を現す
しかし、この道も途中崩壊しており、トラロープはあるものの、かなり緊張を強いられる箇所がある。
この登山道が登っていくと林道"梅ヶ島線"にぶつかる。登山道入り口の道標はもちろん無く、林道からは
全く気付かないだろう。ここから、20分の歩きでゲートに到着した。
10m滝下で沢床に降りる
ようやく出てくる旧登山道
林道までの登山道も一部崩壊

P.S:大城川本谷は下流部の堰堤の影響で核心部が多く埋まってしまったようだ。ただ、現存しているゴルジュは威圧的で
   登山大系での遡行時間が14〜16時間というのも想像に難くない。1796mピークからの下山道が無いため、
   下山の方がテクニカルな印象。安全に帰るなら安倍峠に車を1台でデポを薦めるし、日帰り遡行も可能です

大城川本谷概念図(クリックして)
遡行図(クリックして)





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