2011年5月14日 南アルプス 早川流域 春木川 大滝沢

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×50m、カム#0.5
地図:七面山
遡行図はこちら

高速道路休日1000円も、残りひと月・・・GWから”身延周辺の沢集中”というころで、今回は日蓮宗の信仰の地とされる七面山に詰めあがる
春木川をチョイス。遡行対象となる沢は大ガレを擁する大春木沢がこの山域の特徴を顕著に表しているが、相互リンクさせていただいている
『山登魂』さんが記録を残していることもあり、今回は本流筋となる最奥の大滝沢を選択。当初、二人で1泊二日で行く予定だったが、
相方が体調を崩し、急遽単独になり、ならば日帰りで片づけて、翌日雨畑川ギョウザを遡行する計画で家を出た。

16:33自宅発→18:04花園IC通過→18:21鶴ヶ島JC通過→19:42双葉SA(仮眠)、4:10同発→5:05羽衣着
5:28基点(羽衣)発→5:55大春木沢出合→6:35 30m大滝→10:55上部ゴルジュ入口→13:20大春木沢境界尾根→13:45七面山山頂
→15:45(羽衣)着

北関東自動車道が繋がったおかげで、アプローチは一気に楽になる。県道37号線上では携帯は繋がるが、春木川に入っていくと携帯(softbank)は
繋がらない。
駐車スペースは結構多いが、信仰登山をする人が多いので、登山道近くの駐車場はすぐに埋まってしまう様だ、幸い1台分のスペースを見つけ
入渓準備を整える。

羽衣から先は林道が大春木川まで延びているが、ゲートで塞がれていて侵入不可能。大春木沢出合まではこの左岸林道を利用。
大春木沢を跨いで、本流大滝沢にかかる巨大堰堤上から入渓する。左岸には、釣師がつけたと思われる赤テープが点在している。
基点の羽衣(カーソルあてて)
大春木沢出合
ここから入渓します

沢が右に大きくカーブしていくと遡行開始といった雰囲気。この辺りには魚影もあり。左岸1枚岩壁を見、右岸から枝沢が入ると、この沢の名前の
由来だろう大滝が姿を現す。『登山大系』には40mと書かれてあるが、せいぜい30m滝。とても登れる様な滝ではなく左岸を高巻く。
小さく巻こうとしたらトラロープまで付いてる巻き道に合流。
この巻き道は大滝上のゴルジュも一緒に巻くようになっているが、"ショートカットコース"と言わんばかりにトラロープが沢床に向かって伸びている
箇所があったので(途中切れてたけど・・・)ザイルを出さずにゴルジュ内に降りる。
岩は発達した感じで、渓相はいい感じ。大滝越える魚影は見なかったが、例の赤テープはまだ見るので、実際は居るのかも・・・?
大滝沢の始まりです・・・
30m大滝(クリックして)
大滝上の様相

ゴルジ内は厄介な滝は無く難なく通過。右岸から細流が入り、その先で840mで出合う(1:3)二俣を右に進む。小滝をいくつか越え、
両岸が立ってくる所で倒木のある4m滝。今日はアクアステルスなのでチョット登れるのか不安だったが、水流右を何とか突破する。
ゴルジュ無いの小滝を快適に越えていくが、「これはマズイんじゃない?」という2m程度の小滝が現れる。滝の大きさの割には高巻きは
かなり巻き上げられそうなので、何とか突破したい所。右から取り付いて水流に近づき、水流中の細かいホールドに手を突っ込んで
体半分水を被りながら何とか突破出来た。
840m付近 (1:3)二俣
渋い倒木のある4m滝
もっと渋い2m小滝

さらに小滝を越えていくと左岸ガレた所に6mヒョングリ滝。右岸を小さく巻き6m滝落ち口上に出るとゴルジュになっており、さらに3つの小滝が
控えていた。ヒョングリ滝落ち口上で左岸に渡り一つ目の小滝を巻いて2つ目の4m滝側壁にあるバンドに飛び移ったら着地で足がすべり
2m下の釜にドボン! 幸い流される事も無く、そのまま右壁を直登して4m滝を越える。ゴルジュ出口の小滝は両手両足ツッパリで突破した。
このゴルジュまとめて簡単に巻けます。
6mヒョングリ
滝上はゴルジュ
出口の滝は両手両足ツッパリで超える

このすぐ上に2段10m滝があり手が付けられず左岸を高巻く。降りれるポイントが近くに無く、左岸枝沢を利用して下降。
ここを過ぎると右岸に絶好のテン場適地が広がる(1000m付近)。ここまで羽衣から3時間なので1.5日で遡行する場合にはお勧めでしょう。

1040mに位置する右岸枝沢を見送ると9m滝。水流左から取り付けそうな気もするが、岩は脆そう。単独なので無理せず左岸巻き。
その先の2段7m滝は結構濡れるけど直登。小滝を一つ一つ越えていくと、特徴的な3m幅広滝。すぐ後ろに6m滝、さらに右岸枝沢の滝が
背後に見え綺麗な所だ。
2段10m滝(左岸巻き)
9m滝(左岸巻き)
幅広3m滝

この先は概ね平凡な様相で詰め上がる。当初テン場として計画していた1240m付近も整地すれば1張りくらいなら何とかなりそうな感じ。
(羽衣から4時間半)

この先、右岸から18m滝で出合う枝沢が入る。2条5mは水流右端に取りつくも意外と渋く、一回岩がはがれ落ちるが、はがれた所に
木の根が見え、2回目にこれを利用し何とか抜けられた。

さらに小滝を越えると両岸ガレになっている所があり、この先で『登山大系』に書かれていた核心ゴルジュに到着。入り口の6m、6m
二つの滝は最初の滝が渋く、倒れた木に背中を押し当てバックアンドフット体勢で何とかクリヤ。
右岸枝沢18m滝
渋かった5m滝(右端から直登)
上部ゴルジュ(カーソルあてて)

ゴルジュの側壁が切り立って来たところで3mヒョングリ滝が行く手を阻む。。。高巻きは非常に大きく巻かなければならず、ゴルジュも
この滝を越えれば何とかなるので、ここは直登したいところだ。 水流右の凹角しか選択肢は無いが、スタンスは右壁にしか無いので、A0必須。
まずハンマーを投げるが上手く行かず。右壁に足を乗っけて、クラック目掛けてカム#0.5を軽くジャンプする感じで一瞬で決めた。
そこにシュリンゲをかけ足をのせて上がると、大きめの岩で右手でガバが取れた。ただ、この岩が若干動くのですよ・・・
それでも手段はこれしかなく。不安定な体制でカムを外して腕力で体をひきつけ右壁を足で押さえる形でなんとか上がった。
ここはショルダーもしくはアブミが1個あるとかなり違うと思う。カムは必須か・・・?
両岸側壁40m以上のゴルジュ内は、案の定、難所は無く第1の関門は抜け、二俣になり、ここを右に入る。
3mヒョングリ(カーソルあてて)
突破手法(カーソルあてて)
滝がなくてホッとする
ゴルジュ内二俣(右に入ります)

すぐにゴルジュになり5m2条等の小滝をいくつか超えていくと。絶望的な10mCS滝に出くわす。少し戻り左岸ルンゼから高巻くがショートカット出来ず
ルンゼ最上部まで登っての高巻きとなった。下降はザイルを使わず降りれたが、スリリングな所もあるのでザイル出した方が良いでしょう。

ゴルジュはまだ続き左岸1枚岩のある3段7m滝は水線通しで登れたが、その上の10m滝が登れない。
ここは左岸草付きを利用して小さく巻く。2m感覚で潅木があるのでこれを上手く利用できた。これで、上部ゴルジュは終了。
ゴルジュは続く
10mCS(クリックして)
3段7m
登れない10m滝

少し進むと二俣。振り返れば富士山も見える。左はガレで水流は右ということで、右に入る。30mほど入って右岸に少し上がると整地すれば
使えそうなテン場がある。窓ガラスの破片も見つけ、ここに作業小屋があったのだろうか・・・?

滝はもう無く、伏流となって沢形を残すのみ。獣道が行ったり来たりしている。最後まで沢形近くを詰めると、隣の大春木沢を別ける尾根に出た。
大春木沢の最上部のガレは圧倒的で、ここを上がってくるのはかなりハードだ。

ここからも獣道利用&ひざ下までの笹ヤブ程度で稜線登山道に到着登山道は明瞭で5分も掛からず七面山に到着。
上部ゴルジュ上の二俣
隣の大春木沢の大ガレ
七面山山頂

帰り道途中にある敬慎院は立派なお寺でお坊さんが出迎えてくれた。日蓮宗以外の人でも6000円弱で宿泊可能らしい。
この正門から富士山が正面に見え、なかなかの演出。そして、そして、このお寺を目指して日蓮宗の方々が全国から登ってくる。
子供からなんと80歳まで・・・最後には白装束のお坊さんが太鼓をたたきながら"南無妙法蓮華経"を唱え
というか、疲れもあってヤケクソな感じにも聞こえるが)隊列をなして上がってる。
いやぁー宗教ってスゴイですね。何人かお話を聞いたけど、さすが宗教人、気さくな人が多かったな。。。
敬慎院
門を出ると正面に富士山
私はレジャーですが、こちらは修行です

無事基点に戻り、翌日のギョウザを目指し雨畑川林道を目指したのだが、台風1号の影響で遠沢ゲート間でしか入れないということが判り、
断念。。。ヴィラ雨畑で温泉に入ると、
アウトドア好きの若者と話が盛り上がり、楽しいひと時を過ごすことができた。ギョウザは今年も行けなかったが、これもよかろう。。。

P.S:この山域にしては崩壊はそれ程でもなく。渓相は良い感じでした。なんとか切り抜けた3,4m程度の小滝を巻くとちょっと面倒な巻きになりそうです。
   沢慣れした人であれば単独でもアブミ&カムを持って行けば大丈夫だと思います。ザイルは念のため40m以上1本を持っていったほうが良いでしょう。
   テン場は整地すれば何箇所か見つかります。稜線のお寺で泊まるのもよいかも(予約要)・・・

遡行図(クリックして)





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