2011年8月14〜16日 南アルプス 遠山川 加加良沢→利検沢下降

メンバー:kagiyamaさん、やますきーおさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、2本、カム
地図:上町、光岳
遡行図、概念図はこちら

ここ数年、お盆の時期に行く沢は天気の都合で計画通りに行ったためしが無い。今年も北又谷を計画しては見たものの、天気の都合で
転進先を考えなければならず、そんな時、”山登魂”さんの加加良沢の遡行記録が目に留まり、そんなに難しく無い様に書いてあったので、
同沢に予定変更。この沢、実は登山大系を見て、以前から気になっていた沢の一つだった。。。
”山登魂”さんは下降路に加加森沢を使ったので、我々は西側の利検沢を下降路に選択してみた。

15:15真岡発(真岡IC)→19:08飯田IC→20:36梨元ていしゃば着、5;25同発→5:40基点P
初日: 5:55基点発→6:40加加良沢入渓→9:15加加森沢出合、10:47同発→14:40核心ゴルジュ入り口(1210m二俣)
    →17:00ゴルジュ内(1335m付近)で行動終了
二日目: 6:45発→7:55核心ゴルジュ終了→8:12銅山跡大ガレ付近幕営適地→9:30奥ノ二俣(右俣へ)→12:05稜線登山道(池口岳往復)、
       13:35稜線移動開始→15:20利検沢下降開始→17:00 1345m付近テン場
三日目: 7:00出発→11:15遠山川合流、11:40同発→12:14基点P着


メンバー全員、13日も休みのため、15時に真岡を出発。北関東自動車道の開通で飯田までもストレスフリー。仮眠場所は国道152号線、
遠山川右岸林道基点にある”梨元ていしゃば”。なんと、ここは無料で畳の部屋で仮眠が取れる。なんと寝具も無料で借りれるのだ。
夜中到着してもスタッフの方が夜通し待機しておりお茶も飲めるし至れり尽くせりのサービス。 どうも、地元観光課が今シーズンお試し企画で
7/15〜8/21まで、このようなサービスを行っているようだ。利用者からのアンケートを含め、来年以降継続するか見極めるらしい。

すでに、先着した登山客も居るようなので、外でテントを張らせてもらう。もちろんこれも無料で問題なし。

山登魂さんの記録を見ると、6時過ぎに出発して、初日に核心ゴルジュを抜け幕営しているので、我々も4時半起床。 遠山川右岸林道は舗装&
フラットダートだが車1台がやっと通れるくらいのスペースしかない。この林道は利剣沢出合から300m手前。須沢集落から降りてくる村道と出合う
所まで車で入れる。駐車スペースは2台程度。ここから林道を歩きだす。林道から見る利検沢はなんか貧弱な感じだ。。。
林道が左岸に移るとヒルが多数出没。先頭を歩いていた私はまったく被害なしだったが、後ろを歩いている二人は大騒ぎしていたようだ。
梨元ていしゃば
ゲート手前駐車スペース。
利検沢出合

再び林道が右岸に移ったところで加加良沢の出合が見える。橋を渡らずそのまま左岸につけられた踏跡を利用すれば難無く加加良沢に降り立つ事が
出来る。
水は白濁しているが、増水しているわけではなく、元からこの様な水質みたい。地形図では加加森沢出合までゴルジュ地形になっているが、
通過に問題は無く、泳ぎもない。滝らしい滝は7m滝が一つ出てくる程度。
林道の橋から加加良沢出合を見る
加加良沢の遡行を開始
7m滝

2時間半ほどで加加森沢出合に到着。水量比は(1:2)で加加良沢の方が多い。加加森沢の水は透明で白濁原因は加加良沢の上流部に原因が
あるようだ。
ここで大休止。出合にもテン場はあるが、加加良沢に入ってすぐ広河原になりさらに絶好なテン場がある。
地形図で屈曲したところも難所は無く、沢通しで通過。940m付近で左岸枝沢が出合う付近のゴルジュも一見悪そうに見えるが、水深も浅く、
出てくる滝も4m前後のものばかりで、突破にさしたる難所は無い。

加加森沢(左)出合
940m付近の左岸枝沢(正面)
特徴的な4mトイ状滝

1040mと、1075m付近で左岸から顕著な枝沢が入る。ここまでは幕営適地点在。この先のゴルジュで初めて直登不能な5m滝が現れる。ここは左岸を小さく
巻くが、次の5m滝も登れないとゴルジュから出られなくなりそうなので、一緒に巻いて、8m程の懸垂で沢床に降りる。
1040m左岸枝沢
1075m右岸枝沢
直登不能な5m滝
高巻中。次の滝も一緒に巻く

このあたりから、滝が多くなってくる印象。右岸岩壁から落とす50m滝を過ぎると。核心ゴルジュのスタートとなる1210m二俣に到着。記録によると、
ここから始まるゴルジュは、早くて抜けるのに2時間。実質3時間は掛かるようだ。時間は14:40分。ちょっと遅いのは解っていたが、先に進むことにした。
最初の2条10m滝は岩がノッペリしている様なので、あまり良く見ず右岸枝沢から巻いたが、直登出来るらしい。2条10m滝すぐ上に出たかったが、
トラバースが嫌らしそうだったので、致し方なく大きく巻いて本流に近づいた。すると、そこから壮絶ゴルジュが姿を現す!
沢床に降りようという気持ちすら起きず、このまま右岸を高巻いていく。
滝が多くなってくる印象
右岸枝沢50m滝
核心ゴルジュ入り口の1210m二俣(カーソルあてて)
壮絶ゴルジュ(クリックして)

沢からあまり離れないように右岸高巻きを続けると、全面垂直壁に覆われた円形ゴルジュ内に10m程度の滝を落とす所の上に出た。
20mの懸垂で降りれるが、降りたあと10m滝が登れないと、ゴルジュからの脱出が非常に厄介になりそう。10m滝右岸側にトヨ状で水を落とす所が
見えるが、そこから突破出来るのか上から見ると的確に判断が出来ず、一旦諦め、そのまま右岸を高巻き続けようとしたが、深いルンゼが行く手を阻み
トラバースポイントが見いだせない。仕方なく、もう一度下って、3人で10m滝を上から見る。kagiyamaさんの「これは登れるでしょ!」との力強い発言があり、
私が偵察として懸垂で降りると、いとも簡単に突破出来た。ここの判断で15分くらいロスしただろうか・・・?
円形ゴルジュ内10m滝ここを降りる(カーソルあてて)
10m滝を下から見る(カーソルあてて)


こうして、無事沢床に戻れたが、ゴルジュはまだまだ続く。次に現れる7m滝も難しく、その上に控える滝が絶望的なので、一緒に右岸から巻く。
巻き上がると10mハング滝があり、この上に出た。しかし、その上の6m滝がまたしても直登不可能で、今度は左岸巻き。15m懸垂で滝上に出る。
ここで、時間は16:45分。ここに整地すれば3人寝れるスペースを発見。前方には登れない5m滝の連瀑が控えている。薪も充分あるので、
「ここで終了しますか?」と提案するが、「抜けちゃおう」という事で、先に進む。。。
7m滝
10ハング/6m滝(カーソルあてて)
5m連瀑手前に緊急ビバークポイント発見


先に進むといっても、5m滝は登れずまた左岸巻き。しかし、ここは割と素直に高巻完了。右岸には40m滝があり、次に控えるのは2段4m滝、2条4m滝。。。
”これも巻きか・・・?”
時間は17時。なんと、ここには先ほどより落石の危険が少ない幕営可能ポイントがある。薪も充分あるし、核心ゴルジュを今日中に抜ける必要も無いので
今日の行動をここで終了した。10分ほどの整地で綺麗なテン場が出来上がった。
5m滝の連瀑を高巻く
4mの連瀑(ここで終了)
意外と快適なテン場となる。


二日目
シュラフカバーのみだったので、足がちょっと寒かった。  昨日、”巻か・・・?”と思った2段4m滝、2条4m滝は取りついてみると簡単に突破可能。
やはりこの先もゴルジュが続いており、ゴルジュ内で幕営したのは正解だったようだ。沢が右に直角に曲がると10m滝上で出合う顕著な二俣
ここは奥の凹角に取りつき直登。二人にはザイルを出す。V+
4mの連瀑(カーソルあてて)
10m滝上で出合う二俣
奥の凹角に取りつき直登

左の本流に入り、5m滝を小さく右岸高巻きで超えると、核心ゴルジュがようやく終了。やはり核心ゴルジュを抜けるには3時間は掛かる計算だ。
ここから滝は無いものの、両岸はまだ切り立っており、絶好のテン場が点在する銅山跡ガレ場には、さらに20分ほど歩く。
核心ゴルジュを抜けた直後の様相
右岸枝沢90m滝
銅山跡ガレ場

しばらく平凡な様相を進むと、6m滝。左からザイルを出して登ったが、右から超えた方が良いかも。この先狭いゴルジュになっているが、通過可能。
少し進むと、奥ノ二俣に到着。水量比は(2:1)で左が本流。加加森沢下降で下山する場合は本流を。我々は利検沢を下降するので右に入る。
地形図には書かれていないが、池口岳から加加森山の間も登山道が通っているので、それを前提にどちらに進むか決めれば良いでしょう。
6m滝(カーソルあてて)
6m滝上の狭いゴルジュ
奥の二俣(右に入る)

右俣に入ると、しばらくは平凡な様相。だが突如9m滝が現れる。kagiyamaさんが右岸巻に入るが落ち口へのトラバースが出来ないらしい。
ここは右のザレで巻く。この滝上はゴルジュ地形の連瀑になっているがそのまま右壁を歩いて行けるので問題ない。ゴルジュ出口の12m滝
水流右のリッジを快適に直登できる。
右俣に入ります
9m滝(カーソルあてて)
12m滝(カーソルあてて)

大きな滝は、これでほぼ終了。小滝を直登しながら上部に詰めあげていくと、今まで無かったナメ床が続くようになる。水流が消えてからは右岸に
あがり、藪漕ぎ無で2156mピーク付近の稜線に出た。折角なのでザックをデポし、池口岳を往復してくる。往復1時間半。
癒し系のナメ床
源頭部様相
池口岳山頂にて

さて、利剣沢の下降に向け登山道を下る。稜線にも良いテン場があり、単独登山者がテントを張っていた水は無いが。。。  1902mピークを超え、
1820m鞍部から下降開始。平凡な様相が延々続き、下降には好都合。しかし、両岸V字形状の沢で、良いテン場がなかなか見つからない。1345mまで
下ってようやく絶好のテン場を発見。今日の行動を終了する。
稜線上幕営適地
利剣沢上部の一般的様相
1345m付近の絶好のテン場(左岸)



三日目
テン場を出発すると、すぐにゴルジュ。7m滝が下降できず、そのまま左岸を巻いて下降するが、こちらもルンゼが入っており素直に下降できない。
ザイルをワンポイント出して、ルンゼを横断。そこから急なザレ場を降りてゴルジュ全体をクリヤー。その下の6m滝はクライムダウン可能。
概ね平凡な様相が続くのだが、我々が幕営した1345mから下はしばらく良いテン場は無い。再びゴルジュになるが、ザイルサポートでのクライムダウンや
小さな巻きでクリヤーできる。
テン場から下降直後のゴルジュを左岸巻きで下降
6m滝をクライムダウン
ザイルサポート下降の3m滝

1050m位まで下降をしてようやく、次の幕営適地が現れた。さらに下降を続けると左岸にワサビ田跡を見、9mヒョングリ滝を右岸巻きで降りれば、
遠山川も近い。最後の最後は河原状で遠山川に合流。
対岸に渡る橋はすぐそこ。。。無事基点にもどり3日間の遡行を終了した。
快適に下降
左岸ワサビ田跡
9mヒョングリ滝
遠山川到着♪


P.S:加加良沢は増水しなければ特に難しい沢ではない。核心ゴルジュを抜けるのに3時間は掛かるが、2時間進めばゴルジュ内も幕営可能なので、
   それを念頭に遡行計画を立てれば良いでしょう。
   池口岳登山口に車をデポできれば、1泊二日で加加良沢の遡行も可能。核心ゴルジュを初日で抜けられれば、利剣沢下降でも1泊二日で抜けられる
   と思います。ザイルは30m2本、もしくは50m1本でOK。40m1本だと核心ゴルジュ内の懸垂でロープが届くか微妙。。。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)




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