2011年9月15,16日 中央アルプス 正沢川 細尾沢→玉ノ窪沢下降

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m、カム(使用せず)
地形図:木曽駒ヶ岳
遡行図はこちら

昨年、登山大系をパラパラめくっていると、明るく癒し系の沢ということで、正沢川が紹介されていた。。。今月まで木金休みになので、単独遡行になったときは・・・ 
として温めておいた。 有休を所得し2泊3日の日程が取れたため、、当初、1泊2日で細尾沢、3日目に、支流の幸ノ沢を遡行する計画で家を出た。

アプローチ:フィット
6:22自宅発→6:45真岡IC→19:30太田桐生IC通過→21:56辰野PA、5:03同発→5:12伊那IC→5:58木曽駒高原スキー場(基点)着
初日: 6:55木曽駒高原スキー場発→(茶臼山コース)7:10正沢川入渓→8:40玉ノ窪沢出合→9:25細尾沢出合→11:00細尾大滝上
     →12:35 2300m付近左岸絶好のテン場→13:05 2440m(1:1)二俣 (幕営地探し)→13:50行動終了
二日目: 6:20発→7:30稜線登山道(木曽小屋)着→7:45駒ヶ岳山頂、7:50下山開始→8:05玉ノ窪小屋→8:40玉ノ窪沢下降開始
     →10:35 30m大滝下→11:30正沢川出合→12:45茶臼山登山道横断点(焚火休憩)→13:40木曽駒高原スキー場着

休日1000円高速も終了してしまった昨今、高速を長距離乗る場合は深夜割引を利用するしかなくなった。伊那ICで降りる場合、辰野PAが
一番近いが、小さいPAなので仮眠には今一つ向いていない。

翌朝、伊那ICを降り、閉鎖されてしまった木曽駒高原スキー場を目指す。案内板もあるので特に迷うことも無いでしょう。スキー場入り口から、つづらおりの
道を登っていくと、かつてのメインゲレンデに出る。現在ここが基点駐車場となっている。softbank携帯はここまで入ってしまうと繋がらない。
車は、さらに奥に入れ、正沢川方面は、幸ノ沢を横断する橋まで、幸ノ沢遡行の場合は福島Bコース方面に入ると結構奥まで入れそうだったが、
フィットだと底を擦りそうなので、メインゲレンデから400mほど進んだ所で駐車する。
二日目の晩はこのあたりで幕営する予定なので、幸ノ川の河原を偵察しに行くが、河原は全く無く、テン場適地が全く無い。
駐車したスペースから少し奥に入るとスキー場の貯水施設だろうか、そこから水が流れでいているところがあり、水は得られるので、
二日目の晩は車で寝ることにして、遡行準備に入る。
木曽駒高原スキー場の駐車場
少し奥に入って駐車
幸ノ川橋(車はここまで)

正沢川入渓点は茶臼岳方面に進み、途中 ”茶臼岳コース” と ”沢登りコース” に分かれるが、前者を選び早めに入渓。正沢川横断点には
簡易吊り橋が掛かっている。

正沢川は至って平凡。一つ一つの岩が大きいので、割とカッタルイ。1時間半歩いて玉ノ窪沢出合。さらに40分弱歩くと細尾沢出合になる。
玉ノ窪沢出合
細尾沢出合

細尾沢に入っても平凡。最初に現れる5mナメは良いアクセントになる。ここは水流右端を登る。今回は簡単な沢という事でアクアステルスを履いて来たが、
やはり滑りやすい。
再び平凡な様相になるとすぐに細尾大滝が左から入る。水流右を登れるとも聞いたので見てみるが上部の壁がのっぺりしており、結構悪い。
これが丹沢だったら、ムリヤリ登らされる場合が多々あるが、定石通り左岸の高巻きに入る。左岸すぐ横には岩壁があるのでさらに奥から取りつく。
岩壁上を横断すると、踏跡があり、落ち口に向かってトラバース。行き詰まるとさらに上に登るようだが、そのまま強引にトラバースを掛けると
落ち口5m程上に出る。さらに5m程の滝が上にあるが、水流を横断して滝上に上がれた。通常の高巻きはこの5m滝の上に出るはずだ。
細尾沢に入って最初の5mナメ
細尾大滝
小さく高巻く(カーソルあてて)
滝上から(カーソルあてて)

大滝上は岩盤が発達した明るい様相。30秒も歩けば、左岸から枝沢が入り、持って行ったトポにあるテン場に到着。岩を敷き詰めた感じのテン場で、
増水にも耐えられないので絶好とは言い難い。しかも時間はまだ11時過ぎ・・・いくらなんでも早すぎ。 さらに先に進むことにする。

ここからは、4m前後の小滝が現れる。明るい様相でこの辺りからが細尾沢のハイライトと言って良いだろう。晴れた日に遡行できたが、晴れると逆光に
なるのがちょっと残念。(笑)  もちろん登攀に難しい箇所は一つも無く、完全癒し系だ!
細尾大滝すぐ上のテン場
癒し系小滝-1
癒し系小滝-2

7mナメを超えるとハイライトの14m大ナメ。かなり良い感じです。さらに10m2条ナメ、2段12m滝上で(1:2)二俣。ここを右に入り少し行くと、左岸からガレ沢
入るがこの手前に絶好のテン場が左岸にある。広々としたところで、いくつか見つけた中では、ここがBESTか!?
7mナメ
14m大ナメ
2段12m
1:2二俣(2305m)
左岸ガレ沢(この付近に絶好のテン場あり)

良いテン場を見つけたと行ってもまだ12時半過ぎ。。。標高は2300m超えており、”もしかして、細尾沢って日帰りの沢・・・?” と予習が少ないとこういう事が
起きやすい(^_^.)
稜線上に立つのは時間的に問題ないが、焚火無し、水無し・・・では、まったく面白くないので、まぁ今日はもう少し先まで行ってのんびり
することにする。計画では登山道を下る予定だったが、明日も時間が余ってしまうので、隣の玉ノ窪沢を下ることを考える。

ここからトイ状3段滝を超え、平凡な様相を少し進むと、右岸から水の流れるガレ沢が入り(2390m)。ここの右岸にも石を敷き詰めたテン場がある。
ここから先は良いテン場が無いので単独以外では、ここで行動を終了した方が良いでしょう。
もちろん、そうとは知らず、さらに先に進んだ。
トイ状3段滝
2390m右岸ガレ沢が入る。ここが最後のテン場がある
最後のテン場?

小滝を超えていくと2440m地点で(1:1)二俣。地形図を見ると右が良さそうなので右に入る。時間は13時過ぎ。さらに詰めていくが良いテン場は無く、右往左往。
2440mの二俣まで戻り、左に入ると30m程上がったところに明らかに人が整地した跡を発見。一人なら十分な広さだ。今日はここで行動終了する。
薪をかき集め。のんびりモード。この日はまだ夏の高気圧が張り出し下界は真夏の陽気だが、タープだと0℃用寝袋+シュラフカバー、保温シャツ+カッパででも、
ぬくぬく感は無かった。。。
2440m二俣。右に入るがテン場無し。左に入り30m上にあり
2470m付近で幕営



二日目
4時半に起きるとオリオン座が見えていた。6時半前にテン場を後にする。2440m二俣までいったん下り、右に入る。振り返ると槍、穂高の山々が朝日を
浴びて美しい。右岸から2本枝沢が入り、その先で(1:1)二俣は左に進路をとる。少し進むと水量も一気に減る。
北アルプスの山々が見える
右に入ります
最後の1:1二俣(左に入ります)

持ってきたトポを見ると、"駒ケ岳山頂がはっきり分かるので、そこに詰めあげれば良い" なんて書いてあるが、下から見ると稜線はなだらかで、どこが山頂なのか
解らない。。。 水も涸れると導かれるように稜線にガレが伸びており、それをたどって詰めあげていくとちょうど木曽小屋の所に出た。
地図を広げると駒ケ岳山頂はここから直ぐなので、荷物を背負ったまま山頂に立ち寄る事にした。
駒ヶ岳山頂は解らないが導かれるように詰めていく
最後の詰め
ほぼピッタリ木曽小屋に出た。
駒ヶ岳山頂から富士山方向
山頂付近から細尾沢

祠に手を合わせて下山開始。 玉ノ窪小屋は"本日はお休みします"との張り紙があった、9月、10月は平日は営業していないらしい・・・。ここから七合非難小屋
へ向けての登山道を2550m付近まで下り、適当なところから玉ノ窪沢へ下降する。序盤は沢型が現れても灌木が茂りちょっとウザい。
沢の下降では熊もよく見かけるので、笛もチョクチョク吹く。もう、クマとの遭遇はゴメンだし・・・
正面に槍、穂高の稜線を見ながら下降。2370m付近で右岸から。。。2310m付近で左岸から。。。と沢筋が合流すると水量も増えるが、滝は全く無いといっても
過言ではない。 2190mまで下ると右岸から明るい様相の枝沢が出合う。ここの左岸に岩小屋あり。ここでようやく10mトイ状ナメが現れる。
玉ノ窪小屋
玉ノ窪沢源頭の様相
2190m二俣下の10mトイ状ナメ

ここから、ポツポツ滝やナメ床が出てきてイイ感じになってくる。それでも下降には何ら問題なくノーザイルで降りて行ける。10m滝を降りて、
少し進むと、前方は両岸が切り立ち、そこに吸い込まれるかのように大ナメが掛かっている、覗き込むと全体で30mはある見事な大滝だった
30mザイル1本では到底、懸垂では届かず。高巻きルートを探る。。。右岸は垂壁が続きNGで左岸に求めるしかないが、左岸の壁も切り立ちかなり戻らないと
高巻けない感じだ。 ”ショートカット出来ないかなぁー” と近くを見ると、1か所弱点らしい箇所を発見。 滝の上部を横断して、見てみると、なんと
割と綺麗なトラロープが付けられていた!!! しかも、このトラロープ、自分がルートファインディングした灌木帯に逃げ込むルートではなく、岩壁と滝の間の
ギリギリのラインを経つって行くという、かなりキワドいルートに付けられていた。 特に岩壁の角を2m垂直に降りる箇所は、トラロープを掴んでいても
結構コワイ。 ここを慎重にクライムダウンし、さらにトラロープに導かれながら進むと、最後は無情にトラロープが無くなり、5m程の凹角を自力クライムダウン
になるという、割と楽しいルートになっていた。
イイ感じになってきました♪
10m滝(ノーザイルで降りれます)
30m大滝上(カーソルあてて)
きわどいルートなので滝が良く見える
トラロープが無いと普通こんなルートでは巻きません
30m大滝全景(カーソルあてて)

30m大滝下は両岸切り立った岩壁が150m以上続いている、特に右岸の壁は何時崩れてもおかしくない様な威圧感。。。ここに滝が無くてホッとし、
逃げるように抜けて行く。。。この先一旦ゴルジュになるがここに掛かる4m滝は右岸の岩溝からクライムダウンできる。
ここから先は、概ね平凡な様相になり、沢幅も広がり、正沢川本流に合流した。
大滝下のゴルジュ
4m滝は水流左岩溝を降りる
正沢川本流に合流♪

本流を下って行くが、やはり、”沢登りコース” と言われる道は見つけられず、昨日入渓した茶臼岳コースに掛かる橋まで出て、遡行を終了となる。

基点駐車スペースまで戻り車の中で寝たが、夜中雨の音が・・・。3時半過ぎに起きて、そのまま車を運転し、携帯の繋がるところまで降りて天気を確認すると
今日は雨模様。。。栃木から来て、幸ノ沢を遡行せず帰るのは、非常にもったいないが、雨の中、明るい沢を遡行してもツマラナイし、写真も撮れないので
潔く、高速が空いているうちに帰ることにした。。。

P.S:細尾沢は難しい所がなく初級者向けの沢。沢の様相はやや単調なきらいもあるので、周りの景色が楽しめる天気が良い日に行った方が良いです。
   健脚の方なら細尾沢だけなら日帰りも十分可能で、1泊2日で二日目は幸ノ沢を遡行するとより楽しめるはず。ザイルの必要性は全くなく、10m程度の補助ロープでも問題なし。
   一方、玉ノ窪沢は見事な大滝が1つあるものの概ね平凡。遡行するというよりは、下降ルートの一つのバリエーションと考えた方がいいかも。
   ザイルは使いませんでしたが、大滝の下降は多少の緊張が伴うため30m1本あると安心です。

遡行図(クリックして)





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